※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

253 / 259
 はいどうもー! 連投の流れで決着を描くグレン×グレンでっす!

 ここまで来たぜぇ! さぁ目に焼き付けろぉ!

 銀月が照らす道を行く、英雄たちの勝利をなぁ!!








 理想BGM:天翔ケル蝋ノ翼、狂イ哭キテ焔ニ墜ツ


第十八話 ―境界線の彼方より

《リリス外延部》

 

 

 

 

 

 

 

 何かが、より繋がった。

 

 秀華はそれを悟り、そして驚くほどにそれが馴染んでいるのが分かる。

 

「え、これ別の意味で大丈夫?」

 

 正直な話、もの凄く不安になった。

 

 それほどまでに、この力は自分に馴染む。

 

 理由は分からない。原理も分からない。だからこそ、突然の事態に警戒心や忌避感の方が生まれるだろう。

 

 しかし、この力は自分に味方してくれるのだと確信できた。

 

『大丈夫、安心して。先輩として、助けに応えてるだけだから』

 

『気合を入れ直せよ。お前らみたいなタイプは、ブレずに負けん気燃やしてるのが強いんだから』

 

『使い方は分かるよね? じゃ、改めて一回行っちゃおっか』

 

 手取り足取りレベルで使い方が分かる。自分を助ける為に、力を貸してくれるのだということが分かる。

 

 だから、あえてそれを受け入れる。

 

「そこまで言われちゃ、断れない。反撃タイムか、そう……まだだ!!」

 

 覚醒は、今までで最も違和感なくできる。

 

 まるでそれに慣れている者が補正し、行き過ぎないように鎮静化までセットされているようにだ。

 

 突っ走りすぎず、その上で目覚めて突っ走れる。そんな形容ができるほどに、今の秀華は覚醒を世界に無理なくこなせていた。

 

 星を開帳し、星辰体を結晶化させる。魔力の砲撃を囮にして、秀華はそれを直撃する位置から発射した。

 

 本人からかけ離れた場所。超獣鬼の警戒を掻い潜った死角。大型ゆえにどうしても生まれる処に、ダイレクトにおいて発射する。

 

 突き立った剣型の翠星晶鋼を基点とし、秀華は気合を込めて行動する。

 

『力み過ぎないで。死想恋歌(私)は二(・)人(・)と違って光と相容れないから、もっと穏やかに……ね?』

 

「うっす、ほどほどに行きます!!」

 

 聞こえる声に答え、そして彼女の星を使う。

 

 その瞬間、超獣鬼の全身が爆ぜる。

 

 翠星晶鋼から流れる二種類のエネルギー。それは絶大な強化を齎す代わりに自壊を生む。それを、元から高い再生力を持つ超獣鬼はある程度効率的に生かせるはずだった。

 

 しかし、流れ込むエネルギーは秀華の意思に従って破壊に転じ、そればかりか流れ込んでいるシャルバの翠星晶鋼に干渉して、回復を阻害するばかりか超獣鬼そのもの力すら滅茶苦茶にする。

 

 それに対し、超獣鬼は反撃の砲撃を放つ。

 

 やたらめったらの悪あがきに近く、狙いを付けられないがゆえに危険。

 

 しかし、秀華はそこに対応する。

 

「全部まとめてぶ(・)ん(・)殴(・)る(・)」

 

『まかせろ! 移動は死想冥月(こっち)が引き受けた!!』

 

 瞬間、行われるのは連続転移。

 

 攻撃の射線上に転移し、強引に攻撃を弾き飛ばす。

 

 その乱れ撃ちを当たり前のように行い、間に合いきらないところには魔力球を置くことで時間を稼ぐ。

 

 無論、超獣鬼の火力を押さえるのは簡単ではないが―

 

『そして今度は光狂いの本領発揮! 葬想月華(とくいぶんや)だし、一緒にやればなんとかなる!!』

 

 ―それを覚醒で強引に押し飛ばす。

 

 輝く光の意志力を束ね、自分自身の魔力であることを生かして、思いの力を注ぎ込む。

 

 天災が如き砲撃を、人災と化した攻撃が食い止める。

 

 同時、本来なら見切れぬその力を波柴秀華は確かに束ねた。

 

 力の根源を月華から。その提供を冥月から。そして調整を恋歌から。

 

 全てを束ね形成されるは、大型の兵装。

 

