※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! ここ最近、疲れがたまっていたのか寝まくっていたグレン×グレンでっす!

 ただだいぶ良くなり、執筆速度も増している感じです!

 そういうわけで本編!


第十三話 一蹴タイム、六震脚(-1)!!

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい! 私は予備自衛官で、彼らは仲間です! 腕に覚えがある星辰奏者が多いので、とにかくここに集まっててくださーい!」

 

 と、自衛隊の証拠みたいなのを掲げている人が、氷で包み込まれた体育館の入り口で声を上げている。

 

「た、助かった!」

 

「死ぬかと思った……」

 

「怖かったよぉ~!?」

 

 怯えたり泣いたりしながら、クラスメイトが体育館に入っていく。

 

 俺はそれを見送ってから、予備自衛官の人に声をかける。

 

「助かります。えっと、樹下の同期でいいんですかね?」

 

「ああ。ちょっと手の空いている同期メンバーで樹下の通ってる高校でも見てみるかって来てたんだが……なんでこんなことになってんだか」

 

 まったくだよ。

 

 俺達の通う高校に手を出しやがって。っていうか、堂々と異形が何やってんだ。

 

「とりあえず、こっちは俺達がカバーするからそう簡単には突破されねえよ。……不調気味って聞いたけど大丈夫か?」

 

 と、その人は心配してくれたけど急に手が動いた。

 

 そんでもって、二連発数回って感じで鋭い音が。

 

 手が示す方向を見ると、そこではぽかんとした顔で、血を流している奴らがいた。

 

「「「え……~~~っ?」」」

 

 しゅ、瞬殺……!?

 

「あぶねえな。対異形用の祓魔弾丸は高いんだぞ……ったく」

 

 ため息をつくけど、怖いなこの人。

 

 普通に強いよ。流石樹下の同期!

 

「こんな状況じゃ無けりゃぁ、誠二に頼んで同期の異能持ち用にサイン貰っとくんだけどな。俺は予備自衛官だし仕事はするぜ」

 

 そう言いながら、予備自衛官の人はにかっと笑う。

 

「ここは自分が担当するであります! 赤龍帝殿は事態解決のオフェンスをお願いします!」

 

「……はい! 頑張ります!!」

 

 ここから一気に巻き返してやる。

 

 ふざけんじゃねえぞ、あの野郎ども!!

 

「あ、とりあえず全員仕留めたけど、援護いる?」

 

 そして美星さんが早かった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

《保健室近辺》

 

 

 

 

 

 

 

 禍の団が保健室に向かった理由は、単純だった。

 

 状況の理解が追い付いていないのなら、怪我人は保健室に向かうはず。

 

 集まっているところをまとめて狩るという猟じみた発想だった。

 

 それは正解だったが、だからこそ失敗だった。

 

「しょうもねえ連中がしょうもないテロすんなぁ。やるんならせめて、戦略的に価値のあるテロ行為をしろってんだ」

 

 軽い調子で吐き捨てる、軽い雰囲気の少年。

 

 たった一人のその少年に、属性系神器を持つハーフ達で構成されるチームは壊滅的打撃を受けていた。

 

 打撃と共に爆発するトンファーは属性系神器。だが、問題はそこではない。

 

 彼らは腕に自信があった。一人一人は上級の下位程度だろうが、それぞれが得意とする属性を生かす波状攻撃で、対応の幅を取らせることで突破する。その戦術の前には、眷属を率いた中堅の上級悪魔を滅ぼしうる力量がある。

 

 その自負は何一つ間違っていない。

 

 だからこそ、大前提を圧殺する彼にはまったく届かない。

 

「なんだ……なんだこれは!?」

 

「俺達の攻撃が、全部結晶になった……だと!?」

 

 炎も雷も氷も光も。あらゆる全ての属性攻撃が、蹴りと共に結晶になって砕け散る。

 

 そしてあろうことか、保健室の者達が窮地を悟って逃げたのを確認した少年は表情を変える。

 

「堅気は離れたな。ならスプラッター死体数人分は問題ねえだろ」

 

 その言葉に、神器使い達は苛立ちを覚える。

 

 今まで片手間に相手をしていた。一般人が避難するまで本気なんて出していなかった。

 

 言外にそう言われて、男達は激昂した。

 

 ゲーム用に獲物を確保するのが目的だったが、もれなく全員それを忘れる。

 

「「「「禁手化(バランス・ブレイク)!!」」」」

 

 判断は一瞬。奥の手を全員が発動する。

 

 全員が基本性能はそのままに出力を向上させるタイプの禁手。その出力は数倍では効かない。

 

