シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
ただそれもあってか体の調子がよくなってメンタルも引っ張られるのか、執筆が弾んで弾んで困っています! 書きすぎてもこっちが把握しきれんのに!
なので放出しますよ~っ本編!!
《樹下誠二》
ここ最近は比較的平和な日常だ。ただ、だからこそ職務としてきちんと鍛えないとな。
俺達桃山警護事務所メンバーは、基本的には秀華の眷属悪魔という立ち位置で動いている。
そして暴れに暴れて敵をぶちのめしたことから、専用のトレーニング空間などというものがいただけている。レーティングゲームの技術流用らしい。
なのでまぁ、何ができるかというとだ。
「やばいちょっと楽しくなってきた!」
「日本の住宅街ではこういうことはできませんからね」
今俺達は、だだっ広い空間でかなり速い速度でランニングをしている。
星辰奏者であり悪魔でもある以上、俺達の身体能力は常識を超えている。気分は車のレースだ。
そしてそれが問題なくできる広さ。おかげで走れる走れる。
「そういえば二人でトレーニングって、滅多にないな」
「ふふ。そういう意味ではプチデートですね」
お、コガネさんの笑顔も見れて嬉しいな。
……まさかトレーニングでエンジョイできるとはな。俺達もだいぶストイックというかなんというか。
ただまぁ、あまり色々と考えずに走り続けるってのも、ここ最近はあまりなかったしな。
ここ最近は激しい戦いが多すぎた。特に魔獣騒動が大変だった。
「平和だよなぁ。魔獣騒動が大変すぎて、本当に染みるというか」
「そうですねぇ。あの騒動は方々で大変なことになってますから」
コガネさんもぼやくが、実際大変だった。
超大型魔獣の存在もそうだが、それをきっかけにして不遇を強いられていた転生悪魔の反逆が乱発。後始末で苦労している者達も結構いるらしい。
これを機会として綱紀粛正を図っているが、どの勢力も色々と問題が多いってことだろう。
まぁ、英雄派トップの曹操をとっ捕まえられたのは本当に良かった。あれは本当に我ながら大成果だ。
もっとも、あの時力を貸してくれた人達のおかげだがな。
……あの人達はいったい何だったんだろうか。
星辰光を貸与し、それも複数同時に使いこなさせてくれるあの力。星辰光の領域を超えているといってもいい。
そう簡単に同じことが起こるとも思えない。頼りっぱなしもあれだし、頼れるとも限らないしな。
二度は起きない前提で考えよう。その為にも、しっかり鍛え直さないと行かないだろう。
ただまぁ、そろそろ世界的には動きがあるのだろうが。
異形側は、吸血鬼が冥界政府に接触を試みているそうだしな。
多分だが、またひと騒動起きるだろう。もうその前提で動くべきだ。
「……吸血鬼が来てから大変だろうなぁ」
「吸血鬼はあれですからね。大王派や旧魔王派に多いダメな貴族思考を更に突き詰めているところがありますから」
コガネさんが俺のボヤキにため息をついた。
教会に属していただけあり、吸血鬼との相性は悪いのだろう。
「何度か任務で、はぐれ吸血鬼と繋がった者の暗殺をしたことがありまして。……酷いのになるとカーミラのハーフとかち合ったこともあるのですが、間違いなく上級クラスなのにハーフであることを理由に待遇が使い走りどまりなぐらいです」
「うわぁ。絶対魔王様方とそりが合わないぞ」
絶対揉めるなこれは。
とはいえ、政治的な判断となると意見を言うことはできても選択権を持ってはいないからな。
俺達は現場働きや補佐がメイン。その為の準備をして備えるぐらいしかすることがないか。
「じゃぁまぁ、揉めてもいいように鍛えておこうか。たぶん、今度の吸血鬼との面会じゃぁ俺とコガネさんが秀華につくだろうし」
「あまり多いと警戒されますしね。人数を絞る必要はあります」
護衛としての訓練を受けている俺と、暗殺に長けているがゆえに対奇襲において長けているコガネさん。
色々ときな臭い吸血鬼側との対面において、俺達が選ばれる可能性は非常に高い。
だからこそ、しっかり鍛え直して頑張るか。
「じゃ、お互いペース上げていこうか」
「はいっ」
ただまぁ、このランニングデートぐらいは楽しませてもらいたいけどな?
