※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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はいどうもー! 今日は午前中調子が悪かったグレン×グレンです!!

でも午後はだいぶ持ち直したので、とりあえず一話投稿します!!


第六話 コカビエル、襲来です!!

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

 と、とりあえず負傷が酷い雨宮さんに、意識もないイリナは此処でリタイアか。

 

 アーシアの神器で回復したけど、体力の消耗まではどうしようもないからな。深手を負った分の消耗もあって、当分は動けそうにない。

 

 でもって木場はどこに行ったんだよ。あいつ、仕方ないと言っても今回冷静さがなさすぎる。

 

 ダチなんだから心配するってのに。

 

「……どうします、部長? 祐斗君のことも心配ですが、コカビエル達の動きも不透明ですわ」

 

「そうだね。所長、増援の方ですが早めに出せないんですか?」

 

 朱乃さんと空本さんが口々に、リアス部長と秀華先輩の判断を仰いでいる。

 

 雨宮さんが言うには、四人を襲ったのはコカビエルだそうだ。

 

 圧倒的な力と奇襲で散り散りになって、イリナは擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)と切り札として渡された聖剣も奪われている。

 

 となると、敵の戦力も更に上がってるんだろうなあ。バルパーって、どうも向こうで聖剣使いの精製技術を成功させたみたいだし。

 

 となると確かに、増援は欲しい!

 

「お兄様に通達しているけど芳しくないわ。外周部の鎮圧に手間取っているみたい」

 

「日本政府側もねぇ~。うちの一族、意外と復興していたみたいでかなり激戦になってるみたい」

 

 リアス部長も秀華先輩も、かなり苦い顔になってる。

 

 このままだとまずいって。ていうか、もしかして今日大きく動くんじゃないか?

 

 こうなると、俺が思いつく増援の当てなんて一つしかないんだけど。

 

「例のアイアンローズっていうの、どうなんですか? 確か、人を送るって話でしたけど」

 

 星辰奏者主体の傭兵組織で、アーシアの時もレイナーレ側に対する報復依頼を受けていて協力してくれた形になる。

 

 どうも雰囲気からいって、教会や堕天使のことは嫌いらしい。だけどそれを分かったうえで人員を送るって話なんだから、来てくれてもいいと思うけどな。

 

 リアス部長も、少し首を傾げながらそれについて考えてるみたいだ。

 

「……どうも動きが見えないわね。教会や神の子を見張る者とは接触すら拒む組織だけれど、フェニックス家には専属チームを送るなどしている以上、悪魔側である私達に接触していてもいいころだけど―」

 

 リアス部長がそういった時だ、通信が繋がった。

 

『リアス。アイアンローズからの使者が来ました。……教会側からの人員と一緒です』

 

 お、来たのか……え?

 

 教会側からの人員と、一緒?

 

 俺達はちょっと、困惑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 まったく。色々ありすぎてこっちも冷静さを取り戻しきれてないってのに。

 

 木場とゼノヴィアは行方不明。雨宮麗奈とイリナは戦闘不能。更に相手側が大きな動きをする可能性が大きいというのに、まだ増援が来れる段階じゃない。

 

 どうなっている?

 

「へぇ。これが神器(セイクリッド・ギア)というのね。直接見る機会はあまりなかったから、新鮮だわ」

 

 そう興味深げに俺の魔剣を見ているのは、アイアンローズから来たという女。

 

 年齢は二十ぐらいだろう。スレンダーな体系だが、鍛えられているのが動きから見てよく分かる。

 

 ただ問題は、一緒に来たという少女。

 

 どこかで見たような気がしたが、その彼女はなんというか……アイアンローズの女性と気安かった。

 

「凄いでしょ! これが聖書の神様が作り出した異能なんですよ?」

 

「ええ。問題もあるでしょうけど、それは人が作り出したものと変わりない。恩恵にもなれば呪いになる、そういった物ね」

 

 感慨深げに、アイアンローズの女はその少女に頷いた。

 

「樹下君。その子が?」

 

 リアス先輩が、イッセー達を連れてこちらに入ってきた。

 

 その時、彼女は立ち上がるとリアス先輩達に一礼する。

 

「初めまして。アイアンローズのエージェント、富士野(ふじの)・アルトリーナと言います。この地を担当する上級悪魔のリアス・グレモリーさんですね?」

 