 翠星晶鋼で構成される終焉兵装(フィンブルヴェトル)。本来、銀(・)月(・)だ(・)け(・)で(・)は(・)出(・)来(・)な(・)い(・)それを、当人の光狂いの性質と三つを束ねる荒業で、一時的なものとして顕現させる。

 

 触れて分かる。これは、神祖の不滅を滅する為の、約束された殲滅兵器。

 

 多分撃てば、すぐには動いていけない状態になるだろう。

 

 だが同時に確信している。これさえ打てば、後はみんながどうにかすると。

 

 故にためらう理由は一切ない。

 

「一気に……吹っ飛べぇええええええっ!!!」

 

 躊躇なく叩き込んだその一撃。

 

 流れ込む不死断絶の一撃は、それだけなら届かないだろう。

 

 だが、死想恋歌によってその根幹たる星辰体そのものを乱された、今の不調極まりない使徒なら十分通じる。

 

 闇と光と境界線。全てを照らす三つの月を背に受けて、波柴秀華は超獣鬼を粉砕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

『なんだとぉおおおおおおおっ!?』

 

 シャルバの奴が面食らってるけど、俺はあんまり驚かなかった。

 

 秀華さんが、使徒化した超獣鬼を一体落とした。

 

 どうやったのかが何となく、分かる。

 

 今の秀華さんは、不死を撃ち砕ける。それが、分かる。

 

 ただもう限界だ。めっちゃ無理してる。

 

 だけど一体減っただけで、一気に形勢が変わる。

 

 なんたって……今の俺達なら、不死を砕ける!!

 

『応ともよっ! 子供達の未来を守る為に、命を懸けるってんなら是非もねえ! 気合に根性、ダメージなんぞはやせ我慢で耐える!! 上等だ!!』

 

 俺の背中を押してくれる声に、俺はよく分かんないけど即応える。

 

 このまま、一気に、ぶん殴る!!

 

 殴りつけた超獣鬼。再生力と不死の復元を、俺の拳は結晶にしてから砕いてゴリ押した。

 

『なんだ、この力はぁあああああ!!』

 

「知るかよ! 誰かが助けてくれるって……それだけ分かれば十分だ!!」

 

 自前の再生力で無くなったところを生やしていくけど、神祖の不死は効果が大きく減っていく。

 

 後なんか、天然痘が気にならない。気合入ってるからか?

 

『そういうこったぁ! 気合と根性入れりゃぁ、大抵の痛みなんてなんでもねえ!! お前さんはそういうの向いてっから気合入れな!! 命を懸ける理由があんだろ!!』

 

 おうよ! なんかよく分かんないけどアドバイスありがとな!!

 

 と、目の前の超獣鬼がシャルバの魔力を纏っていく。

 

 こっちの攻撃が不死に通用すると分かって、魔力で守る算段か。

 

 あとなんかデカい蝿が!? めっちゃ多いぞ!!

 

『おそらく、シャルバが自分の特性と魔獣創造の性質を応用したものだ! 分散しているままにすれば、冥界中が天然痘の症状に苛なまれるぞ!!』

 

 流石に多いだろ!? しかも早いし分散してるしで砲撃でどうにかできるわけがないし!!

 

 やばい。誰かあれ何とかできる人がいたら何とかしてぇええええ!!

 

 思わず心で絶叫した時、背中におっぱいが当たった気がした。

 

 これは……部長や朱乃さんよりデカいおっぱいの感触!!

 

『あら、あなたっておっぱい大好きなのね』

 

 今度はお姉さんの声が!!

 

 と、更に俺に力が流れ込む。

 

『任せて頂戴。助けを求められたら応えるのが趣味みたいなところがあるし、君はあの子みたいなところがあるから大盤振る舞いで張り切っちゃう』

 

 その声に手を取られるように、俺はシャルバの超獣鬼と殴り合いながらドラゴンショットを放つ。

 

 放ったドラゴンショットは、途端に無数に分裂。まるで意志を持っているかのように、自由自在に動いてデカい蝿にぶつかっていく。

 

 その途端、今の俺がぶん殴ってるように、結晶化して吹っ飛ばしては次の蝿に迫っていく。

 

 っていうか滅茶苦茶多いんだけど!?