《空本麗夜》
模擬戦を終えて、俺は一息をついた。
「お互い、腕が上がってて何よりだね、海砂」
「どんどん引き離されてる気はるするけどね」
海砂には若干皮肉られるが、海砂もだいぶ腕を上げている。
非常に手札のある禁手の存在もあり、面制圧以外の点でも無視できない戦力だ。戦術ドクトリンそのものを切り替えられるというのはとても強い。
ただ同時に、海砂にとってこの禁手は要修練が必要な物でもある。
それを自覚しているからこそ、海砂は自嘲の表情を浮かべていた。
「ただまぁ、やっぱりデッドコピーが限界なのは痛いわね。よくも悪くも創造系の性質に則った禁手といえばいいのかしら」
海砂の到達した禁手は、魔剣創造の禁手を再現するというものだ。
魔剣創造保有者が多く、全員が別の禁手に至っている。そんな人間関係もあり、海砂は三つの禁手を切り替えることができるという点で凄まじい。
ただ同時に、そんな無茶をしているがゆえにリソースがそこに割かれている点がある。
長時間の運用においては凄まじく不得手だ。その分のリソースを割かれていると言ってよく、極めたとしてもヴァーリみたいに月単位なんて真似はできないだろう。
加えて、出力という点においても劣っている。
こちらは俺達の禁手の側に問題があるだろう。
祐斗君の禁手は聖剣因子の取り込みとそこに宿る残留思念あってのもの。誠二の場合も星辰光で再現されている黒刃から抽出した要素が重要な要素となっている。
俺の禁手は別途で聖剣があってことだから比較的マシだけど、聖魔剣化は麗奈のBREADのみだし、やはり一歩劣っている。
それでも十分脅威ではあるけどね。良くも悪くもそれぞれとがっているから、対策を立てるにしても方向性が異なるという点から、弱みを突かれにくいといえる。
とはいえ、今後を考えると問題点の大一からは懸念点もあるだろう。
「……音成光珠をどうにかするには、私の強さも必要なんだけれどね」
音成光珠。三成星に属する人造惑星と思しき女性。
海砂と並んだら双子と思われてもおかしくないほど似通っているが、血縁関係はない。ただし彼女がアイドル時代にマネージャーだった音成という人物の妹であり、それもあってかなりの恨みを向けられている。
正直に言えば、恨みそのものは当然だろう。
海砂から話は聞いている。最初の顔合わせの時でお互いにある程度腹は割っている。
「兄の仇を討ちたい。当然の感情よね」
そう語る海砂の表情は暗い。
事の発端は、波柴一族の一斉摘発。
血族の有力者が主導していた大規模枕営業ネットワーク。支援を餌にした買いのアイドルを見世物や売春婦にさせるだけでなく、優秀な素質を持つ者はあの手この手で篭絡して一種の宝飾品のように見せびらかす悪趣味な繋がり。
一斉摘発において、当然だがそこも手が入った。相当の芸能人が社会的に死んだし、逮捕された芸能界の要人も数多い。
そして一斉摘発において、当然だが銃撃戦や星辰奏者の戦い、異能の行使もあった。必然、死者も多数発生している。
音成氏はその際死んだ人の一人だ。死因はローストビーフ切り分け用のナイフが肝臓に突き刺さった臓器破損及び出血多量によるショック死。上級悪魔も参加していたそうだが、乱戦だったこともあって、転生そのものが不可能なほどに時間が経ってしまったとも聞く。
乱戦ゆえに監視カメラの類の破損もあって。直前の情報は分かっていない。
ただ、海砂から聞いた話では―
「私が突き飛ばして、そして音成さんは死んだ。……兄を裏切り殺した女が生きていることに不満を抱くのは当然だわ」
―海砂が、音成氏を突き飛ばしたことが原因だと海砂は言っていた。
乱戦が激しかったせいで、情報も混乱しているところはある。また超法規的処置が多すぎるゆえに、あえてぼかしている点も数多い。
ただ、状況証拠はあまりに豊富だった。
「確か、記憶がその直後で飛んでたんだっけ?」
「ええ。……音成さんは、逃げようとする私を引き戻す為に手を掴んで……振り払おうとして、勢い余って、ね」
その時、海砂も頭部を強打している。異能で治癒したからあとは残ってないけれど、頭蓋骨にひびが入っていただろうとのことだ。
その衝撃により、一時的に半年ぐらいの記憶が飛んだらしい。つまり、波柴一族の絡めとられた間の記憶が一時的になくなった。
だから海砂の証言は、捜査資料として残されても証拠能力を認められていない。記憶が一瞬だが飛ぶほどの頭部強打を受けた上、数日は錯乱が続いていた状態。そんな状態になる前後のことについて語られても、裁判で証拠にするには不安定すぎるからだ。
