シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
さて、後は事後処理ターイム♪
《兵藤一誠》
リアス部長の消滅の魔力を浴びたコカビエルが、地面に墜落した。
ぴくぴく痙攣しているけど、碌に動けてない状態だな。もう大丈夫かな?
「でかしたイッセー。俺が来なくても何とかできたかもな」
樹下がそう言いながら、軽く拳を掲げてた。
俺はすぐに気づいて、拳を握ると軽く当てる。
「いや、来てくれて助かったぜ。そっちはどうだった?」
「とりあえず、自爆術式とか自決術式をぶった切って拘束中だ。悪いがすぐ戻って再確認だな」
え、そこまでしてきてくれたのか。
マジで助かったな。来てくれてないと、流石に腕を生贄に捧げて戦わないといけなくなっただろうし。
あれ? つまりリアス部長と朱乃さんによるダブルチューチューができなくなったということじゃね? 恨んでもいいのか?
いや、流石にそれはちょっと酷いな。使っても勝てるか分からなかったし。
『今代の相棒は、色ごとに夢中すぎだろう』
うっせぇよドライグ! だって、ダブルチューチューだぞ!?
「さて、さっさとコカビエルを拘束したうえで、二人の様子を再確認しな……げ」
樹下がそう言いながらコカビエルに振り返って固まった。
振り返ると、コカビエルはぴくぴく震えながらも立ち上がっていた。
え、まだ動けるの!?
「楽しい……ひと時だったが、勝ち逃げは許さん…………貴様らも道連れだぁあああああああっ!!!」
なんかめっちゃ大量に光の槍を出してる!?
ヤバイ、ドライグ今度こそ右腕を―
『流石にそれは見苦しいな、コカビエル』
『Divide!』
―と思った瞬間、声が響いて光の槍が小さくなっていく。
結界の内側にある光の槍は無事だけど、それも一斉に放たれたいろんな攻撃が打ち落とした。
雷は朱乃さんのそれ以上だし、炎もライザーよりやばそうだ。更に氷とか嵐とか水とか光とかが一斉に襲い掛かって、コカビエルの光の槍を十数本全部打ち落とした。
そして、コカビエルの眼前には一人の女性が舞い降りていた。
「ここまでよ。人の義妹に手を出さないでくれる?」
「貴様ら、まさかここまでッ!?」
その瞬間、拳が叩き込まれてコカビエルが失神した。
あ、やっぱり色々限界だったんだな。
そう思っていると、ボロボロだったとはいえコカビエルを死に体にした三人が、着地して辺りを確認していた。
っていうか、一人はグレイフィアさんだ。来てくれたんだやったー!
『ケルベロスは全滅。バルパー・ガリレイに波柴矢城は死亡。あとフリード・セルゼンとかがいたはずだが、どうやら逃げているみたいだね』
白い鎧の奴がそう言うけど、そういえばフリードの奴がいねえ!?
あいつ、状況がまずいと見て逃げやがったのか。相変わらず逃げ足の速い奴だ。
俺がしたくもない感心をしていると、その白い鎧の奴は俺の方を見て首を傾げていた。
「ふむ。限定的にだが禁手には到達している。……この程度なのは残念だ」
いきなり失礼な奴だな、こいつ!?
「ちょいちょいヴァーリどん。それはちょっと酷くない? 麗奈さんから聞いた話じゃ、彼、こっちの存在を知ってからそもそも数か月だよ? ドーナツでも食べて落ち着きなよ」
「悪いが、戦闘前にご当地カップラーメンを食べたばかりだからやめておこう。それに、宿命のライバルがこれでは片手落ちだ」
なんか神父服着た人がなだめているけど、白い鎧の奴はそんなことを言ってくる。
いや本当に失礼!? っていうか宿命のライバルって何!?
俺が困惑していると、樹下が何故か俺に白い目を向けてきた。
「まぁ、普通に考えてパイズリとフェラのコンボで至って死んだから悪魔に転生って、色々あれだしなぁ。別の意味で嫌がってもおかしくない気がする」
「お前も酷いな!? なんで!? 当然じゃん!?」
お前、人生初の新境地だぞ。
あんな可愛い女の子やお姉さん三人にエロエロなことをしてもらったんだぞ?
至るだろ。至っちゃうだろ。絶対至る!!
「少なくとも、俺はその手の経験で至ったことは一度としてない禁手童貞なんだが」
え、マジで?
いや、確かにこいつはエロエロな人達が多い生活を送っている。というか、秀華先輩達のおかげで俺も童貞を卒業できたし。
だが、できてないって……マジかぁ。
「なんでできないんだよ、おかしいだろ!?」
「自分を基準にするのやめろよな!?」
どなったら怒鳴り返されたし。
……あれ? なんか白い鎧の奴がこっちを見てるぞ?
