※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 エロ短編のアイディア募集活動報告、いまだに一つも返信が来ないなぁ……などとちょっと困っているグレン×グレンでっす!

 まぁそれはそれとして、最近筆が進んでいるので頑張るぜぇ~!


第二十話 乱入、乱入、大乱入!!

『空本麗夜』

 

 

 

 

 

 

 

「……始まったね」

 

「そうね。少しもどかしいわ」

 

 秀華所長とリアス嬢がそう呟くけど、やはり戦闘は始まっているか。

 

 しかしまぁ、アイアンローズには苛立ちを覚えるよ。

 

 神器がこれまで多くの負の側面を生み出したことは事実。それに対していい感情を抱かない者が多数出てくることも仕方がない。

 

 ただ、そこでやり方を決定的に間違えている節がある。一つの問題を解決した結果、それ以上の問題を巻き起こしては本末転倒と言ってもいい。その辺りを考える視野が狭いのか、配慮するという発想がないのか。どちらにしても迷惑極まりない。

 

 こと、三大勢力間での技術交流で一気に問題解決が進むと目されている段階でこれだ。他の神話体系からも技術交流込みで和平を考えてくれるものたちが出てきている中で、アイアンローズの存在そのものが逆に迷惑になっている自覚がないのだろうかとすら思う。

 

 その内心のうっ憤を流すことも兼ねて、俺はお茶の用意をする。

 

 今の俺達はホテルの外で野戦陣地の類を作って待機している。

 

 パーティに参加していた若手上級悪魔の内、四割ほどが集まっている陣地だ。

 

 主な役割は第三防衛ライン。主力が戦っている第一防衛ラインにそこから抜けた者に対応する第二防衛ライン。そしてホテルに陣取って民間人を警護している最終防衛の間に位置するラインだ。

 

 若手上級悪魔とその眷属で構成されている第三ライン。目的としてはいくつかに分けれるだろう。

 

 まずは一種のパフォーマンスだ。上級悪魔は若手悪魔でも民間人を守るためにある程度体を張ると示すことで、民衆の認識をいい方向にすることが目的だろう。

 

 次に実戦の空気を少しでも感じてもらうこと。今後を考えると若手上級悪魔が戦いに参加する羽目になる可能性は十分すぎるほどある。だからこそ、直接戦うことは避けてもらうにしても緊張感は味わってほしいという所だろうね。

 

 そして最後は一種の囮。万が一多数の突破者が出てきた場合に備え、ホテルに避難している民間人が巻き込まれないようにする為の措置だ。

 

 如何にサーゼクス様達が「若手が消耗することは避けたい」と言っても、それに拘って民間人と同じところに押し込めれば、彼らが戦うことになった際巻き添えを喰らうのが目に見えている。

 

 だからこそ、ある程度戦えるだろうパーティに出席した若手上級悪魔とその眷属は、最終防衛ではなくその手前だ。この方が万が一の被害を抑えやすいだろうしね。

 

 ……よし、お茶の準備もできた。

 

「ハーブティいる人ー。カモミールだよ?」

 

「おねがーい。何か飲んでた方がまだ落ち着くよねー」

 

 秀華所長がすぐに手を挙げたので、まず所長の分のお茶をカップに入れてからそれを渡す。

 

 と、そこで首を捻り気味のリアス嬢が、何時の間にか用意していた紅茶を一口飲んでからため息をつく。

 

「できることなら、前線で迎撃に参加したかったわね。……まぁ、お兄様の気持ちは分かるから今日は抑えるべきね」

 

 大体のところは察しているのだろう。やはり俺がこれぐらいの時より数段上のお人だ。

 

 そして同時に、ちらりと二つの方向を見ていた。

 

「……やっぱ、分散してる方も気になる?」

 

「そうね。サイラオーグとサリアローズがそう簡単に下手を打つわけもないでしょうけれどね」

 

 所長にそう告げるけど、まぁ気になるか。

 

 今回の防衛戦において、第三防衛地点は三か所に陣を張っており、若手上級悪魔も分散配置されている。

 

 そして会合に出席するレベルの悪魔においては、4・3・3となっている。

 

 まずサリアローズ・バアル達同門といえる上級悪魔三人。これは大王派よりであることから、そろっておいた方がいいと判断したのだろう。他の若手上級悪魔も、総じて親大王派で構成されていると思われる。

 

