シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
気温が一気に低くなったのが原因でしょうか? まぁウイルスの可能性はまずないとのことなので、こうして話を投稿します!!
《木場悠斗》
リアス部長の里帰りに連れ立ってきて数日後。僕達は若手悪魔の会合に参加することになった。
リアス部長と同年代の悪魔。それも、本家の次期当主になりえる者達を中心としたもの達は、豊作の世代と言われるほど優秀さを示しているそうだ。
リアス部長も優れた才覚を見せており、紅髪の
そんな若手達が集まり、魔王様や貴族の方々と面通しを行う会合だ。
そして―
「……うっへ~。いきなり貴族感満載とか、もうちょっとジャブとか準備運動とかが欲しいんだけどな~」
「はいはい所長……いえ、秀華様は取り繕ってくださいませー」
―秀華先輩も急遽参加が要請された。
げんなりしている秀華先輩は、流石にメイド服は駄目だろうということで駒王学園の制服で参加することになっている。
最も部下においては問題ないので、駒王学園生徒組以外は事務所の格好だ。
適度にたしなめている雨宮さんも執事服のままである。
「とりあえず落ち着いてください。いい機会なんですから、好感度を爆上げして貢物でガッポガッポで行きましょう。そっちのが得です」
「あんまりそういう利権をむさぼりたいわけじゃないんだけなー。お金は欲しいけどほどほどで抑えた方がいいよ?」
「その金を民に還元すればいいんですよ。民の人気を稼ぎさえすれば、変なことされにくいし、いいことするのは気分がいいでしょ?」
この会話を聞く限り、雨宮さんも大概イイ性格をしているというかなんというか。
「……イッセー。きちんと考えて動けよ? 前に言ったことを忘れるな」
「お、おう! 俺達の礼儀作法がリアス部長の強みになるんだったな?」
「無作法が弱みになるんだ阿呆」
樹下君とイッセー君は、事前ミーティングみたいなことになっている。
とはいえ、イッセー君は確かにそういう忠告はした方がいいのかもね。ライザー氏の時といい、結構ぶしつけになる時は多いし。
この会合に参加するのは、サーゼクス様のような方ばかりでもない。
貴族の悪い面を煮詰めたような者も多数いるだろう。……それを考えると、油断できない会合になりそうだ。
特に今回、割と無視できない相手がいるみたいだしね。
「言い忘れていたけれど、この会合では面倒な相手が数人出てくるわ。気を付けて」
リアス部長もそれは考慮していたのか、念の為に前もって伝える方向に映ったようだ。
「バアル本家の次期当主の
そう、この会合では僕達の対立派閥だと断言できる実力者も参加する。
おそらく、リアス部長でも一対一では後れを取る者もいる。それもバアルでだ。
「妾の子でありながら、次期当主である長男と同じタイミングで会合に参加する。いくら
そう、リアス部長の懸念はそこにある。
……今のバアル次期当主の事情を考えても、この一手はバアル本家が好き好んで取るタイプではないだろう。
だが、それをするというのには意味がある。
それに懸念点も多数あるしね。
「……確か、大王派の方が星辰奏者に手を出したのは早いって話だよね?」
「あくまで一部だけれどね。ただ、その一部で凄まじい使い手が何人もいるわ。……例の三人は、おそらく星辰奏者としてならヴァーリにも通用するでしょう」
秀華先輩の確認に、リアス部長は頷いた。
そう。例の三人はそれだけの力量を持つ。
間違いなく、星辰奏者としては上澄み。星辰奏者としてのみの勝負に持ち込めば、きっとあのヴァーリ・ルシファーにも通用するだろう。
それだけの力量を持つ存在相手に、油断など絶対にできるわけがない。
「つまりガチガチの貴族が隣で見ていると。……最低限の礼節は維持してないとその場で殺されそうですね。……自信がない奴は直立不動で主が促すまで無言を貫くように。……冗談抜きでうるさいことになるからな?」
「お、おう! 頑張ります!!」
樹下君。イッセー君は確かに不安材料だけど、あまり釘を刺しすぎると逆にややこしいことになるよ?
