シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
いろいろ進展があったことが原因ですかね。なんか最近どんどんかけて困っております。嬉しい悲鳴を上げそうです!
では本編!
《木場祐斗》
傷は塞がった。消耗は気合で無視するし、小猫ちゃんの仙術で誤魔化せる。
さぁ行こう、アスカロン。力を借りるよ、グラム。
ここからが反撃だ。
そして、僕と同時に駆け出す者が二人。
「漸くこちらも動ける。援護しよう」
「待たせてごめんね。いくよ!!」
霞城真那月さんと安城唯織さんの二人が、悪魔祓いの光の剣を引き抜いて走り出す。
更に二人は星辰光も発動。赤い光が発生する。
彼女達は、第七愛欲騎士団の一員だった。そして第七愛欲騎士団は、同系統の星辰光を会得している。
それは聖なる光で構成される獣を創り出して連携するという物。だが、その光の色は赤でも紅でもない。
にも関わらず、この輝きはイッセー君を思わせる色だ。
そして同時に、その根源である左腕の手甲は強いオーラを放っている。
事実、放たれた上級悪魔上位クラスの魔力を二人は手甲で弾き飛ばした。
「ちっ! 余計な武器をまわしてくれる!」
「下がれジークフリート殿! 流石に一人はまずい!!」
ついて来ていた悪魔達の残りが、助けに来たみたいだ。
状況が大きく動いたと見ているようだが、しかしそれは許されなかった。
すぐに多数の魔力はあらぬ方向に飛んでいく。
「悪いがそういう無粋は無しだ。俺は、彼らの戦いを認めただけなのでね」
アジュカ様が楽し気に相手の魔力を無効化する。
ありがたい。横槍が防がれるだけでもだいぶ助かる。
ただ、敵もそう簡単には操られないようだ。
「「ならば本丸を!!」」
そう吠える二人の悪魔が、魔力を束ねて発射。更に干渉される一瞬で散弾となって制御から逃れようとする。
数発。だが中級悪魔なら深手を負うレベルの魔力が数発飛んでくる。
……それを、割って入った朝月博士が左腕に展開されたクローシールドで弾き飛ばした。
あの人、思った以上に戦えるのか!?
いやそうじゃない。あの楯……出力がおかしい!?
「フフフフゥハッハハハハハハハハッ! あいつは何度こちらの予想を超えれば気が済むんだ、兵藤一誠っ!!」
何でここでイッセー君が!?
『まだだよ!!』
気を取り直したジークフリートが、魔法の異空間から聖剣を取り出した。
左腕に持っている者と同型。となると、扱えるのは間違いない。
その攻撃に四人掛かりで対応していると、アジュカ様をジークフリートで挟む形で悪魔が回り込んで砲撃を試みる。
だがそこに対して、気づけば唯織さんが回り込んでいた。
左腕の手甲が、大型のスラスターになっている!?
勢いを生かした斬撃に、防御ごと悪魔は弾き飛ばされる。
そして次の瞬間、弾き飛ばされた悪魔の何人かが膨大なオーラの砲撃で跡形もなく吹き飛ばされた。
「……射線には気を付けた方がいいか」
安城さんが自分で引きながら、砲撃を放った手甲が変化した砲門に視線を向けていた。
「『なんだあれは……っ!?』」
思わず僕とジークフリートが異口同音で戦慄する。
「説明しよう! これは神の子を見張る者の試作品を基に
そして思いっきり胸を張りながら、朝月博士が説明をする。
流石技術者。語りたいらしいけど正直凄くありがたい。
「元々赤龍帝の籠手擬きを作るという一種の遊びとして、龍の手といった完全下位互換の神器を組み込んで神の子を見張る者が作った試験品。その現物から着想を得て、兵藤一誠から鎧の宝玉を貰って組み込んだ一品だ! コンセプトは「兵藤一誠の臣下用人工神器」!!」
色々ツッコミたい。とにかく何時の間に!?
