シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
ストレスによる適応障害発覚のきっかけが不眠だったので、これは回復が進んでいるとみてよさそうです。この調子で頑張っていきたいですね!
では本編!
《リリス外縁部、都市側》
振るわれる聖なるオーラを、真正面から迎撃する。
ゼノヴィアはエクス・デュランダルをもってしてそれをなすが、簡単にできることではない。
それだけの高出力。それこそが、神滅具。
「やってくれるじゃない、お嬢ちゃん!!」
ジャンヌ・ダルク。放浪型の神滅具、
更に聖剣創造を持ち合わせているがゆえに、相乗効果で聖剣の性能は伝説クラス。
ジークフリートが持つグラム以外の魔剣に匹敵するだろう出力と強度。エクス・デュランダルをもってしても壊すことなどほぼ不可能。できてもすぐに追加される。
さらに飛翔砲台と障壁による多角的な攻防一体。ゼノヴィアとエクス・デュランダルをもってしても対処はほぼ不可能だが、対処する者が彼女以外にいるなら問題ない。
「アーメン! そうはいかないわよ!」
「攻撃の一つや二つ、防ぎ切ります!!」
イリナの補佐とロスヴァイセの防御。それにより、ジャンヌ・ダルクの猛攻を防ぐ。
だが、それだけではない。
「じゃぁこうしちゃう♪」
その瞬間。ジャンヌ・ダルクは真上に転移。
乗っていた聖なる龍による押し潰しが迫る。
しかし、それもまた対応可能。
「させ、ない!」
「……なめるな」
星辰光を発動させたコナユキと、仙術を発揮させた小猫の打撃が軌道を逸らす。
同時、回り込んでいた麗奈が龍の背中に着地した。
「間合い、入ったわよ!!」
「おっとぉ!」
聖剣と聖剣がぶつかり合い、オーラの奔流がほとばしる。
神滅具保有者の禁手を前に、麗奈は間合いに入ったことで攻め立てる。
神器を至らせたことによる高出力推進に、星辰光を流用した磁力操作。
それによって、ジャンヌの禁手によって作られた聖剣の龍は、足場として機能して猛攻の土台となる。
そして、趨勢が傾いたことで生まれた隙は追撃ともなる。
「お待たせしましたお姉さまぁっ!!」
その隙を掻い潜り、リーナもまた挟み込む形でジャンヌを挟撃する。
迎撃を試みようとしても、ゼノヴィア達が動くことでそれも抑え込まれる。
神滅具の禁手を相手に、いくつもの武器を基に追い込むことに到達する。
ゆえにこそ、ジャンヌもまた一手を行うのみ。
「あらら♪ ……なら、そろそろお姉さんも使っちゃおっと♪」
その瞬間、一瞬のスキをねじ込んでジャンヌは業魔人を使う。
その瞬間、変化は地域レベルで発動する。
周囲一帯が聖なるオーラに包み込まれ、聖剣が都市区画を侵食する。
それをなすは、業魔人。
その権限者として、ジャンヌ・ダルクは聖剣の龍と一体化する。
それはもはや、聖剣のラミア。業魔人による聖剣の魔人が誕生する。
『さぁ~て。お姉さんの最強モードここに見参♪ どうするのかなぁ?』
大きな強化に得意げになるジャンヌ・ダルクに、しかし誰一人として逃げはしない。
「なめてもらっては困るな。ドーピングの一つや二つで臆するものか」
「同感。誠二達はドーピング乗り切ったんだし、こっちも一人ぐらいやらないとねぇ」
麗奈もまた挑発として余裕を見せ、聖剣を構える。
オリジナルと概念実証仕様。二つのエクス・デュランダルが、聖剣の化生に突きつけられる。
戦いは、加熱する。
《リリス都市部 外縁側》
外縁部より更に都市側。
そこで最高レベルの打撃戦が繰り広げられていた。
そして同時に、その打撃戦はあまりに一方的だった。
「ご……あ…くそ、がぁっ!!」
激昂するヘラクレスは、しかし半死半生。その状態で戦っていることが彼の圧倒的力量を示している。
そして、そんな相手を一方的に殴り倒すはサイラオーグ・バアル。
厳密にいえば、反撃は喰らっている。それを意にも介さず殴り飛ばし続けているという、ただそれだけというには凄まじすぎる戦いを成し遂げていた。
英雄派最高幹部にして最高戦力。その一角に到達するヘラクレスは、下手な上級悪魔を何人も圧倒できる猛者だ。
英雄派において最強の星辰奏者。それはそれだけの力量を持つ証明であり、圧倒的な力量である。
そこに至った神器があれば、もはや一騎当千。神話の戦いに名を連ねられるだろう、最高峰の猛者がそこにいた。
彼の星辰光は、灼熱の剣を操作すること。プラズマの全方位攻撃をなすその星は。性質においてもすべてが優秀。適度な手札を持ち攻撃力は絶大という、まさしく理想的な星辰光。
そこに面制圧を可能とする禁手に至った、攻撃力に特化している神器。鍛えられた肉体は人間水準で最高峰であり、間違いなく強者である。