そう思い、そして互いに言葉を交わしながらエレベーターで上がると、そこには一組の男女が眷属を連れていた。
非常に筋肉質な偉丈夫に、まるで絵画の世界から来たかのような麗人。黒い髪と紫色の瞳を持つ二人は、肉親であると思い至るほどに特徴的な姿だった。
「サイラオーグ! それに、サリアローズも来ていたのね」
「久しいな、リアス。中々に大変な戦いを潜り抜けたと聞いたぞ」
「数年前のパーティ以来だろうか、リアス嬢。……災難だったようだ」
男の方は朗らかに、女の方も労わるように。リアス部長に挨拶を交わす。
ただ、女の方は続いて若干皮肉を利かせた顔になったけどね。
「まぁ、生き残っただけでも大成果だからな。今後の上役が目の色を変えてゲン担ぎに呼び出しそうだ」
「ふふ。いずれは縁起だけでなく実力でも目の色を変えさせてあげるわ」
……ピリピリとした牽制が成立したね。
慣れてないメンバーが若干引いている中、男の方が苦笑しながらこちらを向いてくる。
「妹がすまんな。俺はバアル本家の次期当主、サイラオーグだ。あそこでリアスとやりあっているのは妹のサリアローズだ」
「あ、これはどうもー。レヴィアタンの先祖返りやらされてる、波柴秀華っていいます。お手柔らかにー」
秀華先輩がすぐに挨拶を返すけど、サイラオーグ氏は笑顔で握手をする。
「はっはっは。お互い色々と大変なようだが、負けずに精進していくとしようか」
「……あ、なるほど。そちらも大変なご様子で」
何やら分かり合っているけど、サイラオーグ氏はイッセー君の方をちらりと見る。
「お前が赤龍帝か。リアスも素晴らしい眷属に出会えたようだ」
「う、うっす! 名前負けしない程度に頑張ります!!」
イッセー君がちょっと気圧されているけど、気持ちは分かる。
一目見ただけで、彼が強いことは分かるからね。
実際問題、この会合に出席する者たちの中では一番強いだろう。それだけの力量を持つ、非常に優れた
「……そういえば、何で二人揃って外にいるの? すぐ近くが待機場所でしょう?」
リアス部長がふと首を傾げると、サイラオーグ氏とサリアローズ氏は同時に眉間にしわを寄せてため息をついた。
この辺り、本当に兄妹だとよく分かるものだ。
「馬鹿馬鹿しいので外に出ていたんでな」
「とはいえ、そろそろ納めないとと話が進まんのだがな」
何事だろう。
そう思った時、廊下の先が吹き飛んだ。
……何事だろう?
思わず警戒していると、樹下君がため息をつきながら先行していた。
破壊された辺りで立ち止まって、魔剣を創造するとそれだけを突き出す。
「あの、なんか今にも殺し合いが始まりそうなのはどういうことでしょうか?」
あ、鏡代わりにして確認していたのか。
というか、破壊されたところから「処女臭いロボオタク」だの「ロマンしらずの不良」だと、馬頭の声が鳴り響いているんだけど。
……なるほど。そういうことになっていたのか。
「グラシャラボラスの凶児ゼファードルは知っているな? どうもグラシャラボラス本家次期当主が事故死したらしく、代理で奴が来たのだよ」
サリアローズ氏がそう言うと、げんなりとした表情になった。
「そしてアガレス次期当主のシーグヴァイラ殿が、私の眷属にロボットアニメを進めてきたのを馬鹿にしてから、一気に双方があれ始めたというものだ」
「申し訳ありません。露店で買ったこのネックレスが、まさかロボットアニメの部隊章だったなんて……」
フードを被ったサリアローズ氏の眷属が、もの凄くいたたまれない顔で振るえていた。
な、なるほどね。
アニメのそういったデザインは、意外と人気があるみたいだしね。見た目だけで買ったらそういうことがあるのも納得だ。
というより、そこから布教するシーグヴァイラ・アガレス殿は相当のマニアなのだろうか? セラフォルー様も日本の魔法少女アニメを愛しているし、悪魔の名門貴族業界、リアス部長も含めて日本フリークが多いのだろうか?
「「……ん~?」」
あと、空本さんと雨宮さんは何故首を傾げているのだろうか?
