シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
《兵藤一誠》
第二ラウンド。第二ラウンドができる。
部長とまたエッチなことができる。エッチなことができる。
コカビエル? いいよ今すぐ吹っ飛ばす。俺がこの手で吹っ飛ばす。
「覚悟しやがれコカビエルぅううううううううっ!!」
俺は思いっきり拳を握り締め、飛び掛かって殴りつける。
コカビエルはガードが間に合わなくて殴り飛ばされるけど、一瞬で体勢を立て直しやがった。
ライザーより動きがいいな。流石は聖書に記されし堕天使様だってか!!
しかも星辰光を解放しようとしてるし。面倒なんだよなぁ、あれって!!
「創生せよ、天に描いた星辰を———我らは煌く流れ星」
コカビエルは詠唱を始めながら、何かのスイッチを起動させる。
「天を仰いで星を見よ。兆しはそこに訪れた」
飛び上がって宙に浮かんだり、そのまま地面に突き立ったりするのは杭か?
そう思った時、俺の全身を寒気と痛みと倦怠感、更に吐き気やふら付きまで襲い掛かってきた。
それを見て、コカビエルはにやりと笑いながら両手を自慢げに広げ始める。
「幾千万の流血の果て、勝者を今こそ決めようぞ。一たび剣を携えたのなら、首級を上げるに躊躇いはない」
見れば、俺以外にも全員が明らかに調子が悪そうになっている。
そしてコカビエルだけが平然としてる。っていうか、なんかアイツの周囲だけ光ってないか?
「人肉の油が燃えるかぐわしさと、燃え上がる死体の美しさ。今こそ、その結実を見せるがいい」
そしてそんなことを気にする暇もないぐらい、大量の光の槍が具現化している。
「刃がいるというのなら、今すぐ此処に用立てよう。足引く邪魔者がいるのなら、星光の導きで祓うのみ」
コカビエルの表情は、寒気がするぐらい怖い笑顔だ。俺達を殺す気なのがすぐにでも分かる。
「さぁ戦争の再開だ。勝利の美酒を味わうがため、死力を尽くせ戦士たちよ!」
その瞬間、大量の光の槍がまず俺に放たれた。
「
コカビエル
基準値:C
発動値:A
収束性:B
拡散性:D
操縦性:B
付属性:D
維持性:C
干渉性:A
……上等だ。ならこっちだってやってやる。
ドライグ、今度こそ右腕を―
「……いや、
―と思った時、大量の海水がそれを遮った。
振り返ると、そこでは美子ちゃんを近くに寄せた秀華先輩が堂々と立っていた。
「いや、デバフもりもりで流石にビビったけど。見たところ、そういうデバフとかも防ぐ防護加護をゲットする星みたいだね。……なら美子ちゃんの結界でこっちもある程度はマシにできるよ?」
そういう秀華先輩の後ろでは、美子ちゃんが結界を操作しているのか海水が流れ込んでいる。
「転移結界の応用で海水垂れ流しだけど、限度ありますからね所長!? スパッと決めちゃってください!!」
「任された! んじゃ、封印完全開放完了の、マジ秀華ちゃんをご覧あれ♪」
にやりと笑った秀華先輩に合わさるように、流れ込む海水は巨大な蛇みたいな龍になる。
その口が開いて、凄いオーラのブレスが放たれた!?
「……なめるなぁ!!」
咄嗟にコカビエルは光の剣まで構えて弾き飛ばすけど、それでも目を見張っていた。
「これは、
なんかコカビエルがめっちゃ驚いてるけど、え、どういうこと?
