シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
結構楽しかったしおいしいものも一杯食べれました。食べれましたが疲れました。十年ぐらいああいった規模のレジャーはやってなかったのも大きいですね。これは予約投稿ですが、連休明けの仕事再開なんですけどミスが多くなりそうでちょっと怖いです。
それはそれとして本編!
《Other》
「……じゃぁアザゼル先生。私達は当分社員達を学園の周囲に配置しての万が一の警戒ってことで」
「頼むぜ、秀華。奴の件はほぼ裏が取れたが、だからこそ泳がせて一網打尽で決定されたからな。……ただ、奴の黒っぷりから見てアーシアが流石に危険すぎる」
「ものの見事に徹底してますからねー。これ、むしろ行きがけの駄賃でもらいに行くこと間違いないでしょうしねぇ?」
「そういうわけだ。雨宮司教達には別口で動いてもらってるので、その辺りも警戒必須だ。……まぁ、駒王町には相応の結界も張ってるからそう簡単にはいかないだろうがな」
「裏を返すと、それでも入られるような奴は超危険ってことですからね。普段の五割増しで警戒しときます」
「頼むわ。俺としても失敗した時の責任を取る前提で動いてるからな。準備が整うまではガチの警戒を頼む」
「あいあいさー! こっちも気合を入れて動きまっす!!」
《樹下誠二》
夜、俺はふと目を覚ました。
ぼんやりと天井を見上げながら軽くため息をつくと、それに反応したのか隣で海砂さんが目を覚ます。
「……あ、やっぱり眠れてない?」
「まぁな。色々といっぱいいっぱいなところもあるし」
そう答えると、海砂さんはそっと俺を抱き寄せてくれる。
……少し前の連絡と、当面の方針。そして此処までに至る青蘭との主従関係がまだ割り切れていない。
それらもあって、俺は思っているより疲れていたようだ。温泉の元でも入れて気分転換で一人風呂で発散していたが、周りにも心配を掛けさせていたようで海砂さんが流花さんと一緒にフォローに来てくれた。
ちなみに、青蘭は麗夜さんと美子ちゃんが連れ出して、この町の美味しい飲食店を紹介するそうだ。流石に付き合いが長いメンツには、色々と気づかれていたらしい。
後でしっかりお礼はしておかないとと思いつつ、俺は抱き寄せてくる海砂さんに逆らわず、その胸に顔を埋める。
思った以上に疲れているし、一気に疲労が来た感覚はある。
なにぶん、以前からの情報に、今回の方針決定。割と疲れる状態なのは事実だ。
もっとも、波柴の施設で育成させられていたころに比べれば楽なはずなんだがな。
「環境に慣れるのもどっこいどっこいだな。ちょっと緩んでいる気がする」
「それは違うわ。気にする方向性が違うだけでしょう?」
と、海砂さんは俺の頭をなでてくれる。
まだこれでも未成年なんでな。年上の女性にこうされることに、喜べる関係は十分にある。
少なくとも、俺は海砂さんのことも流花さんのことも好ましいと思っている。それは事実だ。
そこに至るまでの四年間を思い出して、俺は小さく笑みを浮かべてしまう。
「……どうかした? それとも、私のおっぱいで興奮したのかしら?」
ちょっと得意げなその言葉に、俺は安堵すら覚えてしまう。
「いや、最初に会った時の頃を思い出して、あれからだいぶ……頑張れてるよなぁって思ったら感慨深く」
年下が言うことじゃないが、それが本音だ。
それに対して海砂さんがちょっと閉口していると、ドアが開いて苦笑が響いた。
「確かに。私も海砂も、最初にあった頃は本当に酷かったからね」
そう苦笑している流花さんは、苦笑しながら服を脱いでいく。
今回、疲労が相当溜まっていることに気づかれたのか、海砂さんと流花さんが俺を左右から可愛がっている状態だったわけだ。
「あの頃は本当に、どん底……だったからね」
「そうね。自分が嫌いで嫌いで絶望してたわ」
二人揃って苦笑するけれど、それも当然だろう。
お互い、波柴の関係者にさいなまれる形で墜ちて心を殺されて、そして最悪なことに正気に戻ってしまっていた。
手遅れになった状態でそうなってしまえば、あとは自己嫌悪と絶望にさいなまれるのも当然だろう。
俺も大概業を背負っているが、正気をぎりぎり保ったうえで覚悟をもって背負っているからな。今でも業の清算まで考えたうえで動いているから、流石に自己嫌悪はしても絶望はしていない。少なくとも、前を向いて歩む覚悟ぐらいはできていただろう。
とはいえ限界ギリギリなところもあったがな。たまたまあてがわれた波柴が秀華だったからよかったものの、あの時は無駄死にする可能性を分かったうえで、無謀極まりない人質作戦からの脱出作戦を敢行したからな。秀華がアドリブを聞かせて共闘を成立させてくれたからこそ、何とか乗り切ったところがある。
