※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! ちょっと最近疲れているグレン×グレンでっす!

 いやぁ、仕事は大変ですが、まぁ頑張って少しずつ成長していきたいです。……成長、できるといいなぁ。


 そんなこんなで本編!


第九話 守り抜け、和平会談!!

《空本麗夜》

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…‥はっ!」」」

 

 ふと我に返って声が出ると、それが重なっていた。

 

 どうやら、誠二とイッセー君が同じように困惑している。

 

 周囲を一回確認すると、妙なことになっていた。

 

 会議室内で、多数動きがまったくない人がいる。

 

 麗奈、生徒会長さんに副会長さんときて、グレモリー眷属も結構な人数が止まっている。

 

 ……これ、どういうこと?

 

「ありがとうイッセー。私が止まってないのは、たぶんあなたの手を握っていたからだわ」

 

 リアス嬢がそう言って微笑んだが、すぐに鋭い顔になる。

 

「魔王様。これは一体―」

 

「外を見るといい。すでに下手人たちは動いている」

 

 魔王サーゼクス殿がそう言って、目線で窓のほうを示す。

 

 窓の外側には最高位の異形が張ったものと思われる結界が張られており、幾つもの攻撃が着弾している。

 

 見る限りは中級悪魔クラス。しかし多数がどんどん砲撃を叩き込んでいるね。

 

「……これまずいね。通信もさっぱりつながらないし」

 

 所長もかなり緊張感のある顔になっている。というより、服装が隠し玉を使っている状態になっているあたり、俺と誠二に使ったということでいいだろう。

 

 魔王レヴィアタンやブリテンの赤き龍。そんな力の加護がなければ俺たちでも止められる。これはまずいね。

 

 手慰みにアザゼル総督が遠隔砲撃で吹き飛ばしているけど、敵はどんどん追加で発注されている。

 

 相当の強者を出さないと無駄死にになるような真似をしているあたり、こちらがしびれを切らすのを待っているのか?

 

 外の警護はどうしたのかと思ったけど、どうやらまとめて固まっているらしい。こっちを優先している敵だけど、流れ弾や結果的に巻き込んだりで何人か被害者も出ているね。

 

「ど、どどどどういう状況ですか!?」

 

「和平を妨害するためのテロだろうさ。こういったことは歴史上何度も起きてるが、時間停止で無力化を試みるとはねぇ」

 

 慌てるイッセー君に対し、アザゼル総督はまだ余裕が残っている。

 

 っていうか時間停止。なるほど、そんなことができる相手なら上級悪魔クラスでもちょっと厳しいか。

 

 となると気になるのは―

 

「う~む。麗夜は復帰したが麗奈は無理か。外からの干渉は簡単にはゆかぬだろうしなぁ」

 

「おおおおおお姉様ぁ~!?」

 

「ふむ。流石に人に対してはデュランダルでどうにかするというわけにはいかないしな」

 

 ―なんか普通に動いている三人だ。

 

 具体的には麗華にリーナ・スターレインにゼノヴィアちゃん。

 

 俺と誠二の場合は、秀華が星辰光で強引に上乗せして突破可能領域に底上げした形になるからね。どうやって乗り越えたのやら。

 

「その、逆に聞くけど三人は大丈夫なの?」

 

「ははは。確かに僕もですけど、朱乃やソーナ会長でも無理なのに動けてますよね……」

 

 俺と同じように祐斗君も困惑しているけれど、彼の場合は聖魔剣に至っているからだろう。

 

 禁手に到達した神器使いは、上級悪魔すら単独で打倒できる可能性がある。まして聖魔剣は、分割された状態ならエクスカリバーすら圧倒できるだろう力を持ったイレギュラー。下手な上級悪魔を遥かに超えるポテンシャルがあるだろう。

 

 ただ、聖剣使いでしかないゼノヴィアちゃんがあっさり動けているなら麗奈も動けそうだけどね。麗奈、放浪型だけど神器を持っているし。

 

 あと麗華とリーナちゃんはあっさり動けてるのは何でだろうか?