 それをもって押し切ろうとした、その瞬間だった。

 

「は~い残念。デストラップ発動」

 

 相手が指を鳴らしたその瞬間、砕けていた結晶達が槍に変化して男達を貫いた。

 

「が!?」

 

「ぺぇっ」

 

 悲鳴を上げて死んだのが二人。あげることもできず死んだのが一人。

 

 位置取りから、致命傷を避けれたものが一人。

 

 そして攻撃を放とうとしていたことで、結晶の一部が砕けて口の中に入る。

 

 それによって、男は冥途の土産に相手の成したことを理解した。

 

「塩……だと!?」

 

 その結晶は塩だった。

 

 あらゆる属性を塩へと変換し、そして塩という属性そのものを操る。

 

 それを、男は知っていた。

 

「英雄派の分派が探してた、塩の神滅具もどぴぃっ!?」

 

「……へえ。オリジナルを知ってんのか。ま、知ってて当然かね」

 

 動揺する隙を逃さずに頭部を断ち切った男は、振り返る。

 

「結界張っといてくれてあんがとな、お姉さん? 良ければ晩飯おごるぜ?」

 

「文字通り千年早いよ少年。だけど、おかげでこっちも逃がしやすかった」

 

 姿を現すは堕天使の女幹部、ベネムネ。

 

 非常時と悟り動いていた彼女は、そのうえで興味深げに少年を―興宮右谷(おきのみやみぎや)を見る。

 

「しかし、星辰光が神滅具すら再現するならこういうコトもあるのか。まさか破約の塩柱(バイオレーション・ロト)をこんな形で見ることになるとはね」

 

 二度見をしたと思われるようなその声色に、右谷は少し考え込む。

 

「あ~そんな名前の神器だったな。結局名前以外は一族もさっぱりで。独学で色々習得したんだけど」

 

「むしろ名前を知れただけでも十分凄いよ、波柴一族。私どころか神の子を見張る者(グリゴリ)だって、オリジナルは千年間確認してないんだから」

 

 ベネムネはそう告げ、そして周囲を確認する。

 

「陽動の為にデコイを巻いたけど、集まってきたね。詳しいことを教えてあげるから、迎撃を手伝ってくれたまえ」

 

「あざっす! ついでに股開いてくれるぐらい頑張るんでよろしく!」

 

 右谷が軽口を叩いた瞬間、ベネムネのデコイに釣られた禍の団が殺到した。

 

 

 

 

 

 

 

 

《職員室周辺》

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくどういうことだ? 手段として悪手極まりないだろうに……」

 

 苛立ちを口にしつつ、雨宮星斗は結界を張り終えたことで一息をついた。

 

 創造系の準神滅具、聖具創造(アイテム・クラフト)。聖なる道具を創り出すその神器は、使い手の作り手としての力量が問われる神器。

 

 ただイメージをするだけでも相応の物が作れるが、様々な知識をもってパーツごとに異能を付与する形で作れば、より複雑かつ強力な力を振るうこともができる。

 

 そして星斗は本来、技術開発局。能力を最大限に発揮できる人物だった。

 

 ゆえに避難所代わりに使っている職員室の守りは堅牢の一言。

 

 それができるという時点で、雨宮星斗は優秀な神器保有者である。

 

「禍の団は全体主義というわけではないはずだ。にも関わらず駒王学園全体を襲撃……何かあるとみるべきか」

 

 ため息を吐く星斗だが、それは余裕の表れだ。

 

 ため息を吐く程度の隙で、突破されることはない。その自信がため息を吐かせてくれる。

 

 この結界は極めて高水準。最上級クラスでも突入は楽ではなく、それをするにはあまりにも相手が悪かった。

 

「終わりましたよー。雑魚が多くて助かりました」

 

「すまないな。私は星辰光も踏まえて研究開発特化なので、荒事にはどうしても弱い」

 

 朗らかな少年の存在が、とても頼もしい。

 

 異能持ちの生徒なども動いているが、それを踏まえても数があまりに多い。

 

 だが、その中で的確に敵をかく乱しながら動く者達がいたことでこうして多くの者達を安全に保護することができた。

 

「海部テイカー君だったか。君がいてくれて助かった」

 

「いえいえ。僕以外にも何人か同期が来てますし、おかげで周辺の安全は確保できてますね」

 

 そう微笑んでテイカーが答えた時だ。

 

「ざっけんなこらぁあああああ!」

 

 波濤のように、魔力を放つ存在がいた。

 

 更に全身を硬質化させて、テイカー狙いの突貫。

 

 神器を持つはぐれ悪魔の突貫。それに対し、テイカーはたった一つの対応で済ませる。

 

