シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
少しずつだけど見てくれている人も多いし、この調子で頑張っていくぜぇえええええ!!
《樹下誠二》
その日の夜、俺は風呂場で一息をついていた。
イッセーの件がまぁ、丸く収まりそうなのは本当によかった。
死んで人間でなくなったとか、大半の人間がいろいろとショックを受けること請け合いの状況下だからな。少なくとも、そうでない方が少数派だろう。
そういう意味ではイッセーが馬鹿でよかった。あと、イッセーの野望であるハーレム結成の具体的な道ができたことも大きいだろう。
そういう意味では単純というか、熱血漢というか。まぁ、変態であることを除けば気持ちのいい馬鹿だからな。変態で暴走しなければ友達として付き合っていて困ることがほぼないと言ってもいい。
……変態であることが帳消しに仕掛けているところはあるが。いや本当に。
「……ふふ~ん。よかったね~誠二♪」
「……それはどっちの意味でだよ?」
軽いけだるさと爽快感を感じながら、俺は半分ぐらい呆れて秀華にそう返す。
いやまぁ、このタイミングでそういうことを言うのも問題なのは事実だが。
「え~? 色々あってストレス溜まってたからセックスしたわけだけどさぁ? そのあとでも相手が男のこと考えてたら、お姉さんってばちょっとがっかりだもん」
よく言うよ。楽しそうな顔してるくせに。
にやにや笑っている秀華は、バスタオルを奇妙な感じに纏ったうえで、ほてった顔で俺の方をチラチラ見ている。
……ま、俺としても都合がいいからいいんだけど。
思うところはあれど、友人を見捨てることになりかけたうえ、助けたら助けたでなんか訳の分からないことで死んでるわけだしな。色々と思うところがあったわけだ。
そういう意味では、秀華がセックスに誘ってくれたのは助かった。鬱憤を平和的に晴らせたわけだしな。
「というか、今週だけで何人相手してるんだ? ビッチなのも大概にしとけよ?」
「はっはっは~! 人は三大欲求と上手く付き合うべきなのじゃよ。折角男が寄ってきそうな体に生まれたんだから、思う存分エロいことしたいのじゃよ」
へいへい。
……ま、おかげでそういう意味では大変満足しておりますけど。
とはいえ、それとこれとは別の意味で問題もありそうなんだがな、うん。
「ま、イッセーには結果的にラッキーだったしな。明日辺りは自慢話でもしてくるだろうさ」
「そうだね~。……あ、都合がついたら私が呼んでたって伝えといて。結果オーライだけどあれは酷い死に方だったし、おマンコはまだ先だけどケツマンコは使っていいって言ってたよって」
酷い要望された!?
《兵藤一誠》
転生悪魔になって、まぁそこそこの日が経ってきたって思うな。
悪魔は契約活動を行っていて、欲望の強い人間と契約して願いを叶える代わりに対価をもらう。
昔は魂を丸ごと持って行ったりも多かったそうだけど、最近は適正価格が基本らしい。ただ、機械で計測できるそれは人によってまちまちで、リアス部長が言うには「人は平等ではないが悪魔の基本原則」だっていうそうだ。人によっては命を代価にしないと願いが叶えられないと出ることもある。
そんな悪魔の契約活動を進める為、俺は下っ端として毎日深夜に自転車を漕いでチラシを投函してた。
そんなに苦しくはなかった。悪魔は本来夜が活動する時間帯だからか、日の光がない方が体の調子がいい。身体能力も結構上がっていて、多分フルマラソンも走れるんじゃないかってぐらい体力も上がってるからな。
そしてそんな努力が認められたのか、俺は昨日の夜から契約活動に参加している。
……そして、俺は絶望しそうだったり。
「樹下ぁ。俺、上級悪魔になれるんだろうか?」
「気が早いしへこむのも早いぞ」
樹下はため息をついてそういうけど、缶コーヒーを奢ってくれた。
ありがとう! 次の機会は俺が奢るぜ!