 

「ギャスパーの特訓で、時間停止される感覚はわかっていたからね。とっさにデュランダルで跳ね返したらうまくいっただけさ」

 

 ゼノヴィアちゃん脳筋過ぎない?

 

 思わず呆れるけれど、問題はそこではない。

 

 ギャスパー君の特訓で慣れた時間停止。ということは―

 

「……オイちょっと待て。ギャスパーとの特訓で慣れた感覚ってことは、コレ停止世界の邪眼か!?」

 

 誠二もすぐに気づいて、顔色を変えてリアス嬢のほうに振り返る。

 

 確かに。停止世界の邪眼が使われている可能性が高いとなると、すぐ近くにいるギャスパー君を連想するのは当然だ。

 

 さすがに一切同型がないわけではないだろうけれど、相当強力ゆえに数も限られている。すぐ近くにある彼のことを想定しないわけにはいかないだろう。

 

「かもしれねえな。もっとも他者の力を強化するタイプの異能で、強引に禁手クラスに高めねえとこれは無理だろ。あんまり長続きするとそいつが持たねえぞ?」

 

 アザゼル総督が怖いことを言い、リアス嬢とイッセー君の顔色が真っ青になる。

 

 祐斗君とゼノヴィアちゃんの表情も鋭くなるけど、こっちも不安だ。

 

 だって、ギャスパー君の護衛として流花と海砂がついている。

 

 まさか、あの二人は―

 

『……つながった!!』

 

 ―そう思った時、通信がつながり流花の声が届いた。

 

「流花さん!」

 

「流花!? 大丈夫!? 海砂とギャスパー君は!?」

 

 誠二と所長が真っ先に声を飛ばし、流花はほっとした様子だった。

 

『そちらは大丈夫ですね!? こっちは少し前から、通信妨害込みで魔法使いの集団に襲撃されてます! 停止現象は海砂がギャスパー君を基点に結界を構築したので防げましたが、おかげで通信をつなげるに時間がかかってすいません!』

 

「そこはオッケー! ギャスパー君含めて、三人ともまだ無事ってことだね? あとどれぐらい持つ!?」

 

 秀華所長が素早く状況を把握しながら、必要な情報を確認する。

 

 確かに、まだ襲撃が続いているなら増援が必要だ。

 

 問題は、今の状況で送ることができるのかといった部分もあるけどね。

 

『に、ニ十分は確実に持たせられます! ただそれ以上は、敵も増員されてるから自信ない……そこ!!』

 

 あ、これかなり厳しいかも。

 

「どうします? 急がないと、最悪の場合ギャスパー君が捕まってさらなる増幅につながる可能性もあるのでは?」

 

「そうなると詰みかねんな。流石に我らも停止されかねん」

 

 俺も麗華も表情が苦しくなるけど、本当にまずい。

 

 今使われている停止世界の邪眼がいくつかはわからないけど、ギャスパー君まで使われたら首脳陣まで停止する可能性が少なからずある。

 

 逆にギャスパー君の安全が確保されれば、彼を基点にしてある程度の中和も見込めるだろうけど……厳しいかな。

 

「……旧校舎には未使用の駒を置いています。戦車の駒である以上、キャスリングを使えば校舎内には転移できるわ。……私がギャスパーを助けます」

 

 リアス嬢がそういうけど、なるほど。

 

 イーヴィルピースの機能として、戦車にはチェスの駒と同様に王と位置を入れ替えるキャスリングが組み込まれている。

 

 あれなら一気に問題なく転移が可能だ。外側からの強襲だと挟み撃ちの体勢になるけど突破は難しいだろうし、こちらのほうが奇襲になるか。

 

「一人はさすがに危険だ。……グレイフィア、キャスリングの人数を増員できるかい?」

 