周りを確認するとリアス部長もびっくりしている。あ、これ知らなかったパターンだ。
そして、秀華先輩は一歩を前に踏み出して胸を張った。
「改めて自己紹介を。——波柴宗家が次女にして、宿したレヴィアタンを覚醒させた者、波柴秀華。……堕天使最高幹部コカビエル、貴様の野望を砕く者と知れ」
め、滅茶苦茶カッコいい。不敵な笑顔が凛々しすぎる。
「イッセー君は倍化チャージ! こいつは一旦私が相手しとくよ!!」
「……なら、露払いぐらいはしておきましょうか」
そんな秀華先輩の張り上げた声に応える様に、アルトリーネさんがコカビエルの後ろから攻撃を叩き込む。
コカビエルはすぐに対処したけど、目を見開いていた。
「これだけの呪術装置の影響を受けて、動けるとはな!」
「相性問題ね。そして、都合の良いことも知れたわ」
コカビエルと睨み合いながら、アルトリーネさんは声を張り上げる。
「コカビエルの星は対象の取捨選択を不得手にしているわ。影響範囲内に入れば私達もデバフを解除できる!」
「良いこと聞いたー! じゃ、動けそうな子は気合入れて特攻準備しといて! チャンスはこっちで作るから!!」
そう吠える秀華先輩は、ゆっくり一歩ずつコカビエルに近づいていく。
そしてその瞬間、何かがおかしくなった。
え、あれは!?
「天来せよ、我が守護星———鋼の
秀華先輩の格好が、詠唱を始めると同時に代わっていく。
というか、
「蛇龍の悪魔は果たして数多の
メイド服が溶けるように消え、新しい衣装へと変わっていく。
「心に残り記憶に残らぬ、二つの
一歩ずつ前に進みながら、秀華先輩の格好が変化していく。
「悪しきより良きものを守りたいと、成すべきことを成したいと、切に願えど獣は疼く」
黒く染まった、金で縁取りされた煽情的な衣装。そんな格好に変わりながら、秀華先輩はどこか寂しそうな顔になった。
「悪しきの中に善が残り、善の中に悪が潜む。この無常たる混沌の中、
それを振り切るように、先輩は表情を笑顔にする。
普段のそれとは違う、ニヤリと挑発的なその笑顔は、きっと敵を倒すという強い決意の表れだ。
「強欲なまでに、淫蕩に耽り、美味を暴食し怠惰に眠って、傲慢なまでに邪悪に憤怒してもなお、焦がれに嫉妬する己に立ち向かいたいと、切に切にと願うから」
そして彼女は浮かび上がる。
「
天に輝く月を背に、波柴秀華先輩は、自身に満ち溢れた宣言を響かせた。
「どうか我が心臓に牙を立て、
これが、秀華先輩の星辰光……っ!
「
波柴秀華
基準値:B
発動値:A
収束性:A
拡散性:E
操縦性:AAA
付属性:A
維持性:D
干渉性:E
コレ、頂上決戦が始まってる!?
《樹下誠二》
大体読めた。解析もできた。
長時間の戦闘を試みて、動きは読めた。
心が破綻寸前ゆえに、動きに隙も見えている。
そして色々と切るべき対象も見えている。
だからこそ、ここで動く。
「創生せよ、天に描いた星辰を———我らは煌く流れ星!」
展開するは、獣斬脚として発現する黒刃の狗神。
オリジナルの神滅具に比べればかすむような性能だが、これが切り札になりえるのは間違いない。
それに、そろそろ勝負をかける時だ。
割と時間がないし、付け加えると秀華も奥の手を切ったらしい。
波柴一族の血道をあげた努力の集大成。かつて魔王が関わっていたとされる存在を誑し込み、その因子を取り込むという努力。その結実こそが、魔王レヴィアタンの先祖返りである波柴秀華。
俺達は間違いなく、「リアス・グレモリー眷属の姫島朱乃の監視」を名分にリアス・グレモリー先輩達に監視されている。そういう依頼を日本政府から受けているはずだ。
それだけの理由としては十分だろう。波柴一族はあまりに狼藉を働きすぎ、秀華に至ってはレヴィアタンの血筋という無視できない要素を持っている。
それを分かったうえで、秀華は解放することを決意した。
今後が荒れる。間違いなく荒れる。悪魔側でも「日本政府に属する組織に、魔王の血族が所属している」なんて絶対警戒する奴が出てくる。なんたって、市井を利用する形で内政干渉する手段があるわけだからな。
リスクがあまりに大きい。おそらくだが、今後の生活に大きな支障が出るだろう。
