シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
適応障害の時は日常的に食欲がやばかったのでまだマシなのですが、おかげで痩せない痩せない……。
別に個人的にはそこまで気にしてないけど、実家暮らしなので其処は大変です。
まぁそれはそれとして本編!!
《樹下誠二》
とりあえず一段落ついて、俺は休憩している。
具体的には甘味を食べている。
「オールドファッション。この甘味は、飾らない美しさだな……」
疲れた体に甘味が癒しを与えてくれる。
ふふふ。甘味……最高!
食べ終わって少ししたらお風呂入ろう。スーパー銭湯の代わり湯気分を味わうべく、スノマタ・ビルにある俺の部屋には小型だがユニットバスを仕込んでいる。温泉の素やバスソルトで気分を切り替えられる。
とはいえ、だ。
「色々とやばいことになるな」
頭が痛いと言っても過言ではない。
吸血鬼。異形勢力の中でも特に鎖国的な連中。追放された連中が結構な頻度で人間界に迷惑をかけていることでも有名だ。
思想は純血主義の貴族主義。大王派とそういう点では似ているだろうが、それをより先鋭化させていると考えられている。
それが自分から和平に対して動く。腹に一物ありそうで頭が痛い。
だからこそ、日々のリフレッシュは大事だ。
と、そこでノックが響く。
「誠二、いる?」
「遊びに来たよ、お土産にあんみつもあるよ」
海砂さんと流花さんか。
「ああ、かまわない」
それが返事をしながら立ち上がると、ドアが開いて二人が入ってくる。
……ああ。
「お誘いいただけて光栄ですってか?」
俺が二人の格好を見てすぐに察すると、二人とも淫靡さが混じった微笑を浮かべて頷いた。
胸を露出させたエロ専門の服。何時の間に調達していたのやら。
「最近ご無沙汰だったもの。たまにはね?」
海砂さんがそういうと、すっと俺に近づいたうえで……ドーナツを見た。
「……あとちょっと羨ましいわね。糖尿病や肥満のリスクが感じられないんだけど」
女性にとってはかなり切実な問題だからな、体形って。
そりゃ甘いものをたくさん食べて太らない奴を見たら気にはなるか。
「一応軽い計算はしてるぞ? それに俺たちはよく動くから、当然よく食べるし」
生涯現役が狙える悪魔になれてよかった。これが人間だと年を取ると量の調整を気にしないといけないからな。
「それにしても結構食べてるよね。逆に栄養吸収とか燃費がちょっと心配になるかな、私は」
流花さんはあんみつを置きながらそう言ったうえで、海砂さんと二人で挟むように俺に抱き着いた。
「だからまぁ、あんみつ分はカロリーを減らさないとね?」
「流花に同感。激しめにいってスッキリしましょう。吸血鬼案件で色々あるだろうし」
確かに。
二人に言われて俺も苦笑する。
ここからまた面倒ごとになるんだから、たまにはすっきりしないとな?
《兵藤一誠》
「……なんてことがあってな。トラブルもスパイスに出来る恋愛っていいよな」
「張っ倒すぞ樹下」
マジで一瞬そうしたくなった。
なんで樹下はそんな穏やかなエロスに恵まれてるんだよ。俺のエロスと恋愛は、結構な頻度でハチャメチャなんだけど。
友人同士の駄弁りってのもいいもんだけど、内容にもよるよな。
軽いジャブぐらいなら、ダチのじゃれ合いで済むかな?
俺が真剣に考えてると、俺達は肩を掴まれた。
「それはいまだに童貞の俺に対する宣戦布告か? 呪うぞ、おい?」
悪かった、匙。
崩れ落ちた匙に、俺も樹下も何を言ったらいいのかわからない状態になる。
「なんでだ!? 俺も兵藤や樹下と同じで、主に恋する眷属悪魔だってのに、この差はなんだ!!」
めっちゃくちゃ落ち込んでいる。
匙を励ました方がいいと思って、樹下の方を見るけど……その時面食らった。
なんか樹下が目を丸くしている。
匙もそれに気づいて首を傾げた。
「なんだよ、その表情?」
「え、あ……そのだな」
あ、樹下が顔真っ赤にしている。
レアすぎるだろその顔。恋する乙女か。
匙と一緒に顔を見合わせていると、樹下はきょろきょろと辺りを見回していた。
「あ……あ、あぁ~……そうなるな、そういや」
え?
ちょっと待て。まさかこいつ―
「「自覚なかったのか!?」」
-秀華さんのこと好きだって思ってなかったのか!?