ただ、朝月博士も軽く引き気味なのか、額に一筋汗が浮かんでいる。
「それがついさっき、兵藤一誠の悪魔の駒が飛び込んだらさあ大変! 試験用の補助動力システムを全部直列して龍の手の覇を発動させようとしてたが、三叉成駒の亜種みたいなものになったので前倒しで投入させてもらったのだ!!」
なんか凄いことになっている!?
イッセー君、アスカロンだけでなく三叉成駒まで託してくれるのか!?
「とんでもないことになってるんだが、これ朝月博士とイッセーのどっちがやばいんだ?」
「どちらもやばいでいいと思うぞご主人様!」
樹下君も軽く引いており、青蘭さんがフォローを入れている始末だ。
だけど、これは大きい。
「本当に人間は可能性の塊だ。神器研究は俺の食指が動く分野ではないが、改めて論文ぐらいは見ておくべきかな?」
アジュカ様も愉しそうで何よりです。
だが、これなら勝算はある。いや、勝って見せる。
見ていてくれ、イッセー君。僕達は、君の意志を無駄にしない!!
《樹下誠二》
状況が一気に変化したな。
というより、イッセーが怖い。
異形が怨念だけで問題を起こすという話は有史以来よくあるが、仲間を思う気持ちが籠った悪魔の駒がこんな奇跡を起こすとは。
ま、こういう奴だからこそ面倒見れたんだろうけどな。
……少し気が晴れた。だから遠慮なくいく。
踏み込んだ瞬間、ジークフリートの聖剣が迫る。
二刀で防ぎつつ黒刃で攻撃。莫大なオーラを放っていた聖剣は綺麗に割断された。
それを投擲し、ジークフリートは新たに聖剣を二本呼び出す。
同時、片手に持っていた聖剣のオーラが異常なまで増大化。リアス部長の消滅の魔力を断ち切り、余波で俺達を押し飛ばして接近を阻害して砕け散る。
……なるほど。最大出力だとすぐ壊れるような欠陥品を数でカバー。むしろ割り切ったことで量産性と高性能を両立しているのか。
使い勝手は微妙だろうが、それを補える使い手ならば強力な武器になるだろう。ジークフリートの場合、五本の魔剣があるからサブウェポンとして使う分には都合もよかったと見える。
十分厄介。それは理解している。
だからこそ、対処の判断は一瞬。そしてそれは見出しようはある。
振るわれる魔剣の猛攻を、木場はグラムとアスカロンで迎撃する。
オーラの奔流はジークフリートの体を焼いていく。魔剣と聖剣。それぞれの龍殺しは、聖魔剣以上にジークフリートに通用する。
まぁ、創造系神器のそれは多様性にこそ真価を発揮するからな。正直戦場でメインウェポンにしづらい点はある。俺のようにサブウェポンと割り切るからこその強みが生かせる部分は大きいし、そうでなくても麗夜さんのように一方向にリソースを割り振った戦法を確立するべき案件だろう。玄人向きすぎる。
そういう意味では、今木場はグラムという一点特化を手に入れたともいえる。これは今後が楽しみだ。
だから、こそ。
「ここで死んでろ、ジークフリート!!」
リベンジされて奪取されないよう、禍根をここで立っておこう。
全方位からの攻撃をうけ、旧魔王派はアジュカ様の牽制が上手く回り始めている。ジークフリートは孤軍奮闘だ。
それでも喰らいつけている。それは奴が優秀な証だろう。ドーピングだけでどうにかできるほどこの状況は甘くない。
だからこそ、好機を狙う。
そして、来た。
左右からのリアス部長と朱乃さんの砲撃に、経験値が多いからか安城さんと霞城さんが合わせた。
その迎撃で、両手に握る聖剣が砕けたその瞬間。俺は一気に仕掛ける。
「チェックメイトだ!!」
