※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! ちょっと状況が好転しそうで、少しテンションが上がっているグレン×グレンでっす!

 かなり状況が好転しそうで、この流れにうまく乗りたいところですねぇ。

 では本編!


第七話 死んでも死なない色男

《木場祐斗》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先に行きます、部長」

 

 僕は待っていることを言外に告げながら、聖魔剣を構えて走り出す。

 

 同時、拡張型人工神器を起動して聖剣の禁手も発動。包囲殲滅の構えを取る。

 

 そして樹下君も言葉を交わすことなくこちらの意を組んでくれた。

 

 大量の魔剣を投擲して、ジークフリートを牽制。こちらの包囲が完了すると共に闇乃尾羽張をもって、僕の反対側から切りかかる。

 

 その猛攻をジークフリートは五つの魔剣を振るって迎撃。空いた一瞬の時に……禁手を解除?

 

「出番だ、グラム!!」

 

 その瞬間、絶大なまでの斬撃が聖なる龍騎士達を薙ぎ払う

 

 空いた隙間に飛び込むように、ジークフリートは禁手を再発動しながら距離を取り、樹下君は黒刃の蹴りでそれを食い止めようとする。

 

 だが、ジークフリートは左手に持った聖剣でそれをいなす。

 

 ……頑丈さだけなら相当だね。相応の札を持っているというコトか。

 

「……あいつも中々いい剣を作ってくれるね。教会でも特に闇が深い二大研究の共演とか、一周回って上の奴らが憤死しそうだ」

 

 そう笑いながら、同時にジークフリートは肩をすくめる。

 

「今ので薄々気づいた奴もいるんじゃないかい? 僕の欠点ってやつが」

 

「……魔帝剣グラムの全力と、龍の手(トゥワイス・クリティカル)の禁手は同時発動ができないというコトか」

 

 青蘭さんがそう告げ、ジークフリートは頷いた。

 

「赤龍帝のアスカロンは、天界が調整した聖剣及び、天龍の支援を受けた宿主の組み合わせで、全力を出しても使い手には龍殺しの力が向かないようになっている。ただ僕の場合、木っ端の龍にそんな能力はないし、グラムはグラムでそんな気遣いをしてくれないんだ」

 

 中々に厄介な話だ。

 

 魔帝剣グラムは最強の魔剣だ。その格は聖王剣コールブランドと同格であり、性能はデュランダルとアスカロンを足して魔剣にしたような代物。それを使いこなせるジークフリートもまた、神器まで持っている辺りゼノヴィア以上に才能に愛されている。

 

 だが、愛してくれる才能同士が相容れない。

 

 ただでさえ魔剣は、強力であればあるほど呪いも強くなる傾向を持つ諸刃の剣だ。しかも持ち主に龍が宿っているのなら、その悪影響も絶大だろう。

 

「そこの熱心極まりない忠臣さんが言う通り、グラムの全力を出すと禁手状態の僕は耐えられないんだ。もちろんグラム以外の魔剣も強力だし、禁手との併用による六刀流は十分な強みだけどね」

 

 だからこそ、基本的に彼は本気を出す時に禁手を使う。

 

 だが同時に、それはグラムという最大の武器を殺していることにもなる。

 

 間違いなくジレンマだ。魔帝剣の使い手が、本気で戦うにはグラムの全力を引き出せないなんて問題だろう。

 

 そして同時に、彼の口調からは悲壮感を感じない。

 

 僕達は、その理由を知っている。

 

「多めに血を採取しておいてよかったよ。おかげで僕の分もたっぷり残っている」

 

 そういうなり、ジークフリートはグラムを一旦鞘にしまって注射器を取り出す。

 

 拳銃型のその注射器には薬液が既に入っている。

 

「させると思うか死んでそれ寄越せ」

 

 樹下君はもちろんそう簡単にさせる気がない。

 

 即座に攻撃を仕掛けに行くが、ジークフリートは一手早かった。

 

 彼は注射器を使用するより先に、禁手のままグラムの全力を発動した。

 

 さっきの発言はその為のブラフも兼ねているのか。ほんの僅かにでも、グラムの全力を禁手発動中は使わないと思わせる為の。

 

 実際それは功を奏した。樹下君の接近は、薬液を注入するまで阻害される。

 

