※この作品はR-18です。

シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! ちょっと先日家族関係でいろいろ苦労しており現在進行形なグレン×グレンでっす!

 まぁとりあえず、プランB'的なものができそうなので、そこから持っていきたいところですねぇ。

 それはそれとして本編!


第十三話 断罪の聖女

《樹下誠二》

 

 

 

 

 

 

 素早く魔剣を構えながら、俺はコガネさんが追撃できない位置に陣取る。

 

「コナユキ、動けるか!」

 

「大丈夫、吐き終わった……!」

 

 既に意識を切り替え、そもそも胃を空っぽにしていたコナユキはすぐに復帰を声で伝えてくれる。

 

 さて、イッセーから奇想天外なことをされたが、それをいきなり突き付けるべきだろうか。

 

 俺は一瞬悩むが、コガネさんは苦笑しながら肩をすくめた。

 

「なるほど。最初からお二人で私を止めるつもりだったようですね。……まぁ、堕天使最高幹部コカビエルに勝てるなどとは驕ってませんし、舐められてはいないでしょう」

 

 自分を冷静に俯瞰しているようだ。

 

 そして、そういう手合いは中々に厄介だ。

 

 何故なら冷静に俯瞰したうえで勝てるという判断があるわけだ。下手な油断や過信がないうえ、勝算があると冷静に導き出している。

 

 間違いなく難敵。それだけの実力者だと俺もコナユキも()()()()()()

 

 そして、だからこそ厄介なのがこの環境。

 

 地下道だが、同時に水が漏れている。

 

 全体的に湿度も高い。おそらく地下水が豊富な島なんだろう。

 

 だからこそ警戒するべきことが一つあり、そしてそれは的中する。

 

「では、本番と行きましょう」

 

 その瞬間、床が一斉に砕け散った。

 

 素早く悪魔の翼を広げて空中に留まるが、そこに現れたのは長い水路のような水の集まり。

 

 どうやら脱出した後の追撃を阻む為のトラップの様だ。元々悪魔が保有していたわけではないそうだし、陸戦主体の存在を想定しているトラップだろう。

 

 だが、それを使った理由は俺達の妨害ではない。

 

 そしてそれが当たっていることを示すように、コガネさんは水中に沈んだ。

 

『自慢ではありませんが、私は湖の乙女の先祖返りなところがありまして。異形と化したことで更に高まっていますので……私の連続潜水時間、その気になれば一日ぐらい行けますよ?』

 

「イルカとかクジラのそれですよね」

 

 呆れ気味に答えながら、俺は更に警戒心を強くする。

 

 それに応えるように、俺達の周囲を霧が包み込んだ。

 

 ……まずいな。これは本気だ。

 

 そう判断し、俺は呼吸を切り替える。

 

 呼吸法は偵察特化。五感を強化することで、どんな環境でも敵の位置を察知する為の呼吸法。

 

 それらを全力で発動した瞬間、頭上に敵を察知した。

 

「そう来るか!」

 

「気づきましたか!」

 

 瞬間、振るわれる斬撃に魔剣を使った切り結びが発生する。

 

 魔剣にひびが入るが受け流すことはできた。そのまま素早く距離を取りつつ、俺は魔剣を再創造。

 

 同時に、同様の体勢を取っていたコナユキが銃撃を敢行。

 

 霧が立ち込めている中、俺との連携に呼吸による察知で狙いは十分だが、コガネさんに届く前に霧がそれを受け止めてしまう。

 

 やはりか!

 

「もう一つ。私は星辰奏者(エスペラント)でもあるのですが―」

 

 そう言いながら、コガネさんは再び水中に潜る。

 

 それに対して俺とコナユキは背中合わせで迎撃態勢を取るが、その途端に追撃の投槍が放たれる。

 

 同時に俺とコナユキを正面から狙ったそれを、俺達は同時にそれぞれにとっての右に弾くことで素早く対応。

 

 反撃を放つが、それらは全てすぐに霧に受け止められて減速する。

 

 それを確認して警戒する俺達の耳に、魔法越しでコガネさんの声が届く。

 

絶霧(ディメンション・ロスト)再現能力です。もっとも、警戒する敵を転移させるには色々な要素が足りませんがね』

 

 やはり()()()()か。

 

 舌打ちしたくなる状況に、コガネさんは勘違いをしているだろうからかため息をつきそうな状態となる。

 

『私は助けられるような資格はありません。ディオドラと共に死ぬぐらいでちょうどいい存在です』

 

 その諦観に満ちた声が続けられるより早く―

 

