シルヴァリオ ディアボロス~ハイスクールD×D銀月譚 作:グレン×グレン
この調子で少しずつ体重減らしていきたいですねー。家族からは毎度毎度痩せろ痩せろと言われてますから、実際このまま痩せながら自炊できればいろんな意味で好都合なんですけどねー。
それはそれとして、本編!
《木場祐斗》
どこもかしこも死闘が頻発しているけれど、こちらは若干だが脅威度が減っている。
難敵といえるカテレア・レヴィアタンと雨宮充二の二人を、それぞれ秀華先輩とオーディン様が引き受けているからだ。
だが戦闘はすぐに決着がつくようなレベルでもない。周辺被害を考慮すると、これもまた危険な領域だろう。
だけど、おかげで圧力は減っている!
「……これは厄介な状況ですね。それにしてもオーディン様も、いきなりこんなところに連れてこないでほしいですよ……!」
そう愚痴をこぼしながら、オーディン様の御付きをしているヴァルキリーが魔法攻撃で敵を翻弄している。
ロスヴァイセと名乗った彼女のおかげで、有象無象はもはやよることもできないのが助かるね。
ただ、裏を返すとそれに手いっぱいの彼女の攻撃を対処できる腕利きばかりが戦っていることになる。
「色っぽい糞異形のお姉さんは後でレイ~ポゥするとしってぇ……その前にサヨナラ!!」
そう吠えながら切りかかるフリードの攻撃を躱しつつ、僕は反撃で斬撃を試みる。
殺気が分かりやすいから回避はたやすいが、反応が早い所為でこちらの攻撃も回避されっぱなしだ。
以前聖剣で負けたことを反省してか、フリードはこちらとの打ち合いを可能な限り避けている。まともな打ち合いでは聖魔剣相手では不利だと悟っている辺り、センスは十分に高い。
動きも洗練されているし、そもそも身体能力もかなり上がっている。どうやらあちらも鍛えるという概念はあったらしい。
おかげでこちらも流石に手古摺るが、そこで更なる乱入者が現れる。
乱入してきたのは、教会側の戦士と思われる格好をした者達。
「ほぅ。聞いてはいたがやっぱりいたか」
「どうやらそうみたいだね、ダルい」
「……となると、動くことが我らが使命かな」
更に三人ぐらい追加で現れているね。
しかも動きが全員鍛えられたそれだ。厳しい鍛錬を積んできた実力もあるタイプだろう。
そして何より、あの動き。
動きの癖に、教会の悪魔祓いが持つ基本的なそれでないものが混ざっている。それも、僕が見覚えのある動きの型だ。
あれは……旗本流か?
「冗談でしょ、貴方が……っ?」
そして旗本さんも戦慄を覚えているが、これは本当に―
「……へぇ。例の連中がここに来たのか。これはまた厄介な」
―そう思った時、黒い狗を模した人型がこちらに舞い降りる。
あれは、報告にあったアーシアさんの誘拐犯!?
またどんどんと乱戦になっている。
リアス部長、イッセー君。
あちらは大丈夫だろうか。樹下君の反粒子とイッセー君の鎧なら、よほどの相手がいなければ負けることはないだろうけど―
「……へぇ。兵藤一誠はいないようだが、面白そうなのがゴロゴロといるようだね」
―その声は!?
振り返れば、そこにはヴァーリ及び、チームメンバーの美猴及びアーサー・ペンドラゴンが姿を現している。
「俺も混ぜてくれ。強そうな奴らが多くて我慢が出来なくなってね」
「面倒な連中が大挙して……っ! しかし臆する気はない、そう……まだだ!!」
そして雨宮充二が更に覚醒を遂げる。
そこに新しく表れていた教会の騎士達も呼応する。
「流石は我らが筆頭。そう来なくては……っ!」
く! 本当にこれは忙しいよ!!
