シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
執筆速度はたぎってますねぇ。この調子でいきたいですねぇ。
では本編!
《アザゼル 7:45》
「虚星か。面倒なのが出てきやがったな」
『例の五大宗家案件ですか。面倒ですね』
俺と小笠原は同時にため息をついた。
虚星。俺達神の子を見張る者は勿論、祓魔省にとっても無視できない連中だ。
元を辿れば四年そこら前。
奴らは元々復讐の為に、当時主導権を握っていた老害連中が老害ゆえに手を出していなかった星辰奏者技術にも着目。当時の日本に関わる異能関係者の中では、最も積極的に星辰体を研究していたと言っていい。
その結果、俺達が出張って壊滅作戦を取った時に逃げ切った連中が数人いる。
寄りにもよって、コカビエルが出張ったのに逃げおおせた連中だ。おかげでコカビエルが星辰体に興味をもって、あいつ自身が星辰奏者になったりもしたな。
それが禍の団に流れて、少数精鋭のチームになっていることは掴んでいた。
そのチーム名が虚星。ここ出来やがったか。
「思わぬ展開になってきたな。どうする?」
『様子見でいいでしょう。ただ今の内に、後詰の編成を詰め直しませんと』
冷静な対応だな。
だがこいつは頭が痛いぜ。
一体、禍の団に何が起こってやがる?
《樹下誠二 7:45》
やはり神祖はうっとうしい。
不死特性を反粒子無しで潰すのは中々に面倒だ。それが難しいとなればなおのこと。
『『『『『『『『『『ぅおおおおおおおおおっ!!!』』』』』』』』』』
襲い掛かる大量の女達を相手に、俺達は蹴り飛ばしまくっていた。
六震脚。そのコードネームには大きく分けて二つの理由がある。
六人とそれ以外が一段以上差があるレベルで成績がよかったこと。
そして、全員の星辰光が蹴り技主体で戦うタイプだということだ。
なので、だ。
とにかくとにかく蹴り倒している。蹴り乱舞。
もう一秒間に二十人ぐらいが蹴り飛ばされている。星辰光も併用しているので、手足が吹っ飛んだりぐらいはしている。
にも関わらず、十秒もすれば完治する。
薄く光る瘡蓋とでもいうべきものができたと思ったが、膨れ上がって弾け飛んだら体が元通り案件。神祖や使徒で慣れてなかったら引くわ。
「治るの早すぎだな、オイ! っていうか再生か?」
「使徒化って程ではないがこの再生力、バフ系の星辰光に薄く分譲しているといったところか」
右谷の愚痴に答えながら、俺は大体を推測する。
元々の星辰光そのものが、多くの味方を対象にできる特化型で味方を強化する星辰光なんだろう。そこに神祖が持つ不死特性の分譲を合わせている。
僅かな翠星晶鋼を与えることで僅かな不死を得て、それを星辰光で強化する形で驚異的な再生能力を獲得している。
鬱陶しい!
苛立ちのあまり舌打ちをするが、あまり色々と言っている場合でもないのが実情だ。
この調子でいけば勝てるのは間違いない。だが同時に、時間がだいぶかかるのも間違いない。
更に、だ。
「では、死んでもらいます!」
「おっと!」
「危なっ!」
執拗に美星とスティラを狙う、神祖が厄介だ。
可能な限り男に危害を加えない為、女を倒して減らしてから数で取り押さえる発想なんだろう。よくやるよ本当に。
舌打ちが出てきそうになる塩梅だな。厄介だ。
神祖を絡めとれる体制さえ取れれば、一気に押し通せるんだがな。
「やれやれ。目立ち過ぎない程度に動かなければならないのは、ちょっと厄介かな?」
分身との連続攻撃で戦力を削りながらも、派手な一撃を放たないようにしているヴァーリがため息交じりにそう告げた。
思わず背中を預け合う形になるが、しかしまぁ……なんだ。
「お前が配慮してくれたのは素直に感謝だな。イッセーが外で暴れてるし、一緒に動くかとも思ったが」
その辺は意外だった。
基本的に人間性は評価が難しいが、だからこそ好き勝手に動くタイプのこいつがこっちに合わせてくれるのはな。
と、ヴァーリは肩をすくめた。
「来年の販売会にも参加したいしね。それに……アルビオンは今、乳龍帝案件で失語症の治療中だ。兵藤一誠には悪いが乳龍帝が前面に出かねない戦場に行くべきじゃないだろう」
「二天龍の天敵過ぎるだろ、あいつ」
相棒の赤龍帝は薬漬けにして、対を成す白龍皇は療養必須。あいつは名高い二天龍をどんだけ追い詰めてるんだ。別の意味で大偉業だろ。
呆れ気味になるが、まぁそこはいい。
問題は、この数だな。
異形の派手な出力を発揮しづらい状況下で、この数の暴力を仕切り直すのは厳しい。
一瞬でいい。神祖を完全に抑え込めればやりようはあるんだがな。
さて、どうする?
そう思った時だ。
「ごめん、遅れた。援護するよ」
強者の気配ッ!
素早く全員が動いた瞬間、さっきまでいた場所に破壊が起きる。
座標指定型の攻撃能力か! 面倒な……っ!
「誰かと思えばヴァーリか。赤龍帝が外で暴れるっていうのといい、凄いことになってるね」
「……ふぅん。星辰光が補佐止まりで、神器を主体としている君が来るとは、禍の団の主流派に怒られるんじゃないかな?」
ヴァーリも見知っているのか、気安い雰囲気でそう言ってくる。
ただ、相手は肩をすくめた。
「そこは大丈夫だよ。許可貰ってるし」
「「「「……!?」」」」
その言い草に驚愕したのは四人。
俺、千也、ヴァーリ、スティラ。
禍の団に詳しい俺達は、だからこそ違和感が大きい。
どういう、ことだ?
