シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
そういうわけで、本編!
《兵藤一誠》
よ、よっしゃ! 俺もいつでも来いって感じだぜ!
アザゼル先生が特訓内容を確認するけど、その視線は今度は木場に飛んできた。
いや、それ以外にも樹下達にも向けられてるな。
「まず魔剣創造保有者全員! 資料の束を渡しておくから、訓練期間中に全部創造! 一緒に解析装置を渡しておくから、必ず最低一つ一回は作って解析データを送って置け!!」
おお、なんか凄い展開!?
っていうかまとめてか。そうなのか。
「神代恒星誕生以来、創造系は特に増えててな。
な、なるほど。
そりゃ使い手が何人もいるなら、同じやり方でどうなるかとか得手不得手を探るってのは理に適ってるな。
俺も過去の使い手の情報とかを調べて、試してみたりとかで探ってみた方がいいかもしれない。あとでドライグに聞いてみれば分かるかな?
と、アザゼル先生は今度こそ木場の方を向いた。
「木場。既に至っているお前は禁手の持続時間をまず増やせ。剣はお前の師匠から鍛え直してもらうんだろうが、その間持続できるだけ至り続け、次の日に少しでも伸ばすことを繰り返せ」
「はい。剣技に関しても一から鍛え直します」
おぉ。木場の件には師匠がいたのか。
その人もグレモリーの誰かだったり、その眷属だったりするのかもしれない。今度機会があったら、アスカロンの練習の為に相談とかしてみるか。
「あと、お前に関してはもう一つある……聖剣の方だ」
アザゼル先生はそんな追加注文を付けた。
木場の禁手は聖と魔を融合させた聖魔剣を作り出す禁手だ。そんな力を持っているからか、魔剣や聖魔剣だけじゃなく聖剣を作ることもできるようになっているらしい。
ただ、聖魔剣が完全上位互換だから普通は使う必要がないと思うけどなぁ。
俺と同じようの木場も疑問に思っているみたいだけど、先生はむしろ重要視しているようだ。
「お前の魔剣創造の使い方は中々だ。魔剣が持つ呪いの要素をあえて伸ばし、その反動として高性能化をもたらす点がな。……だからこそ、聖魔剣でそれをするなら聖剣も踏まえるべきだ」
なるほど確かに。
聖と魔を融合させた聖魔剣を極めるんだったら、魔剣だけじゃなくて聖剣も極めた方がいいってことか。納得だぜ。
でも、聖剣で呪いの代用になる力ってなんかあるのか?
俺はちょっと気になるけど、先生は割と自信ありげだ。
「ま、そっちに関しては今度特別講師が来るらしい。グレモリーの城でもてなすみたいだから、後で連絡がきたら戻っとけよ?」
「分かりました。少し興味深いので楽しみにしています」
木場も不思議に思っているみたいだけど、どうやらそれが興味を引いたみたいだな。
と、今度は麗夜さんの方に向いた。
「次に空本。……まぁお前さんの場合、バランスよくまとまっているからリアス達のように基本トレーニングを重視してメニューを組む。あとそれとは別件があるが、とりあえずはその辺りで頼む」
「べ、別件に期待したいですね」
空本さんはあんまりないのかぁ。いや、つまりリアス部長と同じでこのままいけば成長するってことなんだろう。
そういう意味だとちょっと羨ましいなぁ。
「で、吹本! お前さんに関しちゃ基本戦闘技術の鍛え直しが重点的だ」
「……今のままだと駄目ということですか?」
吹本さんが確認すると、アザゼル先生は頷いた。
「星辰光との同調を生かした面の担当。更に人形に魔剣を大量にマウントすることで簡易的な結界発生源として使い、多角的な配置で複雑かつ強力な結界を作り上げる。お前の方向性は大体分かった」
なるほど! 魔剣を結界を作る為の道具に使ってるのか。
色々考えてあるんだな。やっぱり凄いな。
でも、アザゼル先生は問題視しているみたいだ。
「お前さんが直接戦えってわけじゃない。だがお前さんの星の性質上、剣技をより習得すれば習得するほど、人形にも少なからず技量が反映される。それに万が一突破されて迫られてもやりようがあるからな」
「なるほど。他の人達より戦闘面で不安だったからこその手段でしたけど、少しそこに甘えてましたね」
吹本さんも納得したみたいだ。
そして先生は、樹下の方を見る。
「で、樹下の番だな。……ま、お前さんは空本とは別の意味で言うことが少ない」
あ、そうなの?
