シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
中盤の山場も書き終わり、終盤を書いている段階なので、このままだと今月中にヒーローズ編完結させれるぜぇい!!
《樹下誠二》
呼吸を入れて切り替え、俺は周囲を警戒する。
どうやら、旧魔王派の連中は逃げたようだ。見切りが早いというべきか。
シャルバはどうやら合流してないようだ。イッセーが倒したと考えるべきだし、ワンチャン生きててもただではすんでないだろう。
敵だって勝つ為の努力ぐらいはする。ただで済んでるとは思わないし、あのアレっぷりから見て無事なら何か言ってるだろう。すぐには復帰できないと思いたいな。
「……実に興味深いものを見せてもらった。自分で作っておいてなんだが、悪魔の駒にここまでの可能性があるとはね。彼の駒に手を入れて色々解放したかいがある」
研究者として嬉々としてますねアジュカ様。
「うむ。これだけの可能性があるなんてとても興味深い。……研究用に三セットぐらい欲しいのですがダメですかな?」
あんたも意気投合してるなぁ朝月博士。
とりあえず後にしてほしい。思わぬ横道だったが、本来の目的は別にあるんだから。
とりあえずため息をついたうえで、俺は咳払いもしてから本題に移るべく視線でリアス部長を促す。
既に力となっていた悪魔の駒も元に戻っており、リアス部長が全部持ったうえでアジュカ様に差し出した。
そしてアジュカ様は少しの間調べていたが、やがて頷いた。
「とても興味深いが、まず本題の結論から告げよう。……現段階では兵藤一誠が死亡していない可能性が十分にある、この駒を調べた上での俺の判断だ」
思った以上に自信があるな。
可能性は相応にある。むしろ死んでない可能性の方が大きい。そういう言い方だ。
「失礼ながらお尋ねします。門外漢でも分かるような根拠があるのでしょうか?」
俺はその辺りを確認する。
そして、アジュカ様は頷いた。
「簡単な話だ。この駒の残した最後の情報は、兵藤一誠の「死」ではないからだ。……少なくとも、この駒が転移したそのタイミングでは彼はまだ生きていたのは確定だ」
……凄い言い切った。
自分の作った作品に対する自信が見える。これは製作者のプライドにかけての断言だろう。技術力の高さから踏まえても、説得力が大きい。
朝月博士がしげしげとイッセーに宿っていた駒を見ながら、しかし眉間にしわを寄せている。
「なるほど。しかしそのあとについてが不明瞭ですな。仮説は立てられますかな?」
「多少はな。まぁサマエルの毒を食らったことを考えれば、体はただでは済まないだろう。だがどうも魂まで汚染はされてなかったみたいでね。その理由は断言できないが、サマエルの毒を食らってなお汚染されない魂なら、最悪魂だけ次元の狭間に漂っている可能性がある。……彼の両親から遺伝子情報を引き抜くことができれば、多少の後遺症はあり得るだろうが魂を宿せる新しい器となる肉体は作れるだろう。その辺りについては、俺が責任を持って対応するから致命的な事態は避けて見せる」
「クローン技術ですか、流石は異能。……問題は、見つけられるかというところですが」
「そこも事態が落ち着いたら、俺からも人を送ろう。個人的にも興味深いことが起きすぎているからね、俺の権限が許す範囲内でなら無理も通そう」
「そこまでの事態が起きていると?」
「ああ。おそらく三叉成駒と真女王の分なのだろうが、半数である四個の駒が
「……そこまでおっしゃられるのなら、よほどの自身があるほどのことなのでしょう。気休めではなく推論と事実なのが……つた、わりました……あれ?」
と、朝月博士はへたり込んだ。
……おいまさか。
「あんた何時の間に興味通り越してホの字に?」
「いや、私も何が何だか……? 洋服崩壊といいあらゆる意味で興味深く刺激的な少年だとは思っているが、あれ……?」