だが、その圧倒的な力量を、ただの体術が圧倒する。
それがサイラオーグ・バアル。一切の魔力を持たないまごうことなく無能の悪魔。その圧倒的なデメリットを抱えながら、若手悪魔最強の領域に到達した豪傑。
圧倒的極まりないその無双の体術が、あらゆる優位性を圧倒してヘラクレスを殴り飛ばしていく。
「……しぶといな。この程度の力量でよくも持つ」
サイラオーグは素直に感心していた。
兵藤一誠や数多くの強者との戦いをもってしたサイラオーグにとって、ヘラクレスは今一つ程度。今一と言っていい領域だった。
ゆえにこそ、本気を出す意義もないが手加減をする理由もない。
だから生身で容赦なく殴り飛ばしていくが、しかしまだ気を失っていないことに評価を改めていた。
その態度が、ヘラクレスにとって絶望すら感じさせる。
己の力量に自信があった。少なくとも、英雄派においては最高峰の力量を持つ自負がある。それだけの実績もある。
それが、文字通り一切通用していない。
サイラオーグは手加減をしていないが、本気を出しているわけではない。
主を失い、独立して動いた神滅具。それを直接転生悪魔にするという異例の存在。
主として禁手にすら至ったサイラオーグは、それゆえに禁手を纏うことで真の全力となる。
彼はそれをしていない。それをする意義も感じていない。そして実際、その状態でヘラクレスを圧倒している。
その事実に、ヘラクレスは心が折れかけている。
英雄の魂を継いだという誓い。その意思をもって立つ英雄派の幹部。そんな自分が、文字通り真面目に相手をされていない。
「どうした? まだ戦えるのではないか? 神器を強化する薬品とやらを持っているのだろうし、フェニックスの涙も持っているのだろう?」
油断なく、持ち得ているだろう手札を備えたうえで拳を構える。
サイラオーグ・バアルは、そのうえで断言する。
「すべて使うがいい。それを凌駕し、俺が勝つ!」
《リリス外縁部 都市外》
リリスの外縁部、少し外側。
そこでもまた、激戦は繰り広げられる。
「邪魔よ、滅びなさい!!」
リアス・グレモリーの放つ消滅の魔力。その本流が魔獣達を薙ぎ払う。
中級悪魔とも戦える魔獣の群れを吹き飛ばしながら、しかしそれを薙ぎ払う者達もいる。
「なめるなぁ! 曹操を追う為にも、ここで貴様達を叩き切ってくれる!!」
薙ぎ払う聖なる刃は、その勢いで残った魔獣達も切り刻みながらリアス・グレモリーへ迫る。
だがしかし、そこに割って入る戦士が一人。
「やらせるわけがないよね!!」
振るわれる斬撃を片手持ちの刀でいなし、即座に反撃の脇差を突き出す旗本流花。
その斬撃を回避し、男は流れるように蹴りを放つ。
それを足で受け止め、互いに反動で跳ね飛ぶように距離を開かせる流花。
短い打ち合いで、敵が鍛えられた手練れであることを確信する。
「リアス嬢、私から離れすぎないでください。……手練れですから、接近されると危険かと」
「そのようね。英雄派にも人材が多いというべきかしら」
魔獣まで混ざり合う乱戦の仲、その男は間違いなく手練れだった。
「……名乗るとしようか。英雄派曹操親衛隊、楠木東四郎! 曹操への手土産に貴様らの首を貰うとしよう」
磨き上げられた鍛錬と、光り輝く才覚。
それを同時に見せる構えに、二人も戦慄を覚える。
戦いは、これからだった。
《樹下誠二》
曹操との戦いは、一気に趨勢が不利になっている。
対策は取っていた。対策を取って仕掛ける曹操達に、対策を取ってしかも成功した状態で挑んでいた分、有利だった。
掟破りの二重星辰光に対し、その絡繰りを読んで阻止。厄介な禁手の本領を追加装備をもってして緩和。とどめに、イッセーから曹操対策になるものを分けてもらっているので、かすり傷でも当てれば勝てる。
だが、現状俺は致命的に追い詰められている。理由は単純。
速攻で対策を立てた上、付け焼刃を戦闘しながら馴染ませやがった。
「……自分でいうのもなんだけど、おかげで一対一対策も取れて何よりかな?」
さらりと曹操は言うが、肝が冷える真似をやってくれる。
今曹操は、七宝の殆どを使っていない。
日本政府側が援軍を送ってくれたのだが、その対応のために妨害役としての戦士の創造及び、遠距離攻撃用の受け流しに集中投入している。
そして残りは使ってないが、具体的には……七宝を槍に取り込ませた。
聖槍そのものの出力を高める方向で、七宝対策を急速に取られていることに対応したのだ。その分特殊能力は失われているようだが、ここで倒し損ねれば効果的に習得される恐れがある。
この天才は本当に……っ!
