シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
つい最近、PixAIのLoRAで赤龍帝の鎧風にできるものを発見。これは今作でのイッセー独自進化に応用できるのではないかと思い、いろいろと試しております!
それはそれとして本編!!
《樹下誠二》
ことの発端は三年と少し前。まだ俺と秀華が桃山警護事務所を設立しておらず、部下として美子達が派遣される前のことだ。
波柴一族の一斉摘発において多大な貢献を果たした俺達だが、その本家である秀華に、一族が凶手として育ててきた俺という存在に懸念を抱くのは当然。実際、桃山警護事務所は監視任務という名目で相互監視状態になるようになっていたわけだしな。
そしてその初期はもう、一生懸命働いた。こっちだって好き好んで酷い目に遭いたいわけではないしな。
そしてその一環で、日本の方針転換に伴う他国への支援事業に参加することになった。
このタイミングで祓魔庁が発足したわけだが、人材不足にもほどがあったからな。また日本政府としても方針変換で他国の防衛にもかかわるようになったとはいえ限度があるし。
そして派遣されたのは
日本政府は方針転換に伴い技術支援や兵器の輸出事業などを行っているが、その一環として異能方面での交流も進めていた。その一環で東華民国が独自に保有を試みていた異能保有者のチームとの交流を試みることになった。
が、ここで大きな事件が起こる。
大学院の名目で異能の研究及び実戦を行う、院生で構成される独自チーム。彼らが街中で発見された犯罪組織の摘発に同行した際行方不明になったという情報だ。
緊急事態と考えて俺達も協力し、唯一発見された女性の話を基に救出作戦が敢行されたが……本当に酷かった。
到着した俺達が見たのは、巨大な肉の化け物に取り込まれた女性に、肉の化け物と混ざり合った者達だった。
のちの調査結果をもらっているが、どうやらその組織は死体を利用した戦闘兵器の開発を研究していたそうだ。
その一環として珍しい星辰奏者の死体をたまたま入手できたことから、その細胞を培養するなどで「取り込んだ存在の異能を増強転用する生体兵器」を研究しており、それが暴走したことが事態の発端だった。
結果としてチームは壊滅し、残った生存者は逃げることができた女性及び、生きたまま半ば取り込まれていたリーダーのみ。それ以外はもう生物として想定することすらできないような存在になり果てていた。
……判断は素早かった。俺と秀華は伏せ札の星辰光も併用。なれの果てに止めを刺しつつ、唯一まだ生きていた女性を黒刃を利用することでかろうじて生かして助け出すことに成功はした。
ただ、命を助けることはできても心を助けることができるかは別問題だ。
取り込まれて思う存分異能を振るう為の道具にされ、更には目の前でその力をもってして仲間を殺害され続けた。そしてそれ以前として、その異能を効率的に運用する為に全身を走る感覚同調で、彼女の精神は破綻寸前だった。そこに助けられて冷静さが戻ったからこそ、仲間達を自分の力が殺してしまったことで更に限界を迎えかけていた。
話を聞くだけでもキツいだろうが、だからこそ目の前の彼女の姿は心が痛むなんてものじゃなかったよ。いっそ助け出す余地がないと見切りをつけて殺した方がいいのではと、何度か思ったぐらいだな。
あと先に言い訳をさせてもらえるのなら、どうして結果がああなったのかは完全に想定外だし、当時十四手前のガキにそこまで的確な判断ができるわけもない。訳もないのだが、やり方には多大に問題があったし、失敗した場合のリスクがあまりに大きかったと今でも思っている。
何をしたかって? 徹底的に死んだ仲間達を貶めてキレさせたのさ。我ながらそんな手段を取らずに済むなら取っておきたかったが、あの時はそこまで考える余裕がなかった。
まぁおかげで、かなり本気で憎まれたよ。だがまぁ、憎悪というのは目的意識としてはかなり有効だと学んでいたから、あの時はとりあえず一安心したのと、自己嫌悪が混ざって自分でも形容しがたい感覚だったな。
で、まぁその際「とりあえず大学院を出るまで自己研鑽をして、キチンと勝負を挑むのなら真っ向から挑戦を受け付ける」といったうえでまぁ……例のアレです。「そこまで言って無理なら、責任取って介錯する」と宣言しました。