「こちらの結界を維持することを考えると、一人が限界です」

 

「なら陽動もいるね。誠二と麗夜は外側から奇襲を仕掛けて、そこから一気に巻き返すよ!」

 

 サーゼクス殿とグレイフィア殿の言葉を聞いて、所長がそう告げる。

 

「……それはそれとして、俺はいい加減退屈なんだが」

 

「へいへい。なら外の連中を削っといてくれや。そうすりゃいい加減、本命もじれてくるだろうさ」

 

 白龍皇はなんていうかのんきだな。アザゼル総督も結構余裕が見えるし。

 

 まぁいい。まずはこっちで動くしかないだろう。

 

「外側の状況はわかりませんが、この方法を使っているなら停止されている可能性もありますね」

 

「そうですねぇ。まぁ、停止されてないのに気づいてないなら始末書では済まないですからねぇ」

 

 ミカエル殿も長官も余裕だし。

 

 まぁ、長官が無事なら美子ちゃんも無事だし何かしてくれてるだろうけれど。

 

 さて、なら動くべきだろうね。

 

「麗夜さん。とりあえず派手な攻撃でまず注意をひこう。俺はとりあえず……爆発するタイプにするか」

 

「なるほど。なら魔剣を介さず広範囲投射にしたほうがよさそうだね」

 

 俺と誠二は簡単な打ち合わせを決め、すぐに魔剣を準備する。

 

「じゃ、先に行ってくるから早めてに内部に転移してね? 回避するから巻き込むことは気にしなくていいよ」

 

「引っ掻き回しておくから本命の反撃は任せるぞイッセー。二天龍パワーでリアス先輩を増幅しとけ」

 

 俺たちはそう告げると、タイミングよく一部だけ解除された結界から外に出る。

 

 さて、では反撃と行きますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《祐斗Side》

 

 

 樹下君と空本さんが部屋を飛び出し、すぐに動きは変わっていく。

 

「さて、赤龍帝!」

 

「……俺、兵藤一誠って名前があるんだけど?」

 

「なら兵藤一誠。こいつをくれてやる」

 

 短い会話でイッセー君にアザゼル総督が渡したのは、二つある同型のリングだ。

 

 なんだろうか? このタイミングで渡す以上、状況打破になりえる切り札だろうけど。

 

「そいつは神の子を見張る者が開発した、神器用の補正具だ。お前さんの禁手も代償無しで数十分は使えるだろう。ハーフヴァンパイアの坊主にもつけとけば、外から暴走させられることもないだろうさ」

 

 そこまでの物をあのサイズにしたのか。

 

 神器研究の最先端に位置する神の子を見張る者。その技術力は此処までのレベルに達しているということか。

 

 禁手の持続時間は、イッセー君にとって最大の難点。普通に使っては数秒レベルで、引き延ばすには龍にその体をささげるしかない。

 

 彼はあまり気にしないけれど、僕たちはとても気にするからね。それを気にしなくて済むというのはありがたい。

 

 そう思っているうちに、準備は整い始めている。

 

「しかし、和平反対派とはいえ三大勢力がそろっている状況下に動くとは……誰が動いたのか」

 

「そうですね。これだけの戦力を用意できるとなれば、他の神話体系かもしれませんが」

 

 サーゼクス様とミカエル様が、下手人のあたりをつけられてない状況に困惑している。

 

 確かにそうだ。

 

 三大勢力のトップが何人も集うこの状況下。周囲に多数の警護もつけられ、日本政府も今回は一枚かんでいる。

 

 そんな状況下でこれだけのテロを引き起こす。それこそ国家級、大勢力級の戦力をもってなければ不可能だろう。

 

 それに対し、アザゼル総督はむしろ納得の表情になっている。

 

「心当たりはある。……うちの諜報班と日本の公安が昔の大ごとで追跡調査をしてたんだがな? その最中にあのオーフィスをトップに据えた組織なんてのが出てきたんだよ」

 