それを覚悟のうえで、秀華は解放すること選んだんだ。
ならそれに応える。少なくとも―
「何もできませんでした、は断じてないんでな!!」
―星辰光を開帳し、俺は瞬時に突貫。
信子さんとコナユキは左右から連携で仕掛けるが、もうその手では足りない。
短い時間だが、俺は動作のパターン化をわざとしていた。それも、あえて大振りで目立つようにだ。
おかげでいくつかパターンを読まれて反撃も喰らっているが、だからこそ本命が通用する。
一瞬の交錯。わざとパターンから大きく外れた本来の動きで、俺は二人を切り刻む。
一呼吸を置き、警戒しながら振り返れば二人は崩れ落ちている。
「な……に……?」
「……切られた?」
困惑しているようだが、まぁ大丈夫だ。
死なない程度に切り刻んだ。というより、それができるのが俺が再現している黒刃の狗神だ。
まったく。ありそうだからと調べていたら本当にあったよ、自爆術式と自殺術式。ついでに言うとそれも複数。
ありそうだから調べて、ある程度辺りをつけてからまずそれを滅多切りにして発動を妨害。これで何とかなりそうだな。
「さて、自力でやられないように拘束しとくぞ。口もさるぐつわを噛ませるが悪く思え」
恨まれるかもしれない。いや、ここまで行くと恨まれるのが妥当か。
それでも、今のままにすることは俺にはできない。
今更という事実は承知の上だ。俺は、二人に背中を押された者として、成果をきちんと持ち帰る。
「さて、もうちょっと待ってろよ、秀華……皆……」
決着がついているというのが、一番楽な理想的展開だろうがな
《空本麗夜》
「ふはははははははっ!! こういうのを待っていたんだよ!!」
コカビエルが猛攻を繰り広げる中、真っ向からアルトリーネさんと殴り合う。
だが同時に、この程度では断じて止まらないのがコカビエルだ。
ついでに言うと、同時に多角的な砲撃をすべて弾き飛ばしている。秀華所長の猛攻を同時に捌き続けながら対応している。
やはり強い。こちらが絶不調状態だから、寄れないもきつい。
「雑魚どもはまだ動けんか! まぁ、この程度で倒れるようならそもそも俺の相手には不適格だがなぁ!!」
「言ってくれるわね、十分すぎる嫌がらせでしょうに!!」
アルトリーネさんが反論するが、確かにきつい。
そもそも、所長の奥の手であるあの星は、俺達が動けない状態だと本領を発揮できない。
動け。一瞬でいい。
まともに動ける時間をくれ——
「リーナ、行くわよ!!」
「はい、お姉様!!」
——気づけば、左右を支えられていた。
「麗奈!? それにリーナちゃんだっけ……動けるの!?」
「「無理やり、何とか!!」」
凄い。普通に凄い。
思わず戦慄していると、ふと麗奈がこちらを見た。
「……麗夜。もし、私があの時素直に告白してたら……どうだった?」
その言葉に、俺は視線を逸らさず答える。
一番いい答えはそうだということだろう。だけど、質問内容の答えとしてはそぐわない。
何故なら、これはあの時の空本麗夜がどう答えるかだからだ。
「戸惑っただろうけど、あまり考えずに断るだろうね……麗華がいるからって感じで」
適当に場を濁すことなく、俺ははっきりと答える。
それを聞いて、麗奈も苦笑いを浮かべながら空を見上げていた。
「なら闇堕ち不可避かぁ……。ま、あの頃の私も大概だしね」
「俺もだよ。守れるような男でいたいって願望が、何一つ行動や思考に繋がってないんだから」
本当、俺も麗奈も大概だ。
「「ま、麗華も大概だけど」」
「聞こえているぞ!? いや、事実だが!!」
意外と麗華は大丈夫そうだね。……まぁそこはいいか。
「あそこまで連れて行ってくれ。俺一人でもいければ、一気に形成を傾けられる」
勝機を掴み取る為には、どうしても桃山警護事務所のメンバーが接近戦を担当する必要がある。
そして、麗奈はそれに頷いてくれた。
「OK。リーナ、面倒懸けさせるけど手伝って」
「はい、お姉様!!」
その瞬間、俺は一気に連れていかれる。
薄い結界の内側に入った瞬間、かけられているデバフがほぼ消えたのが分かった。
やはり、コカビエルの星は効果範囲の低さと指定対象の識別不能が難点だ。
