※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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はいどうもー! なんか最近すごく眠いグレン×グレンでっす!

適応障害の諸症状に不眠があるのは知ってましたが、これ慢性的に不眠が積み重なってあtのが溶け出してきたとかか?

まぁそれはそれとして本編!


第十四話 おっぱいドラゴンやっと来た

《宮本絶花》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 災獣鬼が倒されて、アモン領は本当に安定したみたいだ。

 

 でも何だったんだろう。旧魔王派が大騒ぎとか言っていたけれど。

 

「なんか大変な戦いになっちゃったっすね。確か木曽戦団って、英雄派でもそこそこ発言力のある独立グループでしょ?」

 

「まったくです。ですがその木曽義仲とも渡り合えた絶花はやはり凄い、挑みがいがあるというものです」

 

 シュベルトさんには心配されるしリルベットには対抗意識を向けられる。

 

 でも、それだけの戦いだったんだろう。

 

 木曽義仲と音成光珠。二人とも本当に強かった。

 

「……では、こっちは別の地区の救援に向かうよう指示が出たのでな」

 

「そうか。こちらとしても今二正面作戦をする意味はない。それでよろしいだろうか、現アモン夫人シエスト殿」

 

「仕方ありませんね。少なくとも、助けられた恩は返しませんと」

 

 アイアンローズの人とは、バアル家のサリアローズさんという人にシエストさんが応対している。

 

 難しい会話になりそうだし、あそこは関わらない方がいいんだろう。

 

「いやぁ、まさかこんな大事になるなんてねぇ。ありがとね、皆!」

 

 と、アヴィ部長が元気よくお礼を言ってくれる。

 

 部長も吹っ切れたようでよかった。ただ、お母さんの形見の剣を使い潰してしまったことに私がちょっと気にしてしまってるかも。

 

 と、そこにエルターさんを連れた樹下先輩達が来る。

 

「状況はグレイフィアさんからもある程度聞いてる。俺達はこれから秀華たちやリアス部長と合流する為に都市の方に転移するが、事後については青蘭を麦吉子と一緒に残すからまぁ苦労はしないだろう」

 

 樹下先輩はそう言ってくれた。というか、後ろで青蘭専務が凄くてきぱきと動いている。

 

 本当に仕事ができる人だ。頼もしい。

 

 そして、樹下先輩はエルターさんの方を見る。

 

「エルター・サ(・)タ(・)ナ(・)キ(・)ア(・)嬢(・)」

 

「はい」

 

「「「え?」」」

 

 あ、そう言えば三人はまだその辺りの事情を知らなかったんだ。

 

 実は女の子だったことどころか、実家がエルプルスじゃなくてサタナキアだったことも知らない。

 

 ここで言っていいのかと思うんだけど。

 

『おそらく逆だ。ここで大雑把な説明を終えておく気だろう』

 

 あ、天聖。

 

 そういうことなら、何も言わない方がいいんだろう。

 

「サタナキア家がアヴィ嬢の来歴を弱みとして、アモン家に対する強引な連携を求めた件は後で必ず追及される。君がグレイフィア・ルキフグス様の認めたサタナキア家の暴走を告発する証人である以上は、こちらとしても守るのは構わないが、うちのバイトに迷惑をかけたわけだしな。青蘭にカバーされるついでに青蘭の実務をカバーしといてくれ」

 

「分かりました。……貴方も、サタナキア家として認めてくれるんですか?」

 

「その辺は避けておく。ただまぁ、君のような半生を送る者がよく決断してくれたと、賞賛と敬意は向けさせてもらうがな」

 

 小さく、でも心からの経緯を込めて軽く頭を下げた樹下先輩は私達に振り返った。

 

「そんでもってバイト諸君! 残りのガチ対応は正社員や大人に任せろ……といっても気になるだろし、青蘭の補佐として事後処理や残敵警戒のサポートをしつつ、エルター嬢の身辺警護を頼む!! 結構ガチ案件なので真面目にやってくれ、ボーナス出させるから!!」

 

「もちろんです! なんかよく分かんないことは多いけど、エルターは私の執事だからね!」

 

 アヴィ部長が真っ先にそういうのを見て、樹下先輩は頷いた。

 

「じゃ、そろそろ向かうか。なんか連絡来たんだが、英雄派の幹部までいるみたいだから忙しくなる」

 

「いやいや、さっきのあれがあるなら大活躍できるんじゃないですか?」

 

 シュベルトさんがぼやいていた樹下先輩にそう言うけど、樹下先輩は肩をすくめた。

 