「色々戦闘の訓練も受けてるし、実戦もあって高水準にまとまっている。魔剣創造も独自の使い方を習熟させてるし、そこに二つの星辰光なんつーイレギュラーまで習熟させてるからな。下手に妙なことをすると逆効果になりかねん」
「……手放しで誉められると照れますね」
凄い手放しだな。
やっぱり、樹下って本当に高水準なのか。真面目にびっくりしてるぞ、俺。
「ま、魔剣創造の使い方が邪道に特化しすぎているからな。お前はさっき言った創造を二週やって、正攻法の使い方もある程度ならしとけ。ぶっちゃけ、センスと経験と訓練の総合バランスは魔剣創造使いに限定すればお前が一番高いしな」
「なるほど。まぁ、邪道一本に拘りすぎるのも危険ですしね」
樹下も納得しているけど、なんか本当に凄いことになってるなぁ!
《アザゼル》
さて、魔剣創造組とトップ二人は終わったしな。ここからは更に別々のメニューになる。
「じゃ、続いて聖母の微笑みグループ! お前さん達にはとりあえず、同じメニューを練習してもらう」
「は、はい! 頑張ります!!」
「それで、具体的な内容は?」
気合を入れるアーシアに、冷静に内容を確認する旗本。
対照的だが、鉄火場慣れの違いとかもあるんだろうな。あと来歴的に旗本はそういうのに長けているだろうしな。
ま、内容をさっさと伝えるか。
「聖母の微笑みだが、接触した状態に比べれば落ちるが回復範囲を広げることや、回復の力を投射することができるはずだ。もっとも、二人は別の意味で抜けもあるだろうがな」
そう。聖母の微笑みは相応にやばい神器の一つだ。
悪魔や堕天使といった存在すら治療できるなんてのはその時点でヤバイ。本来、価値があまりに凄まじい回復系神器だ。
更に回復範囲の拡張が可能なのは、既にいくつものデータで確定している。これは確実に強みになるだろう。
が、得手不得手は誰にでもある。その点が問題だ。
「まずアーシアだが、生来の優しさが強すぎて、おそらく範囲回復では敵味方の識別は困難だ。だからこそ範囲回復より射出を重点的に伸ばす」
アーシアの場合は優しさがどうしても識別という点で不利になる。
ま、本来優しいことは良いことなんだがな。まぁ、回復力が元から高いうえ、いざとなれば遠距離や多数の味方を癒せる時点で十分すぎる。得手不得手の範疇内だろうさ。
「旗本の場合、派生技で身体能力を底上げしてるのは感心だが、回復力が記録上から見て下の部類だ。ま、これは実家の関係もあるから仕方ないし、十分すぎる回復力だから範囲回復はきちんと覚えておけ」
旗本の場合は回復力がそのものが一手劣る。
まぁ当人が、家の関係もあって武闘派だからな。治すことより壊すことに長けている精神性によっているんだろう。これも向き不向きというか、派生技で戦闘に転用しているのが別の意味で才能の塊といえるだろう。
こいつらに関しては基本、長所を伸ばす方向でいいといえる。
あと旗本が編み出した新技は、アーシアに限らず回復系神器保有者が一考に値するだろう。直接戦闘に拘る必要はないが、自衛の為にも持っているとかなり有効だしな。
あと真剣に調べ直すか。到達メソッドを組み立てられればだいぶ変わるだろう。
「はいぃいいいいい! 僕ですかぁあああああ!?」
視線を向けた瞬間に震えるなよ。
大方、緊張で対人恐怖症が悪化したとかそんなところだろうがな。本当に宝の持ち腐れというかなんというか。
「……ギャスパー。お前はとりあえずひきこもり脱却プログラムを組んだから、それをやれ。本当に、本当に克服するだけでだいぶ変わるぞ? お前さんは」
本当にそれだけでだいぶ変わるだろう。
ハイデイライトウォーカーの中でも名門側だろうヴラディ家の血は間違いなく継がれている。更に人間の血によって宿した停止世界の邪眼も優秀。加えて魔法もいくつも習得し、リアスの眷属内ではネット経由枠を独占しているからか契約活動で一番の稼ぎ頭。
