シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
……寝れぬ。寝付けぬ上に早くに目が覚める……そして仕事中に眠気が来る……っ!
なるべく早く寝たい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
ちなみにエロ短編用のアイディアを求め、活動報告に専用コーナーを設けております。よければください。
では本編!
《樹下誠二》
秀華もすっきりしてそろそろパーティ会場に戻ろうとしたら、塔城が焦った様子で森の中を走っていくのが見えてしまった。
……明らかに異常事態だろう。あの塔城が、この状況下であんなことをしているからな。
というわけで、距離を取って追跡中。もちろん秀華もついてきている。
暗殺者としての訓練も受けている俺は勿論、対暗殺の訓練を受けている秀華もまた、こういったことに応用でこなすポテンシャルはある。ちゃっかり風下から回り込んでいるので、匂いで勘づかれるなんて言うへまは起きないだろう。
そして塔城が止まると、その近くに妙な気配があった。
気配を意図的に隠しているような雰囲気がないのに、気配があまり悟れない。
……何らかの術か。どうやら厄介なことになりそうだな。
「……黒歌姉様……!」
「やっほ~白音。元気してた~?」
黒歌。
確かSSランクのはぐれ悪魔だったな。そういえば資料で見たが、塔城の姉貴だった。
おかげでいろいろと塔城が苦労していたらしいな。雰囲気からは塔城に対する敵意はなさそうだが。
と思った時、足音が響いた。
「お~い黒歌。そろそろ帰ったほうがよさそうだぜぃ?」
あれはヴァーリの仲間の美猴とか言う孫悟空の末裔か。
となると、黒歌もヴァーリとチームを組んでいる? 問題児が集まってると頭を抱えるべきか、一網打尽にしやすいと前向きにとらえるべきか。
「つか、あっちの四人がいつ仕掛けてくるかわからないぜぃ?」
「ま~そうだけどさぁ? でも、せっかくの妹との楽しいおしゃべりを無視するのもねぇ?」
……しかも気づかれている。後二人いるのか。
「つーわけで、俺っちたち仙術使いにそんなやり方じゃ隠れらんないぜぃ? さっさと出てきたほうが楽なんじゃないかねぃ?」
「バレバレだからむしろ恥ずかしいわよ? ほらほら、ついでにちょっとおしゃべりしない?」
俺は秀華と素早くハンドサインで意見を交換したうえで、出ていくことを決める。
まったく。どうやら本当にやばそうだ。
さて、俺は念のために通信を試みるが、そのすきは秀華が作るという流れになっている。
正直どうしたもんかと思ったんだが―
「人がストレス発散で青姦した直後に、ストレス溜めさせるとはやってくれるね!」
―そう来るかー。
これに動揺しながらも、素早くメッセージを送れる自分が怖い。なれってすごいな。
「ちょ、なにやってんですか!? 人のこと言えないけど、言えないけど!!」
「イッセー! それを言ってはおしまいよ!!」
そして来てたのはイッセーとリアス部長か。
あと人のことを言えないって、何をしてやがった。
「……あらぁん? それは悪かったわね。いや、ほんとゴメン」
割とガチ目に謝ってきたぞ黒歌の奴!
「リアスちゃんもお外でしてたなんて!? いっそのこと見せつけ合いとかしたかったよ!」
「しないわよ!? あと状況を考えて頂戴!! それにちゃんとホテルでしたわよ!!」
そして半分ぐらい天然でリアス部長を巻き込むな。イッセーはともかくリアス部長は巻き込んだらだめだからな。
後部長。ホテルではしたんですね? それで充分アウトではないだろうか。
「……そ、そそそそれはともかく!! てめえら何でここに! まさかヴァーリも来てるってのか!?」
イッセーが話を逸らすついでに本題に戻るが、確かにそれは厄介だな。
ハーフとはいえルシファー直系。そんな奴がこのパーティ会場に殴り込んで大声で宣戦布告と参加への誘いを掛ければ、乗ってしまう悪魔はまだ多いだろう。
さすがに厄介な事態になると思ったが、二人は肩をすくめていた。
「いやいや、今回は非番さね。で、黒歌が暇つぶしにこのパーティ会場を見学したいっつーから付き合いはめになったってだけさ」
……嘘はついてないようだな。というより、嘘をつくならもっとましな嘘をつくだろう。
付け加えるなら、腹芸は好まないタイプだろう。こいつらそういった面倒ごとは取りたがらないと思える。
さすがにヴァーリは違うだろうが、目の前の二人は多分その手の芸は無理だ。見ただけでわかる。
