※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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十話 大型魔獣第二ラウンド

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 素早く転移を行い、そしてアモン領を駆ける。

 

 既に魔獣達との戦闘は激しく、業獣鬼も暴れている。

 

 上に向かって砲撃を放っているが、対応されているようだな。

 

 どうやら転移場所がずれて、宮本は上から仕掛けているらしい。……どう考えても飛べる俺達が上から行くべきではないだろうか?

 

 まぁいい。とにかく急いで合流だ。

 

 そう思い全力で走ってすぐに、その一閃が見えた。

 

 ……武術を手段としている俺から見ても、見惚れるような斬撃だ。

 

 あれが二天一流。宮本武蔵の末裔。

 

 まったく。俺達は頼れるバイトを手にしたもんだ。

 

 さて、それはそれでだ。

 

「青蘭、感知できているか?」

 

「ああ。どうやら動いている者達は多いようだ」

 

 既に青蘭も気づいているが、展開されている魔獣の減少が微妙に早い。

 

 特に戦場から離れようとしている手合いの減りが早い。これはつまり、そういうコトだ。

 

「民の安全だけ確立出来たら第二ラウンド……とかありそうだな、おい」

 

 ま、それぐらいの出番は欲しいところか。

 

 バイトが頑張ったんだ。社員はもっと気合入れないとな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《宮本絶花》

 

 

 

 

 

 

 

 

 業獣鬼という魔獣は斬れた。

 

 斬れる手段があったのだから、斬れて当然。それが私という剣士だ。

 

「本当に大活躍だったね、絶花ちゃん! これ、あとで勲章とかもらえるかもしれないよ!」

 

 業獣鬼の砲撃を家族と共に防ぎ切ったアヴィ部長は、業獣鬼が討てたこともあってもう普段通りのテンションだ。

 

 深手を負って長らく意識を失っていたとは思えないぐらいだ。部長は本当にパワフルだと思う。

 

 ただ、私はどこか安心しきれなかった。

 

 この事態そのものが解決したわけではないからだろうか? 秀華所長やリアス先輩、グレイフィアさん達が戦っているから、気が抜けないからだろうか?

 

 ……違う。

 

 今、一瞬の違和感を正しく感じ取れた。

 

 これは、隠密の気配だ。限りなく薄くした気配が、だけど気づけた。

 

 理由は一つ。その根幹が同じ剣術、そして柔術や小具足の呼吸を知っている。

 

 これは、流花さんと立ち会った時に感じたものと同じ!?

 

「まだ敵がいます! 気を付けてください!!」

 

 私はそういうなり、天聖を構える。

 

 踏み込み警戒したその瞬間、私の視界に手裏剣が映った。

 

 反射的に弾き飛ばすけれど、私が一瞬反応が遅れかけた……ここまで静かに狙い過たず手裏剣を高速で投擲できるなんて。

 

 これも神器? そして同時にこの投擲……手練れ!!

 

 そこまで判断し、私は手裏剣が飛んできた方向を警戒した時だ。

 

「横です!!」

 

 リルベットの声に、私は視線を動かす。

 

 そこには、脇差を引き抜いていた着流しを着る男性が既に迫っている。

 

 だけど反応は間に合う。動きは恐ろしいほどに早く無駄もないけれど、どこか角ばっているとでもいうような印象がある。

 

 才覚もあれば動きの理念も理解しているのに、経験に伴う洗練や馴染み方が足りてない印象がある。

 

 だから、剣の土俵で私は負けない!

 

 一瞬の斬撃は、こちらが早い。相手は受けに回るけれど、体勢を崩せる。

 

 そう思い、振るった天聖は相手の脇差を……軽い音と共に弾き飛ばす。

 

 振るわれていたとは思えない音の軽さに、私は誘われたことを悟った。

 

 私の攻撃をあえて受けることで、その勢いを利用した相手は回転しながら下に滑り込みと同時に蹴りを放つ。

 

 私より体格に圧倒的に優れた男性が、私のほぼ真下に近い位置から放つ蹴りは、大きく弧を描きこめかみを斜め上の位置から襲う踵落とし。

 

 あらゆる意味で超絶技巧だ。私は剣技なら見れば絶技の域でもない限り再現できる。でもこの動きは剣技であってもいきなり完全に再現できるとは思えない、絶技一歩手前。

 

