※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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はいどうもー! 昨日は元L×L第二部のほうを更新したグレン×グレンでっす!

さて、今章のエピローグだぜぃ!!


第十三話 嫌なことはいいことで上書きして前をむこう!

《樹下誠二》

 

 

 そして次の日。

 

 とりあえず、そこに至るまでの内容を簡潔に説明しよう。

 

 アルトリーネはあの後、現場に残った各勢力の代表と話し合いをしたらしい。詳しいことは聞いていないが、「あの化け物を相手に、お互いよく頑張ったわ」と伝えるように言っていたとか。

 

 そして駒王町の被害はほぼゼロ。外周部などにいたコカビエルの配下や波柴矢城の子飼いの連中も大半が捕縛か討伐に成功したとのことだ。当面は安全だろう。

 

 紫藤イリナはそのまま治療施設に搬送されたとも聞いている。デュリオさんはお土産にドーナツを追加で作って置いてくれた。縁があったら日本のお菓子でもごちそうしないとな。

 

 で、その日のオカルト研究部だが。

 

「先日は、本当に申し訳ありませんでした!!」

 

 ……信子さん、渾身の土下座。

 

「ストップ。落ち着いてくれ信子さん。被害はさほどないから」

 

「いえ、これは必要なことよ」

 

 俺がなだめるけど、信子さんは土下座の姿勢を一切崩さない。

 

「まともじゃなかったとはいえ、あとちょっとでこの町を吹き飛ばすような事態を起こしていたもの。それに私が彼らの誰かを殺していた可能性もあるし、謝罪だけで済ますほうが問題よ」

 

 真面目で立派で頑張り屋さんだ。そういうところは昔から好きだったと思っている。

 

 ただ信子さん。イッセーたち、引いてる。

 

「……この人、こんな人でしたか?」

 

「俺が知ってる信子さんは、もうちょっと理知的だったな」

 

 塔城に真面目に聞かれたが、俺だって何年もあってないからな? 八年ぶりだからな?

 

 まぁ、年単位でメンタルがおかしな状態だったみたいだしな。急に一気に引き戻されたり、そこに至るまでのあれなこともあったからあれはあれで大変だろう。

 

 今後もトラウマになっているだろうし、少しずつでも支えていかないとな。最も学生生活もあるし、流花さんたちにも頼らないとだけど。

 

 さて、まずはフォローを。

 

「ほら信子さんその辺で。この人たち基本的にお人よしだから、逆に困ってるから」

 

「う、そうね……。お詫びと恩返しはまた後程ってことね」

 

 信子さんも土下座で少しは落ち着いたらしい。俺が立ち上がらせると我に返ってくれたようだ。

 

「で、その様子だと秀華のところに?」

 

 リアス先輩がそういうと、秀華も苦笑いをしながらうなづいた。

 

「そうなるねー。長官に伝えたら「心神喪失や重度の洗脳状態、加えて完璧に異形案件なので特例で裁判飛ばして執行猶予6年。また特例でそちらでちゃんと責任取って面倒見るように」なんて言われちゃったよー」

 

 秀華は笑いながら言っているが、そのあたりの手続きで俺も秀華も割と寝てない。

 

 とりあえず十五分だけ仮眠したが、荒事をした後なので結構きつい。昼休みは軽く飯を食ったらすぐに昼寝だな。

 

 そして、信子さんの全力土下座で反応が遅れたコナユキも頭を下げた。

 

「ご迷惑おかけしました。ご恩とお詫びは後で必ずします!」

 

「改めて、本当にお詫びします!」

 

 続けて再び信子さんも頭を下げるけど、リアス先輩は小さく笑ってそれを流す。

 

「そう。ならいきなりだけどお詫びを兼ねて頼みがあるわ」

 

 そういうと、リアス先輩は後ろのほうを向いた。

 

「新しい眷属の歓迎会で張り切りすぎて、ケーキを作りすぎちゃったの。……一緒に食べて頂戴?」

 

「「……え?」」

 

 唖然とする二人だが、まぁそうなるだろう。

 

 これではむしろ歓迎だ。お詫びになってないと思うかもしれない。

 

 ただまぁ、それぐらいでいいだろう。

 