個人として付き合えれば気のいい連中になるだろうが、合わない奴は徹底的に合わない。言いたくないが、アウトローが基本形でよくてフリーランスだ。
となると、少なくともこいつらが直接何かをするという流れにはならないだろう。
まぁいいそれなら話は単純だ。
「情報が引き出せないならまあいいさ。孫悟空の末裔とSSランクのはぐれ悪魔なら、とっ捕まえるだけでも褒美はでかいと考えるか」
さっさとぶちのめして突き出そう。それで終わりで手柄にするか。
この手のタイプとは基本的に合わないしな、俺。あまり話しても互いにダメージが入るだけだ。スパッと決めよう。
と、言うわけで俺は魔剣を創り出して切っ先を突き付ける。
「お前らも俺みたいなタイプは苦手だろう? 手っ取り早く「勝った奴が総取り」で終わらせるか」
「容赦ないねぃ。俺っち達が今から帰るって言ってもやるかぃ?」
「そんなふざけた寝言が通ると思ってる時点で論外だな」
美猴はすでに戦っても問題ない状態だが、どうやら割と本気で言っているようだ。
こいつら、自分たちがテロリストで喧嘩を売った相手の縄張りにいるって自覚がないんだろうか。
まぁいい。ここまでのレベルなら禍の団でも厄介ものだろう。倒したところで痛手扱いにはならないが、ヴァーリの直属ならこちらの士気向上と奴の内外への影響力削減にはなる。
あと秀華やリアス部長の手柄にもなるしな。皮算用だが、問答無用で叩きのめすか。
「……ふ~ん。ま、白音は連れ帰るつもりだし、邪魔するなら殺すだけにゃん」
黒歌のその言い草に、塔城が肩を震わせる。
俺がそれを認識した時には、イッセーが既に一歩前に踏み出していた。
「この子はリアス・グレモリー眷属、俺たちの仲間だ。連れて行かせるかよ」
「……勇ましいねぃ。流石は赤龍帝で、三対一とは言えヴァーリをボコっただけあるぜぃ」
余裕な態度は崩さないが、美猴が静かに構えを取っている。
まぁ、ヴァーリがボコられた姿を見たうえで油断するほど間抜けではないか。
「黒歌。あなたがはぐれになったことで、この子は感情すら消え失せるほど苦しむことになった。ここのいるのは私の眷属である塔城小猫。……指一本たりとも触れさせないわ」
「……へぇ~……。姉の前で人の妹にそんなこと言っちゃう……?」
そしてリアス部長の宣言を受け、黒歌も寒気を感じさせる笑みを浮かべていた。
「じゃ、面倒くさいし殺すにゃん♪」
その瞬間、何かが歪んだ。
なんだ? 何かしらの仕込みを用意していたというのはわかるが、状況が把握しきれない。
いつでも動けるように警戒していると、リアス部長が悟ったのか表情の苦みを走らせる。
「黒歌。あなた、空間を操る術まで覚えたというの?」
「時間はさすがに無理だけどねー。ま、これでも魔力だけじゃなくて仙術や妖術も覚えたしぃ? この森一体の空間を外界から遮断するぐらいわねぇ?」
得意げな表情の黒歌は、好戦的な表情で俺たちを見回した。
「これでどう暴れても外の連中は気づかないし、外から悪魔が入ることもない。……ま、魔王クラスが直接出張ったらさすがにきついかもだけどね?」
……なるほどな。
さて、俺はすでに連絡しているが、ここまでの事態だと悟るまでにどれぐらいの時間がかかることか。
それまでに、推定最上級悪魔クラスを二体同時に相手取るか。俺の手の内もヴァーリから聞いているだろうし、反粒子をあっさり喰らってくれるわけもない。
さすがのこの面子だと、勝算は五分五分といったところだが―
『……悪いが、火力だけなら魔王クラスの俺が此処にいるぞ?』
「タンニーンのおっさん!!」
タンニーン殿か!?
イッセーが喜色満面で振り返れば、そこには最上級悪魔のタンニーン殿が現れた。
『リアス嬢の眷属から、眷属仲間が急に走り出したので追いかけたなどと聞いたので来てみればな。宴にふさわしくない輩が紛れ込んでいたようだ』
頼りになる方が来てくれた。
タンニーン殿は最上級悪魔。それも元龍王。その戦闘能力は最上級悪魔の上澄みで、火力だけなら魔王クラスとも称されている。
間違いなくこの場で最強戦力の一角だろう。とても頼りになる。
「いよっしラッキー! 六対二ならやりよう万全だよっと!!」
秀華があえてオーバー気味に喜び、その上で好戦的な笑みを向ける。
「では魔王末裔が宣言しましょう。投降するなら殺さないよん?」
またなかなかに威圧になることを言ってくれる。
とはいえ、戦闘狂とか愉快犯の気がある以上これでも降参するかはわからないが―
「……悪いけど、6対3だね」
―伏兵がいたということか。
と思ったんだが、なぜか美猴と黒歌があっけにとられている。
……禍の団が警戒して、監視役でも送り込んでいたということか?