 ……今、とんでもない名前が出てきた。

 

 そう告げる総督に視線を向けながら、小笠原長官もうなづいていた。

 

 戦慄を覚えるほどの非常事態だ。控えめに言っても世界の脅威ができたといってもいいだろう。

 

「そうですねぇ。虚蝉機関とサタナエル、さらに例の魔法使い集団を踏まえての大事件。追跡調査中に発見したあの連中、想定以上の規模だったということでしょう」

 

 残念そうに、小笠原長官はため息をついた。

 

 その長官に、秀華先輩が視線を向けている。

 

「どんな連中なんです? そいつらがあの敵たちなら、ある程度は情報開示を願いますが」

 

 秀華先輩の意見はもっともだろう。

 

 明確に敵対行動をとられている状況。その正体とも割れる組織についてある程度は教えてもらいたいものだ。

 

 それにオーフィスという象徴も厄介だ。

 

 無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス。この世界において二天龍や魔王様、聖書の神を差し置いて他の追随を許さない圧倒的な力を持つ二頭のドラゴン。その一つ。

 

 それが象徴となる組織。警戒心を引き上げて当然だ。

 

「私たちが追っていたかつての大事件の下手人たち。その残党だけでなく、神滅具保有者すら数人いるとされる他種族混合組織、禍の団(カオス・ブリゲート)

 

 禍の団。名前からしてまがまがしい。

 

 小笠原長官が告げるその組織の名は、それだけで危険な組織だとわかってしまう。

 

 アザゼル総督もうんうんとうなづいており、若干困り顔になっている。

 

「悪魔も結構な数が参加しているみたいでなぁ。ほかにも最近名を上げてきた龍もいるし、はぐれ者の魔法使いの組織も多数確認されているってやばい連中だ」

 

「……相当数の悪魔が参加している組織。ましてここの襲撃を行うとなれば、まさか―」

 

 サーゼクス様が表情を鋭くしたときだ。

 

『その通り。オーフィスを盟主とする我ら禍の団こそがあなた達の敵です』

 

 その声が響いた瞬間、サーゼクス様は飛び跳ねるように動いた。

 

「グレイフィア! リアスとイッセー君を今すぐ飛ばすんだ!」

 

「お兄様!? いった何を!」

 

 リアス部長が急に叫んだサーゼクス様に驚くが、魔王様はそれを意識しない。

 

 グレイフィアさんも飛び跳ねるように動き、強引に転移を起動させる。

 

「お嬢様、ご武運を!」

 

 その瞬間、リアス部長とイッセー君が転移し、同時に攻撃のオーラが放たれる。

 

 とっさに防御しようとするが、其れより早く僕たちを包み込むように結界が包み込んでオーラを防ぐ。

 

「危ないですねぇ。ですが、この程度のジャブでやられるわけにはいきませんねぇ」

 

 落ち着いた様子の小笠原長官。その様子が示すように、僕たちに傷一つついてない。

 

 だが会議室事校舎の多くを吹き飛ばした攻撃は、その残滓によって転移の魔方陣を形作る。

 

 見慣れない紋章だけど、リアス部長や魔王様たちトップの方々が目を見開いていた。

 

「……あれは、確か教育課程で学んだ初代レヴィアタンの血族の紋章か!」

 

 ゼノヴィアがハっとなって声を上げた瞬間、転移の魔方陣から三人ほどの人が転移される。

 

 一人は煽情的な衣装に身を包む、小麦色の肌の女性。

 

 一人は仮面で顔を隠した、日本人と思われる少女。

 

 そして最後の一人は軍服にも見える格好に身を包んだ、さわやかな笑顔を浮かべる金髪の男性。

 

 そして男性が両手を広げて、胸を張って僕たちと相対する。

 

「大半の方は初めまして! そして会いたかった……本当に会いたかったよ……」

 

 そう、感極まった様子でその男性が見るのは、秀華先輩。

 

 そして秀華先輩もまた、目を見開いて困惑している。

 

「ここで、ここで来るの……光にぃ……!」

 

 その親し気な呼び方に、男性はうれしそうに肩を震わせる。

 

「ああ、俺だ。波柴(はしば)光吉(みつよし)・モンタギューだ……愛しい俺のジュリエット!!」

 

 じゅ、ジュリエット……?