「そういう人たちなんだよ。……まぁ、アンタが先輩の眷属になるとは思ってなかったが」

 

 俺は二人にそう言ってから、意外な新参者に声をかける。

 

「まぁね。……正直、少し早まったような気がしないでもない」

 

 そう返すのは、悪魔の翼を広げたゼノヴィアだ。

 

 なんということでしょう。この女、聖書の神の死を知ったことで破れかぶれになって悪魔に転生していたのです。

 

「しかし大前提が崩壊していたらどうしようもないしな。……ああ、私は間違えたのでしょうか、主よ……あぅっ!?」

 

「分かります、ゼノヴィアさん。つい祈ってしまいますよね」

 

 悪魔なのに祈って自爆する光景に、よく自爆するアーシアがゼノヴィアに同情的だ。

 

 いやまぁ、長年の経験はつい反射でしてしまうものだけどな。

 

「なんか、そっちも大変だな」

 

「お前もな」

 

 イッセーと顔を合わせると、思わずお互いに苦笑してしまう。

 

 まぁ、これからお互い苦労するだろうしな。たまに愚痴を言いあうぐらいはしてもいいだろう。

 

 そんな風に自分を切り替えていると、イッセーが信子さんとコナユキを見てから俺に笑いかけた。

 

「ま、助けられてよかったじゃなねえか! 俺も体張って頑張ったかいがあるぜ、よかったな」

 

 ……そんな、邪気の無い笑顔で言われるとな。

 

 いや、おかげで本当に助かった。

 

 イッセーがはっぱをかけてくれなかったら、俺は助けるという選択肢を選べなかったかもしれない。できたとしても、最終手段の切り替えをしていたかもしれない。

 

 そうだな、本当に助かった。

 

「ああ、ありがとう。二人を助けられたのはお前のおかげでもあるよ」

 

 本当によかった。少なくとも、現状はこれでいい。

 

 そう思いながら、信子さんとコナユキのほうを見る。

 

 ほっとした表情になっているのは間違いないが、なんか急に顔が赤くなったな。

 

 え、いや待とうか。

 

「……いやぁやっちゃったねー誠二君。こっそり見てたけど、あれは好感度爆上がりだよ? すっごく上がっちゃうよ?」

 

 なんでツンツンついてくるのかね、秀華は。

 

 というか、そういう問題なのだろうか。

 

 ちょっとまて。冷静に考えよう。

 

 ……うん、漫画とかなら確実に好感度爆上がりだ。

 

「……待って。待って待って待って。とりあえずスーパー銭湯行って心を落ち着けるまで待って」

 

「「いや、それ逆に上がる」」

 

 秀華とイッセーからダブルツッコミが!?

 

 おのれ、相棒と友人のダブルコンボな上、若干否定できないのが地味にきつい!

 

 待って待って待って。責任を取るとは言ったけど、その方向性は想定してなかった。そんな余裕なかった。

 

 いや本当待とう。そもそも俺、日本人だぞ!?

 

「ど、どうする秀華!? この国で責任の取りようがないぞ!?」

 

「あ、長官が後でメール入れたけど、そっち方面でどうにかできるかもって」

 

「あの人親切過ぎないか!?」

 

 大問題を引き起こした直後なんだが。いくら親戚である美子の上司になっているとはいえ、そこまで親切にされる立ち位置ではないだろう俺たち。

 

 日本政府的には「優秀なんだけど癖が強い」に「国家の裏に潜んでいた大犯罪集団の血筋と子飼い」なわけで。優しい人なら気遣ってくれる来歴かもしれんが、裏側に位置する国家機関がそれは別の意味で不安になるが。

 

 善良さが必ずしも武器にならないというか、善人であっても味方にならないし切り捨てないといけないこともある業界だろうに。

 

「ま、そういうわけで桃山警護事務所(ウチ)の新入社員って感じで面倒見るからよろしくねー♪」

 

「あらあら。コナユキちゃんは駒王学園(ウチ)に来ないんですか?」

 

 笑顔で秀華がそのあたりを言ったうえで、笑顔で朱乃先輩がそんなことを言う。

 