 

『流石だぜ、露蜂房(ハイヴ)! このまま最初の第三世代と最後の第一世代、アドラーの人造惑星(プラネテス)同士で人助けといこうじゃねえか!!』

 

『他の光狂いも、限界突破(あなた)ぐらいならよかったのだけれどね。……さぁ、ここは任せて行ってらっしゃい』

 

 あざっす! シャルバは何とかぶっ飛ばします!!

 

 秀華さんが一体潰したことで、連携で抑え込みにくくなってるから、三対一じゃなくて一対一にまで持ち込めた。

 

 それどころか、嫌がらせも飛んでこない?

 

 そう思った時、後ろで派手な戦闘が聞こえてきた。

 

「―愚かな者なり、異形の神よ。……いや実際、こんな事態が起きてたら色々言われそうだね」

 

「そこは手心を加えてほしいかなぁ? イッセーどん、こっちは任せといて!」

 

「トビーはそういう人だから大丈夫なのですよ。それと、あの子がヴァー君のお気に入りの子なのですね」

 

 おお! コカビエルの時に世話になったデュリオさんに、更にでっかい氷やら樹下よりやばい黒刃やら、なんか面子が集まって、超獣鬼達をボコってる!!

 

 っていうかもしかしてオリジナルの黒狗(スラッシュドッグ)!? 不死殺しの速度がやばいって!!

 

「なんか面白いことになってんなぁ、イッセー!! 後ろはとりあえず任せとけ!!」

 

「あらあら。イッセー君ったら龍神の体でハッスルしてますのね?」

 

「ふふっ。朱乃も元気になって何よりだ。……頑張り給え、赤龍帝!」

 

 それにアザゼル先生とバラキエルさんが、朱乃さんをサポートしてもう一体も抑えてる!!

 

 なら尚更、逃がさねえ!!

 

「待ちやがれ、シャルバ!!」

 

「させるか……冥界に、魔王を蔑んだ報いをぉおおおおお!!」

 

 その瞬間、超獣鬼の全身が爆ぜながら再生する。

 

 なんだ!? あ、一体やられた分のリソースを流しこんだとか!?

 

 無理やりな手段で、こっちの不死殺しをゴリ押す気か! 魔力までやばいぐらい纏ってるし、強引に突破すんのは流石に大変だな。

 

 ま、子供達が見てるから負けられねえし、コイツをこれ以上逃がすなんてできないけどな。

 

 あの野郎は、もう何が何でも冥界の人達を苦しめて殺そうとしている。そんなことは絶対させらんねぇ!!

 

 気合入れて組み付いて、強引に結晶化して砕いたり強引にそれを押し返したりの力比べ。

 

 踏ん張ってくれ皆! 俺だって、こんなところで負けるかよ!!

 

 そう気合を入れた時、背中を元気よく叩かれた気がした。

 

『ハレルヤ! その見事な想い、我輩も及ばずながら力を貸すぞ! それしかできんが任せよ、若人よ!』

 

 更に三つ目。しかもすっげえ分かりやすい。

 

 思わずにやけるぐらい、分かりやすいぐらい力(・)が(・)増(・)し(・)た(・)。

 

 魔力を強引に握力で押し切り、結晶化していく勢いに任せて超獣鬼の腕を引きちぎる。

 

『……なぁ、にぃいいいいいい!?』

 

 驚きすぎだよ、シャルバ。隙だらけだ!!

 

 そのまま組み付いて、鯖折りを仕掛けて強引に……超獣鬼の胴体をへし折ったぜ!!

 

『ぐぅ……おぉのれぇえええええええ!!!」

 

 シャルバはやばいと見て、使徒の洗礼すら切って一人脱出する。

 

 馬鹿野郎。見え見えなんだよ!!

 

 俺はグレートレッドから分離して、そのままあるものを掴む。

 

「あと一歩、お願いしまぁああああああっす!!」

 

 そしてそのまま強引に、超獣鬼の胴体をぶん投げる!!

 

「……なぁっがぁあああああああああああっ!?」

 

 直撃したシャルバは重さにのされて落ちていく。

 

 俺はそのまま突貫し、超獣鬼の胴体を砕いて接近。シャルバは振り払って魔力と特性で逃げようとするけど、俺もドラゴンショットを放てば分裂して迎撃してくれる。

 

 そして、振り返って迎撃してきたシャルバに、多少喰らってもいいから突貫した俺が追いつけた。

 

「く、来るなぁあああああああ!! 離れろぉおおおおおおおおおっ!!」

 

 破れかぶれの魔力を込めた打撃が入る。

 

 だけどそんなの関係ねえ!