 

 困惑する僕だけど、それを気にせず光吉と名乗った男性はサーゼクス様達に体を向け直す。

 

「愛しい愛しいジュリエットとの再会だが、まずは挨拶をしないとね。初めまして、和平を結んだ三大勢力の頂点たち。……早速だが、戦争をしよう」

 

 その発言だけで、全員の警戒心が跳ね上がる。

 

 笑顔で戦争をしようと発言する彼が、まともな側の存在だなんて到底思えないという当然の理屈だ。

 

 それに対し、転移した女性がたしなめるような顔を光吉に向ける。

 

「そこまでにしてください。まずは私たちが偽りの魔王を粛正するほうが先です」

 

「その発言だけでだれかってのがよくわかるよなぁ。……初代レヴィアタンの末裔、カテレア・レヴィアタンだったか」

 

 アザゼル総督が茶化すようにそういったことで、僕も正体を理解できた。

 

 初代四大魔王はそれぞれ子孫を残していた。

 

 だが、初代四大魔王が聖書の神と相打ちになってから、悪魔達の多くは彼らと袂を分かつ。

 

 下級中級、果ては自分たち以外の上級がいくら死のうと、自分たちが勝利をつかめばいいと考えていたのが旧魔王血族。そのあまりの横暴に、危険視して追放することを選んだ現魔王側の悪魔達との内乱で負け、辺境に追放されたと聞いている。

 

 彼らはそのほとんどがいまだに現魔王派にも大王派にもつながらず、悪魔の駒すら否定したと聞く。だが同時に魔王の血族というのは生まれたときから悪魔だったものには強い心理的影響力を残しており、崇拝に近い感情を持つ悪魔も数多い。

 

 そんな存在が、龍神を旗頭にするテロ組織に属するとは厄介だ。

 

「……カテレア・レヴィアタン。貴方たちはオーフィスを担ぎ上げてまで何を考えているのですか!」

 

「知れたことです、天使長ミカエル。神と魔王を失って和平に逃げた貴方たちの逆で、私たちにとっての新世界を創造するのですよ」

 

 ミカエル様の詰問に堂々と答えたカテレア・レヴィアタンは、その視線に敵意を込めてセラフォルー様と秀華先輩をにらみつける。

 

「特に、正統たるレヴィアタンたる私を差し置いてレヴィアタンの名を僭称するセラフォルーと、人間の中に溶け込む程度の血を目覚めさせた汚らわしいレヴィアタンたる波柴秀華。お前たちの存在は度し難い……っ」

 

「カテレアちゃん……っ」

 

 セラフォルー様は残念そうな顔だけれど、それを見るカテレアの表情は殺意と憎悪すら見えている。

 

 魔王の地位を襲名性にされ、世襲にされなかったことで旧魔王血族は強い憎悪を抱いているとは聞いていたけど、ここまでとはね。

 

 秀華先輩にも強い殺意が向けられている。旧魔王派は転生悪魔制度すら否定するほど他種族の血が悪魔に混ざることを嫌っているとも聞いていたけどここまでとは。

 

 ただ、カテレアは勝算をきちんと持っているのかすぐに嘲笑を浮かべてきた。

 

「多少手違いはありましたが、修正可能な範疇内。……ここで死んでもらいましょう」

 

 冷徹なまでの殺意を込め、カテレアは堂々と宣言した。

 

 そして最後の一人。仮面の少女も小さく微笑みながら小さく頭を下げる。

 