あえて大きな声を上げ、俺は突貫。
真後ろからの突貫に、ジークフリートの対応は早かった。
螺旋状のオーラをもって敵を穿つバルムンクに、驚異的な斬撃力を持つノートゥング。螺旋と直線をもって、奴は俺を殺そうとする。
その瞬間、俺は魔剣を手放し黒刃を使って最小限のダメージで組み付いた。
最小限でも伝説級の魔剣。更に、組み付いたことで呪いが襲い掛かる。
だが、甘い。
両手両足を使い、俺は魔剣ごと二つの腕を拘束。同時に拘束したことで、ジークフリートの動きは封じられる。
脳内分泌物や生命力の流れを、治すことではなく耐えることに特化する形で活性化させる。鎮痛や呪いの阻害、精神安定の効果を持つ、負傷や拷問において救出や治療を待つ時間稼ぎ用の波柴流呪術殺法。呼吸法による羽柴一族の術式体系だ。
凄い便利だ。俺はこれを教えられた際、精神的な負荷の大きいあの一族の教育機関に耐える為に、よく使っていた。最も感づかれないよう、わざと半端な形で使うといった絡め手は必須だったが。
如何に伝説の魔剣の強力な呪いとはいえ、これで少しはもつ。
そして、この状況下で魔剣二つが抑え込まれたのは致命的だ。
聖剣二つがなくなったタイミングで、魔剣二つが抑え込まれた。この意味を悟り、ジークフリートは間違いなく震えた。
咄嗟の判断で、自爆一歩手前の形に動く。
氷を操り凍結すら起こすダインスレイブ。攻撃箇所に大規模な衝撃をもたらすティルヴィング。その二つを、わざと自分が巻き込まれる形で振おうとする。
だがしかし、間に合わない。
「……させないっ!」
「やらせませんわ!」
小猫とレイヴェルがそれぞれの魔剣に組み付き、仙術込みの戦車の特性やフェニックスの炎と不死で抑え込む。
強引に距離を取ろうとしても、朱乃さんの雷光が叩きつけられ、拳で薙ぎ払おうとしたがリアス部長の魔力が叩き込まれる。
そして残りのメンバーが逃げ道を塞ぎ、最短距離で木場がアスカロンとグラムを構え―
「終わりだ、ジークフリートっ!!」
―その胴体に、深々と突き刺した。
「……まさか、グラムにやられるとはね……」
その瞬間、奴は死を悟ったらしい。
力なく魔剣を落とし、人間としての手でグラムを撫でる。
その肌をグラムは呪いで傷つけていく。本気で拒絶しているようだ。
「……回復しないのは何故だい? フェニックスの涙を持っているはずだ」
警戒を解かない木場がそれを問う。
まぁ実際問題、禍の団はフェニックスの涙を裏ルートで手に入れている。最高幹部の一人なら持っていてもおかしくはない。現魔王に対する寝返り交渉なんて、失敗したときの危険が大きすぎることをしてるならなおさらだろうに。
ジークフリートはその問いに、苦笑いを浮かべる。
「業魔化の副作用でね、何故か発動中はフェニックスの涙が使えないんだよ。……これは痛いね……本当に」
それは不幸中の幸いか。
土壇場での回復が使えないのは運がいい。最も、涙を使ってから業魔化すればいいだけだし、摘発が進めば涙も使えなくなるだろうから決定打にはならないだろうが。
ジークフリートの体は崩壊していく。
自らの死を受け入れたのだろう。奴は空を見上げて寂しげにほほ笑んだ。
「フリードのことを笑えない。どうせ、あの施設の者達はろくな死に方はしないってことか……」
その言葉の意味を問う余裕はない。
ジークフリートは、そのまま塵となって死んでいった。
ジークフリート戦、決着!!
朝月の本領は開発分野なので、今後も人工神器に手を出させたいところ。ほかのメンバーの強化も含めていろいろやりたいぜ!