《樹下誠二》
とりあえずこちらはひと段落か。
吹っ飛ばされたディオドラは変な痙攣をした状態で動いていない。
あれは致命傷だが治してやる必要はないな。そこまでする義理もないし理由もないし同情心など欠片もわかん。
死体蹴りされないだけでもありがたいと思え。万が一撤収準備ができてからも生きているようなら、まぁ死なない程度の治療だけはしてやるか。
そう判断しながら残心を解き、俺は一呼吸を入れる。
敵陣内部ゆえに完全に気を抜かないように気を付けていると、イッセーがほっと息を吐いた。
「本当にアーシアが助かってよかったぜ。それに、コガネさん……だっけ? こっち側に来てくれるようでよかったよ」
「え、いや、その……まだちょっと戸惑ってますが」
思いっきり困惑しているコガネさんだが、やがて諦めたのか肩の力を抜いた。
最も周辺警戒を完全に解いているわけでもない辺り、やはり歴戦の強者といったところか。
自分が暗殺をする側だったのも大きいな。気をある程度残しておかないと何時襲われるかという感じの警戒心が出てくるのだろう。職業病かもしれないが、そういうのが必要な社会もある。
「……しかし、三大勢力の諜報網は驚きますね。……まさか、私の聖女時代の交友関係までしっかり探っていたとは」
コナユキの幼馴染達とコガネさんが繋がっていたこと。これもコガネさんが意固地になっていた理由の一つだろう。
不意打ちで知らされていれば流石に揺らぎは生まれていただろうが、幸いそのクーリングタイムぐらいは得ることができていた。
できて、いたん、だけど。
「……………いや、知ったのは本当にギリギ、リというか」
コナユキが動揺して視線をイッセーに向ける。
と、イッセーはなぜかちょっと得意げになっていた。
「すいませんねコガネさん。俺がコガネさんの胸の内から教えてもらいました」
なぜそんな、「ちょっと申し訳ないけど、俺すっごいかっこいいかな?」みたいな感じを出せるのだろうか。
俺はいまだに軽く引いているんだが。付き合い長めの俺すらこれなんだが。
ほら、リアス部長も青蘭もめっちゃ言いづらそうにしているし。
「……優れた読心術ですね。一応私たち、そういった対策もしていたのですが」
まぁ、普通はそう考えることをコガネさんは答える。
ただ違う。違うんだ。
でもこれ言っていいのかとも思うが、ものすごくイッセーは言う気満々だった。
「ふふ。俺もそれはびっくりですけど、心を読んだわけじゃないからですかね。……さっき言った通り、俺は貴方の胸の内から教えてもらったんです」
言葉遊びではない。
なんということでしょう。
俺の友人である兵藤一誠。この男は―
「これが俺の新技。相手のおっぱいに聞いたことを答えてもらう「
―変態極まりない変な技を作ってしまったのです。
もうコガネさんが完璧に凍り付いているよ。完璧な思考停止状態だよ。
「あの夏の特訓。俺の心は追い詰められていました。苦しい特訓の息抜きはほぼほぼ妄想しかない前半、もはや命が消し飛ぶような過酷な訓練中も当たり前のように語りかけてくる裸のお姉さんたち。……そんな中、俺は「おっぱいと対話したい」と思い、そして形にしたんです」
そこに関しては本心から同情するが、本当にやめろ。
コガネさんが白目向きかけているぞ。
「修行中のお坊さんが、頭の中身から煩悩を消すために滝に打たれるように。俺はおっぱいに対する願いだけを頭に残して滝に打たれたり座禅を繰り返し……そして会得しました」
とりあえず修行をしているお坊さん全てに全力謝罪をしたほうがいいのではないだろうか?
「どんなおっぱいも、俺の質問に素直に答えてくれる! あとコガネさんのおっぱいはギャルっぽい感じでした! あくまでその人の「おっぱい」だからか、人格がまったく同じってわけじゃないこともあるみたいっす!」
本当になんだその意味不明な技は。効果あったけど。
ほれ、リアス部長とゼノヴィアまでも引き気味の戦慄を覚えているぞ……?