「どうも。禍の団の英雄派サブリーダー、コハヤ・リバーと名乗っています。メイドの土産に覚えていただけると幸いです」

 

 こちらもかなり強気の発言。それだけの自信があるのだろう。

 

「……君たちはオーフィスを祭り上げて、一体何を考えている? カテレア達は復権が根幹だと思われるが」

 

 サーゼクス様が警戒しながら探りを入れると、光吉が一歩前に出る。

 

 そしてさわやかな笑顔を浮かべ、心から安らいでいる様子で口を開いた。

 

「全世界全異形を巻き込んでの戦争だよ」

 

 さらりと、何のてらいもなくそう言い切った。

 

 カテレア・レヴィアタンとコハヤ・リバーが多少呆れている節が見えるあたり、彼にとっての目的なのだろう。

 

 だが、まるで子供のような笑顔は本気のそれだ。寒気すら感じるほどに純真なそれだ。

 

 そんな彼に、秀華先輩は辛そうな顔を向けていた。

 

「……まだそうなの? まだ、そうやって自分のために何もかもを壊すの……?」

 

 そんな秀華先輩の言葉に、光吉は素敵なものを見るように、どこか悲しさも込めた顔を向ける。

 

 その複雑な顔は、今までにないからこそ本気のように思える。

 

「そうだよ。そして、君がそれに立ち向かってくれるのなら……それはそれでうれしいね」

 

 そう告げた彼は、微笑みながら一歩を下がる。

 

「とはいえ、俺は今回全体の統括でフォロー役。ここはカテレアの補佐に留まらせてもらうよ。……うん、是非とも一人ぐらい挑んて来てほしいかな?」

 

「それでいいのです。後は私が彼ら全員を滅ぼせばいい話でしょう? さて、まずはセラフォルーが一番でしょうか―」

 

 カテレアが得意げに魔力をたぎらせた時だった。

 

「…‥く……ククク……っ」

 

 肩を震わせながら、アザゼル総督が小さく笑う。

 

 笑うのを我慢しようとして耐え切れなかった。そういう態度が丸わかりだ。

 

 当然だが、敵からすれば不快感を抱くだろう。光吉は興味深そうにしているが、コハヤ・リバーも多少不機嫌そうだ。

 

「何かおかしいことを言いましたか?」

 

「いやぁ、なんつーかくっだらねえ連中がゴロゴロ出てくるからなぁ?」

 

 総督のその言葉に、カテレアは明らかに怒りを見せていた。

 

「……なるほど。つまり、まず貴方が殺されたいということでいいのですね……っ!」

 

 殺意とともにオーラをたぎらせるカテレア・レヴィアタン。

 

 だが、それを前に真っ向から総督は歯を剥いて笑う。

 

「できるもんならやってみな。こっちもようやくできた第一歩を邪魔されて、ちっとばかしイラついてんだ。……こいつはもらうぜ、サーゼクス?」

 

 アザゼル総督に話を振られ、サーゼクス様は先にカテレアのほうを向く。

 

「最後に聞こう。……下るつもりはないか、カテレア」

 

「ありません。貴方は優秀な魔王ですが最高の魔王ではない。私たちは私たちの理想世界を目指します」

 

「……やってくれ、アザゼル」

 

 目を伏せたサーゼクス様の言葉にうなづき、アザゼル総督は黒い十の翼を広げる。

 

「じゃ、まずは俺の相手をしてもらおう……最終戦争(ハルマゲドン)の前哨戦だ!」

 

「いいでしょう、我らが新世界の供物となりなさい!!」

 

 その瞬間、カテレアを連れて行くようにアザゼル総督が飛び立っていく。

 

「……じゃぁ、私は周辺の指揮に戻るわ。挨拶は終わったんだしいいでしょう?」

 

「かまわないさ。じゃ、外の指揮は任せるよ、コハヤ」

 

