シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
さて、事態は急変していくぜぇえええええ!!!
《樹下誠二》
今頃、イッセーは童貞を卒業しているんだろう。
何となくだが、うちの面子の事情を考えればどうなるかが分かる。
はっきり言って、うちの面子は初体験が地獄のような面子だらけだからな。加えて命のやり取りを経験しているから、こういう状況下で何時死ぬかが分からないことをよく知っている。
となると、だ。つまりそういうことだ。
美子がノリノリでやらかしているところも踏まえて、ノリノリでやらかしていることが間違いない。
……まぁ現実問題、どれだけ死人が出るか分からないからそこは重要か。
思い残しがないようにするのって、結構大事だろうしな。
なのでまぁ、その辺はぼかしてだ。
「さて、例のフリード・セルゼンだったか? イッセーを殺しかけたとかいうが、そういえば俺は全く特徴を知らないんだが」
その辺り、もうちょっと確認をしておきたいんで聞いてみた。
「白髪で明らかに危険人物と分かる顔つきです。あと、口調が常にふざけていますね」
「実力は確かにあるが、性格がアレらしい。あと麗奈から聞いたが、教会でも暗部よりの育成機関出身だという話だ」
塔城と雲川麗華が次々に説明してくれるけど、中々に面倒そうな奴だな。
あと教会も大概業が深い。まぁ、絶対的な正義を定義していることもあって暴走すると一気に来るということだろう。
その一つが聖剣計画での被験者の殺害……と思いたいが、神の子を見張る者でもあれな側だったらしいバルパー・ガリレイが、そういう方向性だとは思えないな。
ま、明らかに外道であることは間違いない。態々暴走してくれた以上、スパッと始末するのが一番あとくされがないだろう。
「木場の奴もロクでもない目に遭ったもんだぜ。正直イケメンでモテてるからいけ好かなかったが……今は力になることをにためらいないぜ!」
シトリー眷属側から来た匙も気合が入っている。
性質がイッセーと似ているみたいだからな。こういう話を聞いて義憤に燃えない道理もないか。
そこそこ仲良くなれそうだ。あとでハンバーガーでも食べながらだべってみるか。
さて、それはそれとしてだ。
「……そろそろ警戒した方がいい。俺が敵なら、この辺りにいるなら即座に仕掛ける」
適当に移動しているルートだが、この辺りは狙いどころだ。
波柴一族の連中に叩き込まれたスキルでよく知っている。この辺りの立地は、通りがかったやつを奇襲するのに向いている。
そういう技量や知識があるという前提だが、フリードとかいうのは嗅覚が鋭いみたいだからな。天性の感覚でそれを悟っている可能性も―
「神父とシスターの踊り食いターイム!!」
―来たか。
「食い散らかされるのはお前の方だ!」
素早く魔剣を創造して迎撃。そして飛び跳ねて距離を取ると共に、更に魔剣の連続投擲で相手を狙う。
だが相手は目を見張る速度でそれを回避。銃を構えて反撃をしてきた。
「……そこ」
しかし注意が逸れたのをいいことに、塔城が近くにあった切株を引っこ抜いて投擲。そこに巨大な拳が舞い降りた。
白髪の凶手はそれをあっさりと回避。器用にトリプルアクセルを決める余裕を見せつけながら、着地をするとため息をついた。
「あっりゃ~。もしかして、釣りでもしてました? 俺ってばうっかり釣り針くわえちゃったわけねぇ?」
残念そうに言う白髪だが、すぐににやりと笑うと聖なるオーラを垂れ流す剣を構える。
「じゃ、逆に引っ張り落してもぐもぐいっちゃいまーっす!!」
そういうなり、聖剣を構えて白髪はすぐに切りかかった。
「塔城、奴がフリードでいいな?」
「はい。あのイカレっぷりは間違えません」
なるほど。
ならこちらはこれまで通り、遠距離から圧殺を狙うか。近接戦闘で伝説級の聖剣を相手にするのは、俺
さて、これはどうしたものかと思った瞬間、フリードが後ろに飛び退った。
その瞬間、人間サイズの鋼の塊が落ちてクレーターを作る。
「流石に早いな。これでも取り回し重視の小技なのだが」
「これがかよ!? ボスってば、こんなの来るなんて聞いてませーんよーっ!」
残念そうにしている雲川麗華に、フリードはちょっと目を見開いてげんなりしている。
その瞬間、フリードの足に黒っぽい触手のようなものが巻き付いた。
位置取りから考えると、匙か。割と頑丈そうなオーラを見せているな。
なら、このタイミングは逃さない。
「畳みかけろ! 奴にあれを切らせる隙を与えるな!!」
俺は吠えると、素早く連続投擲を敢行。とにかくフリードに集中攻撃を敢行する。
「なるほど正論! ならば、これでどうだ!!」
「助かります匙先輩。では」
雲川麗華も塔城も、容赦なく近くにある物を連続投擲。
俺も素早く魔剣の連続投擲を敢行し、一気に圧殺を試みる。
「おま、ちょ、たんまたんま……タンマって言ってんだろうがこのクソどもがぁ!」
フリードは連続攻撃でそれを弾き飛ばしているが、しかし迎撃が忙しくて対応が追い付いていない。
このチャンスを逃さず、仕留めることができれば―
「させないわ。いくわよ」
「……は……い」
―その瞬間、聖なるオーラの気配を俺は察知した。
まずい、ここで増援か!
