シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
少しずつ、この調子で頑張りたい。結構厚遇してもらってるし、これを生かせないのは個人的にも嫌だ。
そんな気合を入れつつ、本編!
《木場祐斗》
吸血鬼との会談及び対策がひと段落付いて、僕達はアザゼル先生の監修する形で神器及び人工神器の検査を受けていた。
「やっぱり起きないな、ドライグ……」
イッセー君が心配する通り、ドライグは最近目が覚めない。
イッセー君の体を復活させるなどの、かなりの無茶が原因だと思われるが詳細は不明だ。
まぁ、魂を籠手の中に入れてそこから新しい体に出す。どう考えてもおかしなことをしているのだから当然か。
ドライグ。彼もイッセー君のことが大好きだからこそできた芸当だろう。
いつか起きてくれるといいんだけどね。流石に心配だよ。
そして同時に、アザゼル先生は僕達の人工神器も確認していた。
「データもしっかりとれてるし、こっちはそういう意味だと安心だな」
と、イッセー君の検査結果を見ながら先生はそういう。
というより、イッセー君に対して呆れ気味だ。
「お前さんはもう訳が分からんな。いや、バカにしてんじゃなくて、体が常識はずれすぎて本当に訳が分からん」
「そこまで言いますか!?」
イッセー君が反論するけど、正直アザゼル先生の意見に同意だ。
それとなく覗き込んでいるけど、数値が滅茶苦茶なのが僕でも分かる。
「もうお前の場合、寿命がどうなってんのか判別できねえ。0と∞が往ったり来たりでデータが安定すらしねえからな。たぶんグレートレッドとオーフィスの性質が往ったり来たりしてるんだろ」
「本当になんなんだろうな、お前は」
樹下君も呆れ気味だった。
「だからもうおっぱいドラゴンでいいじゃねえか」
「名前付けただけで終わらせたらダメな案件なんだよ……」
ため息を盛大に吐きながら、樹下君はイッセー君の反応に天を仰ぐ。
まぁ確かに、正直説明不能な感じはするけどね。
それで完結させると今後も意味不明で終わるから、終わらせたくないって言い分も分かる。
とりあえず苦笑いで流していると、空本さんが息を吐いた。
「それはそれとして、ヴァーリチームが禍の団と妙なところで接触している点はどうなりますか?」
「ああ、邪龍達が滅びた地で出くわしてる件だな。……妙な動きなのは間違いねえ」
そういえば、そんなことを言っていたね。
ヴァーリチームは禍の団を追放されてから、自由気ままに旅をしていると聞いている。
しかし、その一環で滅びた異形の存在に所縁ある地を巡っていたら、禍の団や協力している魔法使いの集団と出会ってしまったというケースが多いそうだ。
きな臭いね。
態々核兵器まで新しく作り出して、人間世界の犯罪組織に協力している。これだけできな臭いにもほどがある。
特に英雄派のコハヤ・リバーに至っては、最近独立したアジアの中堅国家である満漢王国に要人扱いで確認されているとか。
「禍の団が何を考えてるのか読めねえが、奴らが組織的に大打撃を受けてるのは事実だ。……変な暴走をしてる可能性は大きい。遅かれ早かれなんかしてくるとは考えとけ」
先生が僕達に忠告するのも当然だろう。
……彼らはこれからどう動くのか。それもまた、懸念点の一つだね。
「その為にも、人工神器関係は開発急務だな。……お前さん達のおかげで、魔剣創造の拡張型人工神器は本当に進んでるぜ」
先生はそう言うと、興味深そうに資料の束を確認する。
サイバー攻撃対策を兼ねて、あえて紙の資料も含めて用意している念の入れよう。それだけの価値がある代物だというコトか。
「おかげで、ゼロから作った完全型人工神器もほぼ完成で試験運用が進んでるからな。麗華の提唱したアイディア様様でもあるか。この調子なら鬼手を使えるやつもポンポン出てくるだろうさ」
と、先生は凄く嬉しそうに笑っている。
「麗華が提唱したアイディアで、本当にそこまで進んでるんですね。……失礼だけどちょっと意外というか」
空本さんが緒と困り気味な笑顔で言うけれど、先生は自信満々に頷いた。
「素人だからこその発想だろうな。俺達は神器という異能を一から作ることに拘り、もとからある奴には補助輪みたいなものをつける程度の発想しかなかった。ま、それでも成果は出てるけどな」
そう前置きしたうえで、先生は僕達の持っている拡張型人工神器を見渡した。
「だからこその目から鱗だったよ。元から宿っている神器そのものを拡張発展させる為のユニットとして機能させる人工神器や、神器そのものを内蔵して人工的に拡張させるなんて発想は。そのおかげでデータもそろって、禁手を含めて開発が進んでるしな。……更に今は面白いものを作ってんだ」
「面白いもの? 人型ロボットレベルにでかくしたとか?」
樹下君がそういうと、アザゼル先生は手をひらひらと振った。
あ、違うんだ。
「それは同時進行で麗華が提唱して、研究チームが発足してる。試験運用も進んでるが、そこじゃねえな」
作ってはいるんだ。
4人全員呆れているけど、先生は軽く肩をすくめて流したようだ。
「どっちかっつーと麗華じゃなくて空本の方だな。あと樹下」
「「俺達?」」
二人が首を傾げた時、通信が繋がった音が聞こえた。
アザゼル先生が開くと、そこにはあの温泉街でお世話になった雷銅千也君が映る。
『アザゼル技術監督。言われたとおりの検査も終わって、今は試験運用中なのでデータを送りました。あと封印処置でいいんですね?』
「おお、来島か。ああ、お前さんの禁手はちょっと強力すぎてな。非合法活動をしてたこともあって、許可なしの使用は当分控えてくれ」
来島君の禁手が強力すぎる?