「それがもう使えなくてな、反粒子。なんかさっき出せたけど意味が解らん」

 

「……それは難儀ですね。分からないのですか?」

 

「本当に分からん。理論的なことは元から分かってないからポンポン使わないようにしてるんで、まぁある程度はやれるとは思うけどな」

 

 リルベットに聞かれても、樹下先輩自身が困惑しているようだ。

 

 樹下先輩は樹下先輩で、色々大変なんだなぁ。

 

 そして樹下先輩は、麦さんに振り返った。

 

「……最初の命令だが、怪我人の手当てを人間界の医療従事者視点でやっといてくれ」

 

「あ、うん。でも、一緒についていって黒刃を使った方が―」

 

「―却下だ」

 

 ぴしゃりと、要望を通そうとした麦さんをたしなめる樹下先輩は手厳しい。

 

 ただその上で、先輩は小さく笑った。

 

「追加オーダー。青蘭と一緒に回る形で動け。仲良しだったんだから連携ぐらいはできるようになっとけ」

 

「あう……」

 

 ああ、気にしてたんだ。

 

 よく分からないことは多いけれど、色々大変な人みたいだ。

 

「青蘭も、色々教えてやっといてくれ。そのついでに、積もる話も少しずつな?」

 

「……ああ。分かった……ありがとう、ご主人様……」

 

 青蘭専務は涙ぐんでいる。

 

 友達が最近になって漸くできた私には難しいけれど、長年の友人と敵対してたというのはつらいのはなんとなく分かる。

 

 ただ、ここからも大変だろう。

 

「私は行かなくていいんですか? 一応、業獣鬼を斬ったわけですけど」

 

 対抗術式があったからとはいえ、あれを斬ったのは私だ。

 

 できる人物がいるのなら、参加した方がいいと言ってきそうな気もする。私もバイトとはいえ桃山警護事務所のメンバーだし、所長が色々動いているのなら頼まれそうだけれど。

 

「むしろ逆だ。これ以上目立つと後々に余計なことをする馬鹿が出てくるだろう」

 

 と、サリアローズさんと言われていた人が声をかけてきた。

 

 なんだろう。凄くすっきりしているような顔つきだ。

 

 ストレスを全て解消したような、そんな爽快感を感じさせる。凄くやり切った感があるというか……。

 

「……サリアローズ殿。もしかして、独断で動きました?」

 

「失礼な。許可はもぎ取ったぞ? まぁ父上辺りは胃炎や頭痛を通り越して適応障害でも発症しそうだが、別にいなくてもそこまで困る人材ではないしな」

 

 樹下先輩が尋ねると、さらりとそんなことを言っていた。

 

「……いいのかしら? 仮にも現大王でお父上よね?」

 

「家族仲が悪いんじゃないかな? 色々あるそうだし」

 

 霞城先輩と安城先輩が、こそこそ話している。

 

 それを知ってか知らずか、サリアローズさんは肩をすくめていた。

 

「はっきり言って、今のバアル本家の血筋で一番替えが聞くのは父上だからな。あの人がバアル家において成している役目は、はっきり言ってただの傀儡、代替わりをしていますよアピールにすぎん」

 

 吐き捨てるようにそれを言うサリアローズさんだけれど、それって言っていいんだろうか。

 

「……そうでしょうね。分かる者達ならばとうの昔に知っていることですが」

 

 シエストさんがため息をつきながらそう言うと、サリアローズさんも頷いていた。

 

「純粋な戦闘能力に限れば我が長兄サイラオーグが最高峰。次兄マグダランも植物学という新たな境地にバアルの威光を示すだろう傑物だ。政治的取り回しや領地運営などしのいでいる部分があるのは認めるが、私はあそこまで飛びぬけた才覚を持ち合わせていない点があるのでな。兄上達の神髄を評価できない腑抜けなど、例え死んでも私で十分代用できる」

 

 か、かなり言っている……!