 

 歯を食いしばって、拳を握る。

 

「いやだね。っていうか―」

 

 そんなに俺から離れたいなら!

 

「―お前が吹っ飛べ、糞野郎!!」

 

 籠りに籠った俺の拳は、防御の魔力ごと結晶化したシャルバを砕く。

 

 その結晶は、翠星晶鋼とは大違いの、脆い結晶。

 

 そして、手応えあった。

 

「あばよ。悪魔が生まれ変われんなら、もうちょっと真面目に自分磨きでもしてるんだな」

 

 これで、終わりだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを悟り、それを理解し、俺は一瞬の判断だった。

 

 一瞬で大量の魔剣を投擲し、その軌道を途中で操作。

 

 全方位ランダム投射。狙いをあえて付けられないようなランダム操作により、軌道を読ませない。

 

「何を……いや、これは当たるぞ!!」

 

 曹操は器用に弾きながら俺を盾にする。

 

 読んでいた。そして、俺はそれに対応する。

 

 即座に軌道を変更し、同時にいくつかは当たっても無視する。

 

 今の俺なら耐えられる。

 

「なんだその強度は!? 何をした!!」

 

「さてな。借りているだけだ!!」

 

 力を貸してくれる人達に、感謝の気持ちを覚える。

 

 肉体と装備の強度が大幅に向上。更に今、俺は磁力を操れている。

 

 曹操が空気抵抗を倍化させれば、こちらは自分に磁性を付加した上での磁気加速で強引にごり押し。反動は強度が高いので問題なし。

 

 魔剣を磁力である程度操ることで曹操の動きを阻害しつつ、頑丈になった装甲と自分自身で、かすめる程度の聖槍のオーラはほぼ無視して攻撃を開始。魔剣も頑丈になったことで、打ち合いも選択肢に入った。

 

 そして曹操があえて強いオーラを纏って攻撃を放つその瞬間、三つ目を開放。

 

 激突と同時に、黒い雷が放出されその出力で撃ち返す。

 

 あくまでも魔剣創造の禁手でしかない俺の闇之尾羽張が、本領発揮ではない形とは言え至っている黄昏の聖槍をぶつけ合いで押し返す。

 

 強度の向上。磁力の補佐。そしてこの黒い雷を含めた増強。

 

 それら全てが重なり合い、俺は今大敵に正面から競り合える。

 

 そこで調子に乗らずに、手札の一つとして駆け引きに使う程度に留めながら。これは力を貸してくれる人達に感謝する。

 

 ありがとう。正直よく分からないが、力を貸してくれて感謝する。

 

『まぁ別に構わないよ。我が女神が力を貸してるあの光の奴隷の相棒だっていうなら、ちょっとぐらい手を貸しても構わないよ。彼女が手を貸してる少年、親友なんだろ?』

 

 イッセーはイッセーで、この謎現象に助けられてるのか。

 

 神祖をやれるかどうかはさっぱり分からないが、そっちもどうにかしないとな。

 

 困った奴だが、それでも大事な親友だ。正直、あいつに救われてるところもあるしな。

 

『そういうことなら応援するぜ。……痛い目見ながら頑張っとけ、このハーレム野郎』

 

 そして別の奴から嫉妬心向けられてるんだけど。嫌モテてるからまぁ、嫉妬向けられるのは仕方ないんだけど。

 

『それはそれとして頑張れよ! 親友が全力出して頑張ってんだ、男だったら気合入れな!』

 

 ま、気の良いタイプだ。多分だが、イッセー達と波長の合うタイプだろう。

 

 ………今一瞬失礼なことを思いそうになったが、はたから見てる分には面白いタイプだと言葉を選んでおこう。

 

『おのれこの野郎! 無職で闇の冥王様よぉ! なぜあなたはこいつに力を貸すのですかぁ!!』

 

『そりゃまぁ、あっちはあっちでモテるからねぇ? あ、僕は加齢臭と駄肉にあふれる女性に食指は動かないから大丈夫。加齢臭の問題があるから君の親友にも異論はないよ』

 

 ……力、借りてていいんだろうか?