そんなものだったのかと思ったけど、樹下君が首を傾げている。
「千也ってそもそも至ってたのか? 初耳なんだが」
あれ、共闘した時に使ってなかったのかな?
ヴァーリがあの時に出てきていた小派閥の者達は、誰もが神滅具クラスの神器を持っていると言っていたらしいけど。
と、雷銅君は手をひらひら振って小さく笑っていた。
『ごめんごめん。直接的に自己強化ができるような類じゃないから、あの場だと使いようがなくてね?』
雷銅君がそういうと、アザゼル先生は興味深そうに雷銅君を見ている。
「こいつの神器は
………え?
今大概やばいような気がするんだけど。
「ああ、部長達が似たようなオーラの武器を持ってたのはそういうコトか」
空本さんが納得しているけど、つまり彼の学友達がその恩恵を受けてたのか。
『そうなんです。彼らの力になりたいと思って、色々教えてたら至りまして』
「よっぽど恩に感じてるみたいだな。最初に決めた得物を一つ具現化するどまりだが、それ以外の性能は雷銅が持ってるオリジナルとほぼ同等だ。ま、だからこそ念の為に外部の許可なく乱用できないようにすることで、これまでの非合法行為に対する恩赦の条件にしてるわけだがな」
何かしら色々あるようだ。
ただ、先生はそこから話をこちらに戻す。
「俺達が吸血鬼側に行った後だが、禍の団には気を付けとけ。邪龍周りの暗躍や、サタナキア原教団に対する武装供与。明らかに今までと動きが違う」
「……手口から考えて。英雄派と旧魔王派が大打撃を喰らったことをいいことに、光吉辺りが掌握したと考えるべきか? 表側の世界からまず混乱させてから立ち回る……というべきか」
樹下君が先生の言葉にそう返すけれど、それにしてもきな臭い。
明らかに動きがおかしいほどに激しくなっている。主力が大打撃を受けた後とは思えない。
禍の団、一体何を行おうとしているんだ……?
《空本麗夜》
色々あった日から少し経った。
「はい! ではこの雲川麗華と、親友の雨宮麗奈の出張が上手くいくことを願って乾杯!!」
「「乾杯じゃないから」」
ノリノリでジョッキを掲げる麗華に、俺と麗奈はツッコミを入れる。
あの後、話を聞いた麗華も対応を了承。ツェペシュ領へと乗り込むことになった。
現役名門貴族の本家次期当主に、旧王族の末裔二人。いくら相手が他種族であろうと、貴族的思考を持つ吸血鬼ならむげにはできまい。した後が怖いことぐらいは理解できるだろう。
権威のジェットストリームアタックだ。相手の胃は死ぬ。
で、俺達は送別会を開いている。
というわけで。
「お久しゅうござる雲川殿。よもや店をこちらに移した祝いもかねて送別会を開いてくださるとは。高いものが食べられて笑みが止まらぬでござるぞデュフフフフ」
「うむ! 苦しゅうないぞ、たらふく食べよ!!」
とまぁ、Beautiful Bondsのメンバー達も集合しての飲み会だ。
ハイテンションで酒をあおっている麗華に、晴空君が酒を注いでいる。
あの二人、アニメ研究会で一緒だったから仲良いなぁ。
「……本当に、こっちが色々考えてるのが馬鹿らしくなるわ。むしろそっちに同情するわね。雨宮」
「その節はお世話になりました……ビールどうぞ!」
そしてやらかしている側の麗奈は、嵐野先輩にビールを注ぎ始めた。