ま、それはともかく本気でへこむ。
なんていうか、悪魔の契約活動で俺は色々とへこみっぱなしだった。
「まぁ、転移ができない悪魔って、流石に悪い意味で希少種だろうけどな」
樹下もそこは同感らしい。
そう。俺は転移ができない。より具体的に言うと、悪魔の契約活動で行っている転移ができないんだ。
契約活動はチラシを経由して依頼を受けて、チラシをビーコンにして転移するらしい。それは本来子供の下級悪魔でも問題なくできて、まぁリアス部長の縄張りである駒王町全体なら問題ないってわけだ。
……それができなくて、俺は自転車で依頼人のところに向かう羽目になった。
「信じてもらえなくて、俺は泣いたよ。ただ森田さん、それで同情して話を聞いてくれてさぁ」
「なんで依頼人に逆にお悩み相談してるんだ、お前」
うん、確かにそうだけどそれぐらいショックだったんだ。
マジ泣きだったよ。マジ泣きだったよ。いろんな意味で凹んだよ。
だって俺だって納得だもん。契約者の森田さんは元々、悪魔として先輩で高等部一年生のマスコットな塔城小猫ちゃんのお得意様。転移してくる悪魔にも慣れてるからね。そりゃ尚更信じてくれないさ。
泣いている俺を慰めて、話を聞いてくれるだけいい人だよ。
「で、依頼なんだけど小猫ちゃんにコスプレしたうえでお姫様抱っこしてもらいたかったんだってさ」
「なぁ、契約相手の選択間違ってるんじゃないかそれ?」
いうな樹下。俺もちょっとそう思えてきた。
ただまぁ、無理だっていうのはすぐ分かったから、世間話のノリで他に何かないか試してみた。
俺が素人で悪魔について詳しくないこともあって、「悪魔と契約したら普通どうするかな?」的なノリだった。
で、その結果だけど。
「大金だろうとハーレムだろうと、森田さんは視界に入った瞬間に命が尽きるから認識もできないって計測が出てさ? 今度は森田さんがマジ泣きだった」
「世知辛い世界の現実すぎるぞ……!」
本当にそれだ。
軽く引くというかなんというか。どうしたもんかなマジで。
そしてそのあとはもう、やけくそ気味に漫画談義とかして朝まで過ごしたよ。当然依頼そのものは遂行できなかった。
「森田さんはとっても楽しかったって書いてくれたけど、依頼は全くこなせてないんだよなぁ……」
「まぁお前、気の良い奴だから話が合う奴なら楽しめるだろうさ。……悪魔稼業としてはアレではあるが」
褒めてるけど厳しい評価だ。
ただ、気の良い奴だって褒めてくれるのは本当に嬉しい。
「ま、経験を積むと傾向ができるとは世間話で聞いたことがある。開き直ってその人の良さを生かしてだべる程度でもいいだろうさ。……対価は少なくなるだろうが、まずはできることからやっていかないと身にならないぞ?」
う~ん。樹下の言うことが正論か。
ま、無理して偏差値上げて入った駒王学園でのテストは平均点前後でも結構大変だしな。無理しすぎない方がいいのかもしれない。
でもなぁ。
「相談しといてなんだけど、割と何でもできるお前に言われてもなぁ」
樹下、めっちゃ優秀だし。
運動神経は抜群だし、テストの成績だって悪くない。何なら俺達三人の手綱を握っている扱いされてるのもあるけど、態度も悪くないから評価高いし。
怪我人が出たら応急処置も完璧にこなすし、喧嘩が起きたら割って入って殴り掛かられてもあっさり捌いてばてるまで余裕だし。
あれ? 俺って相談する奴間違えたか?
なんかそんな風に思えてきたけど、樹下はちょっと上を向いていた。
なんだろう。言いづらいことを言うべきかって感じだけど?
「……まぁ、お前はこっち側だし言ってもいいか」
こっち側? なんか異能者の名門一族とか―
「俺、小学三年の時に親が死んでから、犯罪組織化している親父の親戚連中に引き取られて暗殺者とか護衛役とか性奴隷的な
―なんか凄いこと聞こえたんだけど!?
「……えっと、マジ?」
「マジマジ。こんなことで冗談は言わない」
樹下は軽い感じでため息を吐いているけど、ちょっと待ってくれよ。
ここ日本だぜ? 世界各地で宗教団体が紛争起こしているけど、日本は少しテロされたぐらい……いや十分か。
いやでもとか思ってると、樹下は何時の間にかスマホを操作してた。
「ほれ、この辺のニュース見てみろ」
なんだなんだ?