 そしてサイラオーグ・バアル殿、シーグヴァイラ・アガレス殿、ゼファードル・グラシャラボラス……殿。この三人はまた別の地点に配属されている。

 

 こっちは仲間割れが起きそうな気がしないでもないけれど、あえて一緒にすることで「いざ動く時に撃退数という形でモチベーションを上げる」という発想があるのだろう。当人の性格や派閥内で問題の多い者達が多く配属されていると聞く。

 

 そして最後が俺達。秀華所長にリアス嬢、そしてソーナ嬢とディオドラ・アスタロト殿が集まっている。基本的に魔王派側の上級悪魔が多い。

 

 さて。

 

「個人的には出番がないと嬉しいですけどね。まぁ、無しでできるとは言い難いですからちょっとウォーミングアップはした方がいいですね」

 

「だよねー。一杯飲んだらストレッチとかしとこっか」

 

 とまぁ、そういうことになるわけだ。

 

 所長がそう返事をするのを聞きながら、俺は呼吸を一度整える。

 

 さて、問題はどう出るか……だろうね。

 

「所長にリアス様。とりあえず現状、前線は特にマズいことにもなってないようですね」

 

 と、前線の方を探っていた麗奈が戻って来ていた。

 

 電磁力の精密操作ができるおかげで、その気になればかなりことができるのが麗奈の利点だ。今回麗奈はそこを買われて、アイアンローズ側が使っている可能性のある電波系の通信を探れないかと打診されたらしい。

 

「アイアンローズの通信は、アルトリーネから伝えられた暗号化プロトコルをしっかり手直していたから無理筋でしたけど。そっちの報告ついでに聞いた限りじゃ、やっぱり民間人の暴動が主体なので死人をなるべく出さずに取り押さえられてるそうですね」

 

「だよねー。いくらなんでも考え無しすぎじゃない?」

 

 麗奈と所長は首を捻るが、逆にリアス嬢は眉間にしわを寄せて警戒心を見せている。

 

「……仮定の話だけれど、暴動から反乱までに持っていくのが狙いというのはないかしら? 一度反乱まで行動させることで、彼らの意識を「魔王様の敵対者」と思わせるようにしている……というのは?」

 

 なるほど。その可能性はある。

 

 自分の意思で一歩を踏み出して選択する……もしくはしたと思わせる。それがその後の判断において大きな一手となることはあるだろう。

 

 何事も経験という言葉があるし、初めてやるのとその後とでは、心理的な抵抗感や緊張感ががらりと変わるのはよくあるものだ。俺もキャンプやパルクールで経験がある。

 

 と、なるとだ。

 

「アイアンローズとしては親切心なのかもしれませんね。「本当なら今の三大勢力に従うままでいいはずがない者達」に「共に世界の為に戦う為の一歩を踏み出させる」的な」

 

「「「……凄くありそう……」」」

 

 三人揃って嫌な納得をしてしまった表情だ。まぁ当然だけど。

 

 あいつらそういうところがありそうだと、そう確信できるぐらいにはあれだからなぁ。

 

 純粋な善意と正義感でろくでもないことをする手合いというか。宗教的組織を敵視している割に、思想がアレな新興宗教のそれだとすら思うんだけど。

 

 まぁ、そういう手合いに何を言っても無駄か。とりあえずまず無力化して、生きているなら捕縛して監獄でゆっくりとが妥当だろうね。

 

 ……となると、適度なところで撤退させるのが妥当だろうか。強引に全滅させるのも手な気がするけれど、流石にそれは民間人相手だと無理があるか。

 

 と、そこで信子さんが駆け寄ってきた。

 

「所長、リアス様。ソーナ・シトリー様とディオドラ・アスタロト様がお見えになってます」

 

「オッケー。……じゃ、一応トップ会談って形にした方がいいのかな?」

 

「そうね。じゃぁ、私達だけで一応応対するわ」

 

 と、所長とリアス嬢が歩き出すけど……ちょっとあれだね。

 

 ちらりと信子さんの方を見てしまうけど、信子さんもそれに気が付いた。

 

「どうかしたの? その、前からチラチラと見る時がある気がするけど」

 

 あ、気づかれたか。

 

 そこまで頻度が多いわけではないけど、たまにどうしても視線を向けてしまう時がある。

 

 ま、あまり長く続けるのもあれだね。

 