そういえば、進路相談室でよく会ってるって話だったね。仲良いのかあの二人。
「吸血鬼の里ではあんまりはしゃがないでよ? 存在が牽制とはいえ、向こうだって我慢の限界はあるんだから」
俺は麗華にため息交じりでくぎを刺すと、真剣に麗奈の方を向く。
「監視役もお願い。いや、本当に苦労かけるけどマジでお願い。コガネさんや祐斗君だと押し切られかねないし、リアス嬢はその……たまにボケるし」
「そして道中はアザゼル殿……か。色々お薬用意しとかないとね」
麗奈が凄い遠い目になってる。
いわゆるあれだ。FX溶かした顔とかそういうあれだ。
本当にお願いします。あんまり人を増やすわけにもいかないから、麗奈にかかってます。
「……まぁ、所長はTPOとか本人なりに弁える側だから、たぶん大丈夫だと思うけどね?」
「そこが本当に救いよね……」
遠い目のままだったので、グラスにお酒を追加しておいた。
所長はエロ方面で暴走気味だけど、あれで計算した上でやっているところがあるからね。相手は選ぶしねじ込む隙がないなら場所も選ぶ。
本当に所長がある種の防波堤だ。やらかすときはやらかすけれど、こういう時は防波堤側だ。
あとで麗奈がいるからってブレーキから足を離すような真似はしないよう、釘を刺しておこう。万が一がマジで危ない。
精神的な動揺を抑え込む目的で、勢いよくチューハイをのどに流し込む。
さて、おつまみのなめろうと焼き味噌でちびちびやりながら、愉しみますか。
「おーい麗夜君! 飲む速度が足りないぞー?」
と思ったらなみなみとチューハイが注がれたよ!?
そして肩を組んでくるのは雷銅さんだ。
「きれいどころも揃ってんだから、お持ち帰り狙いで飲みまくっちゃいなぁ! 色々ふしだらなんでしょー?」
「雷銅さん!? アルハラ! 流石にそれはアルハラ!!」
即座に何でもかんでもハラスメントにするのはあれだけど、これはアルハラに入ってるでしょ流石に!
後、お持ち帰り狙わないから。そういうことする気ないから。
学生時代の交友を楽しみたいんだよ。肉食ばっかりじゃないんだらこっちは。
「おー? 雷銅ってばいまだに麗夜狙い? 可愛いんだし彼氏ぐらいいるんじゃないのぉ?」
「ふむ。麗夜に更なる嫁を齎すチャンスかのぉ?」
しかも酒が回ってるのか、麗奈が煽ってるし!? 麗華はいつも通りでいいと思うけど!!
こういう時は男衆の助けを!
「さて店長、拙者らは一旦連れションに参ろうぞ」
「だなー。そろそろ膀胱がたまってきたしな」
逃げたぁ!? 風巻部長と晴空君、逃げたぁー!!
後で覚えてろ本当に!! っていうかどうする!?
「ちょ、三人揃って空本先輩を振り回しすぎです!」
おぉ! 霧島さんありがとう!
後輩の霧島夏澄さんが、先輩であるはずの三人に怒鳴ってくれる。
「先輩が押しの弱い対応をしているからって調子に乗りすぎです。お酒の場はみんな仲良く楽しんで!」
「「「……はい」」」
素直に引き下がってくれて助かった。
と、空いた取り皿に刺身が乗っかった状態で俺の目の前に。
「モテる男は大変なことで。頑張りなさい」
「はい、先輩」
ありがとうございます。嵐野先輩。
マジでありがとうございます。その言葉と行動が心を癒す……!
よし、今日はもう飲もう!!
