シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
さて、本編でのある種の特殊要素が出てくるお話となっております。今週も頑張るぞー!
《樹下誠二》
「創生せよ、天に描いた守護星を———我らは鋼の流れ星!!」
その、聞き慣れない起動詠唱に俺は目を見開いた。
というより、明らかに今のイッセーはおかしい。
あいつに星辰奏者の才覚はない。その辺りは既に確認済みだ。
だが、今のアイツは星辰体と感応している。それも、明らかにおかしい感応量だとこの場で分かる。
寒気を感じるほどの星辰体との感応量。それは俺と秀華の伏せ札のそれに追随するレベル。
そんな信じられない現象を巻き起こしながら、イッセーは絶大なオーラすら身に纏う。
「神も魔王も見下す龍は、しかし天より堕とされる。天魔に並ぶ力も陰り、只人の中で幾星霜の眠りの時をただ過ごす」
その途端、イッセーは毒霧の中に足を踏み入れる。
動きは揺るがず弱らない。赤龍帝という格は、この程度の毒では到底倒れない。
いや、それ以前に霧は確実に吹き飛ばされていく。
「人に極みを与える力も、振るうが人ではそうは目覚めぬ。長きにわたる流浪の時は、されどついに報われる」
そして詠唱と共に、イッセーの全身が光を纏う。
それはオーラとして鎧になっていくが、それとは別に光としてそのままその鎧に付属されていく。
おそらく付属性特化型の星辰光だが、それは本来ありえない。
神滅具クラスの神器保有者にそれだけの才能が有れば、間違いなく自然覚醒しているはず
「紅の姫が御許にて、目覚めの時は訪れる。ストロベリーブロンドのその祝福は、我らに絆の星をもたらした」
では何故か。その仮説に辿り着いて、俺は鳥肌が立つのを覚える。
……神器や禁手には亜種というものがある。そして、後天的に亜種となるケースは極まれにだが存在すると資料で見た。
つまり、イッセーは―
「故に、全てを守る時。赤き龍の帝王よ、今こそ天へと返り咲け」
―乳首をつついた感動で、星辰体感応に特化した亜種禁手、禁手を変化させたのだ。
「神仏天魔も驚嘆せよ。ここに、天龍は光となって再臨する」
あ、やばい。
シリアスな状況なのにシリアスになれない俺がいる。
「
だがしかし、間違いなく頼りになる味方ができたわけだ。
兵藤一誠
基準値:C
発動値:AA
収束性:B
拡散性:E
操縦性:D
付属性:AAA
維持性:C
干渉性:C
「……ふぅ~ん? 見た感じ、光力を纏う付属性特化型みたいだにゃん?」
そう呟いた黒歌は、周囲に大量のオーラを形成する。
「妖術呪術ミックスで収束までしたこの攻撃なら、突破ぐらいはできるでしょ……っと!」
そのまま真っ向から、黒歌は攻撃を放つ。
そして俺はそれを見て嘆息した。
どうやら、想定外の事態にちょっとパニックを起こしているようだ。
仮にも神滅具の禁手。それも全身鎧型だ。とどめに、本体が星辰体と感応して更に頑丈になっている。
それに特化しているから鎧そのものの性能は落ちてはいるだろう。だが、星辰体とここまで感応していれば―
「……そんなもんか?」
―あの程度ではびくともしない。当然だ。
俺が介入するまでもないな。秀華達の補佐に回っていいだろう。
そう思うほどに圧倒的と言っていい。
黒歌は明確に下手を打った。
あの状態のイッセーを前に、真っ向勝負など愚策。冷静に考えられるのなら、撹乱などに回ってまず倒す為の算段を練るべきだろう。
才能のバーゲンセールといえるだろう、史上最強の白龍皇になる男。ヴァーリ・ルシファー。そんな存在の対を成す完全下位互換といえるイッセーは、しかしキレた勢いで一時的にとはいえ奴を圧倒した。
それだけの存在相手になめてかかって力押し。動揺して冷静さを欠いたのだろうが、もはや滑稽すぎてちょっと笑いたくなる。
むきになって何発も打つ黒歌だが、イッセーは回避も迎撃もせずそのまま駆け足で黒歌の元に突っ走る。
そこで幻覚や幻影を出しながら森に隠れるなりすればいい物の、冷静さを欠いた黒歌はそのまま迫りくるイッセーに動きが取れず―
「落ち着いて黒歌。冷静にね」
―その瞬間、スティラが何時の間にか割って入っていた。
降りぬかれる蹴りに対し、イッセーは咄嗟にガードを入れつつカウンター気味に拳を叩き込む。
直後、結果として互いに弾かれる。……互いに!?