 その瞬間、ちょっとコナユキは顔をそむけた。

 

 ……うん。そうだな。

 

「一応転入試験は合格しないとと思ったんだけど……落ちちゃってね」

 

 さすがに秀華が視線をそらしながら言うと、コナユキは静かにうつむいた。

 

「む、難しかったです」

 

 ですよねー。

 

 コナユキ、別に頭が悪いわけではないんだがな。

 

 ただ、波柴矢城は拾った後に勉強を教えていたわけでもないみたいだしな。あと、俺よりは座学の成績は悪かった。言わないけど。

 

「まぁ、波柴一族壊滅後の環境が悪かったからな。この学園、偏差値高いし」

 

「あ、確かに。俺もスケベ根性で無理やり上げたから、割と赤点予備軍なところがあるしな~」

 

 俺がそれとなくフォローする方向で行くと、イッセーもうんうんとうなづいていた。

 

 ああ。それで行けるほうがおかしいしな。落第な留年になってないあたり、ポテンシャルはもともと高いんだろう。

 

 ま、それはともかくだ。

 

 そろそろツッコミがきそうと思うんだが。

 

 あ、塔城が手を挙げた。

 

「質問ですが、松森さんは何で執事服なんですか?」

 

 やっぱり来たか。

 

 さて、覚悟はしていたがどうフォローするか。

 

 俺と秀華の視線が交錯したその時だ。

 

「……メイド服は、その……大学時代のことを思い出しそうで着たくなくて」

 

 自分から自爆しないでくれ、信子さん。

 

 ほら、沈黙が痛い!

 

「その、お前のところでいいのか?」

 

「いうな。俺も割と現在進行形で悩んでる」

 

 本当に言わないでくれイッセー。俺だって悩んでいる。

 

「……いっそのこと、全員執事服に切り替える方向で行くしかないのかと思ってるよ」

 

「いえ、そこまでしなくていいです所長。私が着ると思い出して吐きたくなるだけですから!」

 

 重症すぎる。

 

 ああ全く、思い出すのも嫌になる。

 

「一発ぐらい、奴の死体に蹴りを入れてもよかったかもしれない。いや、始末書ぐらいは書くぞ俺」

 

「結構盛大に吹っ飛んだからなぁ……あれ?」

 

 イッセーが思い出していると、首をかしげていた。

 

「そういや、死体の処理って誰がやったんだっけ? あと、倒したらしい雲川さんとか、あと雨宮さんはどうしたんだ?」

 

 ……質問に答えづらい!?

 

 

 

 

 

 

 

 

《Other》

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっへー……疲れたぁ~」

 

「ご苦労様。まさかここで会えるとはね」

 

「うげ。誰かと思えば成功作君じゃありませ~んか。なんかむかつくから切っていい?」

 

「ははは。無理なことを言うんじゃないよフリード。聖剣が使える程度で、この魔帝(カオス・エッジ)を切れるとでも?」

 

「そーゆーところがマジ・殺したい! つーか、アンタもこっちに来たのかよ。怖いね~」

 

「ま、同じ育成機関同士、適度な距離間で頼むよ。それで、君がこっちに来たってことはコカビエルはだめだったかい?」

 

「俺っちもあっちで悪魔くんたちズンバラリ~ンができるなら、悪魔どもと手を組むなんて糞同盟なんて嫌だったんだけどねー。コカビエルの旦那に話しとおす前に終わりそうだったんで、一抜けしちゃいましたよ。……んで、言われたとおりのブツはどこのもってけばー?」

 

「あらあら。バルパー・ガリレイと波柴矢城は死んじゃったのか。ま、話の通りならそのほうが都合がいいだろうけどね」

 

「そーなん? 言われた通り、旦那とおっさんと兄貴を「作戦が失敗するなら連れてくる。無理なら死体の一部でも可。ただしコカビエルは警戒されるから優先度低め」って感じでやってきたけどよ? 何があったん?」

 

「簡単だよ。……目を付けた理由が正しいなら、むしろ死体のほうが都合がいい部分があるらしいのさ。かなりイカれた研究だから君も楽しめると思うよ?」

 

