※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! とりあえずヒーローズ編本編までは書き切れたので、間章に映ろうとしているグレン×グレンでっす!

 ポットでの敵とか原作の隙間に挟まりそうな連中とか色々入れたいです。頑張ります!

 では本編!


第十三話 咆哮共鳴

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況はまずい。本当にまずい。

 

 一応この縛砕の剛腕。試験的だった為洋服崩壊の力をバイパスして増強に充てる機能も研究されている。

 

 されているが、それは洋服崩壊ができないと意味がない。

 

「く……! 助けが欲しいがイッセーでもなければ、神滅具脱がしなんてできる強化無理だぞ畜生!」

 

 珍しく弱音を吐く。

 

 ああもうヤケだ。

 

「すいません! 誰か洋服崩壊できる人がいたらこの武装に流してください! 流用機能がついてるんです!!」

 

 いるわけないけどなぁ!?

 

「なるほど! なら任せたまえ!!」

 

 ほらいないよなぁ……あれ?

 

 正直ちょっとよく分からなかった、その時だ。

 

「さぁ、ボブ! 脱がせ!!」

 

 ぼぶ?

 

 困惑した時、縛砕の剛腕に光線みたいなものが当たった。

 

 次の瞬間、菊花が纏っていた黒刃が消えた。

 

 そして気配を辿れば、仕込んだプログラムに従って麦吉子が50m先に転移していた。

 

『『『『『『『『『『はぁあああああああああっ!?!?!!!??』』』』』』』』』

 

 ほぼ全員が大絶叫だった。

 

 俺も若干困惑していたが、このチャンスは逃せん!

 

「誰か知りませんがありがとうございます青蘭菊花を五分でいいから足止めしろぉおおおおお!!」

 

 マジで好機!!

 

「……ふっ。平民の赤龍帝のように自らやるのは貴族として相応しくない。だが洋服崩壊は、二つの美しさが融合した美をもつ芸術だ。ペットに使わせるのならいいと思って、仕込んで正解だった……ありがとう、ボブ。妹の恩人に恩を返せたよ」

 

 なんか視界の隅で、アヴィ嬢の次兄が目の数が二倍になっているケルベロスを撫でているが、もしかして彼か?

 

 あ、お手みたいな勢いでケルベロスに叩き付けられた。躾できてないなあれ。

 

「……はっ! ってさせるわけないでしょうがっとぉっ!?」

 

「させるか! ご主人様の命令、断行する!!」

 

 すぐに菊花も我に返った。攻撃を仕掛けてたらすぐに我に返っただろうが、俺が吉子にリソースを全振りしたことで無意識レベルのガードをし続けていた形だろう。

 

 あまりの事態に呆気にとられたということだ。圧倒的にイッセーによるおっぱいトンチキ案件に慣れている俺の経験値が生きた。

 

 そして青蘭が足止めに入る。そこは本当に頼む。同時進行は無理だ。

 

「なめるな! 自慢じゃないけど、私を止めたいなら本当の神滅具や魔王クラスを持ってきなさい!!」

 

「……ほう? ならば大王ではどうだろうか?」

 

 と、吠える菊花に即座の攻撃が入る。

 

 駆け抜けたその女は、素早い動きで菊花を打ち上げた。

 

 それをなしたのは、全長1m強程度のハルバード。

 

 二刀流ならぬ二斧槍流でそれをなしたのはサリアローズ・バアル!?

 

「漸く見つけたぞ業獣鬼! バアルが手にするはずだった豊穣の光を……我が次兄マクダランの栄光を台無しにした報いはなます切りだぁ!! 後は抑えろ、京花!!」

 

「分かりましたけど落ち着いてくださいませサリアローズ様ぁあああああ!!」

 

 そして流れるように追いかけてきた梅木さんに命令を下し、サリアローズ・バアルは災獣鬼に突貫。

 

 なんか状況は分からないが、俺はとにかく麦吉子に集中しよう。

 

 ここからやってやらぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《宮本絶花》

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれが、サリアローズ・バアルさん。

 

 秀華所長からも少し話を聞いていたけれど、なんというか凄い人らしい。

 

 後、腹違いのお兄さんのことを大好きすぎるとも聞いていた。

 

 確かに凄いお兄さんが好きそうだ。かなり怒ってる。

 

「さぁ、我が次兄マクダランの栄光を邪魔した報いを受けるがいい。この程度の乱雑な薙ぎ払いで私を葬れるかぁあああああああ!!」

 

 あの大きな怪獣の薙ぎ払いを、ただ受け流すばかりか勢いを利用して投げ飛ばした!?