ただ、そうであっても俺は堕ち切ってなかったし、堕ち切るぐらいなら死にに行くことを選んだ。その事実は変わらない。
二人はそれが選べなかった。屈する前に死ぬことを択ばず、それどころか大切な人すら傷つけた。そして手遅れになった後で正気に戻ってしまった。
その絶望具合は本当に酷かった。美子ちゃんや麗夜さんとは違い、秀華の部下として長官からあてがわれて出会ったが、他にまず連れていくべきところがあったのではないかと思う時があるからな。
だからこそ、秀華が言った言葉は事実であり、俺が告げた言葉は真実だ。そこに誓って嘘などない。
俺の言葉にある大きな問題は確かにうかつな見落としだった。だが、発言を撤回する不誠実はないし嘘など欠片も言っていない。それは、俺にとっての誓いでもある。
だから、改めて宣言しよう。
「……あの時の言葉に一切の嘘はない。その発言を撤回する気もない。だから、もう一度宣言するよ」
そう、そこに誓って偽りなんてないのだから。
心から、彼女達が再起してくれることを願った。
真実、それが困難な道のりであることを悟った。
故、その上で引き上げようとする業を担った。
だから、この言葉は絶対に裏切らない。
「最悪道を踏み外すようなら――殺してでも止めてやる。俺だけじゃ無理でも、誰かの力を借りてでも」
この言葉に俺は責任を持つと決めている。
助けて引っ張り上げた。そして、その後の居場所まで用意するんだ。
怪我人を見つけて救急車を呼ぶとか、迷子を交番に連れて行く。そういうレベルの人助けじゃない。
文字通り、助けた相手の人生を背負うことを決めたんだ。
だから、この言葉を改めて誓う。
「色々と迷っていることや悩んでいることはある。だけど、この言葉を違えることは俺にはない。そこだけは安心してくれていい」
海砂さんの胸に顔を埋めながらだと説得力が薄いだろうが、それでもこれは伝えておく。
そう。この言葉は死ぬまで曲げない。曲げるぐらいなら死んでやる。
それぐらいの気概でした発言だ。今でも、そう言ったことを間違ったとも思ってない。なら、撤回する理由もない。
そして、気づいた時には後頭部に更に裸身のおっぱいの感触がしてきた。
「……本当、その言葉は所長のお言葉と同じぐらい、私達を救ってくれたよ」
「ええ。自分を信じられない私達にとって、……その言葉こそが救いの光ね」
そう言いながら前後から抱きしめてくれる二人は、ほんのりと温かい。
「「だから、責任取ってね……っ」」
そっと抱きしめられる二人の感触に感謝しつつ、俺は意識を整える。
ああ、その責任はきちんと取る。
問題は、そこを意識すると逆に誠実さが欠けてきそうってことなんだけどな……。
《兵藤一誠》
その日、樹下は学校に来なかった。
先生は実家の都合って言ってたけど、あいつ天涯孤独の身だから絶対違う。多分仕事だ。
ま、あいつはそもそも日本政府の秘密組織出身だしな。今は三大勢力との合同出資による駒王町を担当する特殊部隊になっているけど、だからこそ色々あるんだろうさ。
秀華さんも来てなかったしそっち案件だろ。ちょっと吹本さん含めて相談したいこともあったけどまぁいいか。
となると、殆どのメンバーは多分この街にも残ってないんだろうなぁ。
そう思った時、自販機までつくと青蘭さんがいた。
「……あれ?」
しかも何故かスーツを着ている。
「ん? ああ、君は兵藤か」
さらりと俺に挨拶をしてのけた青蘭さんは、自販機から缶コーヒーとオレンジジュースを購入すると俺に見せてくる。
「奢ろう。どちらがいい?」
「あ、じゃぁジュースの方で」
ちょっと冷たいものが呑みたかったからジュースを貰って、俺は一口飲む。
同じように楽さんもコーヒーを一口飲むと、小さくこちらを見た。
「所長からの指示で、少しこの学園で警備をするように言われている。アザゼル総督からも許可を取っているが、万が一の懸念に対応する準備のようなものでな。詳しくは語れないが来校許可証はもらっているから気にしないでくれ」
あ、だからスーツを着てるのか。びっくりしたよ。
「まぁ、場合によっては非常勤講師という形で在籍するという形にもなりそうだがな。一応東華民国では教員資格も取っているが、その場合は……数学の担当になるのか?」
「あ~。海外の大学で学んでるとなると、数学か世界史ぐらいが打倒なんですかね」
国語はちょっと周りが抵抗しそうだし、海外語に関しても英語担当を元中国圏の人がするってのもあれか。
……あれ? でも日本語ペラペラだよな?