「……へ~。どんなトンでも理論なのか、ちっとばっかし楽~しみ~だ~っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は目を覚ました。

 

 そして、天井に視線を集中させる。

 

 ヤバイ、やらかした。

 

 心からそう思う。冷や汗がだらだらと出ている。

 

 いや本当にどうしたものか。今すぐこの場で死んだほうがいいんだろうか。

 

 そう思っていると、声にならない悲鳴というかうめき声一歩手前の音が聞こえてくる。

 

 あ、起きたな。それも起きたほうがよく分かった気がする。

 

「~~~~~~~~~~……っ! ……麗夜ぁ、起きてる?」

 

【挿絵表示】

 

 

 

 ようやく意を決した麗奈に声を駆けられたら、もう起き上がるしかない。

 

「起きてる起きてる。起きたくなかったけど起きてる」

 

 もう現実逃避したいけど、そこは我慢しないといけない。いや本当に。

 

 でも、できれば二度寝して現実から逃げ出したい。

 

 ただし、それを許してくれる相手では断じてないともわかっていた。

 

「うむ! 起きているようで何よりだが、そろそろこちらを見てくれぬか?」

 

 そんな麗華の声を聴いて、俺と麗奈はそちらに視線を向ける。

 

「クックック。昨日は実に楽しかったぞ♪ いろいろと相談しておいて正解だったな」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 そんなことを言ってくるのは、ロマン重視で上半身だけ着込んだ麗華。

 

 もうめっちゃいい笑顔だ。この展開でなければ見惚れているだろうレベルだ。惚れ直しそう。

 

 でもね? でもね?

 

 俺と麗奈は意を決すると、はっきり言ったほうがいいと判断して息を吸い込んだ。

 

「「なにしでかしてくれてんのかなぁ!?」」

 

 思わず絶叫したけど、これだけは悪くないだろう。

 

 この女。この女は間違いなくやらかした!

 

 そして麗華は麗華で満面の笑顔だし。

 

 満面の笑顔で下半身を裸にしてこないでください。ああもう! 俺がだした精液が垂れてるし!?

 

「うむ! これぞ神の子を見張る者(グリゴリ)の技術の結晶! 何年も前から頼みこんでおいた技術の成果! その名も―」

 

 そう言いながら、麗華はスイッチを取り出すと押し込んだ。

 

 そのとたん、天井が相手なんか看板みたいなものが下りてくる。

 

—仲良しセックスしたくなる出たくなくなる部屋—

 

 ……殴りたい、この看板!

 

 俺と麗奈の心の声は、きっとシンクロしたと確信できる。

 

「……ふっ。エロエロな女の多い神の子を見張る者にきて私が学んだこと。それは、床上手は探すだけでなく、育てねば増えんという事実だ! まさかもうテクニシャン&タフネスを実現しているとは思わなかったが」

 

「すいませんねぇ! トラウマ克服のためにいろいろ仕込まれてますよ!!」

 

 本当にいろいろ仕込まれているからね。秀華所長に徹底的に。

 

 さらに実地研修で流花や海砂ともやっているし。ええ、美子ちゃんとの性活は問題なく進んでますとも。鳴かせてますとも。

 

 だからっておかしいと思ったんだ。

 

 麗華がどうしてもというから部屋に入って話をしたけど、空気はやっぱりいろいろとしんみり状態だ。

 

 肝心の麗華が気にしてないとはいえ、俺も麗奈もやってはいけないことをやったからね。謝ったとはいえ、それが遠因でギグ酌していた。

 

 そして麗華が酒を取り出して「まぁとにかく飲むぞ! つまみもある!!」ってことで、ちびちびと晩酌をしていたら、いつの間にか妙なテンションになって3Pだよ。

 

 記憶があいまいだけど、肝機能も向上する星辰奏者なこともあって、あの程度の量であそこまで変なことにはならない。断じてならない。むしろ気を付けて飲んでいたはずだ。

 

 この女、部屋に細工して無理やりいやらしい雰囲気にしやがったな!?