真っ先にターゲットにされたのは、攻撃回数が多い俺だ。まず潰せば処理の面で一気に楽になるから当然すぎる。
それは素早く飛び退ると、星辰光の解放を考慮する。
反動が大きいので好き好んで速攻発動したくなる星では断じてないが、そんなことを言ってる場合でもない。
俺は星の発動を考慮しつつ、増援の確認を―
「……な……っ!?」
―しつつも、無視できない衝撃を味わうことになった。
現れたのは二人の女。年齢はそれぞれ、十代後半と二十代半ば。
女悪魔祓いが身に着ける戦闘用の衣装を着ているが、問題はそこではない。
眠たげに見える目をした、水色の髪の少女。
ツリ目気味のモデル体型をした、背の高いモデル体型の女性。
彼女達の姿に心当たりがある。どちらも、俺にとって忘れにくい想い出だったと覚えている。
おい、冗談だろ……?
「まったく、聖剣の扱い方を学べフリード。因子を剣に収束させれば、その程度のラインはすぐに断ち切れるぞ」
「まぁまぁ、ほどほどにしてやれよ旦那。そいつが手練れで適性の高いおかげで、こっちも大助かりなんだからよぉ?」
そう男達の声が聞こえるが、俺はそれを聞き逃すところだった。
想像以上に動揺している。それでも戦闘態勢と警戒態勢は取れている自分に感心するやら、そこまで叩き込んだ波柴一族に複雑な気持ちを抱くやら。
だがそれ以上に、目の前の二人の女性に俺は激情を狩られていた。
どちらも目は虚ろで死んでいる。それが、あの後辿ってきた来歴が酷いものだと物語っている。
「おいクソ共。とりあえず一つ聞いておこう」
俺は一呼吸入れて最低限の冷静さを保ちながら、目の前に現れた二人の男に質問する。
「その二人に、一体何をしやがった……っ!」
レイナーレ以来だよ、このレベルの殺意を抱いたのはな。
そしてその対象であろう、二人の男の内本命は片方だ。どちらも情報データは見ているから、当たりをつける程度はできる。
神父服を着た男は、バルパー・ガリレイで間違いない。木場の怨敵でありゼノヴィアやイリナにとっても断罪したいレベルの所業を行っている糞神父。
こいつも大概外道だが、今回は多分関係ない。
問題はもう片方。二十代半ばのそこそこ背の高い男。
イケメンだが、性格が悪いと透けてみえるタイプだ。そしてその情報もまた、俺達は事前に与えられている。
波柴矢城。波柴一族という、秀華が何でああなったのかがさっぱり分からないぐらいのクソ野郎の掃きだめの出身。
人身売買、麻薬取引、外患誘致とやってのけた犯罪行為は数えきれない。俺の援護を受けた秀華の告発で、組織的には壊滅した連中の残党。
こいつが麗夜さんと因縁があることは知っていた。大学生活の傍らで悪党三昧だったことも分かっている。
……もう少し情報を精査するべきだったよ。まさか、こんな地雷が眠っていたとはな……っ。
「おいおい落ち着けよ兄ちゃん。……あ、もしかしてこいつら好みか? こっち側に付くんなら抱かせてやってもいいぜ?」
へらへらと笑う波柴矢城の言い草は、本当にクソ野郎だと分かるそれだ。
ああ、こいつはこうやって甘い蜜をすするのを当然と思っている。それが今の態度でよく分かる。
そして俺達が漏れなく不快感を感じている中、波柴矢城は女達を抱き寄せた。
水色の髪の少女は虚ろな表情のままだったが、モデル体型の女性は表情がとろけていた。
だが、その目は虚ろなまま。知性と理性を持つ人間のそれではなく、心が壊れていることがよく分かる危険な表情だ。
「ついてるぜ、お前。特にこいつは人に貸したくねえお気に入りなんだが、今はそうも言ってられねえからなぁ?」
そう言いながらモデル体型の女性に頬ずりをする男だが、俺は鳥肌が立つぐらいの生理的嫌悪を覚えていた。
落ち着けと、冷静になれと、自分に言い聞かせる必要がある状態だった。
「……この、クソ野郎……っ」
「……反吐が出ます……っ」
あまりの言い分に、匙も塔城も心からの嫌悪感を浮かべている。
俺も努めて冷静さを保つようにしているからまだ抑え込めているが、真面目にキレそうだ。