この件について改めて言い訳させてくれ。責任の取り方がこんな方向性になるとはこの時点で思ってなかった。むしろ信子さんとコナユキの件まで、その辺りの可能性をほぼ考えていなかったりする。
いや責任はとるぞ? 自分の行動と発言に伴う責任はきちんととる主義だ。とりあえず資金繰りにおいては高給取りだし、無理のない範囲で株式取引に手を出すつもりだ。幸か不幸か波柴一族の教育課程で株式取引のサポート方面とかも受けているから、そこからメソッドを取り出せば、ぼろ儲けを考えないようにすれば、確実に少しずつ貯蓄を増やしていけると思う。
そして話はそれたが、それから数年。大学院を卒業しているだろうに連絡がなかったが、正直ここ数か月が激動過ぎてうっかり失念していたのは本当に失態だった。その件についてはきちんと謝罪しておいた方がいいだろう。
……いや同情するな、そこは責めるところだ。まぁ、三大勢力が結果的に連携を取る作戦やら、元七十二柱本家の婚約騒ぎやら、コカビエルによる戦争再開狙いのテロやら、和平に禍の団にアイアンローズと盛りだくさん過ぎるけどな。本当に盛りだくさんだよ。
で、その女性こそがお前らも知っているあの女性だ。
まぁ問題としては、優秀すぎるとはいえこの場の面子で比べると、一歩劣る者達が多いのがあの事態の理由ともいえるだろう。聖魔剣やら赤龍帝やらデュランダルやらルシファーやらグレモリーやら雷光やら、反粒子やレヴィアタンも、総じて上澄みの上澄みレベルだからな。少なくともコカビエルと対峙してまともに戦えるようなチームではなかった。
だからこそ壊滅し、そして生き残ってしまった。それを繋げる為に、俺は相当のことをするしか選択できなかったしな。
そして……どうしてこうなったんだろうなぁ。
なんで絶対服従の忠犬になりに来ているんだ。ちょっと宥めようとしたら、情緒不安定レベルで顔を真っ青にしているから、かなり困る。試しと牽制を兼ねて私生活のリズムまで全部支配する方向で躊躇させようとしたらもの凄い喜ばれた。……流石にこっちが処理できないからそこは止めたが。
……なぁ、俺は一応まだ彼女もいないのに、なんでペットができたんだろうな……。
《兵藤一誠》
何も言えねぇぇええええええええっ!?
あの時で結構凄いの来たって思ったけど、何も言えねぇ!?
ヤバイ。来歴から現状まで何もかもヤバイ!?
樹下周りの女性ってめっちゃ酷い過去を持っているけど、下手すると一番上ではないだろうか!?
もし俺が取っ捕まって、赤龍帝の籠手の力を使われてリアス部長達に死人が出たら、立ち直れる自信がねえよ。考えただけで気が狂いそうになるよ。
あとそれをどうにかする為だからって、よくもまぁ十代前半でそんなこと言う覚悟決めれるよ。お前も大概やばいって。
「……で、どうするの?」
リアス部長がちょっと引き気味で聞いてくるけど、樹下はとりあえず沈んでいるけど覚悟は決めているらしい。
「責任はきちんと取ります。俺に従属して命令されないと自身を保ちきれないというのなら……飼い主に、俺はなる……!」
そんな悲壮な決意で飼い主宣言する奴とかいるんだ。しかも、飼うのは人。
ヤバイ。綺麗な女性が調教されてないのに男に飼われることを自分から望むとか、エロゲでもそうそうないような展開だと思うけど。ちょっと倒錯的な雰囲気がするけど。
でも現実にこの流れで見たくなかった。
「そういえば、日本のエロ作品とかではそういう展開があるらしいね。イッセーはどうなんだい?」
「ゼノヴィア。この流れでそれを聞くのは絶対にやめた方がいい。本当にやめた方がいい」
木場がゼノヴィアを止めてくれて助かった。
ただ、本当にどうしたもんだよコレ。
「……ただ、正直想定外すぎてどこかでボロが出そうなんだ。その、フォローをしていただけると幸いのそのまた幸いです」
相当追い詰められてるな、樹下。
かつてここまで追い詰められた樹下を見たことがあっただろうか。いやない。
でもこんな理由で追いつめられるとか、本当に大変だな!?
「マジで頑張れ! その、たまには愚痴も聞くから!!」
「ありがとう、イッセー……っ」
すっごい助かった表情で言ってくれたよこの人。
本当に大変すぎる。マジで頑張れぇえええええ!!!
《空本麗夜》
……誠二、大丈夫だろうか?