 

「何考えてるの何考えてんの何を考えてるのよこのお馬鹿!! 馬鹿なの!?」

 

「うむ! こういう時は馬鹿になったほうが楽しいものだ!!」

 

 麗奈のツッコミも意にも介していない。

 

「よくあるだろう? 嫌な思い出を似たシチュエーションの+で塗りつぶすという克服法は。私たちの決定的な掛け違えはあの日が原因なのだから、先生がいない状態で麗夜を育てる方向で塗りつぶせばいいのではと思っただけだ。……総督からもアドバイスをもらっておるぞ?」

 

「「何考えてんのその総督!?」」

 

 思わずシンクロで叫んだよ。

 

 いやまぁ、楽しいひと時だったけど。記憶がまるっと残っているけど。

 

 残っているけどさぁ……っ。

 

「ちなみに、所長殿とお兄さんには許可をもらっておるぞ? きちんと根回しは終わっておる」

 

 しかも根回し万全だった。

 

 っていうかお兄さんって、俺は一人っ子だから間違いなく麗奈だ。

 

 マジで何考えてんだあの人。確かクリスチャンで、俺が出会った時には神学校で神父になる教育を受けてたはずだけど。淫蕩真っ盛り治療はどうなんた(おそらく)神父。

 

 ツッコミを入れる資格がないと思うけど、わかったうえで問いただしたい。全力で問いただしたい。

 

 所長はまぁいい。あの人はもとよりそういう方向性だし。

 

「ちなみになかなか気持ちよかっただろう、麗夜? 美子殿から最近の好みを聞いておったのでな、予習済みだ!」

 

「美子ちゃぁああああああん!?」

 

 後で真剣に話し合おう。これはしてもいい。絶対しないと。

 

 親御さんに挨拶をするついでに相談したほうがいいかもしれない。割とこれは重要な事態な気がする。

 

 俺がそう決意するなか、麗奈が頭を抱えてうめいている。

 

 まさか実の兄で神父が、3Pの根回しをしていたなんて頭痛もするだろう。麗奈も麗奈でいろいろという資格がないと考えているだろうが、この展開はいろいろ言いたくなるだろう。

 

「私が文句を言う資格はないだろうけど、ないだろうけど……~~~~~っ! ……いや、本当に言う資格無い! ザコチンポ許可なし中出しでトラウマ刻もうとした奴がいう資格無いけど!? マジでないけど……~~~~~~~~~~っ!!」

 

 麗奈は壮絶にもだえだしているし。エビみたいに刎ねてるし

 

 うん。字面にすると本当に言う資格無いよね。

 

 俺、恨んでないのが驚かれる立場だと言われたらちょっと反論できないし。麗華が一切気にしてないことがそもそも異常だし。

 

 ただ、麗華は頬を染めながら俺たち二人を見渡しながら本当にうれしそうだ。

 

「……うむ、本当によかったぞ。私は、本当にいい思い出として二人とこういうことがしたかったからな!」

 

 そう言いながら、麗華は涙目で笑う。

 

 高笑い気味の笑いではなく、あの頃のようなかわいらしい女の子の笑顔だ。

 

 ……それを見ると、俺たちは何も言えなかった。

 

 互いの顔を見ると、思わず小さく苦笑してしまうぐらいだ。

 

「……はぁ。ま、麗華がそれでいいならもういいけど。ツッコミ入れるのも疲れるわ」

 

「そこは壮絶に同感。なんかもう、ツッコミ入れたら負けな気がしてきたよ」

 

 もう苦笑するほかない。ここまでされたらそれしかできない。

 

 ダメだこりゃ、勝てそうにないよ。

 

「ならば結構! ……と、いうことでだ」

 

 にやりと笑いながら、麗華はそういったうえでごそごそと箱を取り出した。

 

 箱を開けると、そこにはプレイ用の様々なおもちゃが満載だった。

 

「あと半日は楽しませてもらうぞ? 思い出全部塗り替えて、思う存分笑いあいたいのでな?」

 

 さらに指をパッチンとならすと、そこにはラブホテルじみたバスルームや、カップ麺とか日持ちする食料や飲み物の山が。

 

 ……いろいろ細かい準備も万端なようで。

 

「俺、体力もつかなぁ……。赤玉でそうだけど、ある意味報復になってるのかもしれないなぁ」

 