「だから、音成さんが目の前で死んだ時は絶望だったわ。ショックで記憶が戻ってきたのに、精神は戻らなかったぐらいだもの」
目を伏せて、海砂はそう言いながら天を仰ぐ。
「……殺されても仕方がない。だけど、自分から殺されてはやれない。所長の命令に背くし、先約があるものね」
「そうだね。それは大事だ」
彼女を再び立たせたのは、その二つだ。
そこに対して、背を向けることはできない。それは俺もよく分かる。
「だからこそ、殺すわけにもいかない。音成さんが教えてくれたアイドルを、二度も私が汚すわけにはいかないの」
それは大きく困難だろう。
音成光珠は武闘派だ。悪魔祓いのままだったのなら、充二君やデュリオに匹敵する実力者になりえただろう。
俺達でも一対一では殺さずなんて甘ったれてるレベルの脅威度だ。正面戦闘では事務所でも弱い側の海砂にとって、それは死線を超えている。
そのうえで、海砂は決意を見せた。
「生きて連れて帰って、そこから音成さんのお墓参りに行くわ。そこからが、私の人生の本番なのよ……きっと」
「死亡フラグを立てすぎだよ。誠二にも相談して手札は用意しとくようにね?」
中々怖いことを決意しているよ。
それだけの覚悟があるんだろうけれど、死亡フラグにしか見えない。
少し気を抜かせた方がいいだろうね。そう思った時だ。
「先輩方お疲れ様っす! 経口補水液作ってきました!!」
と、ナミネさんが素早くお辞儀しながらボトルを差し出してきた。
「お疲れ様。あとあなたの方が年上でベテラン転生悪魔なんだから、そんなへりくだらなくても」
「いえいえ、魔王様配下の先達はそちらっすよ海砂さん! 新参者としてでかい顔はできないっす!」
元気がいいというか、あとそれはそれとして海砂さんとフレンドリーというか。
外観が似ているから、こうしてみると姉妹にも見える。
「そういや、芸能方面で波柴一斉摘発について言ってましたか?」
あ、結構聞いてたね。
「そうですね。ナミネさんも知ってましたか?」
まぁ、異形社会でもそこそこ有名な話だろうしね。
ただそれ以上にナミネさんは踏み込んでいたようだ。
「実は前の前の主が摘発に参加してまして。その頃から悪魔だったんで私も摘発に参加してたんでさぁ。……そういや誰かと勘違いされて当身入れられたし、親しい人が死んだ所為でショックで記憶が一部飛んでるし……」
がっつり関わってたね。
しかも結構大変なことになってる。この人も大変だな。
「そうだったの? その節はお世話をかけまして……」
「いえいえ、社会復帰できて何よりっす!」
お互いに頭を下げ合っている。
ただ、あまり長続きするのもあれだね。
「一休みしたら模擬戦を続ける予定だけど、ナミネさんもどうです?」
「うっす! 胸を借りるっす!!」
敬礼までして返してくれるけれど、元気なようで何よりだ。
《宮本絶花》
異空間に御呼ばれして、手合わせをさせてもらえるのは本当にありがたい。
私の場合、天聖を抜いての模擬戦はどうしても結界がいるし、二天一流で戦う場合は更に剣が壊れてしまうからだ。
そして、相手が超一流の武芸者なら誉だろう。
「……ふぅ……」
呼吸を整え、腰を落とす。
依然立ち会った時より、遥かに鋭くなった流花さんの動き。
錆が落ち、曇りが取れ、刃こぼれが直された武者の武器。
それを思わせる立ち振る舞いは、恐ろしいほどに隙が無い。
私の今の
あの時でも凄い動きだったのに、今では更に見違えている。これが、彼女が取り戻した全盛期の姿。
……ただ、今回は剣の勝負。負けられない。
「二天一流、宮本絶花」
「旗本流、旗本流花」
「「……いざ、尋常に勝負!!」」
その瞬間、一気に互いに間合いに入る。
こちらは抜き身。相手は居合。
斬撃の振るい始めはこちらが早い。相手は後の先を取れるが、こちらは二刀。
この勝負は一瞬で決着がつく、その一瞬の後の先が、こちらの二刀を掻い潜れるか―
「旗本流抜刀術」
-そう思った時、刀が消えた。
その理由を理解しようとするその瞬間だった。
「奥義」
その甲高い音共に、私の意識が一瞬だけ飛んだ。
文字通りの、刹那の域。
「陽炎の羽ばたき」
その瞬間、振るわれた刃が
「「……お見事」」
今回は、引き分けだ。
「おぉおおおお! すごい、すごいよ絶花ちゃん! 今度は引き分けだ」
「明らかに旗本さんの腕前が磨かれているにも関わらずの引き分け。流石は絶花です」
アヴィ部長とリルベットが褒めてくれるけど、剣の勝負では負けられないから危なかった。
ちょっと汗が出てきたけど、流花さんは満足げだった。