 斬撃の軌道に潜り込んだその攻撃は、回避できるかがとても厳しいものだった。

 

「させないよっ!!」

 

 次の瞬間、アヴィ部長の声と共に、防御の力がその踵を防ぐ。

 

 轟音と衝撃が響くけれど、私には届かない。

 

 判断は一瞬もいらない。私は即座に反撃として、回るようにして真下からの切り上げを返す。

 

 だがその頃には、相手は蹴りの反動をもって跳ねるように動いていた。

 

 そしていつの間にか鎌を持っていた男性は、鎌の形状を生かして受け流しながら、鎖分銅でシュベルトさんの放った魔法の剣を鎖分銅で全部弾く。

 

 更に大きく飛び跳ねてリルベットの放った光線を回避。彼に気づいた悪魔の人達が集まってくる頃には、距離を開けていた。

 

 ……できる。

 

 どこか動きに違和感がある。どう動けばいいのかを熟知しているにも関わらず、体の方がその動きに合うような成長が追い付いていない。そんなちぐはぐさ。

 

 だけど、それがなければアヴィ部長の防御も間に合わなかったかもしれない。少なくとも、回避も防御も完全にはできなかった。

 

 この動き、間違いなく流花さん以上の……っ!?

 

「まさか、旗本鏡夜さん……?」

 

「流花から聞いていたのかい? ただ、木曽義仲と呼んでほしいね」

 

 周囲に集まる悪魔達を警戒しながら、旗本鏡夜は鎖分銅を回して牽制をしながらそう言い返す。

 

「……久しぶりです、義仲殿。こんな形で会うことになったのは残念です」

 

「やぁ、リルベット。ま、英雄派(うち)は君みたいな真っ直ぐな子には向いてないからね。離反されたのは仕方ないことだと割り切ってるよ」

 

 複雑な感情を向けているリルベットに、旗本鏡夜……いえ、木曽義仲はそう苦笑する。

 

 話は通じそうな人だ。少なくとも、私が知っている英雄派はリルベット以外はもっと容赦がない人達だった気がする。

 

 ただ同時に、恐ろしいほどの手練れだ。話が通じるかもしれないからと言って下手な対応をすれば、何人死者が出るか分かったものではない。

 

 誰もが攻めあぐねている。私も仕掛ける機を見出せない。

 

 ……流花さんが言っていた通りだ。病弱な体だったので見取り稽古ぐらいしかまともにできなかったと聞いている。それだけで、健康な体になって瞬く間に追いつける土壌を得ていた。

 

 剣の勝負なら勝てる自信がある。相手もおそらく、それを分かっている。

 

 だけど、殺し合いの土俵に持ち込まれたらそうはいかない。総合力で押し潰されかねない。

 

 業獣鬼に対して、できると確信した私の剣技。それを、剣以外による総合力で揺らがせる。僅かな立ち合いだけで、私にそれを思わせる。

 

 これが、英雄派の独立部隊。木曽戦団の木曽義仲。

 

 ……思わず、唾液を飲み込んだ。

 

 そして、状況は動き出す。

 

「まぁ、リルベットの様子が見れたのはいいことだけどそれはラッキーなだけでね。……業獣鬼の見物ついでに、ちょっとしたテストをしに来て終わったところなんだよ」

 

 そういいながら、旗本鏡夜は器用に鎖分銅で牽制をしながら、何かを放り投げる。

 

 ……映画とかで出てきそうな、拳銃型の注射器……?

 

「……それは、確か魔王血族の血で作られたという、神器のドーピング薬!?」

 

 駆けつけてきたシエストさんが目を見張り、旗本鏡夜は頷いた。

 

「そう。うちの主流派が開発した、業魔人(カオス・ドライブ)さ。で、ついでにこちらとしては「星辰光で再現された神器はドーピング可能か」っていうのを試しておきたかったけど……大成功だ」

 

 そう語ると共に、状況が変わった。

 

 塵と化していった業獣鬼、消えて行っていた残骸の残りから何かが起き上がる。

 

 そこにあるのは、50mぐらいの大型の魔獣。

 

 ただ問題は、力の密度が濃い……っ!