「そういえば青蘭さんって、東華民国出身なんですよね? なんで日本に?」
話し方に外国人っぽい訛りが全然見えないし、日本人にしか見えないよな。
アジア系でも中国人と日本人を見ると、アジア出身だと区別がつくっていうけど違和感もないし。ちょっと気になるかも。
と、青蘭さんはコーヒーを飲みながらも平然としていた。
「私は元々、独立前の中国時代からあちらに住んでいた父親と、日本人の母親に生まれたハーフなんだ。それもあって、独立運動が過激化していた中高の時期は日本に住んでいたのでな」
へぇ。
「独立運動が一通り収まってきた時期と大学進学が重なっていたので、あちらに戻ってから異能に触れていたんだ。中高の時に親しくなった友人を誘って戻った後、異能が発現したことが原因でな」
「そうなんスか。でも、その頃まで神器が発現しなかったんスか?」
高校卒業まで異能が発言しなかったのに、大学になってから目覚めたのか。
俺が高二で目覚めてなかったことから堕天使に殺されそうになったことを考えると、運がいいのだろうか?
そう思っていると、青蘭さんは小さく苦笑した。
「私は私で少々事情が異なるんだ。……むん!」
と、青蘭さんはちょっと気合を入れた。
その瞬間、青蘭さんの頭から耳が生えた。
獣の耳だ。それも、小猫ちゃんみたいな猫じゃなくて……狼?
ただ気づくと、お尻の方から狼の尻尾が二本生えている。
どういうことかと思っていると、ふと目の雰囲気も変わっている。なんというか……ギャスパーっぽい赤さが入っている。
な、なんだ?
俺が困惑していると、青蘭さんはちょっと得意げな雰囲気になっていた。
「驚いただろう? 私の場合は神器より先祖返りが強くてな。……都合五種の異形が宿っている」
「……ご、五種類!? それに神器込み!?」
マジかおい。
ギャスパーも大概だしヴァーリや秀華さんの大概だけど、この人ある意味もっとやばいな!?
「……とはいえ、基本的にそれぞれの力はそこまで強くないがな。この業界は手数より質が重要といえるし、私自身、そう簡単にそれぞれの異能を使い分けられるわけでもない。だからまぁ、実はあの事件までで意外といっぱいいっぱいだった」
そう言ってから、青蘭さんは空を見上げた。
「中高共に生徒会長で、大学でも成績優秀だったことが悪い意味でかみ合ってしまっていたな。無意識に人を上から見下す思考を持っていたのだが、チームを組んだ異能者はそれぞれが強みを生かせば上級悪魔クラスにも通用する異能。全方位万能型と言えば聞こえはいいが器用貧乏止まりだったこともあり、あの頃は相当精神的に追い詰められていたよ」
「そうなんですか? その、友達と一緒だったっていうなら、支え合って何とかできたんじゃ?」
俺も、仲間達と切磋琢磨しあって成長してる。一人だけだとここまで行かなかっただろう。
だからそう思ったけど、青蘭さんはもの凄い苦笑いを浮かべて視線を逸らしていた。
「……支え合っていたというか、共依存のそれになってしまっていてな。今になって気持ちを実感しているが、吉子は……私の親友は人に依存したがるところがあったしな」
え、えっと……?