「……傲慢極まりない意見かもしれないけど、さっさと俺が自首して矢城とかのことまで警察に話していたら……信子さんまで被害を受けることはなかったんじゃないか。そう思う時があってね」

 

 実際問題、本当に酷い展開だ。

 

 俺がすぐにでも警察に全てを話していれば、波柴一族全体はともかく矢城に関しては早くに対応ができていただろう。

 

 もっと早くに決意をしていたからといって矢城まで捕まえられたかは分からない。だが、時系列から逆算して俺がさっさと警察に自首していれば、流石に大学に居続けることは不可能だろうから、信子さんが無事で済んだ可能性は非常に大きい。少なくとも速攻で動いていれば、信子さんが入学前に発覚するわけだからな。

 

 そう思うと、傲慢な意見ともとられるかもしれないけど気にしてはしまうだろう。

 

 もちろん、それで矢城が必ずしも捕まるわけではない。むしろ逆に矢城達の行動がエスカレートする可能性もあるし、最悪の場合は波柴一族が警戒されて秀華所長達による密告などが不可能になった可能性もある。

 

 だからこそ、傲慢な意見と取られる可能性は十分あるわけだ。

 

 そんな俺の言葉を聞いて、信子さんは小さく苦笑する。

 

「……そうね。確かにそれなら、私達は助かったかもしれないわよね」

 

 苦笑いを浮かべる信子さんは、ふと空を見上げた。

 

「私は特に大概だったけれど、他にも被害者はたくさんいたもの。……まだ会いに行く決心はついてないけれど、私の親友も被害者だから」

 

 その表情は、涙を流してないだけで泣いている風にも取れる。

 

「ただ、私が無事だからもっと良い方向になったわけではないもの。それに親友に関しては私の所為でもあるから、貴方のことを悪く言えるわけでもないしね」

 

「……そう、ですか」

 

 こういうところは、お互い大変だってことにするべきだろうか。

 

 桃山警護事務所のメンバー、特に正社員の大半は重いからね。

 

 美子ちゃん以外は大なり小なり、波柴一族に連なる被害を受けている。それで人生を踏み外し、運よく秀華所長に拾われる形になったメンバーでもある。

 

「……それを言うなら、矢城を告発するどころか便乗した私がもっと最悪でしょうけどね」

 

 と、麗奈が目を伏せながらそういった。

 

 その上で、苦笑しながら肩をすくめる。

 

「たらればで可能性を語り続けるのもあれでしょう。自主的に踏み込んで悪行を成した私が言うことでもないけれど、罪を償った上でましなところに戻っていくしかないんだから」

 

「……実際問題、それぐらいしかないわけだよね」

 

 俺も苦笑いするしかない。

 

 実際、それ以外の選択肢なんてないだろう。

 

 いや違う。その選択肢を選ぶことが大事なんだ。

 

 開き直って更に不幸を増やし続けるなど論外だ。沈み切ってただ不幸なままでいることもダメだろう。

 

 ……それは、所長に対する不忠だ。

 

 結局のところ、きちんと反省したうえで同じ過ちを繰り返さないように努力する。それ以外の手なんて存在しない。

 

 それに俺の場合、美子ちゃんがいる。麗奈も麗華もいる。

 

 美子ちゃんが俺を愛してくれることに対して、真摯に向き合いたい。少なくとも「恋心を抱いたことを後悔してほしくない」と願った。だから、まず踏み外した道の責任を取ることを選んだ。

 

 麗奈と麗華にしても、謝りたいと切に願っていた。そして二人とまた結べた絆に対して、俺は今度こそ誠実でいたい。

 

 だからこそ、俺はそれは裏切らない。

 

 そう自分を再確認していると、俺達の話を聞いていたのか海砂と流花も苦笑を浮かべながら来ていた。

 

「そこは同感ね。私の場合、結構色々やらかしているから尚更頑張らないと」

 

「私も……いつかちゃんと謝れるなら、謝りたい。その為にも、せめてちゃんとやり直さないとね」

 

 二人もそうだ。

 

 人生を大きく揺り動かす業を背負って、その上で秀華所長と誠二の二人に引き上げてもらった。

 

 俺達は誰もが道を踏み外し、その上で再起することを望まれてここにいる。

 

 ……今でも、秀華所長のあの言葉は夢に見るほど心に刻まれている。

 

「流花も海砂も、所長のあの言葉覚えてるかい?」

 

「「もちろん」」

 