 

「堕天使総督殿が、超獣鬼(ジャヴァウォック)とか業獣鬼(バンダースナッチ)と名付けてるみたいだしね。コンセプトに合わせて災獣鬼(モックタートル)と名付けよう」

 

 そこはチャシャキャットとかではないのだろうか?

 

 少し疑問に思うけれど、追いついたシエストさんが歯噛みする。

 

「モックタートル……防御特化型ということですか?」

 

 その言葉に、木曽義仲は頷いた。

 

「残った残滓を利用した都合上、性能リソースは大きく減ってるからね。リソースの5割をディフェンス面、2割は魔獣製造に割り振った。質量が減ってることもあるから、防御力だけなら業獣鬼より上に出来たと自負してるよ」

 

 つまり、さっきの攻撃でも一撃では殺せないと。

 

 そしてさらに、空に影が差す。

 

 見上げれば、そこには空に浮かぶアニメに出てきそうな船があった。

 

 更にそこから数人の戦士達が舞い降りる。

 

「させるな! 着地前に薙ぎ払え!!」

 

 悪魔の方々が一斉に魔力で攻撃を放つ。

 

 だがそれは、途中で燃え上がり燃え尽きる。

 

 ……炎で吹き飛ばすのではなく、燃やした? 魔力って燃えるの?

 

 警戒していると、その炎を振り払って舞い降りた人が肩をすくめる。

 

「そこそこ付き合いもあるから来たけど、あの子が分派が興味を持ってるとかいうサムライガール?」

 

 ……海砂さんととても良く似ている人だ。

 

 ただおっぱいは小さい。ならきっと勝てる。いや、おっぱいは小さいけどかなり強そうだ。

 

 と、その女の人以外にも何人も着地している。

 

「英雄派木曽戦団に、三成星から三人も……っ」

 

「まずい。このままだと押し切られる……っ」

 

 シエストさんとエルターさんが、明らかに気圧されている。

 

 二人とも、私達より禍の団の知識が多いのだろう。

 

 だけど、ここで倒れてなるものか!

 

「……勝ちますよ。おっぱいは不可能を可能にするし、私の剣は絶対です!」

 

「万人に適用すべき理屈じゃないし、それは慢心と驕りだよ」

 

 旗本鏡夜はそういうけれど、私は真っ向から反論できる。

 

 おっぱいはともかく、私の剣は譲らない。

 

「いいえ。これは矜持です。剣だけは誰にも譲りません」

 

「なら剣以外も使って奪うだけ。それが戦というものさ」

 

 正面から、私の相手をするつもりなんだろう。

 

 木曽義仲はそう言って仕掛ける態勢に入り―

 

「まぁそっちに同感だが? ならこっちだってそうするだけさ」

 

 ―その声に、思わず肩が震えた。

 

「あ、樹下先輩!」

 

「来てくれたんですか!?」

 

 アヴィ部長とシュベルトさんが驚く中、樹下さんが自然体で私の隣まで出てくれる。

 

「大丈夫でしたか? お仕事中と聞きましたけど」

 

「好都合な展開で終わってな。グレイフィアさんに頼まれて助っ人に来た」

 

 そう答えてくれた樹下さんは、どこか上機嫌な雰囲気があった。

 

 そして、舞い降りていた戦士達の一人に視線を向ける。

 

 ……なんだろう。ちょっとだけ気分が沈んでいたような。

 

「菊花。もの凄く悪いんだが麦吉子と分離してくれないか? それまではこっちから仕掛けてきても何とかすることを約束する」

 

 ……え?




そのころのサリアローズ




前半のサリアローズ「倒されたぁ……っ!?」(名目的にも立場的にも人道的にも喜ぶべきだが、一発かませなかったことに対する言語化しづらい感情)




後半のサリアローズ「蘇った、ぁ~~っ!!」(まだぶちのめすチャンスがある歓喜を、理性的に考えて喜ぶのはいけないという判断で抑えている)




 ちなみにモックタートルは、不思議の国のアリスの登場する存在です。日本語訳だとウミガメモドキとか呼ばれるそうですね。
 チシャキャットにしたほうが普通だと思ったのですが、超獣鬼や業獣鬼の流れをくむ災害レベルの魔獣なので、もうちょっと大きいイメージのある生物にしたほうがいいかと思いまして。あと防御力特化型にしているので、もっと堅いイメージを持たれる名前にしたほうがいいかと思って、調べて選定しました。
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