 

「こちらに進軍……いえ、足並みを揃えずに業獣鬼を打倒したのは、アモン領で行われるはずだった植物学の発表会と成果物を破壊された報復だとは思っていましたが。初代殿が色々と言ってくるのでは?」

 

「さほどかまいませぬよ、アモン夫人。実権がないとはいえ、大王の当主を無能な怠け者に据えて問題ないという考えは賛同できない。些事の類ぐらい自分で動かし、利益を上げれる者を見出す才覚があってこそだと思っておりますゆえ。成果で譲歩を引き出すのみですし、実際しました」

 

 凄いことになってるみたいだ。

 

 これが名門一族の次期当主。悪魔社会は平等から遠いのは知っていたけれど、色々大変なんだ。

 

 私はそういう意味だとアヴィ部長を尊敬する。

 

 だって、アヴィ部長は場合によってはアモン家当主になっていた可能性のある人なんだから。

 

「アヴィ部長。本当に部長は凄いんですね」

 

「褒められるのは嬉しいけど、たぶん褒めてるところは違うと思うよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、とりあえず俺は冥界の大都市リリスに向かうか。

 

 シトリー眷属が英雄派幹部と接敵しているとも聞く。なるべく急いだ方がいいだろう。

 

 と、思ったのだが。

 

「待ってくれもうちょっと!! あと少しで上手くいきそうなのだ!!」

 

「何やってんだ朝月博士。今それどころじゃないって分かってんのか?」

 

 何をいきなり機材を広げているんだか。

 

 広げて何かをするのはいいんだが、時と場所と都合を弁えてくれ。俺忙しいのに何で止める。

 

 あとマリヤ・アスモデウス様がサリアローズ殿といるんだが。

 

「そのお二人にご迷惑おかけするのマジでやめてくんない? あとで秀華達に迷惑がかかるから!?」

 

 後々の政治的なやり取りを予想して、俺は天を仰いで絶叫する。

 

 ただ、サリアローズ殿は小さく微笑んだ。

 

「安心しろ。恩を後払いで買ってもらうのは事実だが、冥界に希望を与えようとしているだけだ」

 

 というと?

 

 首を傾げる俺の目の前で、マリヤ様は気合を入れていた。

 

「ふふふふふ! サリアローズ様を巻き込めないのでさっきはお役に立てませんでしたが! その遅れを取り戻せるいい機会です!」

 

「ありがとう! この装置は莫大なエネルギーがいるので、どうしたものかと思っていたのだよ!!」

 

 気合を入れるマリヤ様に感謝している朝月博士は、不敵な笑みと共に機材のスイッチを押す。

 

 そしてマリヤ様が魔力を流し込むと、空間が歪み始める。

 

「で、それは?」

 

「うむ! 簡潔に言えば、半人工的に龍門(ドラゴンゲート)を作る装置だ! 概念実証用に作っていたのを引っ張り出してきた!!」

 

 凄いこと言ったな。

 

 伝説級の龍クラスの強いドラゴンを複数体用意して行う、強大な龍を呼び出す異能。それが龍門。

 

 対ロキにおいてイッセー・匙・タンニーン殿・ヴァーリでミドガルズオルムを呼び出したり、駒だけという結果になったがタンニーン殿とヴァーリでイッセーを呼び出そうとしたのが記憶に新しい。

 

 で、それを人工的にって……いや、半?

 

「私も理論や仕組みはよく分かっていないが、どうも龍の手に封じられている魂レベルでも伝説級を呼び出せる龍門を作る為の増幅機関らしい」

 

 真那月さんがそう戸惑いながら言うが、そういえば増設型人工神器を接続しているな。

 

 なるほど。龍の格を補うために莫大なエネルギーで行うと。

 

 確かに瞬間最大火力なら冥界最強だろうマリヤ様なら、エネルギー源としては十分だ。

 

 十分だけど、それでいいのか?

 

「……安心しろ。冥界の英雄が生きている可能性があり、それを魂だけでも呼び出せるというのなら意義がある。どうせ当分は動けんだろうし、マリヤに一発出してもらうだけなら大した問題ではない」

 

「成功すればサリアローズ様の名声に繋がり、失敗しても協力してくれたという事実だけで魔王派にサリアローズ様の好印象を与えることができます。やらない理由がありません!!」

 

 サリアローズ殿もマリヤ様もそう言っているから、いいのか?

 

 でもマリヤ様。もはやサリアローズ殿を中心に世界を回してるな。

 

 その点について呆れていると、人工的な龍門が強く輝いた。

 

 ただ、呼び出されそうで呼び出されないというか、抵抗されている!?