 

 凄い戦いになっている。

 

 ただ驚いている場合でもない。

 

 こっちも、音成光珠の相手でかなり大変だ。

 

「へぇ? 宮本武蔵の名に恥じない強さを持っているよう……ね!」

 

「はい。二天一流の名に懸けて、剣では負けない!!」

 

 問題は、相手が剣だけで戦ってないことだ。

 

 瞬間的にゼノヴィア先輩のエクス・デュランダルに匹敵するようなオーラを纏った現象を起こし、こちらの動きを翻弄してくる。

 

 咄嗟に後ろに斬撃を振るえば、回避したはずの光の銃撃が襲い掛かってくるほどだ。

 

 この現象はゼノヴィア先輩も使ってなかった。剣の声はエクスカリバーに近い雰囲気だけど、あまり気にしている場合でもない。

 

「伏せなさい!」

 

 その声に、気づいたら私は切り上げてくる聖剣に体を近づけていた。

 

 咄嗟に振り払って躱すけれど、今動きを操られた!?

 

『気をつけろ絶花! エクスカリバーは教会が行方を掴めなかった支配(ルーラー)が最強だ。おそらくそれを再現している!』

 

 天聖がそこまで言うほどだなんて。

 

 天聖なら一撃当てれば一気に有利になるけれど、そもそも有効打を入れられない。それだけの強みが相手にある。

 

 そして私が戦っている間にも、激しい戦いは繰り広げられている。

 

「「……できる……っ」」

 

 先ほどから戦っていた木曽義仲とツールートが、お互いに一旦距離を取りながら警戒心を上げている。

 

「至った神器と再現型星辰光が強みではあるが、それだけでないのが厄介だな」

 

「そちらこそ。伏せ札は一つや二つじゃなさそうだ」

 

 互いに、戦ったことでお互いの戦い方を理解し始めているのだろう。

 

 ……底知れない強者同士の戦いだ。

 

 またその一方では、凄い戦いが起きている。

 

「甘いってね! サリアローズ様の梅雨払い担当は、有象無象には強くてさぁ!!」

 

 背中から腕を生やして四丁の銃を使う女性が、ぬいぐるみの群れを撃ちぬいていく。

 

「なっめんな! この巴御前と―」

 

「―山吹御前ならこの程度ぉっ!」

 

 小柄な少女達が、聖なるオーラを持った槍を持った悪魔の人達を薙ぎ払っていく。

 

 壮絶な戦いだ。乱戦の経験はあまりないから、正直少し気圧されているかもしれない。

 

 そして壮絶な斬撃が振るわれ、かすめそうになる。

 

 性質から考えて、一発でも当たれば私が死ぬ。相手も一撃さえ入れられれば一気に形成をひっくり返されるけれど、攻撃範囲が広い。

 

 ……となると、そろそろ使わないといけないか。

 

 正直、押し付けられた力だから少し抵抗があった。

 

 だけどそうも言ってられない。先輩達が頑張っているのなら、私も頑張りたい。

 

 我儘に答えて力を貸してくれたし、あえて見守ってもくれたんだ。その恩に報いられないで何が侍か!

 

「創生せよ、天に描いた星辰を―――我らは煌めく流れ星!」

 

「よく吠えたわ。……禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

 相手も本命を抜いたみたいだ。

 

 だけど、ここは通さない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 素早く移動し、斬撃を回避し、そして取り押さえた。

 

「悪いが、同じ土俵ならこれぐらいは……な」

 

「う……っく……!」

 

 麦吉子単体なら、そこまで脅威ではない。実際、本人の戦闘能力は高くない。

 

 どこまで行っても、使われることで真価を発揮する星辰光。本人の気質と合致しすぎている。

 

 だからこそ、彼女には自分を支えるものがいる。そういうこと何だろう。

 

 寄りかかる誰かがいないと生きていけない。いいこととは思わないが、問答無用で悪とは言わない。

 

 人の強弱は心身ともに個人差が大きいからな。

 

 幸か不幸か俺は強かったから、秀華と出会うまで持ちこたえて波柴を潰すことはできた。だけど、それまでに心が保たなかった同期なんて何人もいる。

 

 だから、これはもう仕方ないのだろう。

 

「……俺は、しっかりと自分の足で立とうとする人が好きだ。それは、例えかつて大きな失敗や罪を犯した人であっても、やり直していい人ならそうであって欲しいと思っている」

 

 取り押さえた麦吉子に、俺はそれを告げる。

 

 俺はそういう人種だ。己の発言と行動に責任を負い、秩序に配慮した生活を送ることを美徳とする。そして、自分自身そうであろうと努力し、人にも無理のない範囲でいいからしてほしいと願っている。