と、サイラオーグ氏がため息をつきながらも破壊後の方に振り返る。
「とは言え埒が明かんな。いい加減諫めるか」
その動きに、僕達は戦慄を覚えた。
事情が分かってないイッセー君達は困惑気味だけど、しかしこれは、凄い物を見れるだろう。
「イッセー、皆もよく見ておいた方がいいわ」
それをよく知っているリアス部長は、戦慄すら覚えている。
「シーグヴァイラ・アガレスにゼファードル・グラシャラボラス。いきなりだが最後通牒だ」
そう宣言するサイラオーグさんに続けるように、リアス部長は僕達のライバルがどれだけ強大かを伝える。
「サイラオーグは若手最強。おそらく、ヴァーリ・ルシファーとも一対一で戦いうる実力者よ」
《樹下誠二》
「その辺りで修めないのなら、俺が相手になるぞ?」
結果的に何だが、若手ナンバーワンが隣にいるんだが。
そして同時に、殺気が間接的に叩きつけられた。
「バアルの無能が―」
「……では死になさい!」
そして女の方が抜き打ちで魔力の嵐を放ってきた!?
慌てて横にずれると、サイラオーグ殿に魔力の嵐が直撃する。
というより。ゼファードル何某の方がびっくりしているぐらいなんだがなんだこれ。
「ロボットを愚弄するものを殺す邪魔をするというのならいいでしょう。シーグヴァイラ・アガレスの名において、この場で全面戦争をいきましょうか!」
「……ヤベぇ。この女、真正だ……」
なんか思いっきりゼファードルが引いているんだが。
そう思った時、今度は轟音と共に魔力が吹き飛ばされる。
余波と跳ね飛ばされた残滓だけでも死にそうなんだが。
「ぬるい!」
「ごばぁっ!?」
流石に余波如きで奔流を放ったシーグヴァイラが倒されるわけでもなかったが、近くにいたゼファードルが巻き添えを喰らった。
一回転ぐらいしながら壁に叩きつけられるゼファードルはともかく、サイラオーグ氏は払った手が少し赤くなっている程度でぴんぴんとしている。
殺気の一撃、イッセーの譲渡無しではリアス部長でも中々出せない威力だと思うんだが。
流石のシーグヴァイラもこれには戦慄を覚えているのか、少し怯んでいる。
「今は会合の為に集まっているのだと忘れるな。お色直しをしたうえで、決闘はまた後に回すといい。それとも、俺とこれ以上戦うか?」
「……ぐ……っ」
全力で放ったと思われる攻撃があっさり凌がれたこともあるんだろう。シーグヴァイラ殿は気圧されている。
それでも戦意が消し飛んでないのは中々胆力があるが、これでは単独で勝つことは困難だろう。
これで収まるかと思ったら、今度は今度で盛大な殺気があふれ出した。
「創生せよ、天に描いた星辰を———我らは煌く流れ星ぃ!!」
轟音と共に星辰体が感応され、状況がまた変化する。
「てめえらふざけんじゃねえぞオイ……! バアルの無能とアガレスの喪女が! まとめてぶっ殺してやろうか、アァンッ!?」
あ、相当キレてる。
というか、こいつも相応にやるな。あからさまにチンピラ気質が見えてるが、それでも時期う当主の代理になるだけのことはあるということか。
「喪女? ……全てのロボット愛する女性達を愚弄するその発言、例え魔王様が許そうと私が許しません……!」
あ、なんかシーグヴァイラ何某が更にヒートアップした。
「創生せよ、天に描いた星辰を———我らは煌く流れ星……っ」
しかもこっちもか。心の底から勘弁してほしいんだが。
さて、どうしたものか。
「最後通牒だと言ったはずだがな? どうやら殴り倒されたいと見える」
「……やはりロボを愚弄した報いは与えませんと。それに、横から割って入られる筋合いはないわね」
「むしろ俺が今一番の被害者だろうが、オラァ! まとめてぶっ殺してやるよぉ!」
あ、これもっと騒がしくなるかも。
そう思うのと同じタイミングで、三者がそれぞれ激突を開始しようとして―
「―そこまでにしてもらおうか」
―割って入るように、何時の間にかサリアローズ・バアルが立っていた。
更に魔力をそれぞれ凝縮して、三人の首元に突きつけている。いや、サイラオーグ殿は気づいていたがあえてスルーした雰囲気だな。