「まったく。こっちが念のために偵察してたら、こんなところで何をしてるのか。……足並み乱れるからやめてくれない?」
ため息をつきながら現れたのは、一人の少女。
年齢は俺たちとさほど変わらないぐらい。ただし、青い髪と目をした特徴的な少女だった。
「お、スティラかぃ? 来てたのかよ」
「いきなり結界張るから何事かと思ったわよ。……ばれたならさっさと帰ったほうが角が立たないと思うけど、美猴?」
美猴にスティラと呼ばれた少女は、まぁ妥当な意見を告げる。
それに対して、黒歌は肩をすくめた。
「ついでに妹を連れて帰りたいのよ。ついでに手を貸してくれにゃ~い?」
どうやら、この状況下でも戦うことをやめる気はないみたいだな
スティラと呼ばれた少女も、納得したのか小さく頷いて並び立った。
「ま、それぐらいはしてもいいけど。やばそうなら逃げるって決めるからそこはしたがってよ?」
「ありがと♪ じゃ、これで十分互角かしらねぇ?」
とりあえず、戦闘は続行ということでよさそうだ。
さて、どうやって切り抜けたらいいものか。
まぁいい。やることをやるだけだ……!
《木場祐斗》
まずいことになったね。
小猫ちゃんが急に様子がおかしくなったと伝えられて、僕たちグレモリー眷属が集まった時、さらに緊急事態が発生した。
樹下君から事務所の人たちに、ヴァーリチームが近辺に現れたという報告があったんだ。
さらにヴァーリチームには、小猫ちゃんの姉でもあるはぐれ悪魔、黒歌がいるとまで伝えられている。小猫ちゃんの様子がおかしくなったのは、意図的な誘いがあったからかもしれない。
この事態に対し、僕たちはすぐにでも助けに行くべきだと思ったら通信が途絶。すでに向かっていた警備の悪魔曰く、空間が遮断されているとのことだ。
「どうする? 魔王様方なら強引に破ることもできるとは思うが」
「そうだね。問題は、最悪の場合ヴァーリ・ルシファーがチームメンバーを勢ぞろいさせてきている可能性があるってことだけど」
ゼノヴィアにうなづきながら、空本さんが苦い顔を浮かべている。
実際そこが懸念点だ。禍の団がいきなり総力を挙げてきている可能性は低いだろうけれど、現実的にヴァーリが保有するチームメンバーを全員連れてきている可能性はある。
美猴と黒歌だけということはないだろう。そうでなくても魔王ルシファーの直系だ。現れただけで悪魔のパーティ会場が混乱に包まれる可能性は大きい。
すでに大人たちも動いているけれど、主であるリアス部長にイッセー君や小猫ちゃん、さらに秀華先輩や樹下君まで巻き込まれている。仲間たちがここまで巻き込まれていて何もしないわけにもいかないだろう。
とはいえ、魔王レヴィアタンの血族である秀華先輩が巻き込まれているのなら最上級悪魔クラスが雁首揃えて助けに向かう事態でもある。僕たちが参加できるかは不安だけど―
「ま、魔王様!? 大変です!」
と、そこで泡を食って入ってくる悪魔がいた。
「どうしたのー? ちょっと今大変なんだけど、それ以外にあるってこと?」
現アスモデウスであるファルビウム様が訪ねると、その悪魔の方はうなづいていた。
「め、冥界各地で暴動が発生しました!? し、しかも―」
その時点で非常事態だ。
和平によって不満や困惑が出ていることは想定内だ。とはいえ、旧魔王派がいる禍の団が受け皿になりえることや、そもそも旧魔王派を追放するという過程が何百年も前にある。内乱レベルの事態になる可能性は薄い。
そう思っていたけれど、各地で同時多発的に暴動が起きるとは。
それに続きがあるとなると、一体何が―
「……その暴動を起こした者たちがこのホテル周辺に一斉転移! 同時に広範囲で転移封じが行われており、避難させることができません!?」
―なんだって……っ!?
《Other》
「……諸君! 現魔王は、貴族たちは大いなる裏切りを引き起こした!」
暴動を起こした者たちは、その半分ほどが困惑しながらもその声を聴いた。
「滅びを回避するための努力がこれか! 悪魔がなすべきことがこれか! ……いや、違う!!」
彼らは困惑していた。
三大勢力の和平。さらにそこからくる各神話勢力への拡張。
その困惑をたきつけたものたちは、彼らに対して一切の悪意を持たない。
「人間の欲と寄り添い共存する悪魔! しかしその過程で、本来戒めるべき存在を、戒めることなく手を取り合うことを選んだ! これは君たちにとっての裏切りである!!」
彼らは心から全員で助けの手を伸ばしていると思っている。そのつもりでこの行動をたきつけている。
「真に手を取り合うべきもの達の手を振りほどき、成すべきことを放棄したもの達を無条件に許すべきではない! それこそ、かつて旧魔王血族がした失態の二の轍である!!」
本心だ。本心で彼らは冥界に住まう悪魔達のことを助けようとしてこの事態を支援する。
そう、全ては三大勢力のトップを打倒するために。
「大丈夫! 君たちには私たちが……アイアンローズがついている!!」
超ろくでもないことになってきているヘルキャット編。皆様いかがお過ごしでしょうか?
さぁ、アイアンローズには実は大切な役目があったりなかったり! ……その辺の説明はもうちょっと待っててね?