 コハヤ・リバーはそう光吉と語り、そのまま転移。

 

 そして、波柴・光吉・モンタギューは手に得物を具現化させる。

 

 おそらく神器。そして彼はその神器を刀身がない剣のパーツの用に可変させると、そこからオーラの刃を形成する。

 

 なんだあのオーラは、どこか透明的だが、強い力を秘めている。

 

「確か、準神滅具(ロンギヌス)覇王が戦意(ソウル・アームズ)だったわねん」

 

「所有者の生命エネルギーを増幅し、オーラとして武装にする準神滅具。それもこの密度、最上級悪魔にすら通用します……っ」

 

 セラフォルー様とミカエル様が警戒する中、今度はサーゼクス様が一歩を踏み出した。

 

「二人はグレイフィアとともに結界の維持を頼む。……私も、現魔王として旧魔王血族の暴走には対応する義務があるのでね」

 

「いいですね。……悪いねジュリエット。まぁ、君との殺し合いはさすがに早いということで」

 

 光吉は秀華先輩にウインクをすると、バックステップで外に飛び出した。

 

 それを追いかけるようにサーゼクス様は翼を広げ、こちらを見る。

 

「祐斗君たちは露払いを頼む。敵は全員中級悪魔クラスの攻撃力を持っているから、油断はしないでくれ」

 

「分かりました!」

 

 僕がうなづくとともに、サーゼクス様は飛び出すと消滅の魔力を多数の球体として操りだす。

 

 それに対し、波柴・光吉・モンタギューは得物一つで対応。機敏な動きで突破口を作り、攻撃をかいくぐっていく。

 

 そしてその光景を一瞬見たうえで、秀華先輩は首を横に振るとこちらに振り向いた。

 

「……あぁ~っもう! とにかく、まずは敵の迎撃に集中! 説明は後でするよ!!」

 

 そういうなり、彼女は飛び出して準神滅具によるオールレンジ攻撃で敵をかく乱する。

 

 カテレア・レヴィアタンのように蛇のようなオーラを具現化して、砲撃すら叩き込んで敵を減らしていく。

 

「よっし! こうなったらお姉様を守るためにも暴れるだけ!」

 

「フハハハハハッ! 思わぬ展開でとても沸いているのでな! こちらも暴れさせてもらう!」

 

「ふむ。ならば私たちも行くとするか!」

 

 リーナ・レインスターも雲川麗華さんもゼノヴィアも駆けだし、当然僕も飛び出していく。

 

 敵は確かに厄介だけど、この停止を突破できる僕たちのほうが個としては上だ。

 

 そしてカテレアもまた、少しずつだが確実に追い込まれている。

 

 魔王血族で真に魔王にふさわしいというだけのことはあり、決して弱くはない。少なくとも最上級悪魔クラスには確実に到達している。

 

 だが、魔王と渡り合って生き残ったアザゼル総督のほうが上だ。このままなら確実に彼が勝つだろう。

 

 そう思った時、カテレアが小瓶のようなものを取り出したのが見えた。

 

 怪訝に思いながら敵を何人か切り捨てたその瞬間、カテレアの力が明確に上がり、アザゼル総督を相手に押し始めた。

 

 なんだ? 明らかに力の質が向上している!?

 

 そしてさらに、その一撃を防いだアザゼル総督に襲い掛かる影がある。

 

「悪いねアザゼル。こういうことだ」

 

 あれは、白龍皇ヴァーリ!?




 ついに登場、本作オリ敵キャラの中核ポジション、波柴・光吉・モンタギュー!

 ぶっちゃけラスボス最有力候補です。つまり極晃に到達します。まぁ、自分は半分いじょ即興でやらないとエタる確率が段違いになるので予定でしかないのですが。

 また英雄派もある程度底上げ。本来ジークが担うサブリーダーのポジションにオリキャラ登場! いろいろと裏のあるやつなので、今後も楽しんで待っていてくれ!!
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