積極的に人間界に介入する方針だとでも、いうつもりか!?
警戒度合が上がる中、神祖が俺達を見て納得している様子だった。
「なるほど。既に死んでいるという、聖書に記された神様のことですか」
……その情報を、こいつらに流したのか!?
旧魔王派ですら戦略に組み込まなかった情報を、奴はあっさりと口にしていた。
「「「「……え……?」」」」
「正気か、お前ら!!」
右谷達ですら呆気に取られている中、俺はこの情報の取り扱いがあまりに軽いことを非難する。
あのシャルバですら、武器として使わなかった厄ネタ中の厄ネタだぞ。正気か本当に……っ!
だが、禍の団の女は肩をすくめた。
「そっちはむしろ命令。今後協力する人間界の組織には、この情報は教えておけって言われてるんだよね」
……何が、どうなっている!?
《アザゼル 7:50》
「はぁ!? サタナキア原教団の連中が、聖書の神の死を知ってるだと!?」
そんな情報が来て、俺は聞かれないように気を付けつつ確認する。
聖書の神の死。俺達はおろか、禍の団でも知られないようにしている最重要機密。
シャルバ達ですら武器にしなかったその情報を、サタナキア家を勝手に信奉している連中が何で言っている?
『捕虜にした者達の発言です。たまたまキリスト教徒の自衛隊員がいて、それに気づいた者が発言しました』
「一応確認するが、そいつは信じたのか?」
『流石に鵜呑みにはしていません。ですが、旧四大魔王と相打ちになったというところまで知っており、具体的な説明だったので無視もできない様子です。記憶操作をこのタイミングでするわけにもいきませんでした』
……致命的な状態にはならないだろう。だが、無視できないぐらいヤバイ状態だってのは間違いない。
どういうことだ? 流したのは間違いなく禍の団だ。
だが、何で流す?
今あそこは、統率に問題がある。シャルバの討死と曹操の捕縛は、最大派閥に大きな打撃を与えている。
ジャーク団は規模だけなら同等のようだが、裏方に回っている以上は即座の完全統率は不可能だろう。
……末端が暴走して、情報が漏えいしているだけか? だが、そうじゃなかったら……っ!!!
《木場祐斗 7:50》
目の前の男は、強いな。
森羅景虎。おそらくは五大宗家の真羅だろう。椿姫副会長の親族にあたる。
朱乃さんの時といい、あの一族は悪魔の古い一族に通じる問題を抱えている。アザゼル先生や雲川さんに聞いたことがあるけれど、一度神の子を見張る者から脱走した者達と協力して大問題を起こしたとか。
ただ、間違いなく断言できる。
……この実力者を冷遇するとは、五大宗家も業が深すぎる。
「おらよっとぉ!」
「おりゃぁっ!」
イッセー君の振るう拳を、薙刀で迎撃する森羅景虎。
通常の禁手状態とはいえ、イッセー君と真っ向から打ち合えるとは。
ただものではない。禍の団にこれだけの実力者がまだ隠れていたとは。
イッセー君は打撃戦しか移れないとはいえ、よくもここまで。
だが、それで十分だった。
「待たせたね、おっぱいドラゴン。周りは片付いたよ」
サタナキア原教団の、この辺りの警備部隊は全員片付けた。
戦車もすべて切り刻んでいるから、戦いようがない。
二対一なら十分打倒できる。最も、彼が人目を気にして札を隠している場合は違うけどね。
「悪い、き……ダークネスナイト・ファング」
「いいさ。君に力を貸すのも悪くない」
さて、二対一でどこまでできるか。
既に自衛隊や警察の方々も、捕縛や救出の為に動いている。
僕たちが抑えている間に動いてくれれば、それで十分だ。
「やるねぇ。流石に本気のあんたらとやりあうのは厳しすぎるわ」
森羅景虎は、戦力差を理解しているらしい。
自分がイッセー君と戦えていたのは、この状況だからこそ。配慮を減らすことができれば、圧倒されると悟っている。
ヘラクレスよりずっと聡い。彼のような人物がいるなら、虚星という組織はもっとのし上がれるだろうに。
ただ、その状況下で森羅景虎は動揺していなかった。
「つーわけで、そろそろ頼んますぜぇ?」
そう言いながら、彼の視線が僕達の後ろに向けられる。
咄嗟に振り返った時、僕達を襲う驚愕は二つ。
一つは、一切の隙を感じられない卓越した武を持つ銀髪の少女がそこにいた事。
もう一つは、その場にいた警察官や自衛隊、原教団の者達がもれなく土下座をしていたことだ。
何が起きた?
困惑と警戒に動けないでいる僕達の前で、その女性は悠然にほほ笑む。
「初めまして、乳龍帝おっぱいドラゴンにダークネスナイト・ファング。甥が世話になっていると聞く」
銀髪のその声と態度で分かる。
まさか、ルシファーの血族か!
「私は彼の年下の叔母、ヘーデル・ルシファー。そして、この場においては君に合わせてこう名乗ろう」
そいて彼女は得意げに胸を張り、ポーズをとって宣言する。
「この宇宙で虐げる存在の頂点になる者。虐明星いじめるシファー!」
「「変人だ!?」」
どちらかというと雲川さんタイプの変人だった!?
折り返し地点に到達したこともあり、ここで一気に動いていきます。
多重クロスにしない方向にした本作ですが、代案のアイディア提供もあったのでそれを基点として似たような方向にすることが可能になったので、ここからの急展開となります。
ある意味でここからが「シルヴァリオ ディアボロス」です。
さぁ、どんどん楽しんでいきましょう!