 そしてそれをするということは、刺しさえすれば―

 

「間に合え―」

 

『―遅いね』

 

 ―呪いにも耐え切れると、いうコトだ。

 

 振るわれる闇乃尾羽張を、ジークフリートは肥大化した裏拳で弾き飛ばす。

 

 その勢いを利用した黒刃もまた、振るわれる絶大なオーラを持つグラムが断ち切った。

 

「ちっ!!」

 

『反粒子は使わないのかい? いや、繋がりを断ち切れたというのは間違いないようだね』

 

 舌打ちする樹下君に、変質した声でジークフリートは納得した態度を向ける。

 

 既にジークフリートは、異形としか言いようがない。

 

 例えるならが二足歩行で歩く蜘蛛の化け物。

 

 ……気配が違う。これが、英雄派が到達した禁手のその先か……っ。

 

「素晴らしい。やはり人間こそ可能性の塊だな」

 

 アジュカ様が感嘆の声を上げる。

 

 人間社会に異形の存在を公表しないという、各勢力の共通認識も理解できる。

 

 禁手に到達する方法をメソッド化し、禁手到達者を多数発生させることに成功。更にその先ともいえる、禁手の上に到達するドーピング薬の開発。

 

 人間の発展力は凄まじすぎる。下手に存在が広まれば、流れ出た異形の技術で異形を道連れに自滅しかねない発展がもたらされかねない……っ!!

 

『じゃあ、ここからは僕のターンだ』

 

 その瞬間、絶望が襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況は、致命的に悪くなった。

 

 真っ向から切りかかった俺の斬撃が通用しない。闇之尾羽張は俺の星辰光によって再現された黒刃を抽出した魔剣である以上、その性能は伝説級に迫るというのにだ。

 

 同時に、木場も拡張型人工神器で二つの禁手を同時発動しながら切りかかる。

 

 聖魔剣も聖剣も龍殺し。特攻を狙った攻撃だ。

 

 だが、ジークフリートは俺達を寄せ付けない。

 

 振るわれる斬撃は今までの比ではない。反動を意に介さなくなれたことで、思い切りもよくなり慎重になり切れなかった臆病さから克服された。それゆえに遥かに高い出力を憂いなく冷静に振るえている。

 

 その斬撃を掻い潜っても、しかし龍殺しは届かない。

 

 俺が投擲する龍殺しの魔剣も、龍騎士達の振るう龍殺しの聖剣も、果ては木場が直接振るった聖魔剣の龍殺しすら、今のジークフリートの表皮を傷つけることができてない。

 

 大幅に増強された出力のごり押しで、龍殺しのオーラを強引に突破する。魔帝剣グラムのそれをどうにかする為の答えである以上、伝説級の龍殺しでも苦戦は必須というコトか。

 

 付け入るスキがあるとするなら一つ。赤龍帝の籠手と合一化したことでより強大な聖剣となった、龍殺しのアスカロンか。

 

 だがそれも、イッセーのMIAゆえに成立しない。

 

 このタイミングで、反粒子が使えなくなったのは間違いなく痛い。

 

「青蘭! 周辺警戒をしている余裕はない……威力でごり押す!!」

 

「承知した!!」

 

 手がほかにないゆえに、青蘭の同調で獅子王の戦斧を同調。攻撃力の上昇で突破を試みるが、ジークフリートはグラムでそれを迎撃。

 

 勢いよく弾き飛ばされる。……やはり、二重神滅具状態であっても劣化再現の星辰光では、グラムには届かないか。

 

「ご主人様!?」

 

「青蘭は直接介入するな! リアス部長達をカバーしろ!!」

 

 青蘭自身が星辰光で介入するという手段は取れない。

 

 というのも、この期に及んでリアス部長達は動きがあまりに弱い。

 

 意を決して部長も朱乃さんも攻撃はしているが、火力が目に見えて低い。

 

 イメージをもってして制御する魔力と、精神的に致命的レベルのダメージを負っていることがかみ合ってしまっている。

 

 無理もない。人生初ともいえるだろう親しい者との死別が、寄りにもよってイッセーでだ。それを乗り越えるには時間も経験も足りなすぎる。

 

 ワンチャンあるかもしれないし、順当にダメでも踏ん切りはつくだろうと合流したらこれだ。タイミングが最悪すぎる。

 