その全てを対人恐怖症とひきこもり癖が台無しに仕掛けてるのが問題だ。メンタルの欠点がでかすぎて長所を殺しているという点では、イッセーもぎりぎりやばいレベルだが樹下のおかげで改善している。前例があるならやってやらんとな。
「が、頑張ります! 当たって砕ける覚悟ですぅうううう!」
砕けられちゃ困るが、まぁ前向きに挑もうというのなら良しとするか。
「次ゼノヴィア! お前さんはデュランダルの特訓を主体にしつつ、後で紹介するもう一つの聖剣にも慣れろ!」
「ほう? もう一つとは興味深いね」
こっちはノリノリでよかったぜ。
考える頭はあるんだが、脳筋になりがるのはこいつの難点。だがこういう時は助かるな。
さて、聖剣続きで三人ほど行くか。
「そして聖剣適正持ちの雨宮、松森もローテーションで練習するが、其れとは別に個々のメニューを追加する! コナユキは別件でまとめるからちょっと待ってろ」
聖剣適正という希少な才覚だが、ここ数十年で一気に増えた。
神代晃星後、天然物はそれでも希少価値だが急増。さらにバルパーの奴が人工的な形で聖剣適正者を作れるようにしたことで、教会内ではかなり増加しているはずだ。バルパーを一時期保護してたから、神の子を見張る者でも少しはいる。
人工的な連中の追加はやめる方向だが、すでに多数いるのだから有効活用しないとな。
「二人にはあとで神のを子を見張る者に行ってもらう。追って説明するが、それぞれ別メニューだから基本メニューをこなしつつ現地の連中に判断を仰げ!」
「「わかりました」」
うん。ここはスマートで言ってくれてよかったな。
「そして富士野のほうだが、お前さんも神の子を見張る者に行ってくれ。基礎トレに関しては今までの奴を悪魔流に仕立て直したから、それで行うことだ」
富士野に関しては特殊なアプローチが可能だからな。それをするためにもこいつにもいってもらわないと困る。
ま、内容に関してもかなり特殊だからな。
「細かい内容は雨宮の幼馴染に伝えてるから聞いてくれ。あいつは今回の件、第一人者ではないが責任者の一人だからな」
「分かりました。ですが、お姉さんのことについては伝えたほうがいいですか?」
その返事に、雨宮と空本が肩を震わせる。
姉貴が大王派の眷属になってる件だったな。なかなかに無視できないだろう。
ま、それにしたって隠しようもないがな。
「どうせ公表されるだろうから伝えとけ。ま、あいつのことだから反射でガッツポーズしそうだがな」
王族の血を引く姉妹が、異なる立ち位置で政治的な敵対を強いられる。漫画や小説でありそうなシチュエーションだから、あいつは絶対反射でロマンを感じる。
三年以上の付き合いがあるから、その点に関しては確信してる。絶対に奴はロマンが真っ先に出てくる。
「さすがに後で凹むだろうから、そっちのフォローは雨宮に任せるぞー」
「すいません。元凶側なんで完璧にどの口案件だと思いますが」
雨宮は反論するが、どうせアイツ気にしないだろうから大丈夫だろ。
つーわけでスルーして、だ。
「小笠原! お前さんに関しては、俺が提示した基礎トレで鍛え直しつつ、いったん本家に返って自分の力を見直すことからだ。ぶっちゃけお前のそれ、特殊すぎて俺たちもまずデータが欲しいから交渉してもらってきてくれると助かる!」
「ラジャーです!」
敬礼をして答えてくれるが、マジで頼む。
本当に特殊すぎるから、そっち方面はまだ後回しにしたほうがいいからな。
……特殊にもほどがあるだろ。正直引っこ抜いて問題ないケースなら、引っこ抜いて徹底的に精査したいレベルだ。
さて、其れじゃぁそろそろ本題に行くか。
《樹下誠二》
さて、そろそろ指導においても終盤か。
残ってるのは後、コナユキ、リーナ、朱乃さんに小猫、最後にイッセーだな。
「さて、じゃぁイッセー以外に関しては一言で済む」
え、粉雪たち四人全員か?