研究者ってサンプルに恋愛感情抱くのか。
まぁインパクトはでかいし好青年だ。エロに忌避感ない女からすれば涎が出るような物件ともいえる。
いえるが想定外。
「……よかったですぅううううううううっ!!」
「うう、イッセー……っ」
アーシアや朱乃さんを筆頭に、グレモリー眷属達も嬉し泣きをし始めた。
まぁ正直、俺も望外の喜びというかなんというか。
まぁ落ち着け。100%でもないしな。期待しすぎはやめておこう。諸問題もたくさんあるし……っ。
「そうか、無事……だったの……かぁ……」
「生きてた、イッセー君生きてた……っ」
ああもう霞城さんも安城さんも涙流してるし。イッセーは女泣かせすぎるな本当に……っ。
「青蘭。俺ちょっと落ち着いてかける自信ないから、この情報を秀華達にも伝えてくれ。ことが終わった後の捜索部隊案件、あいつに頼んで利権使わせよう」
「承知した。所長としても、利権を使わせる為の突き上げにはほとほと困っているだろうし都合がいいだろう」
細かいところは指示だけ出して青蘭に任せる。
そして俺は……ちょっと涙こぼれたので落ち着くのを待った。
まったく本当に。予想外の権化すぎる。
こんなの絶対他の奴らに真似できないぞ。うかつに詳細を明かしたら、絶対ややこしいことになる案件だろうなぁ。真似できると思い込む馬鹿を出さない為にも、かん口令とカバーストーリーをしっかりやらないとだ。
まったく。この調子だと、イッセーの奴は意識があったらのんきなことを言ってるだろうなぁ。
そう、例えば体がないって気づいた瞬間に「エロいことがもうできないじゃないかー!」とか、数段後で思うべきことを真っ先に考え付くぞ、あいつ。
《兵藤一誠》
早く出来ろ体。エロいことができるからだ!!
『……相棒。そろそろそれ以外の問題というか窮地に気づけ』
何言ってんだドライグ!? 体ができないとエロいことできないんだけど!?
何故かもの凄く呆れてるドライグに、俺はそう怒りたい。
……俺、兵藤一誠。体を無くして神器に魂だけ宿してます。
もう何がどうしてこうなってんだろう。
何がって? 今俺がいる場所だよ。
「グレートレッド、早くイッセーの体作る」
ぺしぺしとオーフィスが俺の隣で叩いている地面……ならぬ皮膚。
そう、ここはグレードレッドの背中の上。
俺は今、体を失ってグレートレッドで新しく作ってる真っ最中だ!
……ちょっと冷静になろう。色々ありすぎて俺が困惑してる。
こういう時は整理しよう。
1:シャルバからオーフィスを助けようとして、サマエルの毒を食らう
2:俺は死にかけて気付いてなかったけど、グレートレッドが通りがかってシャルバが逃げた
3:結界空間が完全崩壊。オーフィス、俺を掴んでグレートレッドの上に乗っかって脱出。
4:ほぼ同じぐらいに俺の体がサマエルの毒で崩壊。
5:歴代赤龍帝の残留思念が盾になっているうちに、俺の魂をドライグが籠手に移す。同時に悪魔の駒だけが呼び出しに応えて転移する。
6:ドライグとオーフィス、グレートレッドと協力してオーフィスとグレートレッドの細胞から俺の新しい体を作り始める
7:俺、リアス達が苦戦しているうえに元気ない夢を見て励ましたりした
8:俺起きる。体がないからエロいことができなくなったことを知ってショック。
9:歴代の人達が残したありがたくなさすぎる遺言を思い出したりで、正直ちょっと凹んでる
……うん。ちょっと落ち着いた。
歴代の人達。サマエルの毒を自分達の魂で受け止めて俺を助けてくれたんだ。
できればもっと話したかった。おっぱいの紳士としてじゃなくて、先輩としての話も聞きたかった。
なんだよ全員揃って最後の言葉が『『『『『『『『『『ぽちっとぽちっと、ずむずむいや~ん』』』』』』』』』』って!? 満面の笑顔で言うか普通!? 一人だけいた白龍皇の人も「おケツもいいものだよ」じゃねえんだよ!!