「うん。やっぱり絶花ちゃんが相手だと腕がもっと早く戻ってくるよ。同じ土俵の手練れと立ち会うのが一番勘が取り戻せるかな」
まだ、完全回復してない雰囲気だった。底知れないお人だ。
「そういえば鏡夜と戦ったんだよね。……どうかな、私が挑んだとして」
旗本鏡夜。木曽戦団の木曽義仲。
流花さんの幼馴染で、かつて彼女が裏切ってしまった人。
……正直言おう。
「純粋な一撃の鋭さといった点においては彼の方が上ですね。ただ動きを繋げていく線の軌道なら、勝算はあると思います」
「だろうな。幼少期から磨き上げて本能の域で技を振るえる物相手に、ほぼ見取り稽古だけで体が完成してから武を振るってきた木曽義仲は、カタログスペックはともかく柔軟な運用面ではどうしても不得手になるだろう」
うんうんと頷いているのは、朝月博士だ。
「それを科学者の博士が分かるんですか?」
シュベルトさんがツッコミを入れるけど、朝月博士は自信満々に頷いていた。
「合理というものは突き詰めればどの分野にも存在するさ。武術とは見方によって経験則と鍛錬と継承し続けることで発展していく、戦闘用肉体運用理論。独自のとはいえ法則があり、再現することで運用できるのだからな」
あながち間違ったことは言ってない気がする。
「そして科学とは法則を見つけ出し再現すること。そういう意味では、知的生命体が系統を立てられるものはほぼ全てが科学であるともいえる。魔法など最たるものだろう」
そう答えた朝月博士は、パパっと魔法陣を浮かべると、結界を器用に展開して椅子代わりにし、更にタブレットPCの画面を空中に大きく投影し、魔法でキーボードを作って打ち込んで入力する。
「悪魔の異能を人間が使えるようにするところから始まったという魔法。神々が編み出したものも含め、計算式によって振るわれる異能であるこれは、極めて科学的な異能だ。異能を柔軟に受け入れられる科学者なら、誰もが高いレベルで習得できるだろうさ」
この人、凄い。
「尤も、科学はいまだ世界の全てを解明などしていないから、限度はあるがね」
そう微笑みながら、モニターにさっきの動きをCG映像で映し出している。
「さっきの奥義、原理として猫だましの発展形といえる抜刀術の応用である納刀か。抜刀している最中に手首のスナップで甲高い音が鳴るように納刀することで、抜刀しているという相手の思い込みと高音による混乱を生み、本命の攻撃を叩き込むというのまでは分かった」
「凄いわね、博士。大体その通り」
流花さんは素直に感心しているけど、極めて優れた高等技能だろう。
理屈は分かっても、それを振るえる人が一体どれだけいることか。そういう、絶対的な難易度がある。
「付け加えるなら、その思い込みの混乱は抜刀で殺される可能性を実感できる、いわば死線を潜り抜けた超一流にこそ高い効果を発揮する技。そのレベルだと二度目は対応の余地があるので、本当は模擬戦で使うべきじゃないけどね」
そんな技を、私達に見せてくれたのか。
「決着は自分の手で付けたいけれど、そう簡単にできることじゃない。万が一もあるから、絶対に該当する絶花ちゃんには体で覚えてもらおうと思ってね」
……それだけの相手だと、思ってくれてるのか。
だとしても、流派の奥義を見せてくれる。そんなことは本来起こりえない。
私は服の乱れを直して、一礼する。
「ご指導ご鞭撻、誠にありがとうございます!」
ただ、この経験が活きない方がいいと思う。
決着を自分の手で付けたい。それは武に生きる者なら誰もが理解できることだと思うから。
絶花をバイトに入れたことで、トレーニング風景を入れやすくなった今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。
そして同格以上の武芸者がいることで、流花の復活速度が速い早い。
陽炎の羽ばたきはるろうに剣心の龍鳴閃のノリで暗殺教室の必殺技猫だましを行っているようなものです。ここから更なる先として、クラップスタナーじみた技にするというのも一つの手かな?
そして多分まだ明かしていなかった、海砂の業。
当時未成年・裁判で通用するような証拠がなかった・実際にそうだとしても故意ではない事故。これにあと一つの理由が絡んだことで、海砂は超法規的措置で保護観察どまりとなっており、秀華に拾われる形となったわけです。
そういう意味では正真正銘肉親の仇であり、光珠が殺意を向けてくる理由は完全に納得しているのが海砂。そのうえで、今の愛と主命もあって、殺されてしまうことはあって殺されてやることはないうえ、殺さずに解決する選択を選んでいるわけですね。