「そんなに嫌です、か? 殺し、屋は」

 

 ―コナユキが、鋭く言葉で反撃する。

 

『――ッ!?』

 

 思わぬ言葉に動揺したコガネさんの気配を察知し、俺は素早く反撃開始。

 

 星辰光で強引に水面を断ち切ると、それで姿を見える処までになったコガネさんに殺さないように魔剣を投擲。

 

 それをコガネさんは斧を作って薙ぎ払うと、冷静さを僅かに取り戻して水の中に姿を消す。

 

『ご存じ、でしたか……っ!』

 

「ちょっと色々調べてもらってな。コガネ・レイクメイデン……英国北部の漁村出身の、水に適した異能と創造系の神器、そして霧の星辰奏者を持った―」

 

 俺はそこで、動揺するコガネさんにそれを言うことに必要な覚悟を呼吸一つで作り出す。

 

 そして、反撃の為にあえて心を鬼にした。

 

「―断罪の聖女。主な任務は、船上の討伐対象を秘密裏に殺害して海難事故による行方不明とさせる、神罰代行の星辰奏者」

 

 この情報を雨宮司教から伝えられた時、俺は心から憐憫を抱いた。

 

 聖女としてもてはやされたことは事実。そして現地で多くの者が心から庇い立てをしたことも事実。少なくとも、自分達が復讐されることを恐れて庇った者は立ち位置の上下に関わらず少数だった。

 

 だが同時に、その敬意は「幾多もの悪人や神敵を滅ぼした英雄的人物」へと向けられたものだ。

 

 しかしそれは、どこまで行っても「暗殺」という汚れ仕事。

 

 彼女の戦闘能力という点において、俺達は雨宮司教によって集められた資料で大体把握している。

 

 一つは生まれ持った異能。先祖である湖の乙女に由来する、水に対する強い適正。溺れにくく泳ぎが得意で、潜水だけでも数十分はできる。これは船上の相手に気づかれずに近づくのに非常に有効だ。

 

 一つは生まれ持った神器。霊的な加護を持つ金属製の武装を創造する、霊武創造(アタック・プリンタ)。魔剣創造と違い特殊機能は持たない代わりに頑丈かつある程度の武器の種類を選べる創造系神器。すなわち、凶器を持ち込まず特定させない。

 

 そして星辰光。転移機能を持つ霧の結界である結界系神器の神滅具である、絶霧を劣化再現する星辰光、乙女の愛は霧の如く、天寿に導け(レイクメイデン・ラブハート)。劣化再現ゆえに長距離転移は不得手だが、それでもある程度の転移を可能とする霧の具現化は、暗殺を感づかれにくくし死体の処理も手早くできる利点を持つ。

 

 この才能のかみ合わせに当人の戦士としての資質。更に迎え入れられた教会が暗部業務に理解がありすぎたことがかみ合い、彼女は悪しき存在を陰ながら屠る存在として称えられた。

 

 才能はあったのだろう。だからこそ、彼女の成した成果もあって、今でも彼女を弁護する者は多いほどに肉体と技量のそれはあったのだ。

 

 才能はなかったのだろう。指摘されたその瞬間の表情が、絶望すら感じさせるほどに精神的なそれがなかったのだから。

 

 だから、こそ。

 

「ここまでは想定通りだ。だから宣言しよう」

 

 俺はその推測が当たっていたことを確信し、宣言する。

 

「貴女は救われるべき存在だ。少なくとも、貴女ほどでない者達を助け出している者がいる限り!!」

 

 殺さずに無力化するという難易度を、俺は覚悟し一気に決める。

 

 まだお互いに隠していることはあるが、それでも何としてでもやって見せる!!

 

 それがコナユキを二度に渡り救い、俺も二度も助けてくれたことへの恩返し。そしてそれこそが―

 

「そもそも、貴女は悪人に向いてないんだよ……会ったばかりの俺達を助けてしまうぐらいにはなぁ!!」

 

 ―貴女という女性が持つ、間違いない一つの本質だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《木場祐斗》

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いは規模の大きい乱戦に突入している。

 

「……またお前らか! いい加減にしろ!」

 

「こっちのセリフ……っ」

 

 かつてライザー氏とのレーティングゲームで出会ったアイアンローズの星辰奏者まで出てきており、完膚なきまでに乱戦になっている。

 

「落ち着けオーフェラ。ここまでくるともう、腐れ縁と割り切った方がいい」

 

 と、防御型の星を振るう女性が攻撃を担当している女性を宥めている。

 

 更にかく乱を担当している女性も、一旦味方に合流すると肩をすくめる。

 