 片足を後ろに向ける。ただそれだけ。

 

 そしてそれであまりにも十分だった。

 

「なんりゃっ」

 

 魔力の波濤は断ち切られ、ぶつかってきたはぐれ悪魔も両断される。

 

 それを顔色一つ変えずに、海部テイカーは成し遂げた。

 

「……あ、すいません。これ後で避難させる時が大変ですよね?」

 

「流石にそこまで気にしている場合でもないだろう。……裂け目か」

 

 テイカーの星辰光。それを星斗は瞬時に当たりをつける。

 

 上級悪魔ベルフェゴールの特性。裂け目を生じさせるという、分かりやすい性質。

 

 蹴りにそれを付随させるというより、足を基点に悪魔ベルフェゴールに近づける肉体変性型の星辰光なのだろう。結界機構に組み込んだセンサーから、星斗はそう当たりをつける。

 

「やっぱり遊撃で近づかせずに仕留めた方が、避難した人の後々を考えるといいですよね? だいぶ数も減ってきたので、サクっと倒してきます」

 

 そう告げ、テイカーは駆け出して行く。

 

 それを見て、星斗は息を吐く。

 

「……不幸中の幸いか。だが、まだ安心はできんか」

 

 敵の目的が全く読めない。

 

 敵の嫌がらせにすれば不審点があまりに多すぎる。

 

 おそらくこれはまだ先がある。

 

 それを痛感し、星斗はため息をついて胃痛を耐えるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

《校舎裏》

 

 

 

 

 

 

 

 

 禍の団の襲撃は、結果的にだが返り討ちに遭っていた。

 

「畜生が!」

 

「なんだこれ……なんだこれ!?」

 

「魔法が全く感じねえぞ……ふざけんな!?」

 

 恐慌状態に陥った禍の団の構成員十数人が、身を護る為に互いに結界を張っている。

 

 勝てないわけではないが、生理的嫌悪が強すぎる。

 

 その理由はあまりにも分かりやすかった。

 

「これ絶対、この学園中のゴキブリが集まってんだろ!?」

 

 大絶叫するほどに、大量のゴキブリが彼らを囲んでいる。

 

 更にムカデや蛾など、あまり人が寄りたがらない虫が多数。結界がなければ体中を張っているだろうレベルだった。

 

「魔法があるのもあるけど……少なすぎるって! どうなってんだ!?」

 

 異能でもなければ制御できないだろうに、異能が僅かにしか使われていない。

 

 その事態に混乱した魔法使いが、頭を抱えて天を仰いだ時だ。

 

「いや、あれだけ使えば十分だよ」

 

「……へ?」

 

 十数体の冷気の鳥を従えた少年が、結界を上から蹴り破った。

 

 そして飛来する冷気の鳥が、禍の団の構成員を叩きのめしていく。

 

 かろうじて攻撃を回避した数人が、着地タイミングを狙ってその少年を狙うが、それは一手遅かった。

 

「「「ぎゃぁあああああ目にぃいいいいい!?」」」

 

 殺到する害虫の群れに、全員が絶叫した次の瞬間。

 

「はい終わり」

 

 冷気の翼を纏った蹴りが、瞬く間に残った敵を壊滅させる。

 

「相変わらずだなハンドラー。これ、魔法は添えるだけなんだろ?」

 

「半端な奴は絶対絶叫するわよね。見てるこっちもきついんだけど、千也」

 

 周囲の敵を制圧していた同期の言葉に、雷銅千也は肩をすくめる。

 

「そういう使い手なんでね、実家は」

 

「虫獣遁(ちゅうじゅうとん)だっけか? ガチ忍者怖ぇよ」

 

 ビビる仲間は気にせず、千也は周囲を警戒する。

 

 六震脚において、千也は一番弱い。無論六震脚である時点で強いが、他の五人比べると戦闘面においてはどうしても劣る。

 

 だが、祖たる忍びの一族から伝わった各種忍術と併用することで、攪乱や潜伏を併用した場合は自分が一番上。諜報特化型の六震脚が自分。一点特化での持ち味に限定すれば、戦闘のレイドボスに匹敵することも事実。

 

 だからこそ、いい加減気付いている。

 

「おそらくこいつらは陽動だ。連携が取れてないにもほどがあるし、手練れが逃げてる」

 

 上を見て、放っておいた小鳥の動きでそれを理解する。

 

 理由は分からないが、これはどうやら陽動作戦で、その裏で本命が動いたと見える。

 

 それにしてもずさんな戦力投入だが、そんなことを言っている場合ではない。

 