 

 ただ、それが簡単でない人がいることも理解している。こと、己の成した失敗や罪の重さを自覚している物には多いだろう。そこに至る過程が酷い人物にこそ再起してほしいと願っているが、同時にそれが困難だということも分かっているからこそ、困難に挑ませる以上はできなかった時の責任は俺が追うことを前提にしている。

 

 そして、少しでも立てるようになってくれるのならそれが嬉しい。俺ができる範囲でフォローすることもむしろやりがいすら感じる。だからこそ、流花さんや海砂さんが所員として頑張っているところを見るのは、嬉しいとすら思った。

 

「だけど、できないものはできないし嫌なものは嫌だよな。万人にそれを全部求めるのは、間違ってるって分かってるよ」

 

 簡単にできることじゃない。そんなことはもう分かっている。

 

 信子さんがいい例だ。あの人は本当に頑張り屋でしっかりとすることを良しとしている。それが、いくつもの悪意に翻弄された結果……目の覆いたくなるような悲惨さだった。

 

 今でもまだまだ深く傷がついている。まぁ流花さんや海砂さんもそうだが、完治できるかどうかも分からない。

 

 そして何より青蘭だ。かつて、俺が憎まれることによって、自分の足で立ち上がることができるだろうと告げた言葉。それが自分の足で立つのではなく、すべてを俺に預けることで立てるようになる為に使われるとは。あれは中々に堪えた。

 

 ただ、それで俺は一皮むけたと思う。

 

 例え自分の足で立てなくてもだ。せめて縋る対象は自分で選ぶ。それもできないなりの努力なのだ。

 

 思えば、相手を惚れさせまくっていることに気が付いたのもその頃だったな。

 

「だから、俺はあえて命令する」

 

 それを踏まえ、俺はこれを言うことにためらいはない。

 

 なるべく得意げに、上から、はっきりと。

 

 得意では断じてないが、講習はきちんと受けているから。

 

「……お前は今日から俺の物だ。しっかり躾て可愛がったうえで、幸せにしてやる」

 

 その言葉に、麦吉子は力を抜いた。

 

「……ずるいよ、それ」

 

 そこに浮かんでるのは、自虐の笑みだった。

 

「私は選べない。選びたくない。なのに、そんなことを言われても……選べないのに……っ」

 

 そうだな。

 

 誰かに多くを任せないと、生きていくのも苦しい人間がいる。

 

 それそのものは、弱さであっても悪ではない。弱いことが無条件で悪だとされるのは、悲しすぎる世界だ。

 

 だから、俺はそれを続ける。

 

「だけど、選んでくれる人を選ぶことはできる。……少なくとも、その条件を付けることはできただろ?」

 

 俺は言質を取っている。それはこの場にいる者達の多くが証人となるだろう。

 

 そして、青蘭はそれは選べた。誰でもいいから縋りたいからこそ、縋る相手だけは自分で選んだ。

 

 その一歩を、できないなりの努力を。俺は、尊重できる自分でいたいと願っている。

 

 だからこその、精いっぱいのその努力を肯定したい。

 

「だから命令しよう。ついさっき言ったことはきちんと守れ」

 

 道を踏み外したところから、今からでももう少しましなところに戻って来い。

 

「青蘭と一緒に俺の力になれ。海外とは言え医師免許持ちは、つまりかかりつけ医になれて好都合だ」

 

 やることは作る。その成果をもって少しずつ禊をすればいい。

 

 親友とも仲直りしてくれるとありがたい。形は変わるが、それでも同類になったからこその絆という物もあるだろう。

 

 そして何より、これを告げよう。

 

 後戻りができないことだかが、これを言わない選択肢は俺の中には存在しない。覚悟も既にできている。

 

「どうしても、どうしても本当に無理な時は首を出せ。殺してでも止めてやる。誰かの力を借りてでも、引っ張った責任を果たしてやる」

 

 この言葉をもって引っ張り上げるのならば、そこまでが俺の責任だ。

 

「……いや、こういう時にこそこういうべきか?」

 

 顔が真っ赤になっている吉子に、俺は言い直す。

 

「返事は、はいだ。手をつかみながらな?」

 

「~~~~~~~~っ♪」

 

 お、すっごく嬉しそうにぶるぶる震えている。

 

 まったく。ご主人様生活の負担量が二倍になった。

 

「……はい。あの、だったらその……もっと多くてもいいのかな?」

 

 ……ん?