「でも、何度も戦っても倒せないなら避けた方がいいかしらねぇ? あんまりお金にならないし」

 

「スラスティ、とりあえず真面目に対応しろ! リフェンスも少しは気負ったらどうだ!」

 

 ……なるほど、名前は大体分かった。前にも名乗っていたのかもしれないけれど、漸く分かってきた気がしないでもない。

 

 問題は、だ。

 

「くたばれ下等種族ぅうううううううっ!!」

 

「滅びよ神敵共ぉおおおおおおおおおっ!!」

 

「死にさらせ愚か者がぁああああああっ!!」

 

―敵がもう壮絶な殺し合いをしている点だ。

 

「終わりだまがいもぼぉっ!?」

 

「流石にしつこいですわね!!」

 

 朱乃さんが旧魔王派の悪魔を星辰光の剣で断ち切るけれど、これは本当に厄介だ。

 

 敵があまりに多い。多すぎる。

 

 完全な乱戦な上に、どの勢力も優先順位を作ってはいても一時共闘や示し合わせる対応を取っていない所為で乱れに乱れている。

 

 ええい、これは流石に厄介極まりないね。

 

「まとめて薙ぎ払う!」

 

「しつこいぞ貴様!」

 

 第七愛欲騎士団のパウロと、アイアンローズのオーフェラが中々に強い。

 

 共に過激派よりなこともあって、戦闘をしながらこっちに攻撃をしてくる。更に乱戦なのでこっちに回ってくることもあり、警戒を常に割き続けないといけない。

 

 不幸中の幸いは、こっちがチームワークで対応できることと敵が誰もかれも共闘する気がないから押し付けるという戦術をこちらも取れること。そして誰もが最大の敵を禍の団とみなしていることだ。

 

 これなら、凌ぎようはある。そう思った時だ。

 

「……気乗りしない仕事だったけれど、アンタが出てくれるのならまぁいいかしらね……っ」

 

 その声と共に、炎が舞い散る。

 

 気づいた時には第七愛欲騎士団とアイアンローズが薙ぎ払われ、数人が断ち切られて十数人が吹っ飛んだ。

 

 気づいた時には僕達にも炎が迫り、僕は咄嗟に水と氷の聖魔剣でそれを迎撃。

 

 だが次の瞬間、僕は目を見開いた。

 

「な、聖魔剣が燃える!?」

 

 なんだ? これは金属だぞ、壊れて解けるのならともかく、薪のように燃えるなんて!

 

 それでも勢いは減衰したので避けられたけど、これは想定外だ。

 

 そしてそれを成した相手を見て、僕は怪訝な表情になる。

 

 赤茶色のウルフカット。スレンダーな体躯。

 

 そんな女性はしかし、どことなく彼女に似ている。

 

 そして彼女もまた、それに気づいたのか目を見開いた。

 

「……え? 私に生き別れの妹とかいたの!?」

 

「不愉快ね。血の繋がりなんて何もないわよ!」

 

 吹本さん自身が驚くほどに、彼女は顔つきがよく似ている。

 

 とはいえ、明確に敵意を向けている相手に容赦をする理由はない。

 

 そういう点では本当に、徹底的に叩き潰した方がいい。

 

 そう、思った時だ。

 

「……残念だ、音成先輩。まさか禍の団に身をやつしているとはな」

 

 そのよく届く声と共に、雷鳴が響き渡った。

 

 咄嗟に回避する僕達だけど、反応が追いつかなかったアイアンローズや禍の団は跡形もなく光に呑み込まれて消えていく。

 

 その鮮烈なまでに眩しい稲光に、僕達は放たれた方向を振り返った。

 

 そこにいたのは一人の鎧をつけた若い騎士。

 

 年齢は僕達と同じぐらい。そして、大技を放った反動か息を荒げ、それどころか肌の一部が焼け焦げている。

 

「これで勝てればよかったんだが、やはり限界はあったか……だが、()()()!!」

 

 その言葉と共に、彼から気力が溢れ出すのが分かる。

 

「充二……っ、まずい全員散開! 後五回はぶっ放してくるわよ!!」

 

 音成と呼ばれた例の女性が声を響かせるけど、あれが後五回!?

 

「え、ちょ……ああもう! 美子、雑に結界! 補正は私が!!」

 

「え、あ、はい!」

 

 慌てて吹本さんと小笠原さんが結界を張るけど、情報量が大きいことに僕は気づいた。

 

 充二って、確か雨宮さんの弟さんの名前じゃなかったっけ!?