覗き込んで見ると、三年ぐらい前のニュースがいくつか出てた。
—芸能界に巣くう闇! 大規模売春ネットワークの所業!!—
—嘆かわしい親不孝! 更生機関が犯罪者に人材斡旋!?—
—名門大学の腐敗!? 学生サークルの皮をかぶった、大学援助交際ネットワーク!!—
なんかどれも、えげつないのが多いな。
俺がげんなりしてると、樹下も呆れた表情だった。
「ちなみにこれ、犯罪組織の親族共が大なり小なり関わっている事件な?」
「マジで!?」
いやいやちょっと待て、どんだけだよ!?
「ちなみに、
「おいマジかよ。真面目に信じらんねぇ」
え、そんなレベルの犯罪組織が日本に? マジで?
思わず唖然としていると、樹下は缶コーヒーを飲んでからため息をついた。
「まぁ四年間で心が折れかけたがな。ただ、面従腹背の成果が出てたのか一族の若い女の付き人という名の護衛兼凶手兼肉便器としてあてがわれたんだが、あっちがあっちで面従腹背で隙を伺っていた神童でな」
樹下はそういうけど、軽く言えることなんだろうか?
あとなんか心当たりがあるんだけど。具体的には、俺の小さな俺を舐めてくれたうさ耳メイドやってた先輩が思い当たるんだけど。
なんていうか、そういうことできそうなできる女の雰囲気がある。
「ま、秀華は事務所の所長もやってるからな。俺達全員面倒見てもらってるし」
「隠す気ねえな!?」
そういうこと!? マジで波柴先輩そういうこと!?
ただ者じゃないのは分かってるけど、そういうことなのか!?
俺がびっくりしていると、樹下はなんていうか年相応な笑顔だった。
「ま、洗脳教育は難易度高いからな。厳しいし失敗がないわけでもなかったが、あまりに酷いと殺されるような地獄環境。死に物狂いで集中して、可能な限り全力で鍛え続けて習得した技術だ。……簡単に俺みたいになれると思わない方がいいし、ならない方がいいと思うぞ?」
……ま、確かにそうか。
俺って、まだ悪魔になって数日なんだしな。
「失敗してもある程度軽く流されるのは、新米の特権なのがいい環境だ。きちんと失敗を肥やしにして少しずつでも成長すれば、いつかはあっさりこなせるさ」
そっか、そうだな。
「俺、頑張るよ! あと自主トレもした方がいいな!」
ああ、まだ数日。それでできないのがなんだ!
何か月も頑張ってからへこたれないとな、うん!
「あ、ちなみに転生悪魔は主の私兵と言っていいから戦闘技術も習得しとけ。あとで護身術お通信教育とか用意しとくぞ?」
意外とやること多いかもなぁ!?
―1日後―
「俺、悪魔社会でやっていけるんだろうか?」
「昨日の今日で何があった?」
マジべこみしてしまって、俺は再び樹下に相談することにした。
いや、また悪魔の契約活動をすることになったんだよ。
今度は初めての人で、ならまだ行けるかと思って一生懸命頑張って自転車を漕いだんだ。
で、その依頼人なんだけど―
「異世界に行ってもなれなかったから魔法使いにしてほしいっていう、魔法少女のコスプレをしたゴツイ男だった」
ちなみにミルたんと名乗ってた。
「……マジで?」
三秒ぐらい沈黙してから確認してきたのが、動揺してるなぁって感じだよ。
「ちなみに、ラガーマンとかそんな感じか?」
「いや、ラ〇ウとかそんな感じ」
「……わざとやってる芸人か何かか? いや、最近の魔法少女は大人の男も楽しめるのあるそうだけど」
「1クール見たけど面白かったぞ。おかげでまた楽しかったって言われたのは嬉しかったなぁ」
「……動画配信サイトで見てみるか」
この会話をまた依頼された時にミルたんに行っちゃったら、紹介してほしいと依頼されて悩むことになったりする。
ごめんな樹下。悪い奴じゃないから!