そして、最後の一人は寂しげな表情をしていた。
「変わらぬな……いや、本性を隠さなくなったようだな、矢城先生」
そう告げる雲川麗華に、波柴矢城は怪訝な表情を浮かべている。
「………ん?」
「ほう? 雲川麗華と知り合いだったのか。アザゼルが囲っている準神滅具保有者のエージェントだが」
首を傾げる波柴矢城は、バルパーのその言葉で目を見開いた。
「おいおい、麗華ちゃんかよ! また見違えた……見違えすぎだなぁ!」
懐かしそうに言っているが、その反応は軽い。
本当にろくでもない連中だよ。
……さて、
「で、返答は? 内容次第じゃあまり苦しめずに殺してやるが」
ドスを聞かせて再度告げると、二人は揃って不敵な笑みを浮かべた。
「私は聖剣使いにしてやっただけだ。最も、適性検査をさせろとうるさくて面倒だったがね」
バルパーはつまらなさそうにそう言いながら鼻を鳴らすが、波柴矢城は肩をすくめる。
「そりゃそうだろ。こんなところで俺の玩具を使い捨てたくはないんでな」
そう告げた波柴矢城は、そのうえでにやりと笑う。
「もちろん色々可愛がったぜ? お前さんよりしっかり目に調教してるがな、麗華ちゃん?」
「……なるほどな。相当気に入っていると見えるが、
雲川麗華はあえて表情を消しているが、その内面は果たしてどうなっていることやら。
まぁとりあえず、こいつらが外道であることは分かり切っていた。
……そして、こっちも都合がいい展開になってきたようだ。
「……バルパー・ガリレイぃいいいいいいっ!!」
飛び掛かる斬撃を、バルパーは素早く後ろに飛びのいて回避する。
その後フリードが割って入って迎撃する形で、木場は攻撃を弾き飛ばされた。
だが、そこに続けて振るわれる斬撃が走る。
「見つけたぞ、背教者ども!!」
「アーメン! 裁きの時間よ!」
レプリカの統合型エクスカリバーを持ったゼノヴィアとイリナが連続攻撃。フリードは捌くが、流石に若干バランスが崩れた。
そこに更に、雷撃を纏った聖と魔の斬撃が襲い掛かる。
「ここで波柴矢城とはね!」
「同窓会でもするっての!?」
麗夜さんに雨宮麗奈の同時攻撃が、フリードを強引に吹き飛ばした。
「っちぃ! 流石に多いぜ、バルパーのおっさんに矢城の兄ちゃん!」
「だろうな。これ以上来られると流石に面倒だ……一度引くぞ」
「へいへい。じゃ、逃げるとするか」
フリードとバルパーの意見に賛同したのか、波柴矢城は指を鳴らす。
その瞬間、複数の陣が宙に浮かんで煙と光と爆音をまき散らした。
ちっ! そういう習得もできてるってことか!
「波柴一族が研究した、離脱用の牽制呪術だ! 大した攻撃効果はないから慌てるな!」
俺は声を上げて情報を伝達するが、これはまずいな。
逃げに徹されるとそれだけで面倒だ。というより、俺たちが手を組んでいると知られればそれだけで向こうが過激になる可能性がある。
とはいえ追撃はリスクが大きい。ここは、一旦全員で集まって対策会議を開くべきだな。
そう思った時、まだ元通りになってない視界で走り出す者達が見えた。
「逃がすか、バルパーぁああああああっ!!」
「ここで見逃すものか!」
「逃がさないわよ、アーメン!!」
ちょっと待て、木場とゼノヴィアにイリナ。
ここで無理な追跡はまずいぞ!?
「あの馬鹿ども! 冷静になれ!!」
「ちっ! 私は連れ戻すわ……麗夜と麗華は残って連絡! 使いも送るわ!!」
俺が舌打ちしていると、雨宮麗奈がそう言い置いて走り出す。
視界が回復し切ってないのだが、正確に追いかけている辺り何かしらの仕込みがあるみたいだな。
で、それはそれとしてだ。
「……はぁ~」
俺は盛大に息を吐いてから、冷静さを可能な限り復活させる。
まったくもって面倒だが、とにかくまずは報告しないと。
そして何より、頭の痛い事態になってきやがったもんだ。
「コナユキ……信子さん……っ」
まったくもって、世の中にはクソのような事態が頻発しているもんだよ、本当に……っ!