「なぁに気にするな! 休憩中は私と麗奈の絡み合いでも見て英気を養うがよい!」

 

「え゛、私が一番一方的にされる流れ? ……いや、自業自得の報復になってる気もするけど!?」

 

 なんか、本当にすごいことになってるなコレ。

 

 俺は麗奈と顔を見合わせるけど、お互い頬がちょっとひきつっている。

 

 あ、これ完全に後で頭が痛くなる……もう痛くなってきたよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《木場祐斗》

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、僕たちはイッセー君の友人たちとカラオケすることになった。

 

 その際、樹下君が場所をセッティングしたんだけど……思わぬ展開になったね。

 

「さて、シャワーを浴びて気持ちもリセットしたな? 食い物も頼んだな? なら、第二ラウンドだ! 第三ラウンドはサウナの後でな!!」

 

 樹下君は珍しいテンションだ。

 

 そういえばスーパー銭湯巡りが趣味とか言っていたけど、趣味が絡むとハイテンションになるんだね、彼。

 

 まさかカラオケができるスーパー銭湯を知っていてそこにセッティングをしているとは。しかもカラオケに配慮したのどにやさしいメニューまでピックアップ済み。本気だ。

 

「ふっふっふ。湯上り美人コンビのデュエットが先よ! ほらアーシア、歌っちゃおうか?」

 

「え、美人ですか!? その、私はそこまでじゃ―」

 

 と、イッセー君の数少ない女友達である桐生藍華さんがアーシアさんを誘ってカラオケの準備を始めている。

 

「いや、アーシアちゃん()美人だな」

 

「まったくだ。桐生はぶっちゃけ、残念ながつく」

 

 元浜君と松田君がそういうけど、桐生さんは怒りもせずにやりと笑う。

 

「くっくっく。そんなことを言ってると、アーシアにお前らのサイズを教えちゃうぞ~?」

 

「「やめてください!」」

 

 速攻の土下座が始まったね。

 

「……お前ら? スーパー銭湯でくだらない汚しを入れるなよ……殺すぞ?」

 

「「「ひぃっ!? なんかキレてる!?」」」

 

 そして樹下君が、割と本気の殺気で黙らせている。

 

 彼にスーパー銭湯が関わると、変なことになるとよくわかった。僕も今後は気を付けよう。

 

 でも、今日は本当にいい気分だ。

 

 ここ最近、エクスカリバーの剣で気が立っていたからね。本物の聖剣を写真越しとはいえ見て、荒れていたこともあったから本当に久しぶりだ。

 

 そして、僕の復讐にも決着がついた。

 

 ちょっと尻切れトンボなところもあるけれど、元凶であるバルパーは倒された。聖剣計画の恩恵は教会も受けているけれど、それでも一つの区切りは突いた。

 

 生きてそれを迎えることができたのも、イッセー君たちのおかげだ。

 

 ありがとう、イッセー君。そしてみんな。

 

 僕は、今度こそ部長の剣として、そしてみんなの剣として生きてみよう。

 

 それでいいかい、同志達―

 

「ま、まぁアーシアが気になるのは兵藤のサイズだけだしね。ね、アーシア?」

 

「え? イッセーさんのはよく見てますよ? こうすると大きくなるんです」

 

 ―あ

 

 今、桐生さんが無自覚に載せてアーシアさんが天然でとんでもないことを言った気がする。

 

「………うちの秀華が本当にすいません。というか忘れてたんだが、松田と元浜は今度してほしい前戯を教えてくれ。可能な限り早めに準備を整える」

 

 樹下君もそれはフォローになってない!?

 

「……ふぅ~すっきりした。あれ? まだ誰も歌ってないなら俺からでいいか―」

 

「イッセー君今すぐ逃げるんだぁーっ!?」

 

 タイミングが、タイミングが悪いよイッセー君!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「兵藤ぅううううううううううううううっ!?」」

 

「ぎゃぁああああああああ何事ぉおおおおおおっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日、イッセー君は聖母の微笑みを使わないといけないぐらいの深手を、異能を持たないただの人間二人に与えられることになった。

 

 あとアーシアさんには「エロのTPO」を口座として受けさせることになったそうだ。

 

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