その観点で言うならば使い勝手が悪い。単独で敵を遠距離から仕留める分には効果的だが、接近戦に持ち込まれればそうもいかなくなる。
そう、だから―
「所長! フルスロットルで行きますよ!!」
「OK! やっちゃってー!!」
―ここから先が、波柴秀華の全力全開だ。
「創生せよ、天に描いた星辰を―我らは煌く流れ星!!」
踏み込むと共に、全力で雷撃を発生させながら魔剣で切りかかる。
迎撃の刃が振るわれるが、それを魔剣は真っ向から鍔ぜり合うことに成功する。
「馬鹿な! 至ってもいない魔剣創造でここまでの強化ができるわけ―」
「悪いけど、本番は此処からだ!」
コカビエルが驚愕したその瞬間、俺は海水を操作してコカビエルに絡みつかせる。
雷撃の余波が、海水という通電体を通してコカビエルに襲い掛かる。
それでもコカビエルは耐えるが、しかし少しずつ確実に削れていっている。
その事実を悟り、そしてコカビエルは俺達の違和感に気づいたらしい。
「貴様もレヴィアタンだと!? 馬鹿な、例え悪魔の駒であっても不可能だ。何より、いくらなんでも集まりすぎて……まさか!?」
コカビエルは悟ったようだ。もっとも、悟ったからってどうしようもないけどね。
「対象をレヴィアタンの眷属へと変える星辰光か! いや、だとしてもこの強化はおかしいぞ!?」
「いい線ついてるピンポンピンポン! そして、分かるわけがない部分を含めて答え合わせで……そう、
そう所長が吠えた瞬間、俺の強化が更に向上していく。
その恩恵を受け、俺は真っ向からコカビエルを抑え込みにかかった。
「まず一つ! 私の星辰光こと
ビシっと指を突き付けたうえで、秀華所長は更にポーズをとる。
「そしてもう一つ! 眷属に結晶化した星辰体を付属させ、更なる超強化をもたらす掟破りの二つ目星辰光! それこそが、
そう、所長の反則性は此処にある。
異なる形で他者を強化する星辰光。本来一人につき一つの星を二つ持つ。その反則性こそが彼女を脅威に進化させる。
コカビエルも想定外だったようだ。相当に驚いている。
「星辰光を二つ持つ存在だと!? なんてことだ、信じられん!」
目を見開いているコカビエルの左右に、更に回り込む存在がいた。
「まったくだわ! ビビったわよ!」
「すっご! いや本当にすっご!」
コカビエルの星の恩恵を受け、左右から麗奈とリーナちゃんが迫る。
それぞれ聖剣と打撃で攻撃を仕掛けるが、コカビエルも流石に余裕が消えかけている。
そこにアルトリーネさんも混ざり、俺もいる。外側から所長も動く中、明確に不利な情勢下に置かれているだろう。
その上で、コカビエルは歯を剥いて笑っている。
「いいぞ! そうだ、戦争とはこうでなくてはならん!!」
更にギアが上がるか。これだから戦争狂は……いや。
「悪いがコカビエル。そろそろを終わりだ」
視界の隅に映った事象を見て、俺は勝利を確信した。
そう、所長の更に後ろ。月光を背にし飛び上がる影。
星辰体という世界全土に満ち溢れた存在に影響を受ける存在。そのすべてを滅ぼしうる星辰体の反粒子。
その力で、強引にデバフ結界を無視して突貫する俺達のエース。
「開幕速攻で蹴り砕く……
!!」
そのまま悪魔の翼を生やし、直線軌道で誠二が強襲。
コカビエルは素早く抜き打ちで多数の光の槍を放つが、そのすべてを蹴り砕いて誠二は迫り―
「な、めるなぁ!」
―その斬撃を、コカビエルはかろうじて躱す。
軌道から安全圏を読み取った。その事実にこちらが驚いたその瞬間。
「想定内だ!」
僅かに反粒子を纏った剣が、コカビエルに深い斬撃を叩き込んだ。
反粒子を纏ったその一撃は、全力の神滅具すら超えうる破壊力を秘める。
この奥の手を使った状態なら、麗夜は圧倒的な攻撃力を一瞬だけ獲得できる。
そして、これはそれをフェイントとした搦め手。
明らかにまずい攻撃をわざと回避させることで、コカビエルに隙を作る為の反則技。
その一瞬、その一瞬だけ、コカビエルは間違いなく隙を見せていた。
そしてそれを見計らって、俺達は急いで距離を取る。
コカビエルが一瞬困惑するほどの愚行に見えるけど、だってねぇ?