《兵藤一誠》
「お、俺が童貞を卒業している間にそんなことに!?」
俺は樹下達から状況を聞いて、思わず愕然としていた。
童貞卒業は素晴らしかった。めっちゃエロエロな展開だった。ちょっとマジで幸せ感じちゃってた。
だけど、その間に事態が動いた。それも木場達が追いかけて行って行方不明にだって!?
流石に、流石にこれは―
「あとで謝らないと! 無事でいてくれ木場……あ痛ぁっ!?」
思わず声に出てた所為か、匙と小猫ちゃんのダブルアタックが俺を襲う!!
「お前マジで何やってんだぁああああ! 塔城、回せぇええええ!」
「部長とアーシア先輩まで巻き込んで、この事態に何を馬鹿なことを……っ」
「誰か助けてぇええええええええっ!!」
なんか匙が伸ばしたラインが俺に絡みついて、それを掴んだ小猫ちゃんがぶん回してくる。
ぎゃぁあああ! 遠心力で体がちぎれるぅううううう!!
っていうか、誰か本当に助けてくれぇええええ!
「はいストップ!!」
その瞬間、急に空中で俺が受け止められた。
止めたのは、空飛ぶ砲台みたいな複数の物体だ。ファン〇ルか何かか?
っていうかどこかで見たようなって思っていると、パンパンと手を鳴らしながら秀華先輩が現れた。
「イッセー君の童貞卒業壁尻ギャンブルは、私がリアスちゃんとアーシアちゃんの二人にきちんと説明して納得したうえで行いました! イッセー君はその気にさせる為に魔法とか色々使ってスタートしたので、全責任は私にあります! 下ろしたげて!」
「助かりました! でもなんてことしてるんですか!?」
酷いなこの人!? 怒るよ!?
人にちゃっかり魔法とかけたのかよ。精神干渉とか酷いぞそれ。あとあの眼鏡だな多分。
そこまでしてまで俺の童貞を卒業させるとか、どういう案件!?
「……何を考えているんですか?」
「いや、ガチで誰が死んでもおかしくないし、変に心残りがあるよりすっぱりすっきりした方がまだ戦いやすいと思って。……あと、ほっとくと何か月経っても全然進展しない気がして」
小猫ちゃんの絶対零度のツッコミに、秀華先輩は軽く引き気味でそう言い訳した、
なんだろう。もの凄く納得してしまって自分が悲しい。
俺の貞操はそこまで守らないといけないものなのかとか思えてしまった。できることなら、いつでもすぐにでもエッチな生活を送りたいぐらいだし。
やっぱりありがとうの方が先に来るな。助かりましたって感じというか、五体投地で感謝したくなるっていうか。
……なんでだろうか? 今のままだと既に二人の女の子の好意を抱かれ同居してても、一年経ってもエロいことができない気がしてきたぞ?
まぁ、それは一旦置いておくとしてだ。
「で、リアス部長とアーシアは?」
「体力回復中。今は流花と海砂がマッサージしてるよ……普通のだよ? ツボ押しだよ? だから拳を握らないで小猫ちゃん!?」
小猫さまのオーラが怖い。秀華先輩、マジでビビってるし。
正直俺も怖い。隣が見れない。
ただ、樹下がそこでため息をつきながら咳払いをした。
「まぁ秀華にも一理あるだろうからその辺にしてくれ。それより麗夜さん、どうする?」
樹下の視線の先では、空本さんが凄く心配そうな表情で天を仰いでいた。
木場達を追って、幼馴染らしい雨宮麗奈さんが追いかけていったからな。連れ戻す前提で動いているから、あえてたくさん連れて行かない方向だったみたいだけど。
あとで俺もお礼言っとかないと。木場の奴、やっぱり同志達の形だからかバルパー相手に冷静さを失ってたみたいだ。
頼むぜ木場、イリナ達も。無事でいてほしいよ。
「麗奈は昔からしっかりしてるし、大丈夫だと思う……けど、ね」
そういう空本さんは、悲しそうな顔になって俯いた。
「だから何があっても大丈夫だと、思い込むのは……ね」
そういう空本さんは、深く息を吐いた。
そして空本さんは意を決した表情で秀華先輩に向き直った。
「やっぱり少し周辺を探ってきます、所長。頼り切るのも妄信するのも、彼女に向き合っていることにならないから―」
「……なら、まぁ大丈夫……よ」
その背中に声がかけられる。
慌てて振り返えった空本さんは、俺達と一緒にボロボロの雨宮さんを見つけた。
「……麗奈ぁっ!?」
血相を変えた空本さんは、慌てて雨宮さんに駆け寄った。
「ちょ、大丈夫!? る、流花かアーシアちゃんを!?」
「大丈夫大丈夫。致命傷は負ってないから当分大丈夫。……もちろん、イリナもね」
よく見ると、雨宮さんは背中に同じくボロボロで気を失っているイリナを背負っていた。
おいマジかよ。二人もボロボロになってるなんて!?