「……ふむ、なんでも色ごとに関わる事象だったか。……それで至ったのか? なるほど……興味深い……」
な、なんか凄い食いついてるな。
樹下がなんか信じられないものを見てる顔になってる。戦慄を覚えてるぞこいつ。
「おぉ~。今代の赤龍帝はなんか凄いね。俺の同期な神滅具持ちって、面白い子だねぇ」
神父服の人もなんか面白がってるけど、俺って面白いのか。
「……えっと、とりあえず俺は信子さんとコナユキの方に行っていいですか?」
「状況は分かりませんが、とりあえずこの場は増援も向かいますので問題はありません。敵の伏兵や残党がいるかもしれないので警戒は忘れないでください」
あ、なんか樹下が話しを進めてる。
グレイフィアさんに確認を取ってから、樹下は二人のところに行こうとしている。
「あ、ちょっと待った!」
あれ、なんか雨宮さんが樹下を呼び止めた。
というか、すぐに神父服の方に顔を向けてたな。
「悪いけど、デュリオも付いて行ってくれない? ほら、私に最初会った時に使ったやつ、完成したの使っておいてほしいのよ」
「あ~。そういうこと。オッケーオッケー、麗奈さんの頼みなら断らないよ、んじゃ連れて言ってくんない?」
「え、なに? カウンセラーの資格持ちとかそういうのですか?」
なんかよく分かんないけど、とりあえずあっちはあっちで任せていいのか?
「さて、俺はさっさとコカビエルを連れて帰るとしよう。それぐらいはいいだろう?」
「はい、かまいません。ですが、外周部で捕縛した者達についてはまずこちらで尋問などをしますので」
グレイフィアさんは白い鎧の奴を話しているけど、話し終わったら白い鎧の奴は失神したコカビエルを担いで背を向けた。
『……無視か白いの? 珍しいこともあるもんだな、おい』
と、ドライグが白い鎧の奴に声をかけた。
『……そうだな赤いの。そちらも殺気があまり見えないが』
と、白い鎧から違う声が響いてきた。
え、これどういう状況?
『ま、今回の相棒は中々面白くて特殊すぎてな。まぁまだまだ弱っちいのが難点だが』
『こちらも面白いが、なにより強いのでな。そういう意味では、今代の戦いは有利だな』
な、なんかフレンドリーだな。さっき物騒なことを言ってた気もするけど。
「ふふ。どうやら今代は面白い二天龍対決になりそうだ。……俺は白龍皇のヴァーリ。至って入るようだし、慣れて強くなってくれよ、俺のライバル君?」
そういうと、ヴァーリとか言うのはコカビエルを抱えて空に飛んで行った。
な、なんかさっぱり分からないけど、とりあえずは生き残った……のかな?
《樹下誠二》
「麗奈さんが知り合いいるって言ってたけど、君じゃなかったんだ。ま、見た感じまだ学生さんみたいだし当然か」
「まぁ、今回同窓会になってましたけど。で、デュリオさんでしたっけ……何するんです?」
雨宮麗奈の勧めで連れてくる形になったのは、デュリオ・ジュズアルドというらしい。
なんかすっごくフレンドリーで、あと軽い。とはいえ悪い奴ではないようで、仮にも別勢力の俺にドーナツをくれた。
特に毒もなさそうなので食べてみるが、美味いな。
「これどこの店です?」
「あ、今回は俺の手作り。美味いもの巡りが好きなんだけど、レシピ再現して作るのもやってるんだよ」
へ~。中々いい出来じゃないか。
店売りかと思ったけどこの美味さ。激しい戦闘でカロリーを体が求めていることを踏まえても、金がとれるだろう。
……と、現実逃避もここまでだ。
俺は信子さんとコナユキを拘束しているところまで辿り着いた。
二人とも、戦闘不能状態だったこともあるが、そのうえで積極的な抵抗は見せてない。
いや、抜け出そうとはしている。だが、そこに死力を尽くすとか切羽詰まった感覚がない。
虚ろな感情。その流れでこうなってしまっているんだろう。
とにもかくにもカウンセリングやセラピーが必須だろう。何年もかかるだろうし、其れでも成果が出るかは分からない。
ただまぁ、恥も後ろめたさも承知のうえで助けることを選んだんだ。収入や貯金の多くを差っ引いてでも金で解決できるところは解決するし、可能な限り時間を作って方々に頭を下げるなりする程度のことはするさ。
そう決意を入れたいると、デュリオさんは両手の間に何時の間にかシャボン玉を作っていた。
……シャボン玉を作っていた。
「え、それなんです?」
なんかいきなりの展開に、俺は思わず真顔で質問してしまった。
「あ、これ? 俺は
そう言いながら、デュリオはシャボン玉を周囲に飛ばす。
ちょっと待ってくれ。情報量が多すぎて、色々消耗している今の俺の頭だとついていけない。
あとなんだこのシャボン玉。当たっても特に何もないんだが。
「ちなみに誠二君だっけ? 君、自分にとって一番大切な思い出とか、思い出せる?」
「亡き母の教えとかですね。今でも毎日思い出せますけど、なにか?」
俺がデュリオのよく分からない質問に答えていると、二人に動きがあった。
……なんかボロボロ涙を流しているんだけど。
あと信子さん、めっちゃくちゃ頭を抱えて暴れてるんだけど!?