 

 一瞬そっちに意識が切り替わるが、即座の攻撃に意識を切り替える。

 

 魔剣の一部を雷撃系に切り替えて、相乗効果を狙いながら対応し続ける。

 

 ちょっと色々あってテンションが妙になっているな。曹操相手にこれはまずいかもしれない。

 

 だがやはり、神祖シャルバと使徒化超獣鬼が相手になってるしな。当てれば勝てる曹操の方が倒しやすい以上、俺が気合を入れて先制で動いた方がいいのではないか。

 

 そう思いそうになる俺の心を落ち着かせるように、最後の一人の声がする。

 

『大丈夫だ。あの二人には神殺しがついている。間違いなく頼れる人達だから、こっちにちゃんと集中するんだ』

 

 ……やはり、イッセー達にも力を貸している者達がいるのか。

 

 秀華にも来ているとなると、本当にそれができると考えるべきか?

 

『どっちも神祖殺しの為の力を持っていて、その為の戦い方も知っているからね。はっきり言って、不死身であることを絶対の強みにしているあいつらより、死ぬからこそ警戒しているこいつの方が難敵だ。……俺達はどっちかというと戦いが不得手な奴が多いから、その点はどうしても君自身が重要になる。落ち着いて油断せずいこう』

 

 話しやすい人だ。イッセーとも気が合うかもな。

 

 そして、人当たりが良い人達なのだろう。それとなく何ができるかも分かりやすいから、やりやすい。

 

 だからこそ、これを囮(・)に(・)し(・)て(・)決める。

 

 その瞬間、俺は磁力操作をフルに使いつつ、頑丈になった体で攻撃を仕掛ける。

 

 闇之尾羽張と黒刃を囮として、更に膝蹴りを魔剣を纏って叩き込む。

 

 その瞬間、曹操の判断は的確だった。

 

 魔剣の膝蹴りを本命として見逃さず、一瞬の判断で武器破壊と最大火力を分離。カウンターの挟み撃ちで―

 

「もらった」

 

 ―狙い通り、その中に仕込んだ薬液が飛び散って曹操に当たる。

 

 本命が届いた。後はこれが通じるか。

 

 呼吸法を切り替えつつ、俺は臨戦態勢を維持したが、すぐに結果は出た。

 

「……が……ぁああああああっ!?」

 

 もだえ苦しみ、そして片目が潰れていく曹操。

 

「メデューサの目か。戦闘中にこっそり使ってたが、やっぱりか」

 

 石化の能力を持つメデューサ。その目を、曹操は京都の戦いで潰れた目の代わりにした。

 

 代用品を用意する時に、別の強みを用意する。それそのものは一つの手だろう。

 

 だが、曹操はそこに付随するリスクを見落とした。

 

「なにを、した……!」

 

「イッセーが復活する時、シャルバに使われたサマエルの毒を抽出してたみたいでな。それを少し貰っておいた」

 

 イッセー自身、対曹操の切り札に使うつもりだったらしい。

 

 なら暗殺含めた奇襲の心得もある俺が使った方が有効だと思い、少し貰っておいた。

 

 イッセー自身もそうだが、俺が持っている可能性も失念するだろう。なんたって俺(・)に(・)も(・)毒(・)だからな。

 

「バカな!? 掉尾の海蛇龍(レヴィアタン)である君にとっても、猛毒だぞ! 飛び散らせて使うなんて、正気か!?」

 

 そう。レヴィアタン化している俺は、その特性上サマエルが効く。

 

 そして正直効いている。だがな?

 

「発動値を維持しているし、耐えるだけならやりようはある。波柴藤花―コハヤから聞いてないか? 波柴一族が編み出した呼吸法を詠唱とする術式系統。耐えるだけなら使えるのがあるんだよ」

 

 ジークフリートとの戦いでも使ったが、とても便利だ。

 

 そこに発動値を維持している上、幼少期から鍛えて悪魔化もしている俺の肉体。

 

 それに対し、曹操は本当にただの人間。そのフィジカルの差は此処で大きな欠点を突かれた。

 

 ただでさえ最弱である人間が、致命的な弱みを持ってしまった。

 

「弱っちい人間の自覚があるなら、余計な弱点を作るべきじゃなかったな」

 

「……痛いところを突く……が! それならこれだ!!」

 

 曹操は、詠唱の構えを取る。

 

 何かまずいと判断して後退するが、その瞬間聖槍は強い輝きを放った。

 

 あれは、アザゼル先生が言っていたという覇輝(トゥルース・イデア)か!?