歴代赤龍帝が変人すぎる。俺も大概変態だけど、一番マシなんじゃないかって本気で思う。
……はぁ。リアス、皆。めっちゃ会いたい。
《樹下誠二》
一旦帰還してから、俺はリアス部長達と別れて絶花との合流を試みる。
なんか動いているみたいだからな。こっちも移動した方がいいだろう。
サタナキア家が送り込んだエルター・エルプルス案件だとは思うが。
「……漸く泣き止めた。年を取ると決壊したら泣き止むのが大変になるものだな」
霞城さんそう言うが、よっぽど安心したようだな。
やはりというかなんというか。イッセーの近くにいたいからうちの事務所来たなこの人達。
「まだ絶対って分かったわけじゃないけどね。でも、少し気が楽なったかな?」
安城さんもだ。本当にイッセーは全くもうだ。
そしてそんなイッセーの惹かれているもう一人である朝月博士も、うんうんと頷きながら、器用に歩きつつパソコンを操作していた。
「……所長補佐。十三種類で認証したが全てにおいてほぼ確実と出ている。どうでる?」
やることやってくれているようで何よりだ。
ただ、それが確定したということは本当に頭が痛い。
「申し訳ないご主人様。かつての親友として謝罪します……」
「いや、これは青蘭の責任の範疇外だろ。俺としてもどう反応したらいいのかとしか言いようがないというか……」
正直俺も頭が痛い。
いろんな意味でイッセーのことを悪く言えない。俺って中毒性のある精神安定剤か何かですかとか真剣に思う。
……とりあえず、前向きになって考えよう。
交渉のとっかかりは見えた。
ただまぁ、その前に青蘭に確認したいことはある。
だが同時に、俺から話は触れない。
俺がそれを聞けば、それは命令になる。言外のそれを悟れる優秀さが青蘭にはある。
これは青蘭が命令されたからではなく、青蘭自身の意思で自発的に言えるからこそ意味がある。俺が聞きたいのはそんな言葉だ。
ただ、それを青蘭に望むのも―
「……ご主人様」
―どうかと思っていたのは、主人として問題だったようだ。
振り返る。そして、何も言わない。
朝月博士達も何も言えない。今の雰囲気を悟ることはできる。
青蘭は、呼吸が少し粗い。脈拍も激しくなっているようだ。
当然だろう。自分という存在の主柱を俺とし、主の所有物となることで生きることを選んだのが青蘭だ。主に対して命令の範囲内である意見具申以上は、ある意味で禁忌だろう。
彼女は自分の足だけでは立てない。だからこそ、せめて主柱を誰にするかだけを何とか決めた。それをもって、ただの依存ではなく忠義とした。
だから、主に対して命令の範疇外で迷惑をかけることは本意ではない。自分の従属以上を俺に押し付けることを喜ばない。つまり、そういうことをこれからしようとしているのだ。
だけど俺は何も言わない。言葉の裏を悟らせたくない。
……せめて、それができるようになって欲しいと、思ってはいるのだ。
「……~~~~~~っ!」
そして、青蘭は眼を閉じて。
「頼む……あいつを助けてくれ……っ」
絞りだしてくれた。
反射レベルで、俺は青蘭を抱き寄せる。
「……ありがとう。その一歩が、俺は嬉しい」
我儘を言いたい放題なのは問題だ。言ってはいけないこともあるし、職務上できないことやしないといけないこともある。
だがその範疇内ギリギリで、従属ではなく、不興を買いかねないことを自らの意思で言えた。
青蘭がそれをできるようになってくれた。それが嬉しい。
「その成長にはご褒美をやらないとな。それに、俺としても責任の一端……ということにしとくか」
そう前置きして、俺はちらりと朝月博士を見る。
「ちょっと異形風の映像投影とかできるなら……色々と準備してほしいことがある」
「ふむふむ。中々面白そうなことになったようだな?」
茶目っ気があって助かるぜ。
さて、問題はあいつらが動かないと意味がない点なんだが……ん?