 一礼した彼女は、微笑を浮かべながらリアス先輩に手を差し伸べる。

 

 友好的な雰囲気だが、アイアンローズはもっと固い印象があったんだがな。

 

 ただ、この雰囲気でリアス先輩も少し気持ちを和らげた。その手を取って、苦笑を浮かべている。

 

「協力に感謝するわ。ただ、教会や神の子を見張る者との合同作戦だけどいいのかしら?」

 

 リアス先輩の懸念はもっとだろう。

 

 アイアンローズは、頑ななまでに教会や神の子を見張るものからの依頼を受けない。それどころか、接触すら試みない。

 

 構成員にも一人として神器保有者が確認されてないなど、このご時世の人間側の組織としてはかなり厳格なまでに神器を否定しているような組織だ。本来それで異形側で成立させるのは相応の下地が必要だが、星辰奏者という概念の存在がそれを可能としているのだろう。

 

 ただ、アルトリーナという人は違うようだ。少なくともフレンドリーな対応が取れている辺り、以前見たやつとは違うみたいだな。

 

「合流が遅れてごめんなさい。私は異形とあまり縁がなかったから、この町で何をしているかを知りたかったの」

 

 そう謝るアルトリーネに、リアス先輩は小さく微笑む。

 

「そう。それでどう思ったのかしら?」

 

 その質問、アルトリーナは笑みを消しながらも敬意を見せた表情だった。

 

「いい管理者だと思うわ。できる範囲内で頑張り、間違えることや手違いはあってもよくあろうとしている。……文化や価値眼が違うだけで、人間と変わらない人達だと思うわ」

 

 ……そっか。

 

 その観点で言うと部外者寄りだが、俺は自分のことのように嬉しく思う。

 

 なんだかんだで数年も付き合いがあるし、ちょくちょく仕事以外で会話したこともあるからな。彼女は頑張っているし相応に成果もあげている。

 

 異形間や悪魔側の問題もあるし、まだまだ学生の年頃だから未熟でもあるだろう。だがそれは彼女だけがあしざまにののしられることではないし、彼女が頑張っていることも優秀であることも事実だ。

 

 ちゃんと見てくれる人がいるっていうのは、やっぱり良いことだろう。

 

 それはきっと、人にとって凄い力になるからな。

 

「それで、ここからは全面協力をしてくれるのかしら?」

 

「ええ。別動隊は独自に動いて、周囲にいるだろう他の敵を釣り上げているわ。私はそちらと協力する側」

 

 アルトリーナはそう言うと、さっきの少女の方に振り向いた。

 

「その過程で教会側の戦力と会ったから、ついでに連れてきたわ。合流担当と言ってたしね」

 

 その言葉を受けて、秀華がそっちの方を見る。

 

 ……割と特徴的な少女だ。

 

 年齢は俺達とさほど変わらないだろう。ただ、色々と特徴的だ。

 

 薄い青紫の長髪はウェーブが若干かかっており、若干つり目気味の目は赤が強い赤紫だ。

 

 そして出るところがしっかり出ている。背は小さいところから見て、いわゆるトランジスタグラマーだ。

 

 そして、その雰囲気は間違いなく異形だろう。

 

「初めまして! 雨宮麗奈のバディを務めているリーナ・スターレインといいます! 外側で調査担当だったけど、お姉様からの指示で合流しました……それとお姉様は無事ですか?」

 

 ……とりあえずどういったものか。

 

 俺達がちょっとためらっていると、麗夜さんが一歩前に出る。

 

「大怪我を負っていたけどもうそこは完治しているよ。ただ、消耗が激しいから戦線復帰ができるかどうか」

 

 目を伏せる麗夜さんに、リーナはちょっと目を見開いたが、すぐの呼吸を整えた。

 

「……もしかして、貴方が空本麗夜さん?」

 

 リーナの質問に、麗夜さんは頷いた。

 

 リーナは少し沈黙していたが、真剣な表情で真っ直ぐに麗夜さんを見つめている。

 

 そして、俺達がちょっと何も言えないでいると彼女は口を開いた。

 

「お姉様の、雨宮麗奈のことを恨んでいますか?」

 

 ……。

 

 この質問は、その事情をさっぱり分かっていない者達にはちんぷんかんぷんだろう。

 