「これで終わりだ」
誠二も飛び退りながら、親指で首を掻っ切るジェスチャーをする。
「……やっちまえ!」
「分かってらぁ!」
その瞬間、答えたイッセー君がコカビエルを後ろからアッパーを叩き込む。
背中から逆に九の字気味になったコカビエルは打ち上がる。
そして、その致命的な隙を逃さないのは譲渡を受けた―
「終わりよ、コカビエル!!」
―リアス嬢の消滅の魔力だ。
溜まりに溜まった魔力に、コカビエルは包み込まれていった。
決着!
そして、秀華の星辰光を紹介して終わりましょう
基準値:B
発動値:A
収束性:A
拡散性:C
操縦性:A
付属性:A
維持性:D
干渉性:D
波柴秀華の星辰光。
能力は人体改造・眷属化能力。自分の肉体に同調させる形で対象を調律することで、対象を異形へと変化させる星辰光。
人体改造とは言うが、その調律には条件として自分の血肉を触媒として必要としており、事実上の臓器移植レベルの消耗が必須になるため、うかつな乱用は不可能。万が一の場合に備える必要もあるうえ、時間もかかるため戦闘での転用は不可能。触媒の量を減らし回数を駆けることで消耗を最小限にしつつ眷属にすることもできるが、それはそれで長い期間を必要とするため乱用できるほどではない。能力としては収束性と付属性で相手に自身の肉体をしみこませ、それを媒介にオートで操縦性により調律するといった形となる。
そのため、直接戦闘にはめっぽう不向き。応用として範囲内の眷属の肉体面を活性化させることで性能強化を施すことはできるが、これも裏技かつ小技の域を出ない。そういう観点からすると、直接戦闘において身体強化しか施されないこの星はかなりリスクが大きい。
反面、彼女自身が魔王レヴィアタンの先祖返りであることもあり、その眷属と化すことには大きすぎる意義がある。到達したのはまがいものとはいえ、魔王レヴィアタンの末裔。必然としてその能力は強大であり、特性の再現すら理論上は可能。あまりに無視できない要素を持ち合わせている星といってもいい。
加え、秀華が星辰奏者であることから眷属は星辰奏者としての資質を強化される。ゼロに何をかけてもゼロの理論で素質が必要だが、素質があれば底上げすることが可能という点でさらに無視のできない優位性が存在する。
総合的に見て、単独で戦闘を行う戦士や戦闘を行うものたちの一人である兵士でもなく、戦うものたちを従える王者のための星辰光。
魔王と関白の血筋を併せ持つ、羽芝秀華にふさわしいこの星が振るわれるは、覇道のためか王道のためか。
彼女の選択のその先に、新たなる運命の果てはある。
★詠唱
創生せよ、天に描いた星辰を———我らは煌く流れ星。
悪意、邪気、怨念、玩弄。善になりえぬ数多の願いも、世界という海原は包み込む。
醜悪宿す大海は、されどそれにも留まらず。善と限らぬ道理はあれど、善が皆無な無体も無し。
善意、清廉、慈悲、高潔。悪になりえぬ数多の祈りも、包むが故に森羅万象。大陰大陽の縮図が如く、全てがゆえに夢幻が如く。海原が如き世界は麗しい。
故にこそ我が選択はどうあるべきか。絢爛なりし煌く海を、蛇龍が流離う理由は何だ?