異能による通信が繋がり、俺はそれを受け取る。
そこに出たのはグレイフィアさんだった。
表情と服装、雰囲気でなんとなく察することができる
「何がありましたか?」
『現在、対抗術式と戦術が到達したことで本格的な反撃作戦の準備が整いました。また事後報告ですが、サリアローズ・バアル達がロイヤルピースを率いてバアル領の業獣鬼を撃破。サリアローズ達は私兵を率いてアモン領へと向かったとのことです』
……意外な展開だな。
反撃作戦がそろそろ始まるのは分かっている。ただ、その前にサリアローズが独断で超大型魔獣を打倒したことは想定外だ。
特例や例外という存在の厄介な点は、それが特例や例外だとはっきり示されなければ真似ようとする奴が後を絶たないことだ。
何故それができたのかを精査しないで、「できた人がいるからやってみよう」でやってみるケースは多いが、それがいけない時というのもある。特にそれが特例や例外といえる場合、「やっても普通はできない」以上失敗が約束されている。
非常時でそれをやれば、大問題だ。そうでなくても、命の危険が大きいことでそれをやれば死者も出る。
あのサリアローズ殿がそれを理解してないとは思えない。何があった?
……まぁいい。それを考えるのは俺が今やることじゃない。あとで秀華にも伝わるだろうから任せておこう。
現状、超大型魔獣は二種類に分かれる。
22体の通常型を「
どちらも非常に強大で、最上級悪魔クラスが複数人出張っても進軍を遅らせるのが限界。超獣鬼に至ってはディハウザー・ベリアルすら退けた。
ディハウザー・ベリアル殿はレーティングゲームの不動の頂点として
そんな人物が出てきても倒せない敵なんて厄介極まりない。曹操が裏でちらついている所為で、各勢力から神クラスを増援に求めるのも難しい。
だが、情勢はだいぶ変わったと聞いている。
『対抗術式をもって各勢力の魔王クラスが眷属を連れて超獣鬼の撃破を行います。超越者であるサーゼクス様とアジュカ様はそれぞれが単独撃破と非常用の遊軍として動き、ルシファー眷属は私が指揮する形になりますが』
「思い切りましたね。で、我々は?」
戦力バランスを考えれば妥当かもしれないが、中々思い切ったな。
そういえば、帰る時にアジュカ様は「冥界の未来は君達が救ってこそ」と言っていたな。本人なりに未来を考えているのだろう。
そして、俺達にも仕事が来たと。
『今現在、業獣鬼周囲で旧魔王派の悪魔が散見されています。隠密活動と即時撤退に徹していますが、顔が割れたメンバーは全員シャルバ・ベルゼブブの配下。おそらく業獣鬼に業魔人というドーピング剤を投与することを狙っており、手が足りない地域に遊軍を要請しています』
「……まだあいつらに業魔人が残ってると。俺はどこに行けば?」
業獣鬼に直接神器のドーピング剤を投与する。
ろくなことにならないだろう。最悪、成功して超獣鬼化が真剣にあり得る。
つまりそれに対する対応を求められている。そして気づいたこともある。
グレイフィアさんの通信から聞こえる音に聞き覚えがある。
これは―
『アモン領の業獣鬼を対応してください。既に対抗術式をもって、宮本さんが向かっています』
―駒王学園の下校時間を知らせる音楽だ。
というわけで、次の話から中盤戦として、アモン領での戦いが待っております。
リリスの戦いも書き始め段階ですので、ここから燃えるポイントだぜ! とりあえず頑張って曹操親衛隊数人作っとかんとな……。