《樹下誠二》
今頃、麗夜さん達は飲み会の真っ最中だろうな。
学友と飲み会か。……真剣に憧れるな。
俺も、大学生になったら異形を知る友人を積極的に作ってみるべきだろうか。
そんなことを思いながら、腕の中の女体を抱きしめる。
「ん? ……ふふ~ん♪」
抱きしめられた秀華は、気持ちよそうにしながら俺に抱き着いてくる。
そういや、秀華と単独でやるのは久しぶりだったな。
秀華自身が乱交上等の貞操観念崩壊しきったド変態だから、そう言う機会があまりない。
ただまぁ、俺としてもタイマンでやるのはありがたい。
……少し前に、イッセー達と話してて色々自覚したからな。
だから何となく抱きしめ具合に気を使っていると、秀華はそっと俺の頬を撫でる。
「ナイーブだねぇ? ま、こっちもだけど」
「……吸血鬼側の懸念か?」
不安になって気休めってことか。
意外とだな。そういうのは気合と根性で乗り越えられるタイプのはずだが。
「無理やり乗り越えるのって、必ずしもいいことじゃないでしょ? 弱音を吐いたり誰かにすり寄ったりも、時には必要だよ」
「そっか。俺としてはお前と単独でイチャイチャできるのは好都合だしな」
その辺りのバランス感覚はいいというか、自分が人と違うことを理解しているというか。
ただ、ちょっと頬が赤くなってるのは気恥ずかしいからだろうか。
「誠二は誠二で、珍しくナイーブだよね。私のこと好きだと思ってたけど、こんな露骨に見せてくる?」
……俺の頬もちょっと赤くなったな、これは。
お互いに互いを理解できているようで何よりだよ。
あえて強めに抱きしめつつ、俺は素直に腹のうちを明かすことにする。
「思った以上にお前のことを惚れていることに、男子会で初めて気づいてな。好感度高い自覚はあったが、高さを見誤っていたよ」
「そっかそっか~♪ ま、私がいなかったら波柴一斉摘発なんて流石に無理だったしね? ……
と、秀華は俺の胸元に顔を埋める。
お互い、か。
……本当にそうか?
「お前なら、いつかは必ず一斉摘発まで持って行けただろうし、無理でも国家転覆は阻止できただろうに」
秀華はまごうことなく傑物だ。光に突き抜けたその精神力は、俺と出会わなくても折れることはないだろう。
俺がいたことで急速かつ確実にに摘発が成功したのは違いない。だが、それでも秀華なら一人でもある程度はできただろう。
俺は、そこまでできなかったと自分で断言できてしまう。
ただ、秀華は首を横に振った。
「その場合、私もいい年してるし、手も汚しまくることになってたよ。こうして、たくさんの子達と笑い合えたりは無理だって」
そう告げる秀華は、目を閉じながらも笑みは忘れない。
「本当に、誠二と会えたのは幸運だった。むしろ救われた気分だったよ」
体の力を抜きながら、秀華はそう告げる。
「あんな闇の中で、ずっと頑張って耐えてきた子がいた。決して屈することなく、限界を迎えても一矢報いようとする子がいてくれた。……あの時、私を人質にとって脱出か派手な道連れを狙おうとする君を見て、私は本当に嬉しかったんだ」
……驚いた。
秀華が、俺に対して、俺との初めての出会いでそこまで思っていてくれたなんて。
「初恋は光にぃだけど、相棒は誠二だよ。本当に、私は誠二と出会えたことを人生でも最高峰の思い出だって思ってる。だから、光にぃとだって戦える」
「そっか」
一手先を行かれたのは、分かってはいたが悔しい。
一番愛しているのが誰かともなると、俺だなんて言いづらいところもある。
だけど、そこまで秀華も思ってくれていることが本気で嬉しい。
「誠二、今の禍の団……絶対光にぃが関わってる」
「……そうだな。むしろ今まで動かなさすぎだ」
最初の一当て以外、あいつは表立って動いていない。
あいつは俺ほどじゃないが現場で動くタイプだ。組織の長となるとそうもいかないだろうが、現場から完全に離れることが自分にとって良くないと考えるだろう。
となると、この状況かそれに近い流れになるまで下準備に動いていた可能性が大きい。
あいつが禍の団を掌握したかはわきに置くが、そろそろ本格的に動いてもいいだろう。
これは、気合をも入れ直しておくべきか。
秀華も同じ気持ちだったのだろう。顔をグイっと上げると、笑みを不敵なそれに変えて俺を真っ直ぐ見つめる。
「だから頼むよぉ、相棒。私だけだと、絶対一杯食わされる。
ああ、そうだな。
俺は無言で秀華にキスをすることで答えにする。
あの時はいいようにされた感が大きい。波柴一族の壊滅がお互いの目的だったが、利用し合うよりは利用された面が大きい。
だからここからだ、波柴光吉。
リベンジマッチだ、覚悟しな。
俺と秀華と、そして皆で。お前に一発かましてやる!
来島千也の禁手は、劣化型の神器保有者を大量に作れる禁手です。割と無尽蔵にできるので、パワーバランス崩れるからと研究者ストップが入った形です。
ウィザード編はそこそこ書き終わっているので、この調子なら今月以内にほぼ完ぺきに終わるでしょう。
ただ事前に言っていた特定グループの掘り下げがうまくいかなかったので、陽だまりのダークナイト編を流用する形で何とかねじ込んでいきたい。