 だが、事情を知っている者なら納得はできる。

 

 リーナ・スターレインはそういう側だということか、雨宮麗奈は、自分の過去をきちんと話しているということなんだろう。

 

 だからこそ、事情を知る俺も秀華もあえて何も言わない。

 

 そして麗夜さんは、一呼吸を置いてから真っ直ぐに彼女を見つめた。

 

「恨んではいない。むしろ、そうなるまで気づけなかった俺自身のふがいなさを呪っている」

 

 まっすぐに、心の底から麗夜さんは言い切った。

 

「だから、警察に自首したのはそういう理由じゃない。同時に俺は、それで彼女達が苦しんで、恨まれることも覚悟したうえで責任を取ろうと思った。……麗奈こそ、俺のことを恨んでもいいだろうにね」

 

 そう言い切った麗夜さんに、リーナは首を横に振った。

 

「お姉様が教会に行くことがあれば、必ず自分の罪を主にお詫びしています。……そして、二人が幸せになれることも願ってました」

 

「……そうか」

 

 麗夜さんはそういうと、天を仰ぐ。

 

 と、そこで足音が響いた。

 

「グリィイイイイゴリィイイイイイイ! アイアンローズの者と話せるチャンスなどそうはない! ぜひとも貴殿らの技術について色々聞きたいのだが、代価は何がいいかな?」

 

 なんが豪快に雲川麗華が突っ込んできた!?

 

「ごめんなさい。アイアンローズは上層部が許可を出してない技術について語ることが禁止されてるのよ。破ったら最悪死ぬわ」

 

 あるとリーネは冷静だけど、かなり闇が見えたぞ。

 

「……お姉様も貴方も大変だよねー」

 

「そうなんだよねー」

 

 リーナに同情され、麗夜さんは改めて天を仰いだ。

 

 いや、マジで頑張れ麗夜さん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《兵藤一誠》

 

 

 なんか訳分かんないけど、増援が来てくれたのはありがたい!

 

「それでどうします、部長? 木場とゼノヴィアを探した方がいいですかね?」

 

 とりあえず提案してみるけど、リアス部長は悩みながらも首を横に振った。

 

「いえ。今の状況を見ると、おそらく近いうちにコカビエルは大きくことを起こすでしょう。私達も体力を消耗しているし、ここは守りに徹するのが妥当だわ」

 

 リアス部長もつらいだろう。できることなら、木場の奴を今すぐにでも探したいはずだ。

 

 だけど、それを我慢してあえてそう言ったんだ。そういう事態だってのか。

 

「なら、せめて俺だけでも探しに―」

 

「落ち着きなさい。事情は分からないけれど、現状で単独行動は自殺行為よ」

 

 そうアルトリーネさんが言うけど、でもさぁ!

 

「落ち着けイッセー。味方のピンチで心配するのは分かるが、探す当てもないのに非常時で下手な動きはできないだろ」

 

 樹下が苛立ちながら言うけど、それでも心配なのは心配なんだよ。

 

 っていうかだな。

 

「お前のほうがそわそわしてる気がするんだけど?」

 

 なんていうか、相当苛立ってるというか、心配そうな顔になってるんだけど。

 

 樹下は何か言い返そうとしていたけど、少し黙ってから小さく視線を逸らした。

 

「まぁな。昔の知り合い二人、特に一人が波柴矢城に飼われているのは流石にショックだった」

 

 なんだって?

 

 思わずみんなの視線が集まると、樹下は髪をガシガシとかいていた。

 

 こいつもかなり苛立ってるな。それだけの人だったのか。

 

「親しい付き合いだったの?」

 

「片方は。もう片方については、俺はえらそうに言える立場じゃありませんが」

 

 リアス部長の質問に、樹下はそう答えた。

 

 表情はかなり苦い。なんていうか、本当に心配していることが悪いと思っているみたいな言い方だった。

 

 ただ、少し考えこんでから樹下は俺達に向き直った。

 

「イッセーには前にも言ったし、あの会議に参加した側は聞いたこともあるだろう。秀華の実家である波柴一族は、それはろくでもない連中だ。……俺は片親だった母を亡くした後、四年間遠縁の親戚だった奴らの手で、手駒となるべく洗脳教育を受けていた」

 

 唐突に言ったその言葉に、匙達事情を知ってない奴らが息を呑んだ。

 