なんというか集中力が削れるというか、真面目にやる気を削ってくるというか。
とりあえず、一番付き合いが長い者としてはっきり言ってやろう。
「イッセー。それは間違いなく変態上級者の発想だ」
「悪かったな畜生!!」
なんというか、そろそろ気合を入れ直した方がいいような空気だよ。
これで油断して攻撃喰らってお陀仏とか、流石に笑えな―
「……まずい!?」
―いと、本当に痛感した。
コガネさんが声を上げて、俺は殺気が向けられていたことに気づく。
しかも微妙に薄い。これはもう、「もののついででちょっと殺しておくか」ぐらいのそれだ。
おかげで一瞬反応が遅れ、しかし衝撃は来ない。
「……ぐ……なん、とか……」
それは暗い霧の結界によるもの。同時に正面に出て防ぎに来たことで、かろうじて身を守ることができた。
だが、それはコガネさんに決定打が入ったことを意味する。
既に言葉もなく崩れ落ちたコガネさん。そしてその向こう側に、二人の悪魔がいる。
そのオーラは最上級クラスのそのまた上位。コカビエルに匹敵するレベルだ。
片方はかなりズタボロだが、もう片方は余裕が見える。
「漸く会えたな、忌々しい偽りの魔王共が血縁者よ」
そう吠える綺麗な方の男は、明確にこちらに殺意を向けてくる。
「私はシャルバ・ベルゼブブ。作戦が台無しになった報いを与えるついでに、サーゼクスの手土産にお前達の首を持っていく者だ」
「そして私はクルゼレイ・アスモデウス。……魔王を僭称する偽物共の血縁者め、この手で根絶やしにしてくれる……っ!」
ボロボロの方も憎悪になっているレベルでこちらに向けている。
だが、それでも気配が薄いのはこちらをなめてかかっているからだ。
血を吸おうとしている蚊を潰す時に、一々殺意や憎悪を向けないのが悲しいが現実。むしろ殺意や憎悪をそういった対象に向けてくる方がおかしい。
つまり、それほどまでに旧魔王血族が現四大魔王とその血族に向ける恨みつらみは激しいということか。
俺は警戒しつつ、コガネさんの状態を確認する。
衝撃で軽度の内臓破裂や亀裂骨折が起きているが、即死するような状態にはなっていない。
だが、絶霧を再現したコガネさんにあんな適当な感覚の攻撃でここまで深手を負わせるとは。
オーフィスの蛇ありきの出力とは言え、舐めてかかれる敵では断じてない。
これは、厄介だ……!
「……直接魔王様を滅ぼせないからって、私達を先に狙うなんて……卑怯者……っ」
リアス部長は誇り高き貴種として
「下らん。奴の大切な者全ては滅ぼすべき対象、むしろ苦しめる為にはそういった者から殺して行ってこそだ」
「最初に殺すなどむしろ慈悲でしかない。魔王の名を偽り本物である我々を貶めた罪は、奴の大切な者全てを殺しつくされた絶望を味合わせるのが最も堅実かつ確実だ」
シャルバもクルゼレイも己の行動に一点の曇りも疑念もない。
まぁ相当精神的に傷つけられたんだろうが、流石に勘弁してほしいものだ。
だが、どうする?
反粒子を使う余地はあるが、いい加減情報も漏れているだろう。あっさり喰らってくれるほど馬鹿じゃないし、インターバルを抑え込めるだけのポテンシャルがあるかどうかは魔王クラス相手だと流石に厳しい。
どうする? 俺達はしのげるか……。
「……樹下」
悩んでいた時、イッセーが俺の隣に並び立つ。
既にこいつも長時間禁手を使っている。状況的にはかなりマズいはずだが、その眼には確かな勝算がある。
「片方だけなら、部長達が手伝ってくれれば勝ち目はあるか?」
「……勝算は数厘単位になるだろうが、どうするつもりだ?」
俺は嫌な予感を覚えつつ確認するが、イッセーは真っ直ぐに俺を見て頷いた。
「必ず勝つ。だから頼む」
どうやら、口で言っても答えないし聞きゃしないな。
ならやることはシンプルだ。
「分かった。こっちは何とかするから片方は任せるぞ」
さっさと片づけて、イッセーの無茶が度を過ぎないように食い止める。
「……死ぬなよ、樹下」
「お前が言うな……っ」
嫌な予感はとてもするが、もうこうなったらやるしか……ない!!
しょせんディオドラなど前座。
決戦、魔王血族!!