「上役の方々の前に無駄な争いで荒れた姿を見せる気か? 決闘がしたいのならあとにしろ。私が立会人ぐらいにはなってやろう」
そういうサリアローズ殿はため息をつくと、魔力を消す。
「それぞれ少し、外の空気を吸って頭を冷やせ。これ以上やるなら……」
そう告げるサリアローズに同意するように、何時の間にか多数の悪魔が並んでいた。
彼女だけの眷属悪魔ではないな。むしろ、二人ほど明らかに上級悪魔がいる。
大半が正体を隠すようにフードを被っているが、中には相応の力量を持つ者もいるようだ。
「我々が兄上と共に相手になるぞ? ……これ以上無駄に騒いで心象を下げたいのなら構わんが」
「……チッ! 後でほえ面かかせてやるからな!!」
「……いいでしょう。後で殺せば問題ないとしますか」
釘を刺されて頭が冷えたのか、ゼファードル殿もシーグヴァイラ殿も頭が冷えたらしい。
……ふぅ。とりあえず収まったか。
と、言うよりだ。
あれだけの魔力の奔流を、拳一つで吹き飛ばしたサイラオーグ・バアル殿か。
若手最強と呼ばれるだけのことはある。今の俺では反粒子無しでは勝算が見えないな。
ふぅ。これは気合を入れて対応しないといけなさそうだ。
秀華の名誉を考えると、ある程度は戦えないと話にならないだろうからな。
《兵藤一誠》
な、なんかヤバイことになるところだったなぁ。
今は上級悪魔であるリアス部長達がお茶会をし、俺達は後ろで待機している形になってる。
なってるけど、どうなることやらと思ったぜ。
そしてその中でもサイラオーグさん。
マジすげぇ。リアス部長の本気に匹敵するだろう魔力を浴びて、拳一つで粉砕しやがった。
若手最強ってのは伊達じゃねえな。ヴァーリが相手でもいい勝負できるんじゃねえか?
あと、シーグヴァイラさんとゼファードルとかいうのがピリピリを通り越してびりびりしてて、お茶会のムードになってない。
何時爆発するか気が気じゃないし、他のメンバーがほぼほぼ全員警戒態勢だし。
気にせずお茶をしてるのは、アスタロト家の次期当主らしい優男ぐらいだな。ただの馬鹿なのか大物なのか。
とにかく、どいつもこいつも凄い人だっていうのは分かる。
本家の次期当主が六人に、そういうわけじゃないけど選ばれたのが三人だ。なんつーか、冥界の若い子達の中じゃ凄いなんてものじゃない人達が揃ってるってことなんだろうなぁ。
そして、そのうちの一人がリアス部長。そんな人の処女を俺はもらった。
なんだろう。俺は冥界の悪魔達に対してものすごい優越感を抱きそうだ。
「……いやらしい妄想は控えてください、変態ドラゴンのイッセー先輩」
「百歩譲ってするにしても、股と顔に影響を出すな馬鹿。悟られるな」
小猫様と樹下が左右から突っ込んでくるけど。
この二人、俺がいらんことをしないように見張ってるな。そして俺の妄想をすぐに察知して釘を刺してきたよ。
俺、心を読まれる特異体質なんだろうか?
そんなことを思ってると、悪魔の使用人らしき人が来た。
「申し訳ありません、皆様方。今回の会合は出席者が多いことから、眷属の方々は後方に下がって行う方針となりました」
あれ? そうなの?
てっきり傍で並び立っている感じだと思ってたけど。
「むしろ基本的には違うのか。てっきり主だけ呼ばれて俺達は外で待機及び警護だと思ってたが」
樹下は真逆の印象だったらしい。
え、そういう方向なの?
そんなことを思ってると、雨宮さんも意外そうだった。
「次期当主といった若き貴族を対象として上役の方々が行う会合に、眷属悪魔を同席させるなんて……想像以上にリベラルの発言力が高いのね」
あ、そういうことか。
ライザーも大概俺のこと下に見てたしな。もしかすると、あいつでも冥界全体だとマシな方なのかもしれない。
樹下に以前された説教を思い出すぜ。こりゃぁ相当アレな奴がゴロゴロ出てくるかもなぁ。
リアス部長が変なことを言われても、キレないように我慢しないと。これ本当にヤバイぞ?
なんつーか、面倒なことにならないといいんだけどなぁ。
会合、平和に終わってほしい!
将来的なプランも考慮しつつ、いろいろとやっております!
ふっふっふ。変化球で色々することも考えているので楽しみにね!!