思わず首をかしげるが、先生はかなり厳しめな顔つきになって四人に体を向ける。
「……自分の血を受け入れろ。強くなる云々はそこからだ」
そう、はっきりと言い切った。
「……私が、あのような力に頼らなければならないと!?」
真っ先にキレたのは朱乃さんだ。
内情をすぐに理解して、だからこその激高だろう。
相当切れてるな。相手が和平を結んだ上役でなければ、攻撃を仕掛けてきてもおかしくない。
この人の堕天使嫌いも深刻だな。そこまで詳しくないが、堕天使をそこまで嫌う理由があるのだろうか?
「あんなザマで頼らないからお前はその程度だ。……ライザー・フェニックスとのレーティングゲーム、お前が堕天使の力を使っていれば秀華たちの力を借りることなく勝てただろう。それだけの才能を腐らせておいて、強くなりたいなんて笑わせるぜ」
かなり辛らつにぶった切ると、先生は俺たちを見渡した。
「これは俺の人生の結論だが、自分自身の力を受け入れてふるわない奴なんてその時点で底が知れている。最後に頼れるのは自分自身であり、それを最大限に生かそうともしてないくせに上乗せだのなんだの考えるなんざ甘ったれだ。……そこの四人! 強くなりたいならまず己の力を十全に使うことから始めろ……以上!」
割とバッサリ言ってくれたが、さてどうなるか。
明らかに不満そうなのが隠せてないのが朱乃さん。
明確に意気消沈しているのが小猫。
リーナは少し抵抗がありそうだが、こっちはまだましだな。
で、問題はコナユキだ。
顔が真っ青になっているし、何なら少し震えている。
……後でフォローを入れた方がいいな。というか、コナユキに何か隠れているのか?
そう思っていると、急に空が暗くなった。
雲でも刺さったかと思ったが、これは巨大な物体が比較的近くを飛んでいることによるものだ。
そして上を見上げれば、何やらとんでもないのがいた。
……最上級悪魔のそのまた上位はあるであろう、凄まじい気配を持った人間に近い体躯のドラゴン。
『まったく。まさか悪魔の領内でお前と会うとは思わなかったぞ、アザゼル』
「タンニーン! なるほど、イッセーのコーチね」
リアス部長がすぐに事情を察しているが、タンニーンって待て。
「こいつはタンニーン。元龍王の現最上級悪魔だ。で、イッセーのコーチを頼んだ相手でもある」
……いやちょっと待て。
『なるほどな。まぁ、ドラゴンの修行とくればそれが一番手っ取り早く確実だろう』
「そういうこった、タンニーン。こいつ、成長が悪い意味で数段飛ばしだから基礎をまず鍛えておかないとまずいんだよ。……神器に目覚める前から禁手に至りやがったし」
『デマではなかったのか。それはアザゼルも困るだろうな』
待て待て待て待て。
「お願いするわタンニーン。そうね、あの辺りの山を一つ丸ごと使っていいわよ」
部長ストップ。ちょっとストップ!
「あの先生? その、俺ってこんな強そうなドラゴンと山籠もりするんですか?」
「当たり前だぞイッセー。ドラゴンの基本はこれが手っ取り早い。ぶっちゃけヴァーリは既に覇も使えるからな。これぐらいしないと全く足りんぐらいだ。なぁタンニーン」
『そうだな。むしろ歴代の二天龍は覇に先に至ったもの勝ちだ。それをひっくり返すのなら荒療治も仕方あるまい。……では、あそこの山を借りるぞリアス嬢』
「ええ。私が責任を持つから多少の被害は気にしなくていいわ。気張りなさい、イッセー!」
え、いいの?
あ、イッセーが摘み上げられた。
「では各自、解散して修行開始! ちょくちょく様子を見に来るからさぼるなよ?」
え、これ本当にこのままの流れ―
『ではいくぞ、赤龍帝!』
「うわぁあああああああああ!! 助けてくれぇええええええええ!!」
「イッセーぇえええええええええ!?」
―で行ったぁあああああああ!?
え、これ本当にこの流れでスマートなのか!?
これでいいのか!?
いやまぁ、流石に事前に準備するなり、後で生活用品持っていくぐらいはするだろう。
そう思い直した自分を後で張り倒しくなったのは、また別の話。
ちょっとお酒飲んで頭が回ってないので、細かい説明は今回は無し!