「あの状態のイッセーを蹴り飛ばし……しまった!」
俺は気づくがもう遅い。
弾き飛ばされたスティラはその勢いで黒歌のところに行き、そのままの勢いですっ飛ぶようにして距離を開ける。
「美猴、一旦合流。このままだと流石に手古摺る、チーム戦で削っていこう」
「……っとぉ! お前さんがそういうほどたぁねぃ! 滾るぜぃ!!」
美猴もタンニーン殿から一旦距離を取って合流を試みるが、逃がすか。
「させるか死ね!」
テロリストに容赦は無用。ここで一気に仕留めないと後がまずい。
故に、俺も伏せ札の一つを用意する。
創造するのは一振りの投擲用の魔剣。
この特訓で作り方を学んだ魔剣であり、味方の異能を一時的に付属して持続させる。遠距離攻撃が不得手だが強力な味方の力を利用する魔剣だ。
だが、俺が使えば―
「とっととくたばれ――
反粒子による極悪な遠距離攻撃の出来上がりだ!
放たれた投擲は合流寸前の三人に迫る。
これなら一人ぐらいは半死半生になら。そう思った時だ。
「―また妙なことになっていますね」
空間が切り裂かれ、そこから降りた男が二振りの聖剣で反粒子を迎撃した。
なんだあの聖剣……! 反粒子相手に二本がかりとはいえ競り勝った?
どう考えてもデュランダルにケンカを売れるレベルだ。そしてそれにしても流れるように流しているのが怖いぐらいだな。
『……チッ! 気をつけろ全員! 奴の持っている聖剣……右手のが特にまずい!』
タンニーン殿が吠えるがそれほどか。
『デュランダルや本来のエクスカリバーすら超える、最強の聖剣。聖王剣コールブランド……! ペンドラゴン本家の家宝だぞ!?』
「ええ。あの家に私以上にこれを使いこなせるもの等おりませんので、持ち出させてもらいました」
そう静かに答えるのは、眼鏡の男。
……本人の技量もかなりのものだな。寒気すら覚える手練れだろう。
「初めまして。私はアーサー・ペンドラゴン。元々は英雄派に属しておりましたが、反りが合わなかったので最近ヴァーリの元に移っております。あとこれは、我々が探し出した紛失したエクスカリバーの
厄介すぎる物をポンポンと……!
とはいえ、これは少しまずいか?
聖王剣コールブランドともなれば、至った神滅具に匹敵する化け物。俺の反粒子でも一発勝負では勝ち目が薄いだろう。実際捌かれているしな。
加えて支配の聖剣といえば、エクスカリバー最強とも呼ばれている。おそらくさっきのは、聖王剣で受けて支配の聖剣で流したといったところだろう。
難敵だ。形勢が変わったと思ったらこれだよ。
ただ、アーサーは眼鏡の位置を直すとため息をついた。
「さて、見学と言っておきながら余計なちょっかいはしないでください。……スティラ、貴方がついていながらふがいない」
「ごめん、間に合わなかった」
と、スティラと小さく会話をしてから奴は聖王剣を後ろに振るう。
空間が割け、次元の狭間と思われるものが見えているんだが。
「帰りますよ二人とも。アイアンローズが面倒な者達と手を組んだようでして、ここは既に戦場です」
「へぇ~。あいつら妙なことをしてるのね」
「そりゃあぶねぃ。じゃ、帰るか」
「て、てめえ逃げる気か!?」
呑気な帰り支度をするヴァーリチームにイッセーが怒る。
俺も同意したいが、今かなりやばいことを聞いたぞ。
アイアンローズが面倒な者達と手を組んで、この辺りが戦場になるだと!?