 というか、まったく息を呑んでないの俺を含めて少しだ。樹下の事情は多分、桃山警護事務所のメンバーぐらいしか詳しくは知らないだろうし。

 

 そして、樹下は本当に嫌なことを思い出した顔だった。

 

「付き人、性奴隷、暗殺者。そういった多方面で役に立つ、一族の者達の手駒になる精鋭を育成することを理想としつつ、できないにしても成果を上げた部分を伸ばして単一に特化して使い物にする。そういう思想で作られた教育施設ではそう簡単に使い捨てで殺されるような()()()()を選択しなかった。そう、心が壊れたのなら薬物で調整して、一回こっきりの手駒にするぐらいにはもったいない精神を持っている連中で―」

 

「要点だけにしとこう、誠二。話が長くなるし、聞いてて気分が悪くなるのは確実だし」

 

 話せば話すほど暗くなっていく樹下の顔を気にしたのか、秀華先輩がそう言って割って入る。

 

 だけど、十分すぎるほどやばいって理解できたよ。

 

 エロゲーの鬱系とかに出てきそうな組織だな。なんだその、少年漫画とかだととても出せないような質の悪い連中。

 

 っていうか、俺もそういった育て方は聞いてないけど聞いてることもある。確か、三つぐらい引き起こしていた事件を聞かされてたな。

 

「確か、芸能界の大規模売春ネットワークとか、更生施設で逆にスカウトとか言ってたな」

 

「ああイッセー。で、例の波柴矢城はお前に言ってた最後の一つだ」

 

 俺が呟くと、樹下がそう追加してくれた。

 

 最後の一つ。確か大学で学生生活の皮を被った援助交際ネットワークを作ってたとか。

 

 俺が思い出していると、今度は雲川さんがうんうんと頷いた。

 

「……矢城先生は大学でも援助交際ネットワークを作って、調教した女をあてがっては自分の立場をよくしていたらしくてな? それ以外にも家庭教師のついでに私含めて、色々手を出して玩具にしていてなぁ」

 

 そういえばこの人関係者だったな。

 

 本人は本当にまったく苦に思ってなかったけど、それでもその表情は苦い。

 

「まごうことなく外道の所業ではあるだろう。……まぁ私は今でも楽しかったと断言できるが、それがおかしい価値観であることは理解しておるとも」

 

「……ま、それはともかくだ」

 

 樹下がそう切り替えると、もの凄くつらそうな顔になりながらも俺達の方を向いた。

 

「髪が水色だったのはコナユキ・フロージア。波柴一族の()()()()で、俺と同期だった奴だ。俺は早めに基準値を満たしていたから、事情の把握が追いついてなかったがな」

 

 教育施設。その言葉に寒気を感じるなんてな。

 

 そして、それと同じぐらいまずいことになってるのがもう一人いるのか。

 

「モデル体型だったのは松森信子。俺が波柴一族に引き取られる前に近所に住んでいた人だ。……ちょうどその時期、大学生になっている年齢だったはずだ」

 

 そう告げた樹下は、拳を握り締めていた。

 

「俺にえらそうなこと言う権利はない。あの頃は俺自身が生きて隙をつくことに必死で、人に気遣って目を付けられるリスクは犯さなかった。助かった後も、かつての生活は過去と割り切り、教育を受けていた時期の人達も、日本政府に任せきっていたからな」

 

 心配したり怒る資格が、自分にはない。樹下はそう言いたそうだった。

 

 実際、樹下は同じ施設にいた人達を助けることは択ばなかったみたいだ。そして、助かってからも昔の人達と関わろうとしなかった。

 

 教育を受けていた時代に何かしていたら、何か変わっていたかもしれない。

 

 昔の知人と会おうと思っていたら気づいてかもしれない。

 

 今現在、自分がかつてのことを人任せにしてなかったら何か変わっていたのかもしれない。

 

 それを選ばなかったくせに、二人のことを心配している自分に樹下は怒ってるのかもな。

 

 ……ったく

 

「分かった! じゃ、あいつらが動き出したら樹下は二人に集中してくれ」

 

 俺ははっきりと大声で言ってやる。

 

「コカビエルはその間、俺達で何とかすればいいってだけの話だ! 大丈夫、今度は右腕でも両足でも差し出して時間稼いでやるから」

 