「兵藤一誠一人いなくなっただけでこれか。友情や愛情というものが生きる理由になることは知っているけれど、失った途端にこれだとね」

 

「尊ぶかどうかは好きにしろ。ただし、今の発言は弱い者いじめと何が違う!!」

 

 流石にイラつくが、こいつに言ったところで意味もないか。

 

 愚痴以外の意図はない。薬物投与による一時的なドーピングなら、持久戦が数少ない選択肢か。

 

 星辰光の維持性が低いから持久戦は避けたいんだがな。出力格差と負担のでかさは比例するんだが。これ、勝ったとしても俺の体が内臓小規模破裂の見本市みたいになるんじゃないだろうか。

 

 だが結局、打開策がない以上は薬物投与の効果が切れるのを待つしかないだろう。

 

『……聞こえるかね?』

 

 念話? 朝月博士か。

 

『もう少し時間を稼いでくれ。突貫作業だが一時的にでも研究中の兵装を使えるようにする。ただそれまでは安城と嘉承の二人は使えん』

 

 俺はジークフリートの攻撃がちょうど目くらましになる位置に回り込みつつ、ハンドサインで了承を伝える。

 

 下手に人数を入れてどうにかなる相手ではない。ならそれぐらいはいいだろう。

 

 下手に投入して損耗するよりは合理的だ。俺と木場は間違いなく俺たちの中でも指折りの戦闘技術を持っているから、うまくすれば時間を稼ぐぐらいはできる。

 

 ただ、ジークフリートはつまらなさそうだった。

 

『……まったく。少しは殺気を放っていたが、あの紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)と雷光の巫女がこのざまか』

 

 こっちもびっくりするほどに弱弱しい一撃しか放ててない二人に、ジークフリートはため息すらつく。

 

『兵藤一誠も無駄死にだね。オーフィスはともかくシャルバは後でいくらでも討てただろうに。……それで結局助け損ねて、身内にここまで無様をさらさせるんだから』

 

「痛いところをついてくれる……っ!」

 

 実際問題、合理的な観点で見ればボロッカスに言われてしまうのが痛い。

 

 テロリスト同士の内輪もめに巻き込まれた挙句、見捨てられた元ボスを助ける為に独断で一人残り、結果として現状生死不明であり、状況証拠と一部の物証により死亡している可能性は非常に高い。そしてそれを知った身内の多くが心神喪失に近いレベルで心をへし折ってしまった。

 

 大王派あたりが知れば嬉々として魔王派の失態や愚行とするだろう。大王派でなくとも、イッセーの行動は問題点がかなり大きく手放しで称賛されるべきこともでもない。

 

 加えて奴らはオーフィスを切った悪党共だ。力も大きく減じていることを考えれば、無理無茶無謀を通してまで助けようとする方がバカに思えるだろう。そこは理解できるし、そういう奴らだと知っている。

 

 ……だからまぁ、いら立ちは覚えるが激昂するほどではない。特に俺達のようなタイプにとって、このタイミングで激昂することは致命的な隙を生みかねない。

 

 なので我慢した。波柴の訓練生時代で何度もやってきた。こういう時に抑えなければ、とっくの昔に薬物投与で人格を壊されるかその場で危険因子として殺処分されるかだ。メンタルだけで我慢して、心が死んだ風に見せかけて殺人行為からの死体損壊やら意図的に発狂するまで拷問する実技演習をやった回数なんて、数えられない。

 

 だから俺(・)は(・)我慢できた。相手の発言に一理はあるから、難しくはあっても無理はなかった。

 

 問題は、そっちにリソースを割きすぎたこと。俺が我慢するので手いっぱいだったことだ。

 

「ふ……ざけるなぁああああああっ!!」

 

 警戒にリソースを割いたうえで、我慢するのはかなりギリギリだった。おかげで、木場が激昂して突撃するのを止める余力がなかった。

 

 反応して援護の魔剣投擲は行いつつ走るが、ジークフリートには牽制にもならない。

 

 交錯は一瞬。木場の右腕がグラムで断ち切られる。

 

 更に聖剣が振るわれるが、そこにはぎりぎりで間に合った。

 