学校の方で休めているならそれに越したことはないと思うけどね。というか、休んでくれることを切に願うよ。
まぁ、それはそれとしてだ。
「麗夜、とりあえず溜まっていた資料の分別は全部終了。優先度が高い部類を所長のテーブルに乗せておいたけど……青蘭さん、大体終わった?」
「所長の認可が必要ないものは全部さばき終わったぞ。最終確認はしてもらわないといけないが、これで優先書類の八割は片付いたな」
青蘭さん、仕事ができすぎる。
大学院まで終了しているだけのことはある。というか、バリバリのキャリアウーマンじみた仕事っぷりに、更に雑務といえる書類整理までてきぱきと終わらせている。真の意味でできる女性だ。
そして麗奈もそれを補佐してバリバリと書類仕事を終らせている。正直二人が来てから、俺達のデスクワーク関係はだいぶ楽になっている。
「しかし手早いな。大学院で色々と学んでいた私についてくれるとは、本当に高校中退か?」
「厳密には除籍処分だけどね。一応簿記三級取ってるから、これぐらいはね」
うちの新入り女性社員、仕事ができすぎる。先輩の威厳が、威厳が……!
「これが大学院生の実力……」
「ふふ、学歴社会の現実だよね……」
「……現実をもっと見なさい。高校除籍が追随しているわ。
流花も海砂も信子さんも、微妙に表情が暗い。まぁ俺もだけど。
というか、うちの事務所って学歴という点だと壊滅的にやばいよね。
数年間、社員の誰もが大学を卒業どころか入ってもいないわけだし。そこに輝く大学院まで終わらせた学歴社会のカーストが、厳しい。
ふふふ。多分禍の団とかアイアンローズで忙しいけど、落ち着いたら通信制の高校とか、放送大学とかいうのを試してみようかな……?
とはいえ、俺達も仕事をしていないわけではない。
青蘭さんと麗奈で六割……いや七割ぐらいやっているけど、俺達だって仕事はしている……していると思いたい。
だが学歴社会と資格制度の本質を見せつけられている気がする。これが、スキル……っ!
「グリィイイゴリィイイイイッ! 差し入れを届けに来たぞ諸君! 麗奈と麗夜はいるか!」
と、麗華が豪快にドアを開けて入ってきた。
とりあえず、お茶にした方がいいのかな……?
桃山警護事務所の最大の欠点:社員の学歴が壊滅的。
具体的には―
麗夜・海砂:高校中退(それぞれ犯罪行為に対する関与などがあるが、情状酌量や同情の余地ありとして除籍は免れる)
流花:高校そのものがなくなったこともあり事実上の中卒
麗奈:強姦教唆発覚による高校除籍処分につき中卒
信子:大学中退(失踪による事実上の休学から、執行猶予とはいえ逮捕されたことによるケジメ)
誠二・秀華・美子・コナユキ:現役高校生
リーナ・アルトリーネ:特殊環境により除外
……という状況。そこに輝く、海外とは言え大学院修了という圧倒的マウント率……っ!
それはそれとして、青蘭の来歴説明。
性的に壮絶な過去の多い桃山警護事務所メンバーですが、青蘭はその中でもトップクラス。
ある理由もあって割と急遽設計されたキャラクターが青蘭で、いくつかのキャラクターの要素を抜き出して統合した結果誕生した人物なのが青蘭。その立ち位置上メインヒロインの秀華に次ぐポジションになると言えます。
そしてそのきっかけとなる事件においての説明会でもありますが、曲がりなりにも快楽堕ちしてからの事態となっている海砂・流花・信子とは違い、方向性としてはコナユキに近い来歴ですね。コナユキも大概ですが本能的に心を閉ざして最低限の防護ができた彼女とは違い、青蘭はそれができなかったために心を徹底的に砕かれたところになります。
そこに対して誠二もまだまだ未熟な時期だったこともあり、青蘭はその根幹部分に良くも悪くも誠二が入ってしまった形です。キャラクター来歴としてはかつての作品であるケイオスワールドのオリジナルメインキャラたちと同じく「自分の柱を完璧に外側に依存しているが故の強み」を持ってしまった傾向でしょうか。もっとも悪い方向に上ですが。
彼女が政治にとってどんな影響を及ぼすのかが、オリジナルキャラ側におけるホーリー編。またある意味で重要ポジションとなるコガネやディオドラとも対比できる点もあるので、そこを注目していただけると幸いです。