内心で歯噛みするが、致し方ないことでもある。
才能の個人差はあるし、敵だって努力する。こっちとしても一部即興だったので、口にはあまり出せない。
だが状況は本当にまずい。間違いなく不利だ。
「お互い色々と文句を言いたくなるだろうけれどね。ま、これも戦いの醍醐味ってことで一つ」
「悪いが、俺はバトルジャンキーじゃない。模擬戦ならともかく殺し合いを愉しむ気はない」
俺はそう吐き捨てる。
大抵の生命はいつかは死ぬ。事故死もあるし、それをさせてしまう時もある。スポーツでもボクシングでも人は死ぬが、それを理由に止める者は早々ないだろうという者もいる。それを理由に、結局どんな人もどんな職業でも同じでしかないと捉えるものはいる。
俺は、そうは思わない。
平和とは、お互いに多少気を使っていれば滅多なことで死ぬような目に合わないと人々が思えてこそだと思っている。
殺し合いとは、命の奪い合いとは非日常であるに越したことはないと思っている。
スポーツや格闘技で怪我人や死人が出るのは、安全に配慮したなるべく避けた上での不幸な事故。自覚的に互いに命を奪い合うことを大前提とする殺し合いとは別物だ。
だから、俺は命を奪い合うことそのものを楽しむ気はない。結果的に戦いを愉しむことはあっても、それは命を奪い合うことそのものではない。
殺しなんてもう飽きるほどやった。そんなものを身近に感じる生活なんて、しないで済むならそのほうがいい。一般市民がそこから離れた生活を送れることを、いいことだと心から思う。
そうでない奴らがいることまで否定はしない。だが、英雄派はそれをもってして望まぬ形で人を非日常に引きずり込む。
報いを齎さないでどうする。戒め裁く者たちがいなくてどうする。柵の内側にいる者達に、柵を壊してまで外側の在り方を押し付けることを、柵があることを良しとするものが許してどうする。
俺はそう考える者として、その側に立つ者として、それを選んだ者として、責任を果たさずに行きたくない。
「誰でもいいとは、言わない」
自分の情けなさを、あえて口に出す。
口に出すことで、吐き出す。ストレスの発散方法に、鬱憤などを書いたり行ったりすることがあるのと同じことだ。
来てくれるのならありがたいが、来なくてもやることをやるだけだ。
大丈夫だろ、樹下誠二。
「その上で、聞こえているなら応えてほしい」
お前はたくさんの人に助けられた。
たくさんの人に苦しめられたが、それだけではなかった。
だから、吐き出して不要な重荷を出すだけでも十分だ。
なんたって、秀華やイッセーだって今頑張ってるんだからな。
「なるべく頑張る。手が空いてるなら助けてくれ……っ!」
それを吐き出し、少しだけ身軽になった俺は駆け出した。
《リリス外縁部》
戦術的に間違ってはいない。秀華はそれを確信している。
自分は本質的に破壊者だ。真の意味でやると決めれば、突き進んで巻き込んで壊すことが大前提になってしまう。
「ま、だ……だぁっ!!」
天然痘の症状も、破綻者故に通じない。
例え後で死ぬにしても。それどころか死が確定する行軍だとしても。今まさに体が砕け続けていたとしても。
死ぬその時まで、決めているなら進むことが止まらない。
本当に破綻者だ。結果的にそれがよく回っていることも多いが、頑張って頑張って頑張っても。それそのものを何とかしているわけではない。
仲間達のサポートを主体にして、後方での業務を中心にして、慈善活動や支援の手を伸ばすことを日常にした。そうして、誰かを助けることを良しとしたい。
だが本質は破壊者だ。それを否定することはできない。
だからこそ、今自分はズタボロだった。
放たれる攻撃をとにかく迎撃。いざとなれば体当たり。
半死半生。そしてそれでも、気合一つですぐに本領を発揮してフルに戦えている。
……必要性は薄いのだ。そもそもリリスの避難はだいぶ前から進んでおり、今の捜索は保険程度。いたとしてもリリスの住民全体で0.1%にも満たない。
なのに、今自分は守っている。その為に身を削っている。
理由は何か。決まっている。
「お前らみたいな、連中に」
どうしようもなく幼稚な悪意を振りまく者達に。
「皆が今も頑張ってるのに」
それを良しとしない者達が命がけで戦っている中で。
「誠二も気合を入れてる時に」
そして、最高の相棒が、今まさに最大の難敵を抑えている。
にも関わらず、情けない真似をする?