 側面狙いで獅子王を宿した黒刃をぶつけることで、相手の力を逆手にとってはじかれるように距離を取る。片刃の湾刀を作って切られた腕も引っ掛けるが、流石にキャッチは無理であらぬ方向へと飛んで行った。

 

「血止めは自分でやれ、余裕はない!」

 

 距離を取って着地をすると同時に、木場を後ろに投げ捨てる形で離し、素早く闇之尾羽張を構える。

 

 ジークフリートを打倒するには手が足りない。

 

 獅子王と合一した状態の俺の黒刃なら、今のジークフリートにも深手を負わせる余地はある。

 

 だが現実問題、それ以外を十分無視できる今のジークフリートの六刀流を掻い潜るには、今の俺には手が足りない。

 

 朝月博士の札が完成すれば話は変わるだろうが、そこまで時間をかけることができるかどうか……どうする?

 

『流石は、波柴一族が「ハイエンド」なんて付けるだけはあるね。冷静に対応されると流石に困るよ』

 

「安心しろ。一理あるのは認めるがそれはそれでキレてる」

 

 軽口に返すが、情勢は不利。

 

 ったく。波柴時代の異名まで知れ渡ってるのか。

 

 バラしたやつ誰だ? 菊花に藤花に光吉と候補が多すぎる。……まぁ矢城はまずないだろう。奴に限ってそういうコトに気を回すとは思えない。

 

 っと。情勢が不利すぎて現実逃避しかけたな。

 

「ぐ……ぁああああああっ!!」

 

 我に返らせる刺激になったのは、激情を叫びに変えて立ち上がる木場の声だ。

 

 だがまずいな。アーシアの回復が殆ど効果を発揮していない。フェニックスの涙で傷は塞いだようだが、腕を回収している暇もない。

 

 青蘭はリアス部長達の警護に回している以上動けない。安生さんと霞城さんも、朝月博士の調整の星で動きが取れない状態だ。

 

 ……もう全部ぶん投げてアジュカ様に助けてもらった方がいいんじゃないだろうか? 個人的にはムカつくが、このままだと負けるぞ。

 

 ただ、木場はそんな算段を立てる余裕はない。いや、算段を立てるような気すらない。

 

「お前達のような奴らに、僕の親友を……兵藤一誠を軽んじる資格はない!! 負けて、たまるか!!」

 

『吠えているところ悪いけれど、君は兵藤一誠のように根性で無理ができるわけじゃない。当然、波柴秀華や光吉のように精神力で肉体の限界を蹂躙することもできない。……人間ベースの君にとって、その負傷は致命的だよ?』

 

 痛いところをついてくれるが、そこで止まるような状況でもない。

 

 だがどうする? あとどれぐらいの時間が必要になる?

 

 そう思った時、背後から光が差した。

 

 天候的にも時間的にも方角的にも、断じて朝日が差しているわけではない。何よりこの色は、朝日ではない。

 

 そう、これは紅の……っ!?

 

 反射的に、俺は振り返った。

 

 今のジークフリート相手にそれが危険なことを気にする余裕はほぼない。途中で気が付いたので背後警戒用に鏡として使えるような魔剣は作ったが、それでも振り返ることそのものは止められない。

 

 輝きの根源は、悪魔の駒

 

 兵藤一誠に宿り彼を悪魔にし、それゆえに死してなおの想いを受けて転移してきたと思われている駒が、紅に輝いている。

 

「……イッセー……?」

 

 思わずぽつりとつぶやいた時、声が聞こえた。

 

―助かるぜ、樹下。その調子で皆を頼んだ―

 

 ……はっ。

 

 幻聴だと考えることもできる。

 

 だが、この場にいる兵藤一誠の仲間達全員が、似たり寄ったりの反応だ。

 

 残留思念かなにかは知らない。もしかしたら、魂だけしぶとく残ってるのかもしれない。

 

 だが、これだけは断言できる。

 

 あいつは本当にバカなんだよなぁ……っ!

 

 まぁいい。気合は入れ直した!!

 

 俺は振り返り、様子見をしているのだろうジークフリートを見るが、奴にとっても無視できない事態が起きていた。

 

「ぐ……ぁ……! 何故だ……グラム!?」

 

 ジークフリートがグラムの制御に難儀になっている?

 

 どういうことだ?