俺が気になっていると、青蘭さんはなんか苦笑いがどんどん凄くなっている。
「今の私がそうだから分かるが、人に依存するタイプは依存対象に酷くされることがイコールで反感に繋がるわけじゃないんだ。DV被害者が加害者に依存するのに近いかもな」
「というと?」
よく分からないので聞いてみると、青蘭さんはなんか微笑んでいた。
というか発情している。
「多少酷い目に遭わされてもさほど苦にならない。むしろそうしてくれることで、私が相手に必要とされているような快感じみた惑いを得る。それほどまでに、私や吉子は自分の方針を全て決めてくれる相手に従いたいと……少なくとも私は思っている」
ちょっとぶるっと震えているけど、これ絶対恐怖とか寒気とかじゃない。
快感で振るえてるよコレ。
こ、こういう関係性から始まる繋がりもあるのか。勉強になった。
「ひ、人の心って複雑なんスね!」
できる限り言葉を選んでみると、青蘭さんはあっさりと頷いた。
「そういうことだ。特に私みたいな来歴だと、尚更だ」
そう返してくれた青蘭さんは、その上で寂しげな表情になる。
「もうどうしようもないぐらいにな。おかげで、ご主人様……誠二には迷惑をかけている」
「え˝!?」
自覚があったの!?
思いっきりびっくりしたけど、青蘭さんは特に怒ったり違和感を覚えたりはしなかったみたいだ。
「ああ。その上で、私はもはや彼に依存せずにはいられない」
そう答えた青蘭さんは、なんか自虐的な表情で視線を下に向けた。
「彼が望むような関係性ではないのは分かっている。おそらくもっと自立しようと、そういう己であろうとすることができることが大事な要素なんだろう」
それを言ったうえで、青蘭さんは首を横に振った。
「だが無理だ。私の心はあの時、完全に砕けてしまった。……吉子に縁を切られて、自分の歪みや彼女をあそこまで歪めてしまったことを自覚してなお」
少し泣きそうなその表情のまま、青蘭さんは自嘲って感じの笑顔になる。
「あの化け物に取り込まれた直後はまだ保てた。私を核として私の異能を振るうと悟り、全員に全力で逃げることを命令できる程度には。……だが、それゆえに仲間達が私が最も絆を結んでいる吉子だけを逃がして、私を助けようとしてからが地獄だったよ」
その時の震えは、恐怖から来たものなんだろう。
今思い出すだけでも震える。そういうレベルのトラウマになってるんだって俺でも分かった。
「人狼や星辰奏者、堕天使に神器保有者としての自分はさほど使われなかった。だがヴァルキリーと猫魈に吸血鬼の性質を利用した感覚共有を利用した足止めを基に、化け物本来の性能で目の前で仲間達が殺されていく。そしてその時の仲間達の感覚を、私自身が触媒となる形で……人狼や猫魈の強化された五感で体感された」
目がよどんでいる。そう思えるほどに、青蘭さんは絶望していた。
「分かるか? 絶頂しながら絶頂して止まった仲間に致命傷となる攻撃を叩き込むあの感覚。体がそもそも求めていない絶頂で狂いそうになり、それで生まれた隙を突かれて仲間が殺され、更に魔獣達の同類がその死体を取り込んで、異能を振るって残った仲間達を包囲して殺していく様。……気づいた時、私は異能を使われる時の感覚を拒絶することしか考えられなくなっていた……」
顔色が真っ青になる青蘭さんは、俺が絶句している時に一呼吸入れて落ち着いたらしい。
脂汗がちょっと浮いているけど、とりあえず顔色は戻っていた。
「私の自信は粉々に砕けた。その時、あいつがわざと恨まれるようなことを言ってくれたおかげで、私はそれを支えに己を精進させることはできたが……精神安定剤が必要になる時もあるし、他人どころか自分のことを決断することも怖がっている上に邁進していたから、吉子とも疎遠になり、あいつが医学部を出てからその先は知らない」
それは、どうなんだろうか?
ただ、俺も小学校時代の友達と連絡を取り合ってるわけじゃない。イリナのことだってそうだし、それと似たようなもんなのかもな。
だから何も言えないでいると、青蘭さんはその上で小さく苦笑しながら顔を上げる。
「だからこそ、私は彼に依存する。そして、ただ一つだけその時自分で決断したことが―」
その、気になることを言いかけた時だった。
なんか明後日の方向で爆発が起きたんですけどぉ!?
「「なんだ!?」」
ハモるぐらい驚いたけど、本当になんだぁあああああ!?
ちょっと予約投稿段階で疲れているのもあって頭があまり回らないので、後書きは無しです!