「無様なんてさらす気ないんだよ!!」
そんなこと、誰が何を言おうとしてやるか。
だから、気合を入れて声を上げよう。
壊すことばかりに長けている自分が、それでも誰かを救うというなら。
波柴を打ち砕くのに、誠二という相棒との出会いが必要だったように。
動揺もなく情けない雄々しさばかり持っているからこそ。弱さに寄り添わなければ支えられない者達を知っているからこそ。
必要な時、自分が自分がと無理をしない。そんな無茶で強引に何とかすることを良しとしない。
それこそが―
「こちら波柴秀華、超獣鬼を足止め中! 援護射撃ができる人は、余力の範囲内で牽制を入れてくれると助かります!」
―真っ当に頑張って生きている者だと、信じているから倣うのだ。
《兵藤一誠》
やべ。血反吐出た。
最初にやりあった時より長く戦ってるからな。グレートレッドの体でも、不死身超獣鬼三体とかやばいよな。
戦闘能力が高いうえに、不死身な星でごり押しができる。美子ちゃんが頑張ってるから一帯は抑えられてるけど、天然痘バラまいてくる所為で雲川さんが援護に回らざるを得ない。
『しつこいぞ、赤龍帝!! 下賤な転生悪魔如きが、いつまでこの魔王を邪魔している!!』
「それしかねえのか、お前は!!」
いい加減にしろってんだ。
そりゃまぁ王様の血を引いてるってのは、俺だってそうだったら自慢すると思うけどさぁ?
それしかない上にダメダメだったら、そりゃ評価されないって。
そういや、俺もモテたいけど覗きとかしてて樹下にめっちゃ説教されたっけ。「モテる気があるなら覗きはやめろ」とか言われたなぁ。
あれ? 俺ってもしかしてそういう意味だとこいつと同列? すっごい嫌なんだけど!!
『流石に同列にはならんだろう。そんなことでぼやいている場合ではない!』
ドライグに叱咤されて我に返るけど、確かにな。
そりゃ今でもエロい妄想は大好きだし、モテる男に嫉妬はする。
だけどその為に子供達まで巻き込んで世界滅ぼすような行動をするつもりはねえよ。
お前がもっと頑張って、皆に認められるように成長する方向で頑張れたんならまだ話は違ったろうに。
サリアローズさんの側にいる四人や、雲川さん。そして秀華さんを知ってるから、なんとなくそう思っちまったよ。
……負けらんねえな。
我儘で戦ってるって分かってる。だけどそれとは別の意味で、こいつには負けらんねえ……!
『がんばれー!』
そんな声援が聞こえた気がした。
『いっけぇ! おっぱいドラゴン!!』
『ちちりゅーてー、まけるなぁー!』
いや、本当に聞こえる。
子供達の声だ。子供達の声援だ。
グレートレッドのおかげかもな。
尚更負けられねえ。ここでやられるわけにはいかねえ!
ああ、そうだ。
「もっと応援してくれ、皆。そしたらもっと頑張れる!! 皆の想いも込めて見せる!!」
こもった一撃は強いって、タンニーンのおっさんも言ってたしな。
「いやもう、子供達やお姉さん達以外にもお願いするぜ!!」
それぐらいやった方が、シャルバの野郎にゃ効くだろうさ。
「下賤な民共の声援如きで、このベルゼブブを滅ぼせるかぁあああああ!!」
それを言われちゃぁ、尚更負けらんねぇ!
「もっとみんなの想いを貸してくれ!! 一緒に、こいつをぶっ飛ばして皆の未来を……守ろうぜ!!!」
《Other》
その時、一段先へと繋がった。
『ああ、それでいい』
想いを通じ合わせた二人に、そんな二人と絆を結ぶ想いを束ねた存在。
その三人がほぼ同時に、
ゆえに、邪悪なるもの一切よ――ただ安らかに息絶えよ。
『誰かを助けたいという思いで、助けが欲しいと願って叫ぶというのなら……是非も無し!』
最弱無敵の絆の星は、助けてくれる誰かを呼ぶ。
前後編の形になる、決着の始まりです!!
後半はお昼!!
あと星辰光設定更新しております!! ぜひご覧になってください!!