「逃げてる連中を追うよ、乗って」

 

 冷気の鳥を大型化させ、そして飛び出す。

 

「凍結なる霊鳥(フリージング・アーキオプテリクス)だっけか? 便利だよな、それ」

 

「神器としては比較的ありふれた上位系でね。ま、ここまで形にするのは大変だったよ」

 

 そう苦笑しながら返す千也は、すぐに表情を切り替える。

 

「急ごう。おそらく、あれが敵の本命だ」

 

 

 

 

 

 

 

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 

「糞が……美味いもん食った若いガキを久々に食いまくれると思ったのに……!」

 

「人喰いの獣人か。ふん、野生社会は適者生存と弱肉強食のダブルパンチだ。適応できなかった弱者らしく糧になっとけ」

 

 漸く追い込めた。

 

 結構な人数の獣人達だったが、慣れてくれば英雄派ほどは苦戦しない。

 

 三下の構成員風情が。しかも人の世界をそう分かった上で堂々と踏み荒らしてなにもされないと思うとか性根が知れる。

 

「知的生命体なら理解しろ。ここは人の倫理が前提となる柵の内側だ。理解せず入って踏み荒らせば、当然反撃も喰らうだろうに」

 

「餌風情が……っ」

 

 駄目だこりゃ。

 

 自分なりに適応するという発想がない。性根がここまでしょっぱいのもそうはいないぞ。

 

 それにだ。自分が詰んでるのも理解してない。

 

 まともに相手するのも時間の無駄だ。ため息をつきながら俺は背を向ける。

 

 それを反撃のチャンスとでも思ったのだろう。獣人達は一斉に飛び掛かる。

 

 本当に、しょうもない。

 

「せめて誰か気付こう?」

 

 呆れた美星の蹴りによって、ほぼ全員が横なぎに胴体を吹き飛ばされて絶命する。

 

 純粋な蹴りの威力に限定すれば、美星の星辰光が最強だ。反粒子が使えない俺では、切れ味はともかく破壊力では勝てない。

 

 そして一人だけ致命を回避した奴がいるが、そいつも終わりだ。

 

「まだだ……せめてひ……と……くち……?」

 

 急に震え出したそいつは、そのまま呆気にとられた表情で絶命する。

 

「放射能汚染って怖いな。この国が核兵器アレルギーになるのも分かるというか」

 

「我ながらヤバイ星だよね。使いこなさないと被害甚大だし」

 

 うんうんと頷きながら、俺は美星と共に彼女の星の恐ろしさを改めて実感する。

 

 核分裂・放射能光脚装能力。ガンマレイという放射能による現象に近い性質を持つ光を、脚部に纏って攻撃に転用する星辰光。それが美星の能力だ。

 

 もうこれだけでやばい。本当にやばい。

 

 出力と収束性が高いから、殺傷性能は抜群。更に操縦性・付属性・干渉性も高いことから二次被害を出させないことにも非常に優秀。維持性も優秀であり、拡散性こそ低いが投射攻撃で遠距離も対応可能という、欠点らしい欠点がない反則級の星辰光。

 

 純粋な星辰奏者としてみた場合、間違いなく同期で美星が最強。下手な上級悪魔を返り討ちに出来るだろう圧倒的な星辰光こそが彼女の持ち味だ。

 

 ……さて。これで大体終わったか。

 

 戦闘はほぼ終了していると見ていい。

 

 見ていいが……妙だな。

 

「動き滅茶苦茶すぎだよね。禍の団ってこんなに統率ないと?」

 

「統率取れる奴がごっそり減ったのは事実だが、それにしては多種多様に仕掛けすぎてるな」

 

 美星も気づいているが、動きが微妙だ。

 

 一体、禍の団に何があった?

 

 懸念が増したその時だった。

 

『皆、イッセーだ! ……やられた!!』

 

 イッセーが明らかに切羽詰まった様子で通信を繋げてきている。

 

 こいつがこんな感じで、シリアスなこの状況下で慌てている。

 

 身内に深手を負った者が出たか? それともまさか、精鋭が仕掛けてきてやられた……っ!?

 

 だが、答えはどちらでもなかった。

 

『レイヴェル達が誘拐された……奴らの狙いは、レイヴェルだったんだ!!』

 

 ……そう来たか!!

 




 下手な上級悪魔が眷属にできたら、レートが数段飛ばしで跳ね上がるような逸材集団、六震脚。

 誠二や菊花より一段下ですが、この二人の一段下は普通に上位側の人間となります。英雄派のヘラクレスやジャンヌと真っ向勝負ぐらいはできる連中となっております。
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