 

 もの凄く嬉しそうに、それこそ騎士の求婚に答える令嬢のように手を握ってくれたのはいいんだが、凄くもじもじしながら上目遣いになる。

 

 年上に言うことじゃないが可愛いな。

 

「だったらさ? その、もっといっぱい居た方がいいよね? ほら、だってその……君はとってもカッコよくて凄いんだから」

 

 ……えっと……?

 

「ほら、それも優秀で綺麗な人達が多い方がいいよね?」

 

 ………ああ。

 

「勘違いはするなよ?」

 

 釘は刺しておこう。

 

「俺は無節操に女をコレクションする趣味はない。性欲を発散するだけなら、そもそも性的倒錯者でそういった伝手だらけだし、わざわざそうでない奴を巻き込む必要もない。そこははき違えるな」

 

 はっきりとそこは告げておく。

 

 吉子は少し肩を震わせるが、そこは必要だ。

 

「発言と行動に責任は取る。好ましい女性に好意を向けられれば嬉しい。だが、女性を迎え入れるということは責任があり、俺はその責任をきちんと果たす気概はあるがそれだけだ。果たせない規模の責任を好んで追う気はないし、だれかれ構わずさっきみたいなことを言う気も全くない」

 

「あ……う……」

 

 顔色が悪くなるが、そこはちゃんと一線を引いておく。

 

 つまるところ、気心の知れた仲間である三成星全員の面倒を見てほしいとかそういう所だろう。

 

 ちゃっかりしてるなこやつ。自分を完全に預けたことによる甘えというか、強かさか。要望をそれとなく通すのが上手いかもしれん。

 

 だがはき違えてもらっては困る。

 

 責任を大前提とする俺だからこそ、己の発言と行動には責任を持つ。それは言ってしまったから責任を背負うのではなく、責任を背負うと決めてから言うのだ。この順番はとても大きな違いだ。

 

 だからその点ではき違えてもらっては困る。吉子の人生に責任を負うからと言って、三成星全員をハーレムに加えてうひゃひゃっほぉうってわけではないのだ。

 

 それにだ。

 

「どうしてもっていうなら、秀華とコナユキと海砂さんに頼め。動くならまず三人だからな。話ができるようにはしといてやる」

 

 それは俺が主体になることじゃないだろう。

 

 石田美奈は秀華が、人造惑星二人はコナユキが、音成光珠は海砂さんが。主体で動くべきなのは三人だろうし、三人だってそうしたいだろう。俺はサポートで十分だ。

 

「え、あ……」

 

「助けられるかどうかは保証しないがな。……ま」

 

 そこだけは釘を刺したうえで、だ。

 

「……お前は助け出してやる。まぁ、この場でできるというほど甘くはないだろうがな」

 

「よく吠えたものね」

 

 静かに振り返り、そしてそこにいる菊花を見据える。

 

 どうやら凌いだらしい。あと、相当キているのが分かる。

 

 青蘭と梅木さんが駆けつけているが、その気迫に気圧され気味で仕掛けあぐねている。

 

 俺は呼吸を整える。

 

「まぁいいわ。三成星がたまたま流れ着いて人造惑星処置を受けてたのを拾っただけだし。私も向いてない自覚はあるし」

 

 そう言いながらも、菊花の視線は俺に強く向けられている。

 

「だけどね? ……できるの?」

 

 その言葉は、どこか俺を非難している。

 

 お前にそれができるのかと、糾弾している。

 

「むざむざ四年そこらも野放して、組織として滅ぼすのが限界だったアンタ風情に、……私のこの八年近くを、背負った責任が負けるとか……っ」

 

 殺気と憤怒と憎悪と嫉妬。

 

 それが、菊花が俺に向けている感情。その根幹。

 

 その感情に呼応するように、強い反粒子が巻き起こる。

 

「ふざけるな……巻き込むな……ど(・)こ(・)か(・)遠(・)く(・)で(・)や(・)っ(・)て(・)な(・)さ(・)い(・)よ!!」

 

 その反粒子に、俺は寒気を覚える。

 

 質が違う。何かが圧倒的に違う。

 

 高みを目指し努力して光り輝く存在の、押し付けてくる正しさに対する激昂。轢殺される大切な何かを、守りたいからこその強い殺意。

 

 そうか、これが、反粒子の根幹。

 

 明確な格上に対して、それでも譲れない物があるからこその、立ち向かう術を欲する想い。

 

 それを悟り、俺は自分が何で反粒子に繋がれたのかを悟った。

 

 あの時、光吉に一杯食わされたことを自覚し、それでもと願った。

 