寒気すら感じる中、アーサーは殿を務めながらこちらを見る。
「ちなみに、相まみえることがあれば聖魔剣使いやデュランダル使いと一戦交えたいものです。……ヴァーリ共々楽しみにしていますよ?」
……追いかけたいが、残念なことにそれどころでもないらしい。
「リアスちゃん。とにかく結界が消えたら全力でホテルに戻るよ。まず私達の無事を伝えないと、まとまらないところが大きくなりそうだし」
「面倒なことになっているようね。アイアンローズ……どんな連中と手を組んだというの……?」
秀華とリアス部長がすぐに次に移っているが、さてどうしたものか。
まったく。心休まる暇もないなこれは。
『Other side』
その作戦と同時期、アイアンローズに深く連なる者達が、それぞれ世界に対して声明を発表した。
一つは、南半球や中東を中心とする発展途上国の多くによる合同声明。
国連常任理事国や日本政府が連名でアイアンローズとの国家的契約の取り消しを自分達と同様に行う通達を出したことを連名で発表し、それを「暴挙」として世界的に批判。
アイアンローズそのものの国際的影響力も高く、契約取り消しを決定している国家は内部からも批判が出ていることでこれに対して積極的な対応ができなくなった。
その内情と理由の根幹が異形に重点がある為、存在の公表ができないことも大きい。
そして同時期。異形においてアイアンローズと手を組むことを宣言した存在が多数現れた。
その多くはアイアンローズの大義名分である神器そのものの排斥を全面的に協力することを宣言。同時に神器システムと密接につながる三大勢力との和平を決定した、自身の勢力そのものからも離反することを宣言した。
数多くの神が存在するが、その中でも積極的に協力を表明した二柱に強い注目が集まっていた。
ギリシャ、オリュンポスの冥府を司る神。名をハーデス。
北欧、アースガルズの悪神。名をロキ。
世界的にも有数の知名度を持つ二柱の神。この知名度とタイミング、そしてアイアンローズの存在。
今ここに、世界は大いなる混乱に包まれることになるだろう。
『アザゼルSide』
人が地下のカジノで荒稼ぎしている間にやばいことになってやがるな!?
「あ、アザゼル総督殿!!」
「状況はどうなってる!」
俺が声を上げると、真っ先に気づいた奴が駆け寄ってくれた。
相当慌ててるし困ってるな。こりゃよっぽどか……!
「アイアンローズが各地のデモを活発化させていたようで、転移現象で暴徒と化した者達を転移。更にアイアンローズだけでなく、死神やヴァルキリーも数人ですが確認されています!」
「また、アイアンローズと密接に関係していた第三世界の国家が連名で、裏で進めていた常任理事帰国主導のアイアンローズとの関係断絶を公式発表で批判声明を発しました。同時タイミングでハーデス神やロキ神を含めた多数の神々が、和平に対する批判も含めてアイアンローズの後ろ盾になることを宣言しております」
……マジか。
禍の団が原因かと思ったが、そういう問題でもなかったわけだ。
というか、ゼウスのおっさんやオーディンの爺が和平に賛同的意見を見せてる中これか。ハーデスの爺はもう少し様子見するかと思ったんだがな。
それほどまでにアイアンローズはという存在が大きかったわけだ。世界的に活動する大規模組織であり、第三世界中心とはいえ世界各国との繋がりも大きい。とどめに三大勢力に対して敵対姿勢を明確にしていた。
結果的に、禍の団や戦奏教団とは別ベクトルで厄介な敵ができちまったわけだ。……規模まででかいのが最悪だ。
戦奏教団が表側の世界で活動しているからこそまだましだが、最悪の場合は異形まで巻き込んだ第四次世界大戦だな。……和平を結んだ結果がこれとか、堕天使側からも変な動きを出すやつが出てきそうだぜ。
……ち! やってくれるなアイアンローズ!
だがなめるなよ?
俺達だって、今後に備えはしてきている。そう簡単にはやられねえよ。
かかってくるなら覚悟しな。返り討ちにしてやるぜ……っ!!
この作品ですが、いろいろ考えた結果ある予定を立てております。
具体的ですが、
まぁE×E問題がありますが、極晃星というスーパー段違いインフレを考えるとそのまま進めるのもまた大変。元L×Lこと置き土産のエピローグでは主人公の極晃星そのものを利用していますが、同じことは芸がないので。
方針性としては麗夜たちの元ネタ……的なエタった作品でのプロットのように、最終話でE×Eの機械生命体共が押し寄せてきて「俺たちの戦いはこれからだ!」的な感じにしたいと思っております。
そしてそのために厄介になる、ハーデスたち冥府の神連合をさっさと戦線に突入させるためには、「こいつらを利用すれば十分勝算あるよな」的なものも必要。
それにおいてアイアンローズはそれが可能になる余地があったので、こうして超大掛かりなことになりました!
さて、次回からも大暴れだぜー!!