 

「なんだ? つっかえているというか、引っ張られないようにしているというか……?」

 

 朝月博士が首を傾げた時だ。

 

「よっし掴んだっああ~~~~~~っ!?」

 

 なんか光りながら、赤龍帝の鎧がオーフィスを掴んで飛び出してきた。

 

「………体は失われているという話では?」*1

 

「少なくとも、魔王ベルゼブブ様はそう判断成されていたはずですが……」*2

 

「イッセーか!? 大丈夫か、体に怪我はないのか……見せてくれないか!?」*3

 

「待って霞城さん! 俺、鎧の下は裸なんです!? 服は殆ど残ってなかったんです!!」*4

 

「ドドドどういうこと!? あ、でも男の裸なんて見慣れてるから気にしなくていいよ。とりあえず怪我がないかだけ確認させて?」*5

 

「大丈夫。イッセーに怪我無い。体も出来立てで無傷」*6

 

「え、出来立て? えっと……新しく作ったの!?」*7

 

 なんか色々と騒がしいな。

 

 とりあえず、流石に鎧の下が真っ裸なのは恥ずかしいだろう。どう考えても特殊プレイだ。

 

「ちょっと待ってろ。非常用に魔法で格納しているバックパックの一つに、冠婚葬祭や緊急時の着替えとして男子制服が入っている。急な泊り用に未使用のジャージやパンツもあるから」

 

「樹下か! マジで助か……る……ぅううううううううう!?」

 

 何を急に驚いてるんだ。

 

 呆れてため息をつきたくなるが、なんかサリアローズ殿まで含めた全員がぎょっとしている。

 

 困惑して周囲を見渡した時、俺は俺から水滴が飛び散ったのに気づいた。

 

「………………あれ………?」

 

 気になって頬に触れると、自分でもびっくりするぐらい静かに涙が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「き、ききききききききき樹下がマジ泣き!? そんなことある!?」

 

「お前どういう意味だぶっ飛ばすっ!!」

 

 一瞬で引っ込んだよ。失礼だなイッセーお前!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《木場祐斗》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥界の都市リリス。こちらでは大きな戦いが起きていた。

 

 既に超獣鬼と、グレイフィアさん達ルシファー眷属が激突して一進一退の戦いを繰り広げている。

 

 魔王レヴィアタン候補でもあり、最強の女王と称されるグレイフィアさん。変異の駒で転生した、最強の戦車と称されるするとスルト・セカンドさん。そして僕に剣術を教えてくれた、最強の騎士と称される沖田総司師匠。

 

 眷属悪魔の中でも、僧侶と兵士を除いた最強を三名も擁する最強の眷属悪魔集団であろうサーゼクス様の眷属。対抗術式と戦術を用いてなお一進一退とは恐れ入る。

 

 もっとも、業獣鬼はともかく超獣鬼の打倒はまだ確認されていない。

 

 後方で緊急事態に備えた抑え役に回っているアジュカ様を抜きにしても、レーティングゲームの3トップであるベリアル・ベルフェゴール・アバドンからの三名も含めた計六名の魔王クラスは勿論、単独で挑むとは言え最強の魔王である超越者サーゼクス様。協力してくれる悪魔や増援部隊もいるとはいえ、超獣鬼がいまだ一体も撃破されてないのは厄介だ。

 

 業獣鬼は何体か撃破されているが、かといってそれをすぐに超獣鬼にぶつけられるかというと否だろう。戦術的に考えれば、数を減らす為に業獣鬼にまずぶつけるべきだし、消耗が激しいことや事後処理の必要もある。

 

 だからこそ、リリスからの避難民誘導は必要だった。

 

 そして、避難誘導を行っていたシトリー眷属を、英雄派最高幹部であるゲオルグ・ジャンヌ・ヘラクレスが襲撃したと聞いて慌ててきたのだ。

 

 そして、情勢は大きく揺れ動いた。

 

「……お~い、ギャスパー君? ……あ、完璧に寝てるな」

 

 つんつんとギャスパー君をつついた匙君が、呆気に取られてこっちを見ている。

 

 つい先ほど、ギャスパー君は異様な状態になっていた。

 

 イッセー君の生死不明について知らなかったギャスパー君。神の子を見張る者でも特訓の成果が出なかったことを悔やんでいたけれど、死亡したという話をゲオルグから聞かされたことで謎の暴走を遂げた。

 

 上位神滅具の禁手を振るえ、更に優れた魔法使いでもある英雄派の幹部。その彼が手も足も出ない闇と獣による停止現象。

 

 かろうじてフェニックスの涙を使おうとしたけれど、それも匙君が燃やして阻止し、そのまま炎と闇に呑まれていった。

 

 そしてもう気絶してしまった。

 

 正直寒気を覚えたけれど、ギャスパー君には何があるのだろうか。

 

「ごっああああああああっ!?」

 

 と、そこで轟音と共にヘラクレスが吹っ飛ばされてきた。

 

「……中々にしぶといな。これが英雄派最強の星辰奏者の力ということか」

 