「ゴメン、後詰に回ったから残り二人は……ちょっとね」
「いいから! できる範囲で頑張ったんだろ!? ならいいから!」
血相を変えた空本さんは、イリナを下ろしてから崩れ落ちた雨宮さんを抱え上げる。
「紫藤さんはイッセー君が運んでくれ! とりあえず休めるところまで運ばないと!!」
「た、確かに! アーシアのところまで運んばないと!」
確かにそうだ。命に別状はないけど重傷ならまず言って。
アーシアには悪いけど、ちょっと頑張って治してもらわないと。
俺はすぐにイリナに駆け寄って抱き上げる。
「しっかりしろよ、イリナ! すぐアーシアのところに連れてくから!」
俺は急いで駆け出すと、空本さんも同じように駆け出していた。
「……はは……。なんていうか……ね」
気が抜けたのか一気に消耗してる雨宮さんは、俺とイリナを見て凄く寂しそうな顔になった。
「隣で同じことになってるのが、悪いわよね。まるで、私達までまともな幼馴染じゃない……」
雨宮さんの言ってることは俺にはさっぱり分からない。
ただ、雨宮さんは今にも泣きそうな雰囲気だった。
気にしてる余裕がないので走っていると、同じように走っている空本さんも少し俯ていた。
でも、それだけじゃなかった。
「まともじゃなくても幼馴染だよ。……あと言うタイミングが掴めなかったけど言うよ。……ごめんね」
空本さんは、そう謝った。
「俺は、幼馴染という関係性を妄信していた。そして大事なことを忘れていた結果があれだ。……君を殴ってでも止めるべきだったし、あんなことを頼むべきじゃなかった」
「……お互い様、いや私の方が悪いわよ。謝るのも罰せられるのも私の方じゃない」
二人はそういうともう何も言わない。
正直こっちも気にしてる余裕がない。
ないけど―
「でも、二人ともそのままってつもりじゃないんでしょ?」
―思ったことは言ってもいいよな?
「何があったのか知らないですし、何かやってしまったのはなんとなく分かります。でも、反省してるなら前に進むしかないッスよ」
なんか重いものがあったみたいだけどさ? でも、今の二人は良い人だと思う。
きっと反省しているんだろう。そのうえで、いろんな人の助けを借りたりしながらかもだけど頑張ってるんだ。
だったらもう、前に進むしかないだろ。
「俺は覗きの常習犯でしたけど、それでもハーレム王の夢は捨てませんから。今後はしっかりやめて、今からでもリアス部長やアーシアに恥じない自分でいないと二人に悪いですから!」
ああ。俺はハーレム王を目指してる。
これからももっと増やしたいし、みんなで仲良くやっていきたい。
だから頑張って前に進むぜ。これからはしっかり悪いことをしないで、皆に胸を張れる自分でいないと。
二人だって、それでいいはずだ。
「っていうか、空本さんは小笠原さんもついてるじゃないっすか! なら大丈夫ですよ、絶対!」
「……そうだね。うん、美子ちゃんは俺の天使だしね」
そういう空本さんは、少し明るくなっていた。
「……確かに、そういう出会いって……光よね」
そういう出会いは、雨宮さんもあったみたいだ。
っと、確かこの部屋だ。
「アーシア、旗本さん! 悪いけど急患が―」
「さぁうけよ! 神の子を見張る者で研究されていた灸の先端を!!」
「熱い……でも安らぎます……」
「これがジャパニーズお灸。神の子を見張る者……侮れないわ」
「「あ、誠二に麗夜」」
なんかよく分からない空間が広がっていた!?
「なんと麗奈か!? どうしたその怪我はぁああああああっ!?」
あ、麗華さんも気づいてめっちゃびっくりしてる!?
っていうか、どういう状況!?
「ゴメン、私もう無理かも」
「麗奈しっかり!? 正直俺も崩れ落ちたい!!」
二人揃って大ダメージだよ!!
さぁ、エロも終わってどんどんシリアスになっていきますぜぇええええ!!!