《樹下誠二》
信じられない話を聞いてから更に一日経って、またイッセーが凹んでいた。
「お前大丈夫か?」
「あ、大丈夫。今回は方向性が違うから」
全然大丈夫に思えなかったので、購買部で菓子パンを買って奢ってやった。
まあ一応、俺副業でトラブルバスターとか護衛とかしているからな。金はある。
で、今度の話を聞いたんだが―
「木場も朱乃さんも小猫ちゃんも、当然リアス部長もめっちゃ強いんだけど」
「……ああ、はぐれ悪魔がどうとか言ってたな」
はぐれ悪魔も馬鹿な奴だ。
はぐれ悪魔。転生悪魔の中で主の素から逃げ出した連中を言う。
悪魔も色々と問題があって、耐え切れず脱走した者が出ることもある。だがそれ以上に調子に乗って人間界で好き勝手する馬鹿も多い。
人間を食ってる奴もいるからな。当然だが管轄ではぐれ悪魔が発見されるようなら討伐するし、追跡している政府からの討伐要請があればちゃんと動く。きちんとやってくれているし、リアス先輩は本当にいい悪魔だよ。
で、いい機会だから戦闘の空気に慣れさせる為かイッセーが連れていかれたらしい。
……つってもなぁ。
「あの三人、同期の転生悪魔水準だと上位側だろうしな。当然と言えば当然だろ」
「でも何もできない気がしてきてさぁ。俺、神器には目覚めたけど力は発揮できないし」
なるほどな。
神器研究最先端の神の子を見張る者ならやりようはあるかもしれないが、流石に敵対勢力に繋ぎを作るわけにもいかないだろう。
といってもだ。
「前にも言ったがお前は素人だ。まず鍛えていって役に立てるようになるのが仕事なんだから、今戦闘で役に立たなくても凹むことはない。リアス先輩もそこまで求めてないだろうさ」
むしろ求めている方が問題だろうさ。
ま、それはともかくだ。
「喧嘩の経験も無ければ武術の経験もないならそれは当然。というかだ、転生悪魔なんて数百年間頑張ってなお中級にすら昇格できない奴がいる業界だぞ? 人間界だって十年ぐらい頑張ってようやく一人前な業界もあるんだからな?」
この程度で凹んでたら、厳しいがやっていくのが大変だ。
活を入れるべく、俺は屈みこむとイッセーの肩に手を置いた。
「とりあえず、今は言われたことをきちんと聞いて、少しずつできることを増やせ。前にも言ったが、お前は失敗しても肥やしにすれば怒られない状態なんだからな?」
「お、おう! ……でも、流石にちょっとなぁ」
まったく。
ま、まともな高校生なら結果をあせるのも当然か。
「……分かった分かった。出世払いで戦い方を教えてやる。週末でいいな?」
「恩に着るぜ! と、とりあえずエロビデオを前金でやる! 厳選するから待ってくれ!」
「いらんいらんいらん!」
前金用意する律義さは褒めるけど、未成年にエロビデオで解決しようとするな!!
そんな昼間が終わり、桃山警護事務所の事務室。
モットーもあって俺も執事服だが、今回は色々とあるようだ。
「……堕天使側と教会から依頼? 一体何が?」
一応確認するが、秀華は首を横に振った。
「教会側からの依頼は詳細は現地のエージェントに聞いてだって。なんでも「悪魔と敵対するつもりはないが、相手が過剰に警戒しかねない」ってことで、繋ぎがある私達を監視役兼補佐にしたいって話見たい」
そういった秀華は、更に小さく首を傾げている。
「堕天使側からなんだけど、例のレイナーレがまだ帰ってないみたいなの? 変なことをされないように「仕事が終わっているなら一旦戻ってこい」って感じで呼びつけたけど、「まだ仕事中」の一点張りらしくてさ?」
妙だな?
イッセーが既に転生悪魔になった以上、レイナーレはこの町にいる理由はない。
危険な神器保有者の抹殺という必要悪は、しかし転生悪魔相手には成立しない。そうなればもはや上級悪魔とのもめごと以外の何でもないからだ。
にも関わらず任務中? 一体何を考えてるのか。
嫌な予感を覚えていると、秀華は当然だがため息をついた。
「というわけで、こっちも上層部がエージェントを派遣したって。まず
ため息をついた秀華に、麗夜さんがお茶を置いた。
「どうします、所長? リアス嬢達にも連絡はした方がいいかと」
当然の懸念で、秀華も頷いてからお茶を飲む。
ま、黙っているとそれなりに築けた信用関係にひびが入りそうだしな。
俺もイッセーと話せる関係は維持したい。となると、俺が出るべきか?
そう思っていたその時だった。
「……はいもしもし?」
急に展開された通信用の魔方陣に秀華が反応する。
そして数秒後、俺の方に緊張感のある表情を向けてきた。
「イッセー君が依頼人を殺害したはぐれ悪魔祓いに襲われたとか。ちょっとやばいことになってきてるかも!」
……冗談、だろ……っ!!
なお、私のやる気は好意的な読者の方々の反応で向上します。
感想や高評価、推薦といった者は常に募集しているのでごひいきに!!