 

「ちょ、充二!? ここで来るの!?」

 

「充二君か、こんなところで……いやこっちも巻き込む気満々だぞアレ!」

 

「ヤバイあれ本気だ。全員充二君から離れて!」

 

 雨宮さんも雲川さんも空本さんも驚愕しながらもすぐに警戒態勢に入っている。

 

 そういう人だということか―

 

「半分ぐらいは減らしていくぞ……そう、()()()ぁっ!!」

 

 本当に、来た!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《兵藤一誠》

 

 

 

 

 

 

 

 俺は扉を蹴破り、リアス部長達と一緒に広い部屋に突入する。

 

 そしてそこにいたのは、ディオドラ・アスタロトに、妙な拘束具にはめ込まれたアーシアだ。

 

「……イッセー、さん……皆さん……」

 

 顔を上げるアーシアは、絶望している。

 

 それだけでなんとなく分かったよ。

 

「ディオドラぁ……っ!」

 

 あの野郎、しゃべりやがったな!?

 

「その様子だと、どこで聞きつけたのか一部始終を知っているようだね。しかもこんなところまで来るだなんて面倒だ。……眷属達も分散配置で監視させたのはまずかったかな?」

 

 そう余裕しゃくしゃくのディオドラは、俺達を見て悪辣な表情を浮かべてきた。

 

 まるでこっちが邪魔者みたいに、苛立ちと敵意を向けてくる。

 

「まったくレイナーレとかいうのにも困ったものだよ。寄りにもよってリアス・グレモリー、君のところで事に及ぶんだから。あれがなければ、こんな手間暇をかける必要もなかったんだけどね」

 

 ああそうかい。樹下の予想通りってことか。

 

 俺は拳を握り締めているし、ゼノヴィアもデュランダルを握る手に力が入っている。リアス部長は魔力が漏れ出して、いつでも放てるぐらいだ。

 

 青蘭さんはそこまでじゃないけれど、それでもかなりイラついているのが見ているだけで分かる。

 

 それを気にせず、ディオドラはにやりと笑っていた。

 

「おかげでアーシアは中古品さ。処女を貰ってから真実を話して絶望させたかったんだけどね。まぁ、これはこれで楽しみようはあるからいいんだけど―」

 

 もういいや。

 

「―黙ってろ、糞野郎がぁああああ!」

 

 我慢の限界を超えて、俺は禁手になって殴り掛かる。

 

「おいおい。僕は星辰奏者でオーフィスの蛇も貰っている。それにこの部屋は特別性だから圧倒的にユゥビィッ!?」

 

 何か言いかけていたけど、気にする理由なんて欠片もねえ。

 

 盛大に殴り飛ばしたディオドラに、更にリアス部長の魔力の奔流が襲い掛かる。

 

「アーシアは私の妹も同然。妹に手を出されて怒らない姉はいないわよ!!」

 

「……アーシアは私にとって大事な友達で負い目もある。そのアーシアに……よくも!!」

 

 更に大出力のオーラを放って、ゼノヴィアがデュランダルを叩きつけた。

 

「……一応、殺さずに拷問にかけて情報聞き出した方が都合がよいが、このレベルの外道にそこまでする理由もないな。では、私は拘束具を破壊するから思う存分やるといいさ」

 

 と、青蘭さんもあっさり納得してくれて助かったぜ。

 

 もう遠慮する必要はねえ。このまま一気に―

 

「……痛いじゃないか、お前らぁああああああっ!!」

 

 ―その途端、瓦礫を吹き飛ばしてディオドラが激高した。

 

 そして同時に、部屋中が薄く輝き始める。

 

 そういや特別性とか言いかけていたけど、何があるってんだ?

 

「殺してやるよ、屑の下級悪魔風情が……創生せよ、天に描いた守護星を―――我らは鋼の流れ星!!」

 

「……なっ!?」

 

 それは、俺だけが持っている起動詠唱!?

 

 ディオドラ、こいつ一体何を仕込んでやがる!?

 




 ちなみに本作と同じように「シルヴァリオサーガとのクロス的作品」かつ「原作キャラが星辰光」を使う元L×Lとの兼ね合いですが、そもそも星辰体の根源や根幹要素もあるため、元L×Lで星辰光を発現させてない者が星辰光を振るうことは普通にあります。ヴァーリがその典型例です。

 すでに原作キャラで星辰光を振るっている場合でも、この根幹設定部分があるので性能や性質にある程度の差異が発生する場合もありますが、まぁそのあたりが明かされるのはまだまだ先ですのでご容赦を。
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