「イッセー! 軽々しく自分の体をドラゴンに差し出すな! というか、相手がコカビエルだとお前と俺の二人掛かりでも足りない可能性だってあるぞ!」

 

 樹下はそういうけど、まぁ言いたいことは分かる。

 

 相手がコカビエルだと、俺の禁手と樹下のもう一つの星辰光があるに越したことはない。というか、其れでレイナーレに手古摺ったことを考えると足りないってのも分かる。

 

 それに俺の左腕、ライザーとの戦いで禁手を長続きさせるのに差し出したからな。悪魔の欠点が効かないって意味だと便利だけど、リアス部長や朱乃さんにオーラを吸ってもらわないと、ドラゴンの腕になっちまうからな。

 

 でも、そこは大した問題じゃない。

 

「馬鹿野郎! リアス部長と朱乃さんからダブルで吸ってもらえるかもしれないんだぞ!? むしろそんな素敵タイムを作ってくれるならお礼言いたいよ!」

 

「お前はもうちょっと自分を大切にしろ!? 後童貞卒業した直後で、よくそこに興奮できるな!?」

 

 うるせえよ!

 

 なんか酷く怒られた気がするけど、この際そこはどうでもいい!

 

 俺ははっきり言ってやろうと思って、ビシっと指を突き付ける!

 

「ダチで恩人が困ってるんだ! 俺は馬鹿でまだまだ未熟なんだから、体の一つぐらい張らせろって話だよ!!」

 

 はっきり言ってやると、樹下はちょっと面食らってた。

 

「言っとくが俺は馬鹿だからな! お前が困ってて、綺麗なお姉さんが酷い目に遭ってるんだ! お前がやらないなら俺がやるだけだって! 分かったか!」

 

「あーも~……馬鹿はこういう時考えないから困る!!」

 

 樹下の奴めっちゃ酷いこと言ったな!

 

「考え込んで何もできないよりましだっての! 今までしてなくて悪いと思ってんなら、今からしとけ! それで嫌われるなら、それはそれってことで!」

 

「いやまぁそれはそうな気もするが。現状がな? 現状がな?」

 

 樹下はそれでも納得してないみたいだったけど、そこに足音が響いた。

 

「……心配しなくても、どうせ人員を分散するでしょうに。そこまでの問題でもないでしょう」

 

 振り返ると、そこには雨宮麗奈がいた。

 

「「麗華!?」」

 

「お姉様!?」

 

 空本さんに雲川さん、それにレインスターさんが慌てるけど、雨宮さんは一息で気合を入れると立ち上がった。

 

「どうせ奴らだって、主力どころは雁首揃えてくるでしょう。ならそいつらがいたらアンタが担当する。それで終了、話は終わり。……違う?」

 

「違わないです! 良いこと言ってくれてありがとうございます!!」

 

 本当に良いこと言ってくれたよ。思わず笑顔でガッツポーズしてお礼を言っちゃったよ。

 

 でもその通りだ。どうせ相手だって、主力は全員来るだろう。

 

 むしろ二人も樹下が止めてくれるなら、何の問題もない!

 

 秀華先輩も同意見だったのか、笑顔でうんうん頷いてた。

 

「オッケーオッケーそれでオッケー。じゃ、誠二はまずその二人を何とかする。波柴矢城は……いい機会だしボコっちゃう?」

 

 と、秀華先輩はちらりと空本さん達の方を向いた。

 

 と、真っ先に雲川さんが首を横に振った。

 

「むぅ~。私は本当に良い思い出だからな。まぁ、奴が悪逆であることは事実なので倒すのもありだろうが」

 

「「………はい?」」

 

 もの凄いぎこちない動きで、空本さんと雨宮さんが雲川さんの方を向いた。

 

 あ、やっぱりそのあたりの感想はちんぷんかんぷんだったのか。

 

「いやいや麗華? あまり人のこと言えないけど、麗華は本当に矢城の奴に一発かましていいと思うよ? 多分殺しても減刑通るよ!?」

 

「正気!? 私含めてアンタは復讐しても納得されるわよ!?」

 

 本気でびっくりしているけど、雲川さんはさっぱりといった表情だった。

 

「いや、客観視して奴が外道なのは事実だがな? 本当にあの頃は良い思い出になっておってなぁ。……無論、二人についても恨んでなどおらぬのとて本心だ」

 