 

 状況は読めないが、オーラの暴発を警戒してうかつに踏み込めなかった。

 

 そして次の瞬間、二つの剣が勝手に宙を舞う。

 

 一つは、ジークフリートを拒絶するようにオーラで弾けるように飛び、突き立ったグラム。

 

 一つは、リアス部長の手元から飛びだいた悪魔の駒が変化して、木場の目の前に舞い降りたアスカロン。

 

 ……おいおい、どういうことだ?

 

 いやそんなことを言っている場合じゃない。これは好機だ。

 

『ぐぅ……業魔人(カオス・ドライブ)の、業魔化(カオス・ブレイク)の弊害か!? そしてこのオーラ……アスカロンが、ここまでっ!!』

 

 要約すると、神器のドーピング役である業魔人を使って到達した業魔化という状態に負の反応を示したのか、グラムがジークフリートを拒絶。更にアスカロンのオーラは俺の希望通りに効果があると。

 

 さて、となると木場の腕を回収した方がいいな。どうも二本とも、木場に振るわれたがっているような動きを見せている。

 

 そしてそれに対し、ついに動き出す者達がいた。

 

 気が抜けて倒れそうになる木場を小猫が支え、飛んで行った腕をレイヴェルが回収し、それをアーシアがいつも通りの治癒の力で治していく。

 

 激励の言葉をしっかり一人ずつに言っているようだ。あいつも大概だな。

 

 さて、このチャンスは逃せない。

 

 あえて空気を読まず、俺は動揺しているジークフリートに奇襲を仕掛ける。

 

 闇之尾羽張をおとりに、懐に潜り込んで獅子王合一化の黒刃で膝蹴りを叩き込む。

 

 不意ゆえにガードが追い付かなかったジークフリートは、飛び退って最小限の傷に収めるも切り裂かれた。

 

 やはりここまでやれば効くか。それが分かればありがたい。

 

「さてどうする? 今のうちに逃げ帰るのがベターだと思うが?」

 

 逃がす気はない。挑発だ。

 

 そして、ジークフリートは動揺が激しすぎたのかすぐに乗った。

 

『なめるな! 僕は英雄シグルドの末裔だ!!』

 

「そうだな! だがそれだけだ!!」

 

 木場が回復しきるまでは俺が担う。

 

 だからこそ、それをあえて言う。

 

「それは英雄シグルドの血を引いていること以外を何一つ意味しない。血筋を誇るのならそれに恥じない生き方をするべきだ。……最も、紀元前レベルの民度のそれを現代に向けられてもこっちが迷惑なわけだが!!」

 

 聖剣を呼び出して空いた腕に持つジークフリートに、俺は両手両足+魔力を運用する。

 

 掉尾の海蛇龍。この性質を持つレヴィアタンと化した俺は、蛇の形で魔力を運用できる。限度はあるが、ある程度はできるようになっている。

 

 一対に呼び出し、俺は素早く魔剣を加えさせると魔力で強化しながら近接戦闘を開始。

 

 そのころには、リアス部長と朱乃さんも動き出していた。

 

「ごめんなさい、イッセー……でも、ここからよ!!」

 

「貴女に見せれなかった私の新しい戦い方、ここで!」

 

 高出力のリアス部長の消滅の魔力に、朱乃さんの雷光も加わった攻撃がジークフリートに手傷を与える。

 

 それを生かし、俺も一気に踏み込みながら更に煽る。

 

「そういう意味だとシャルバ達と同じ穴の貉だなぁ! 血筋を誇っているがやってることは悪辣外道。当時はそれでいいのかもしれないが現代だと合わないってのが分かってない!! 昔は通じていた可能性を考えれば、その頃を経験に引きずられてしまうからシャルバ達の方がまだマシかもなぁ!!」

 

『あいつら如きと、同列にするかっ!!』

 

 動揺してるところに煽られて、ジークフリートの動きが荒くなる。

 

 だがもう一手ほしい。さてどうしたものか。

 

 そう思った時だ。

 

「……は、ははははははははっ!! 興味深いぞ赤龍帝!!」

 

 朝月博士が高笑いを上げる。

 

 これは、準備完了か!?

 

「さぁ、ここからが反撃の時だ……叩き潰そうではないか、諸君!!」

 

 よし、ここで一気に巻き返す!!

 




さぁ、前半の山場だぜぇえええええ!
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