 

 ……だが、輝きはそのまま消える。

 

 何も変わらない。何か起きたのか?

 

『大丈夫だ。何となくだけど、何が起こったのか分かったよ』

 

 と、黒雷の持ち主がそう告げる。

 

 どういうことかと思ったが、そこで他の二人も悟っているようだ。

 

『ようは、さっきのは今の僕達みたいに誰かの力を借りるんだろうさ。で、そいつからそっぽを向かれたってわけさ』

 

『好き放題暴れたつけって奴だな。力を借りたいなら、貸していい奴じゃないと駄目だっつー話だよ』

 

 なるほど、な。

 

 ならば、ここで決める。

 

 そう判断し、斬撃を振るおうとした時上から霧が生まれた。

 

 反射的に迎撃態勢を取れば、そこから魔法攻撃が放たれる。

 

「曹……操っ!」

 

「ゲオルグか……」

 

 色々ズタボロで、手足を失っているゲオルグが、曹操を庇う様に着地する。

 

「お互い無様だな。……二天龍、つつき方を間違えてはこうなるか……」

 

「……そうだな。調子に乗りすぎた……」

 

 撤退態勢……させるか!!

 

 ゲオルグも本調子ではなく、霧の度合いは薄い。

 

 闇之尾羽張か黒刃なら切り裂けるし、俺の身体能力なら掻い潜れる。だが魔剣投擲では、全てを通すのは難しいうえに消耗したゲオルグと曹操でも一部なら捌ける!!

 

 即座の判断で魔剣を投擲しながら迫るが、その瞬間に曹操は槍を強く光らせて目くらましとする。

 

 暗闇での戦闘訓練を基にすればある程度は当てれる。だが、この距離では霧の結界を掻い潜る上に、ある程度は動ける曹操達の迎撃がある。

 

 ここで、取り逃がすしかないのか。

 

 一瞬でそこまで想定してしまう俺の手を、誰かが取るように前に出す。

 

『大丈夫だ。あいつ等を許せないと、罪を裁かせたいのなら』

 

 ああそうだ。やったことには責任を取らねばならない。好き放題、自分探しなんて理由で世界中で略取監禁洗脳までして幾つものテロを行った咎、払わず逃げるなんて見過ごせない。

 

 若気の至りやヤンチャじゃすまない、義も理もない乱暴狼藉。

 

 苦しめられた人々に、鎮魂の鐘を響かせろ。生き残った人々のその後の未来に、笑顔の花を捧げるために。

 

『希望で嘆きを焼き尽くそう。迷走ばかりの彼らの為にも、逃がしちゃいけない……さあ、行こう』

 

 そんな想いに背を押され、俺は言葉を合わせることができた。

 

『「苦悶と嘆きの叫びに応え、救済の鐘を今鳴らさん――響け雷鳴、草薙剣(カースペイン)ッ!!」』

 

 その瞬間、投擲してどこかに当たった全ての魔剣を触媒に、黒き雷が二人に向かって放たれる。

 

「「がぁっあああああああああっ!?!??!!!」」

 

 雷撃は届く。嘆き悲しむ者達の咎を払う為、絶叫が響き渡る。

 

 怨敵必殺、逃しはしない。痛みも笑顔も胸に宿して、絆に愛を齎す為に命を懸けれる鎮魂の鐘。憎しみではなく悲しみを晴らす、救済の為に振るわれる草薙剣。

 

 ……視界が取り戻される中、黒雷を浴びた曹操とゲオルグは、体中を焼け焦がして倒れ伏す。

 

 ギリギリ死なない塩梅の、しかし決定的な一撃だった。

 

 残心を取りつつ、周囲を警戒。

 

 曹操が倒れたことで、派遣されていた祓魔省の人達も駆けつけてくれる。

 

 俺は警戒を緩め、天を仰ぐ。

 

「本当に、ありがとうございました」

 

 俺のせめてものお礼の言葉に、笑顔が返ってきた気がした。

 




 ヒーローズ編、決戦……決着ッ!!

 勝因:助けを求める声を出せたこと







 秀華に界奏の加護を齎すのなら、三作品の月乙女フルコースだと思っていたので、誠二とイッセーも三作からそれぞれ救援がくる形で撃破!

 そして誠二、曹操(&ゲオルグ)を捕縛完了!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。