 即答だった。

 

 ああ、あれは本当に俺の心に刻まれている。流花と海砂は誠二の方が重いとは思っていたけど、同じぐらい大事な言葉になってるみたいだ。

 

「「「しっかり罪を償って誰かの力になって、その上で自分も幸せになれるように頑張りなさい。幸せ(そこ)から絶対逃げちゃダメ」」」

 

 あの言葉は、本当に響いた。

 

 道を踏み外し続けず、罪を償うこと。

 

 誰かを不幸にするのではなく、誰かの力になって幸福になるような生き方をすること。

 

 そして、自分が幸せになることから逃げず、その為に頑張ること。

 

 彼女自身重い業を背負い、俺達より幼い身で背負ったうえでのその言葉。

 

 ……あれがあるから、ここまでやってこれる。

 

 さて、だからこそだ。

 

「……仕事はきちんとしないとね。万が一に備えて万全の態勢を維持しておかないと」

 

 来るなら来いよ、アイアンローズ。

 

 その時は、その分のツケを払わせてやる……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『兵藤一誠』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ樹下。俺、小猫ちゃんと朱乃さんからも好かれてるみたいなんだけど」

 

「そうか。まぁ納得ものだがな」

 

 樹下が思いっきりさらりと流しやがった。

 

 正直ショックなんだけど。俺は真面目に聞いているんだけど!?

 

 準備を整えて警戒をしている間に、朱乃さんと小猫ちゃんが俺のところに来て、それっぽいことを言っていたんだよ。

 

 結構びっくりなんだけど!? なんでお前はそこまでさらりと流すの!?

 

「朱乃さんは割と露骨にアプローチしてきていたしな。小猫に関しても割と本気で体を張ってたろ。自分を振り返って確信するが、人生の大きな負の側面から守ってくれるっていうのはフラグ立つぞ? 普通無理だろってレベルの存在からだとなおさらだ」

 

 な、なるほど。

 

 SSランクのはぐれ悪魔ってのはそれだけの存在か。

 

 でも朱乃さんに対してはあんまり分かんないなぁ。

 

「……例のアスカロンを貰った時ぐらいからじゃないか? 何があった?」

 

 樹下が推測してくれるけど、本当に大したことはないよなぁ。

 

「朱乃さんの事情を聴いたんだよ。樹下は知ってるよな?」

 

「神の子を見張る者の最高幹部であるバラキエル殿の娘さんだろ? 五大宗家案件でもあるから、相応に深いところは聞いているが」

 

 あ、これ俺より詳しいかも。

 

「なんか朱乃さん、自分のことをレイナーレやコカビエルみたいに捉えて、俺が知ったら嫌いになるとか思ってたみたいなんだよ? 俺は普通に朱乃さんのこと大好きなお姉様って思ってるって言っただけなんだけど」

 

「……そういうとこだぞー」

 

 なんで呆れながら笑顔で言うのこいつ!?

 

 マジで分からんけど、朱乃さんの琴線に触れたのか? なら、いいのか?

 

 と、樹下は立ち上がる。

 

「さて、雑談は一旦切り上げるぞ。現状なら問題なさそうだが、状況が急変して戦闘になるかもしれないしな」

 

「……あ、確かに」

 

 あんまりのんびりするってのもあれだよな。

 

 いや、そもそもアイアンローズはこっちに来るのか?

 

「アザゼル先生やミカエルさんもあっちに行ってるんだろ? わざと派手に暴れてるみたいだし、アイアンローズならそっちに集まりそうだけど」

 

 あいつらの目的は民間人の虐殺とかじゃなくて、聖書の神のシステムを停止させることにあるらしいしな。まず倒すとかそういうことだとしても、トップを倒して降伏させる方が手っ取り早いだろ。

 

 態々素通りして民間人や若手を狙いに行くのって、流石に無駄が多い気もするけど。

 

 ただ樹下は、難しい顔になっている。

 

「アイアンローズだけならその可能性は高いが、ハーデス神やロキ神の動向が読めないからな。あとアイアンローズにしても色々あれだから、突拍子の無いことを起こしかねない」

 

 面倒なことだよなぁ本当に!

 

 もうやだあいつら。本当に勘弁してくれよ。

 

 それも、大物の神様とかたくさんの国が後ろ盾になってるんだろ? 何をしてくるか読めないところがあるんだけど!?