いやいやないだろマジかおい。
「阿吽の呼吸で無二のパートナーみたいになってて、恋愛感情自覚なかったのか!? ハーレム作っちゃってんのに!?」
匙が驚くのも当然だな。
ただ、言われてみるとちょっと分かるかもしれない。
樹下、意外とそういうところ鈍い時があるしな。
「そういや、青蘭さんの件まで、樹下の奴惚れさせまくってることに実感とかが足りてなかったところあるよな」
「遅くね!?」
匙が叫ぶけど、正論だよな。
俺もあまり人のことは言えないけど、こいつも意外と大概だったな。自覚してからが早かったけど。
樹下もちょっと自覚が追い付いたのか、視線が泳いでる。
「そういやそうだな。……まぁ、あれだ。好意があるのは自覚してたが、外から露骨に分かるぐらいだとは思ってなかったというか」
おいおいマジかよ。
視線が泳いでるし顔も赤い。マジで今実感して動揺してるよこいつ。
「見ててなんとなく分かるっていうか、雑な時もあるけど信頼の表れだよな」
俺がそういうと、匙もうんうんと頷いてる。
「お互いにこう、変えられない絆って感じがするんだけど」
樹下はちょっとタジタジ君というか、珍しい感じになってるな。
「……まぁ、相当惚れてる自覚はあるぞ? なんたって、俺にとっては救いの女神だったからな」
そういう樹下は、結構顔が赤かった。
「波柴一族で臥薪嘗胆で頑張るにしても、十代前半のガキに限度があるのは当然だ。色々優秀さを発揮して年齢の近い次期当主の側近に任命された時は、本当に限界を感じてた」
目を伏せる樹下は、そのまま天井を見上げる。
「これ以上はどちらにしても我慢の限界で暴発する。そう悟ったタイミングでもあったからな。限りなく可能性が低いのを自覚したうえで脱走するか、次期当主様を暗殺したうえで暴れまくって少しでもダメージを与えるか。そのどちらかしかないと考えて、僅かな時間でプランを練った。最終的に「次期当主を人質にとって脱走と見せかけて、少しでも難易度が高くなった瞬間に道連れ」ってプランを立てて、秀華に仕えてから早い段階で行動に移ったんだ」
……そしてなんか物騒な話が始まった。
「二人っきりになって、監視の目が薄い可能性に賭けて行動した。……まぁ、念には念が入っていたのですぐ気づかれそうになったんだが……秀華がそれを誤魔化してくれたんだ」
そして波柴一族もやばいな。樹下が絡めとられかけたのか。
「その場が誤魔化されてから、秀華に提案されたんだ。「分が悪い上に稼ぎも悪い賭けを失敗前提でするぐらいなら、私に全額賭けて」と。……あの誘いがなければ、俺達は波柴を壊滅させることなんてできなかったと断言できる。それぐらい、お互いにとって天啓といえる巡り逢いだった」
凄い感慨深そうに言ってるな。
ただ、樹下がそこまで言うなら本当にデカかったんだろう。
「次期当主の命令というお言葉があればだいぶ自由に動けたからな。秀華としても一族全員を倒す前提だと絶対的に動かせる手札がどうしても必要だった。覚悟を決めて試すまでもなく、獅子身中の虫だと確信できる存在がいると分かったのは、千載一遇の好機だっただろう。……後々光吉の協力を得られたことを踏まえても、俺と秀華がタッグを組めたことが初動として大きすぎた」
そんなにか。
「自分で言うのもなんだが歴代訓練生全体でもトップクラスに優秀な実働を、次期当主が一族壊滅の為に動かすんだ。本当にあれはあいつらにとっての不幸だろう。予測不可能すぎて回避もできない」
うんうんと感慨深げだった。
なるほどなるほど。
俺と匙は顔を見合わせて頷いた。
「「そんな艱難辛苦を乗り越えて愛を
「……ああそうだよ十代前半が恋愛なんて考える余裕もない時にそんな出会いをして苦難を乗り越えたんだよ惚れて当然だろ悪かったな!!」
やっぱり話を逸らす気だったな。
「あ、イッセー君達じゃないか。男子会なら僕も混ぜてくれればよかったのに」
と、木場が俺達に気づいて声をかけてくれた。
ただ、ちょっと表情が鋭いけど。
「……それと、さっき椿姫さんから伝えられたよ。吸血鬼の使者が来る日取りと時間が決まったそうだよ」
……うっへぇ。
ついに来るのか、吸血鬼……っ
波柴一族打倒編、作ったら作ったで結構長編になりそうだけど、えげつなさすぎる波柴の悪行をかなり精密な描写で書く必要もありそうだから全力でやりたくねぇ……。
そんな一族の中でも限界ギリギリに追い詰められていたこともあり、秀華に一点賭けしたことは誠二にとっても一大転機です。秀華も秀華で、誠二に賭けたことで一気に波柴一族一斉摘発が現実的になりましたので、波柴一族最大のミスは誠二を秀華に付けたことと言えます。
付き合いもあるしあれな部分もよく知っているので時折ぞんざいですが、気心が知れているからこその距離感でもある感じですね。月乙女に導かれる銀の運命は伊達ではないです。