 そう告げる雲川さんは、少し寂しげだったけど。

 

「まぁ、二人が気にするのは当然だろうがな」

 

「「……」」

 

 二人揃ってその言葉に俯いたけど、真っ先に顔を上げたのは空本さんだった。

 

「分かった。それが君の本心なら、俺もあえてそれ以上は言わない。……ただ、それはそれとして後で真剣に謝らせてほしい」

 

「私も同じ意見ね。……ええ、それはちゃんとやっておかないと駄目だもの」

 

 なんか二人とも暗いな。

 

 雲川さんの話だと、雲川さんが波柴矢城ってクソ野郎に手籠めにされて調教されて、空本さんと雨宮さんも巻き込まれたって話なんだけど。

 

 特に空本さん。雲川さんが言っているNTR調教系エロ漫画なら、完璧な被害者ポジションでは?

 

 よく分かんないけど、二人が後で話すっていうなら今は置いておいた方がいいのか。

 

 ま、そこは後にして!

 

「とにかく! 俺達全員で頑張るんだから、お前だけが無理してコカビエルの相手に集中しなくていいんだよ! とりあえず、先に二人何とかしてからやってこい!!」

 

 俺ははっきりと言ってやったよ。

 

「その通り! そもそも相手がコカビエルクラスなら、こっちも奥の手切っちゃうから!」

 

 お、秀華先輩も良いこと言った。

 

 っていうかまだ切り札あったのか。それならそれで十分だな。

 

 いや、リアス部長とライザーのレーティングゲームの時に使ってくれたらよかったのに。あるんだったら警護事務所のメンバーも、そこまで急ぐ必要なかったんじゃないだろうか。

 

 ……あ、警護事務所のメンバーが全員面食らってる。

 

「正気所長!? それ、使っていいの!?」

 

「いや、確かに使うぐらいの覚悟はいるけど……いいんですか?」

 

「いや、私も最終手段を使う気満々ですけど、やっちゃうんですか、所長!?」

 

 吹本さんも空本さんも小笠原さんもびっくりしている。

 

 な、なんかやばい切り札なんだろうか?

 

「一応聞きますけど、許可は取っているんですか?」

 

「もちろん! 相手が相手だし影響も影響だからね。長官も納得してくれたよ……面倒ごとになるけどね~」

 

 空本さんの質問に答えながら、秀華先輩はなんつーかげんなりしている。

 

 そ、そんなにやばい切り札なのか。

 

 ライザーとのゲームでは使えなかったのかもな。もしかして、使うだけで問題になるようなやっばい力かもしれない。

 

 それを使ってくれるっていうんなら、尚更頑張らないとな。

 

「……いいのか、秀華?」

 

「もちろん。だからまぁ、その覚悟には報いてね♪」

 

 念押しする樹下に、秀華先輩はウインクしながらそう告げる。

 

 その言葉を聞いて、樹下も覚悟を決めたらしい。

 

「分かった。コナユキと信子さんは俺が相手をする。ギリギリまで無力化に拘るから、その分頑張ってくれよ?」

 

「もっちろん!」

 

「当たり前だ!」

 

 俺も秀華先輩も、樹下にそうはっきり宣言した。

 

「……状況はまだ把握し切れてないけれど、私は一応最上級クラスの異形の相手もできると太鼓判を押されているわ。色々と状況が許さないところもあるけれど、仕事と私情はなるべく両立できるよう頑張りなさい」

 

 アルトリーネさんも納得してくれたっぽい。助かるぜ!

 

 じゃ、俺達も今後に備えて作戦を考えないとだな。俺は馬鹿だから役に立たないし、とりあえずウォーミングアップでもして準備万端に―

 

『―リアス、緊急事態です!!』

 

 ―って生徒会長!?

 

 生徒会長支取蒼奈こと、ソーナ・シトリー様。リアス部長と同期の友人で、元七十二柱のシトリー家次期当主。匙の主様だ。

 

 その会長が慌てて通信を繋いでいる。

 

 これ、もう動いているのか!?

 

『コカビエル達が校庭に現れました。……どうやら、ことを起こすつもりのようです!!』

 

 マジですか!?

 

 




 なんかめっちゃ長くなりましたが、とにかく投稿です!!

 さぁ、ここからが決戦だ!!
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