何がなんだと思っていたが、俺はふと思い立った。
今の質問、つまりそういうことか?
「俺は禁手を使ってごり押しとかあんまり好きじゃなくてね。こういった方法で少しでも丸く収まったらって思ってたんだけどさ? ……それでも、逆につらいこともあるのかもね」
デュリオさんは寂しげにそう言うと、俺達に背を向けて歩き出す。
「多分俺はお邪魔虫だし、今日は帰っとくよ。……あとは頑張りな」
「……ありがとうございます」
俺は深く一礼したうえで、すぐに二人のもとに駆け寄る。
まずコナユキの猿轡を切って外すと、コナユキはまだ虚ろさが残りながらも、感情が籠った光のある目で俺を見る。
「……ごめんね、誠二君。迷惑かけちゃって」
「気にするな。俺の方こそ、なにもしてこなかったしな」
本当にそうだ。謝られる資格もない。
俺はあの時、生きて一族に決定打を与えることを目的として動いていた。
母の教えを忘れず、そのうえで無駄死にを避ける為だ。やるのならそれぐらいしなければいけないと思っていた。
だからこそ、下手に感づかれる真似は出来なかった。俺の決意は俺の中に留め、奴らの教えを生かして人生の選択肢を広げることに終始していた。
だから、コナユキに謝られる資格はない。
そう思っていたが、コナユキは首を横に振ってくれた。
「そんなことないよ。私達が教育で困ってると、アドバイスをよくくれたもん。……本当に、あれが無かったらきっともう死んでる」
そういうコナユキは、だが涙を零していた。
「……そうじゃなかったら、きっと大切な約束を忘れたまま死んでた。それこそ二人に、怒られちゃう……っ」
俺は、コナユキの事情をあまり知らない。
教育機関で下手に子供同士が情を交わすと、ろくでもないことの利用されかねないと思っていたからな。
ただまぁ、成績を全く出すこともできずに使い捨ての特攻兵器にされるのは流石に可哀そうだったので、それとなく俺の視点からのアドバイスをした程度はある。その程度だ。
だから、俺はコナユキの約束の意味を知らない。その涙の理由も知らない。
……だから、今から始めるしかないんだろう。
「今度教えてくれ。助けちまったから、肩ぐらいたまには貸すさ」
「うん、ありがと。だから、今は信子さんを……」
コナユキの気づかわし気な視線に頷きながら、俺は信子さんに方に向かい、猿轡を外す。
「……ごめんなさい……お祖母ちゃん……」
俯きながら、疲れ果てたように弱弱しい声で、それでも信子さんは謝っていた。
「ごめんなさい……約束守れなくて……ごめんなさい……裏切って嘘ついて……ごめんなさい……だまして巻き込んで……」
「……信子さん」
俺は、信子さんの肩を揺すってこちらに気づかせる。
「……誠二君。ごめんなさい……私―」
「―いいから」
俺はそれを遮った。
努めて作るまでもなく、俺は今苦笑しているだろう。
ああ全く。本当に。
「あの一族が糞の権化なくせして割と優秀なのはよく知ってる。ぶっちゃけて言うと、職場の連中は俺含めて全員被害者だしな」
そういったうえで、宥める様に頭をなでる。
「人間の道をどうすれば踏み外させられるかマニュアル化して、義務教育中に叩き込んで大学出るまでに実践するよう教え込まれる冥府魔道だ。そんな連中に目をつけられた信子さんは被害者だ。……よかったな、死ぬまでにちゃんと後悔できて」
あそこのクソっぷりは嫌というほど理解している。四年間もみっちり体験させてくれやがったからな。
だけど、ちょっとチート臭い手段だがこうして正気に戻れたんだ。そこは本当に運がいい。
「大丈夫だ。しっかり罪を償ってけじめをつけて、マイナス分を補填してお釣り来るぐらい人を助けよう。そうした上で、これから一杯幸せになればいい」
俺はコナユキにも聞こえるように、そうはっきり告げる。
「
一度手を放し、二人を顔をしっかり見て、俺は言い切る。
「―
この言葉に俺は責任を持つと決めている。
助けて引っ張り上げた。そして、その後の居場所まで用意するんだ。
怪我人を見つけて救急車を呼ぶとか、迷子を交番に連れていく。そういうレベルの人助けじゃない。
文字通り、助けた相手の人生を背負うことを決めたんだ。それぐらいはさせてほしいぐらいだ。