 感心しているのか呆れているのか分からない調子で、サイラオーグさんが悠然と歩いてくる。

 

 戦いの最中に彼が来てから、ヘラクレスと真っ向から戦っているが結果はこの通り。

 

 正直、今のヘラクレスは僕達にとって十分すぎる脅威だ。一対一で勝てる戦力は少ないだろう。

 

 星辰奏者として英雄派最強であり、更に禁手に至った神器保有者。星辰奏者が星辰体との感応で身体機能が強化されることを考えれば、最強戦力の一角であることに疑いはない。

 

 それが、レグルスを纏うことなく圧倒的だ。

 

 放たれる爆発の砲撃で負傷はしているが、彼にとってはかすり傷。そしてその拳は、最高峰の星辰奏者が持つ強化された肉体にも大きな衝撃を与えている。

 

 圧倒的だ。むしろ防戦一方とは言えまだ戦えているヘラクレスの強さが浮き上がるレベルだろう。

 

「この……糞が……! 俺は、英雄派の流星衆隊長、ヘラクレスだぞ……っ!」

 

 完全に精神的に追い詰められている。

 

 腕に自信があるからこそ、悪魔でありながら魔力を一切持たないサイラオーグさんに肉体だけで追い込まれている事実に絶望している。

 

「ゲオルグの奴はどこ行きやがった! グレモリーの連中全員ピンピンしてんじゃねえか!! やられたってのか、神滅具持ちが!?」

 

 どうやら、戦術の一環としてゲオルグと合流して集団戦で仕切り直すつもりだったようだ。

 

 だが、ゲオルグは既に倒された。もしかしたら生きているかもしれないが、あれではすぐには回復しないだろう。

 

 となると問題は、今朱乃さん達が挑んでいるジャンヌ・ダルクー

 

「おのれ待てこらぁああああああ!」

 

「待たないわよっと!」

 

 ―と思ったら、秀華さんに追いかけられてきた!?

 

 ヘラクレスの近くにまで合流したジャンヌ・ダルクは、その脇に子供を抱えていた。

 

「流石に桃山警護事務所総動員なんてされたら、お姉さんも手段を選べないわよねぇ? ラッキーって言った方がいいかしら?」

 

「業魔人使って押し切られた癖によく言うよ!! いいからその子を放しなさい!!」

 

 そう言い合う二人に追いつくように、桃山警護事務所のメンバーと共に朱乃さんにゼノヴィアとイリナさんが合流する。

 

「すまない皆! タイミング悪く逃げ遅れが……!」

 

 歯噛みするゼノヴィアに、ロスヴァイセさんが首を横に振る。

 

「仕方ありません。リリスは冥界でも有数の大都市、逃げ遅れが皆無なわけがないです……」

 

 とはいえ、そう簡単にどうにかできることでもない。

 

 この状況下で人質が取られれば、状況がひっくり返される。

 

「おま、ジャンヌ……!?」

 

「何を戸惑ってるのよ、ヘラクレス。ゲオルグもやられたみたいだし……曹操が来るまではこうしないとね?」

 

 はしごを外された形になったヘラクレスが戸惑うが、ジャンヌ・ダルクは平然としている。

 

「卑怯な奴だな」

 

「悪魔がそれを言っちゃうんだ~」

 

 サイラオーグさんの鋭い非難にも、ジャンヌ・ダルクは平然としている。

 

 とはいえこのままだと仕切り直される。

 

 ただ少し気になるのは、ジャンヌに抱えられている子供が怖がってないところだ。

 

 それにジャンヌ・ダルクも違和感を覚え始めた時。子供が顔を輝かせて僕達の後ろを見た。

 

「あ、おっぱいドラゴン! やっと来た~♪」

 

 ……え!?

 

 驚いて振り返った時、そこには赤い鎧を着た存在が。

 

「あ、リアスに皆も! やっと見つけたぜ」

 

 ……え?

 

「……あれ? おーい、皆ー?」

 

 えっと……?

 

『相棒。多分ことがことだからお前だと気づいてないんじゃないか?』

 

「………おっぱい! 兵藤一誠、ただいま帰りました!」

 

 イッセー君だ!!

 

*1:
サリアローズ・バアル

*2:
朝月・フォン・ツェッペリン

*3:
霞城真那月

*4:
兵藤一誠

*5:
安城伊緒

*6:
オーフィス

*7:
マリヤ・アスモデウス




 この召喚がちょっとややこしいことになるが、イッセーにとっては非常にありがたいことに繋がります。
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