 相手の方があらゆる意味で上だった。波柴一族の積み重ねも圧倒的で、完勝なんてできるわけがないし裏切りがばれたのだから殺されてもおかしくない。そして光吉からしても、俺達に容赦なく押し付けるのは当然。

 

 負けたと悟り、そのうえでそ(・)れ(・)で(・)も(・)と(・)思(・)っ(・)た(・)から繋がれた。

 

 ……俺は、この力と本質的に合わなかった。

 

 だから繋がりが断たれた。簡単に断たれる程度には、普段の俺は反粒子の根源とは合わない。

 

 だって頑張れる。踏ん張れる。磨き上げ雌伏して備えて恵まれて倒すところまで持って行けた。

 

 高潔さを尊べても、自分達が実践することができない負け犬の為の星。それがきっと滅奏なんだ。実践をできるだけやってみることを良しとする俺とは、根幹が合わない。

 

 ……だとしても。

 

 振るわれる反粒子は、今まで見てきた中で最高純度。

 

 咄嗟に誕剣・鐵を投擲したが、向こうも想定しており気象操作で逸らされる。

 

 完全に頭に血が上っている。このままだと麦吉子まで巻き込まれる。かといって庇いながら飛び退るには攻撃タイミングと相手が悪すぎる。

 

 詰みを悟り、その上で動いた。

 

 分かっている。俺は恵まれているし才能もあるしそれを磨き続けてきた。

 

 あの環境で、逆に内側から波柴を食い破れたのはそれだけで賞賛に値する。分かっていながら、そこで吹っ切ることができないことは問題だろう。

 

 だとしても、ここで死んでやるわけにはいかない。

 

 頑張れば必ずできるなんて言わない。だからと言って、ここでそもそも挑まずに投げ出すわけにはいかない。

 

 死ぬのは仕方ない。だがそれでも―

 

「死んでやるかよ。そうだろ秀華!!」

 

 ―幸せになることを放棄はしない。

 

 やることやって責任を果たして、罪を償って再起して、そして幸せになる為に未来を生きる。

 

 秀華のスタンス。桃山警護事務所の所員に求められること。それは俺が皆に求めてきたことでもある。

 

 それを、求めた、この俺が! 投げ捨ててやるわけにはいかないだろう!!

 

 例え努力を積み重ね続けることができなくても、それでも本人なりにできる範囲内で頑張ろうとしている人たちに、寄り添って手を差し伸べられる程度には……俺はできる奴なんだから……っ!!

 

 もうどうしようもないからこそ、ダメで元々の覚悟で、それでもそれを守り通す為に。

 

 俺は攻撃を放ち―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よく言った。お前さん、過去(うしろ)を向いて、それでも未来(あした)に行けるんだな』

 

『その許し(想い)を大切にできるならそうしなさい。だって、境界線(あの子達)が力を貸すんだもの』

 

 

 

 

 

 

 

 ―その声が聞こえた瞬間、俺は反粒子を纏っていた。

 

「「なっ!?」」

 

 驚愕は菊花と共に、しかし体は反射と本能で動く。同等出力の反粒子をもって、俺はその攻撃を迎撃した。

 

 相殺し、反射的に迎撃を放つ。

 

 それを裁いた菊花は後退し、面食らっていた。

 

「いったい何が……なんで……!?」

 

 狼狽すらする菊花に追撃を試みるべきだが、その瞬間に菊花をかっさらう者がいた。

 

 なんだあの……人型ロボット!?

 

『撤収です! 旧魔王派側で大問題が発生しました……英雄派もサブリーダー達が総動員で集まっているとのことです!!』

 

 その声、石田美奈か!?

 

 というか気づけば、災獣鬼がズタボロになって崩れ落ちている。

 

 サリアローズ殿マジで単独攻略したな!? 大概だろあの人も!!

 

「ご主人様、吉子!! 大丈夫か!?」

 

「あ、青蘭……っわ!?」

 

 立ち上がってきた麦吉子とまとめて、青蘭に飛びつかれてバランスを崩しそうになる。

 

 ただそれは耐えて、俺は去っていく菊花を見る。

 

 菊花に何があったのかを俺はまだ知らない。だから、これは無責任ともいえるだろう。

 

 だけど、俺はその責任も取ったうえでやると決めたことがある。

 

 引っ張り上げるぞ、左豊菊花。お前はその資格がある……!

 




 本戦闘のMVP:ペットのボブ

 アモン編混ぜながらやると決めた時点で、こいつを出したかった。遠距離攻撃可能で性別無関係なボブの洋服崩壊は、イッセーの接触必須破壊力特化と差別化して連携させたいと思うのですが、どんな敵を出せばいいでしょうかとは思っております。
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