 

 もう勘弁してほしい。俺は平和でエロエロな毎日が過ごせればそれでいいのに、来なくてもいい窮地が着すぎだろ。

 

「これでヴァーリとかが来たら最悪だよな。黒歌に一発かましたお礼参りとかしてきそうだし」

 

「しかもお前、後天的に禁手を亜種にしてるからな。興味本位で突っかかってきそうなところがある」

 

 俺と一緒に樹下もげんなりしているけど、とりあえずそろそろ気合入れるか。

 

 こっちに来るってんなら、やってやるさ。

 

「来るなら来やがれ……ヴァーリ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ? 乗り気なようで嬉しいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と樹下は、ちょっと沈黙した。

 

 いや、今の幻聴であってほしいけど……。

 

「どうしたんだい? 実際に来たんだから挨拶ぐらいは欲しいね」

 

 振り返ると、そこには奴がいた。

 

 何故か、ホテル側から来てやがった。

 

「「……なんでだよ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

『木場祐斗』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……なん、だって?

 

「初めまして、グレモリー眷属のデュランダル使いに聖魔剣の担い手。リアス・グレモリー達から話には聞いているでしょうが、私はヴァーリチームのアーサー・ペンドラゴンです」

 

「さっきぶりね白音~♪ なんか第二ラウンドすることになっちゃったニャン♪」

 

「夜は消化不良だったからねぃ。そろそろ楽しもうぜぃ?」

 

 ……陣の後方から現れたのは、ヴァーリチーム。

 

 更に他にも三人ほど、フードを被った男一人に女二人。

 

 ただし、全員揃って動きが磨き上げられた戦士のそれだ。

 

 アイアンローズばかりに気を取られていたら、寄りにもよって後ろから奇襲を受けるなんて……!

 

「姉様……! まさか、アイアンローズと示し合わせて……?」

 

 小猫ちゃんが訪ねるが、黒歌はひらひらと手を振ってそれを否定する。

 

「違う違う。ちょっとした便乗って奴よ。なんでもそっちの桃山何たらと一当てしたいって奴がいてね~。どこ行ったか知らない?」

 

 黒歌の話を聞く限り、どうやらフードを被った者達の手伝いということなんだろう。

 

 しかし桃山警護事務所と一当てしたいか。……相応に凄まじい存在がトップなわけだし、興味を持つ者が出てくるのは当然か。

 

 とはいえ、若手だけとはいえ上級悪魔が何人もいるところに乗り込んでくるんだ。ヴァーリチームに並ぶ難敵の可能性は大きい。

 

「とりあえず、戦っていれば来るだろうしね。アーサー君、とりあえずリーダー達には伝えておくからその辺りはよろしくね?」

 

「かまいません。あまり粘着されても困りますし、これで手切れ金ということでお願いします」

 

 聖剣を持っている男がおそらくアーサー・ペンドラゴン。フードの男性との話を聞く限り、ヴァーリチームに移籍する前のアーサーが属していたとかそういう辺りだろう。

 

 となると、手練れである可能性は高い。

 

 そう思いながら警戒していた時だ。

 

「……禍の団まで来ているとはな!」

 

 その声と共に、前線側から現れた者がいる。

 

 奴は、兵野勝正……!

 

 いや、問題はそこではなく、彼が連れている者達。

 

 その大半が悪魔。それも、この感覚は―

 

「上級、悪魔が数十人もだと……?」

 

 ―戦慄した一人の悪魔が、そう唖然とするのも当然だ。

 

 ぱっと見で30人前後。それだけの数の上級悪魔が、一部隊単位で勝正に引き連れられている。

 

 まずい。ここにいる上級悪魔は精々十数人。こちらの方が不利になっている。

 

「まぁいい。どちらにしても俺のやることは変わらない」

 

 そして兵野勝正は、両刃剣の発動体を構える。

 

「将来の脅威になりえる赤龍帝及び、その同胞を討ち取ることだ。投降して居場所を教えるのなら、危害を加えるつもりは……ない!」

 

 厄介すぎる事態に……なっている!?

 




 そういうわけで大乱戦です。

 そういえば桃山警護事務所メンバー同士の会話があまりなかったなぁと思い、序盤で麗夜視点で少し入れてみたり。

 特に初期正社員メンバーの三人は、導いてくれた秀華に対する強い恩義を持っており、そういう点も見せていきたいと思っているが故のこの展開です。
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