彼女達が前を向けず、結局邪悪のいいようにされる道を選ぶのなら。その時は、其れで被害者が生まれないよう俺が終わらせる。
その言葉に、二人は少し目を見開いていた。
ま、そこまですることになるかは分からないけどな。
「……最終手段だけどな。それまでに、俺の仲間や友人もいるからどうにかできるとは思うけどさ?」
苦笑しながらそういうと、二人とも、少しだけ笑えてた。
「……うん。いい人に拾われて、私も連れて行ってくれるんだ。……やっぱり、君もいい人だよ」
「……信じたからね。本当に、どうしようもない女なら殺してよ?」
「ああ、そこは絶対に約束する」
できないのなら死んでいい。例え死のうが道連れにしてでもそれを成そう。
それが、ここに来るまでにいくつもの業を背負った俺のケジメ。
被害者に許しは請わない。道理を犯さぬのならば報復してくることも受け入れよう。少しずつだが賠償だってできる範囲内でしている。
その上で、俺は母さんに胸を張れる俺を、少しでも張り通す。
……大丈夫だ、母さん。俺は、ちゃんとあなたに胸を張れる俺を目指すから。
ま、いざという時は秀華にも頼るさ。
あいつの笑顔も覚えてる。だからこそ、ここまでこれたんだしさ?
《空本麗夜》
「……とりあえず、新入社員二人ですかね?」
こっそり様子を確認してから聞いてみれば、秀華所長は苦笑いを浮かべていた。
「そうだね。……上に、説教されながら話さなきゃいけないのは大変だけどねー」
ま、確かに。
所長の血に宿る秘密―レヴィアタンの先祖返りという事実―に二つの星辰光という事実とその性質。この二つはこの事務所はもとより、祓魔庁を通り越して日本政府のトップクラスのシークレットだ。
何せ旧王族の末裔といえる存在が、先祖返りとはいえ日本政府直轄の機関に属しているんだ。最悪の場合、所長を大義名分として冥界政府に内政干渉ができる。悪魔社会にとって、レヴィアタンの末裔は今でもそれだけのことが可能となるだけの影響力を秘めている。
実行する気の有無に関わらず、可能だと断言できるなら警戒する必要がある場合もある。こと悪魔社会の場合、大王派が怖い。
なので、こっそり日本政府は現魔王側に話を通していた。それがこの相互監視の実態だろう。
たまたま日本側が監視した方がいい相手と、悪魔側が監視しておくべき相手が同年代。これを上手く利用した言い訳づくりだ。
もっとも、俺達が勘づいているだけで伝えられてはいない事実。リアス嬢も、何かあるとは思いつつもこんな地雷は予想してないだろうし、伝えられてもないだろう。
事態が事態だから使わざるを得なかったし、一応長官にも許可はもらっている。
もらっているけど後始末が面倒くさいことになりそうだ。最悪、大王派が暗殺を目論みかねない。
「あーめんどい。あとあの二人のメイド服も見繕っとかないと?」
「そこは後でいいですよね? あ、ストレス発散ですね?」
意外と余裕あるな、所長。
そんなことを思っていると、所長はこっちの方を見た。
「そっちはそっちで頑張りなよ? ほら、いうことあるんでしょ?」
……それもそうか。
俺が気持ちを切り替えると、所長は背中をバシッと叩いてくれた。
「頑張れ男の子! 大丈夫、君が恨まれたままでも、私は君が幸せになることを否定しないよ」
ああ、その言葉は覚えている。
その言葉に、俺はとても救われた。
「分かりました。では、行ってきます」
そう言って歩き出しながら、ふと夜空を見上げる。
そういえば、あの時もこんな夜空だった気がする。
そう思っていると、何時の間にか手を握られていた。
「頑張って、ダーリン。私もついてるからさ?」
美子ちゃんが何時の間にか隣で手を繋いでくれていた。
そうだね。
君を助けられたこと。君が俺を救ってくれたこと。
それがあるからこそ、俺は今ここにある。
「ありがとう、美子ちゃん。君は本当に俺を助けてくれる……それに恥じない俺でいるよ」
さて、じゃ、まずはちゃんと謝るかな?
デュリオの虹色の希望は、冗談抜きでこういう時に非常に便利ですよね。
後殺し文句(文字通り)の誠二でした。こやつ、無自覚にキルスコアが多いのですよ。