その答え、我が星の煌きで示すのみ。見届けることを望むなら、汝も我が身の一部なり。
殻を脱ぎ捨て輪廻せよ。転生の時は今来たれり。
プロローグで詠唱されてた星辰光。実は秀華でした。
要約すると「お前もレヴィアタン(永続)」。より厳密にいえば自分と同じ存在に人を改竄する星辰光で、レヴィアタンになるのは彼女がレヴィアタンの先祖返りだからですが。
事実上の相互監視という形にしていたのも、奥の手が本当に最終手段なのもこれが理由で、これまでは入念な封印処置をかけていたというわけです。
最終手段なのはその性質によるものですね。ただでさえ国内全域かつ国外にもパイプを持つ犯罪組織の血族なので、告発してくれた貢献者とはいえやはり微妙な立ち位置ではあります。しかもレヴィアタンの末裔であり、その監視も兼ねて国家機関に属しているため、内情を知られれば比喩抜きで悪魔側から「日本政府は内政干渉する気か?」などと思われかねない。大王派や旧魔王派が知れば暗殺のために一時的に手を組んでかなり派手なことをしかねない。
このため本当に最終手段でしか、この星の封印解放は不可能。今回の事態は「一歩間違えると人間世界を思いっきり巻き込んで大戦争が起きるしかも起点が日本とか、キリスト教主体国家に何をされるかわかったもんじゃない」といった感じでこうなりました。ここからのかじ取りで小笠原長官とサーゼクスたちは胃が痛い生活を送ることになるでしょう。
まぁそういうわけで、桃山警護事務所の面々はかなり底上げされています。また秀華自身が優れた星辰奏者なので、星辰奏者としての適性も上がります。設定的には誠二と美子以外はこの底上げ無しでは星辰奏者になれません。ラグナロクのリチャード君が使徒になったのと理屈としては近いでしょう。
そして、本命がこちら!
|銀の悪魔が守りしは、人界を照らす夜明けの光《シルヴァリオ・ディアボロス》
基準値:B
発動値:A
収束性:A
拡散性:E
操縦性:AAA
付属性:A
維持性:D
干渉性:E
波柴秀華の持つもう一つの星辰光。
星辰光の権能は、結晶化星辰体貸与・眷属超精密調律。星辰体が結晶化した物質である翠星晶鋼を細胞単位で極微量、眷属に浸透させることで眷属を超強化する星辰光。
その存在はいわば、人奏式人造惑星・悪魔型というべきそれ。星辰体との感応量・悪魔としての基本性能が明確に数段上がるため、存在としてのグレードが段違いに昇華。星辰光の基本性能は人造惑星のそれとなり、悪魔としての基本性能も女王の駒を歯牙にもかけない強化を与えることとなる。
むろん神器使いとしてのポテンシャルも大きく向上。意識的に調律をすることができれば、其れこそ限界到達点たる禁手のさらなる進化を担う余地も存在する。
反面、あくまで眷属の強化にしか運用できないのが最大の欠点。
調律を的確に行うのは至難の業。加えて翠星晶鋼も一時的な貸与であるため、時間制限を超えれば自動的に恩恵は解除される。
必然、この力を最大限に発揮するには常人を超える意志力が必要。また拡散性が極まって低いことと通常の星と違うことから、事前に本来の星辰光で調律した眷属にしか使えないという、使い勝手の微妙な悪さも存在する。
異なる世界で光を極め、そのうえで人界を尊ぶ人造の極晃。それが宿すその意味を、彼女が知ればどうなるか。
人界の極みを借り受けるこの星を、魔王が宿す意味はいずこに。
★詠唱
天来せよ、我が守護星———鋼の
蛇龍の悪魔ははたして数多の
心に残り記憶に残らぬ、二つの
悪しきより良きものを守りたいと、成すべきことを成したいと、切に願えど獣は疼く。
悪しきの中に善が残り、善の中に悪が潜む。この無常たる混沌の中、
強欲なまでに、淫蕩に耽り、美味を暴食し怠惰に眠って、傲慢なまでに邪悪に憤怒してもなお、焦がれに嫉妬する己に立ち向かいたいと、切に切にと願うから。
どうか我が心臓に牙を立て、
これがシルヴァリオシリーズ名物! 新西暦サーガ名物! 「メインヒロインの異能でタイトルコール!!」だぁああああああああ!
要は「自分の眷属超強化」。しかしめっちゃ強化されます。
あともうシルヴァリオに詳しい方はわかっていると思いますが、秀華は光狂い側です。立ち位置としては限界突破さんに近い「覚醒を我慢して負ける」ことができるタイプ。下手するともっと我慢できるタイプです。
自分の仮説ですが星辰光は性質に性格が出る場合は多いとみなしております。そして秀華の場合は「光狂い適正高い」「地頭めっちゃいい」「コミュ力高い」の三点セット。だからこそ所長なんてやれております。
バッファーとしてのポテンシャルは尋常じゃなく高い。このため本作品では、決めどころで秀華が所員の誰かを超ブーストするというパターンにしたいです。