※この作品はR-18です。

ハイスクールハックアンドスラッシュRPG  バトル&バイオレンス&ラブな1year二周目俺TUEEEプレイ   作:笛ふき用

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第四話 何故初回ダンジョンダイブは失敗するのか?

 

「いてて……、まったくひでぇ目にあったわ」

 

 そう言いながら何故か笑顔で蹴られた場所を大袈裟にさする隆一に周りの反応は厳しかった。

 

「バカが。自業自得だろ」とこれはタンクトップのボディービルダー体型の男で、戦士系第四段階職【城壁騎士(フォートレスロード)】の猛(たける)。異名は【金剛石筋肉(ダイアモンドマッスル)】

 

「反省せぇや、このお調子もんが」と吐き捨てたのは気難しそうな銀縁メガネの男。文官系職の中でも人間やモンスターの鑑定を専門にする【鑑定人(アプレイザー)】・SR職【占術士(アストロロジー)】・SSR職【卜占士(ぼくせんし)】という運命すら含めた人物鑑定を極めた専門家である界人(かいと)。異名は【運命眼(うんめいがん)】。

 

「ごめん、隆ちゃん! フォローできないや!」とこれは自称修二のNO.1お義姉さんこと職人系【鍛治士(ブラックスミス)】・【工匠(マスタースミス)】・【匠親方(マエストロ)】のクラスを持ち、現在の学園で最高の武器職人であり、この工房【ゆかりFactory】の主であるゆかり。異名は【伝説武器匠(レジェンダリーマエストロ)】。

 

「同じく」とこれは戦士系第四段階【刃鬼(ジンキ)】であり現在個人としては学園最強と呼ばれる剣士である千鶴で、異名は【月下氷刃(げっかひょうじん)】。

 

「うちもや、旦さん。おいたすぎたら嫌われるえ?」と最後のこれは魔法系SRレア職【幻術使い】の第四段階職【夢幻導師(ドリームメイカー)】の霧子。異名は【夢現(ゆめうつつ)】。

 

 他の面々も声に出さないだけで視線だけで隆一を責め立てている。そうでないのはどうしようかと曖昧な笑顔を浮かべている美南と涼しい顔のままのメイドの女性だけだ。

 

「ヤベェ、味方いねぇ!」

 

 ほぼ全員から総ツッコミを喰らいながら、ケラケラと楽しそうに機嫌よく笑う隆一を見る修二。明らかにわざと自分をけしかけるようなことをしてきた兄。自分を怒らせるような行動をすれば先ほどのようになることは百も承知なはずの兄が、割と切羽詰まった状況のはずの今こんなことをする理由はなんだろう? と一言では言い表せない違和感を感じつつ指で唇を撫でていた。

 

「ご主人様は嬉しくてたまらないのだと思います」

 

 鈴の鳴ったようなその声に意識を思考から戻すと、声の主はホワイトブリムを頭に飾りクラシカルなメイド服に身を包んだ女性だった。

 

「初めまして、修二様。私、修二様のお兄様である隆一様にお仕えするメイドの愛美(まなみ)と申します。以後、お見知りおきを」

 

 そう言って見事なカーテシーを披露した愛美に慌てて礼を返す修二。メイド? お仕えする? などそれらの言葉に疑問がないわけではなかったがそれよりも言葉の真意が知りたくて素直に言葉が口から出た。

 

「初めまして、愛美先輩。僕のことは修二でいいですよ。それより兄が嬉しくてたまらないってどういう? 兄弟の再会だからっていうならもう大分時間経ってますけど」

 

「いえ、私は隆一様のメイドですので弟様のことはどうか、修二様、と呼ばせてくださいませ。そして隆一様がこれほどまでに嬉しいと思っていらっしゃるのは再会出来たこともそうですが、再会を喜べたことこそを喜んでおられるのだと思います。この辺りの感覚は学園に長くいる我々にしか理解しにくい感情でありますのでお気になさらぬよう」

 

 そう言い残し、またカーテシーをしてから彼女は兄の世話を焼き始めた。

 

(だめだ、わからないことだらけだ)

 

 兄のこと、先輩たちのこと、愛美の言った言葉の意味。そういった目の前の全てにそう感じた修二は、一旦状況に関して考えるのをやめ、流れに乗ることを優先しようと決めた。

 

 そこにパンパンと手を叩く音が聞こえた。手を叩いたのは洋司。倶楽部のまとめ役である。

 

「さて、話を先に進めっぞ。隆、いい加減痛くもねぇのに痛いふりしてねえでさっさと立て。話進まねえにも程があるわ」

 

 その言葉に「んだな、すまん」と言いそすくっと立ち上がった隆一。

 

 そのまま「シュウ、ついて来い」と言って工房の奥へと歩き始める。それに従い全員が隆一の後へと続く。

 

 今までいた場所が工房のエントランス兼談話スペースであり、そこからドアを開けるとそこには長机がいくつも並ぶ食堂スペースがあった。めちゃめちゃいい匂いがしていたが、隆一は一旦そこも通り過ぎて更に両開きの鉄の扉を開いて更に奥に。ずんずん進む隆一をよそに目新しいエリアに入ったのでそこまで行ったところで修二が少し立ち止まりキョロキョロしていたのだが。ゆかりが「この扉の向こうからは【工房エリア】なんだ。それでね、目的地はその更に奥にあるんだよ」と言い自分を追い越していった。

 

 そうして各工房の入り口なのだろう、いくつもの個室の入り口が並ぶ廊下の最奥部に先ほどのものよりも更に厳重な鉄扉があり、隆一はその扉を開いてからようやく振り向いた。

 

「シュウ、今からお前にはあるものと戦ってもらう」

 

 そう言って明かりがつけられた部屋の内部を修二が覗き込むとおよそ30m四方がしめ縄で区切られた空間がありその中心には一匹、奇妙な生き物がいた。澱んだどぶ色の肌をした人型のナニカ。身長は小学生低学年程度。手には何も持っていない。そして薄汚いぼろ布を腰巻きがわりに巻いた股間からはその逸物がブラブラと揺れていた。

 

 ゴブリン。

 

 さて、ここで少し迂遠な話となるがいくつか基本的な事項の説明をさせていただきたい。

 

 魔物と呼ばれる魔物は基本羅生門の向こう側であるダンジョンの住人であり、修二たちの世界である現世には基本的に存在することはできない。だが例外的に現在彼らがいる【工房(ファクトリー)】エリアというものはさまざまな結界で物理的にも、概念的にも外界から切り離され、薄いとはいえ【瘴気(みあずま)】で満たされているため、擬似的なダンジョンとも言える。更に【工房】エリアには内部に魔法陣が設置されておりモンスターから採取したクリスタルを焼べることで瘴気圧を上げることができるため、その濃度を例えばダンジョン第一階層ほどまで上げればモンスターは自然発生するのである。

 

 まず、これこそ今修二の目の前にダンジョンの魔物であるゴブリンがいる理由である。

 

 次に、なぜ初回ダンジョンダイブで生徒が毎回ほぼ全滅するのか? についてであるが、理由は主に三つある。

 

 ひとつ。既知内・既知外問わず第一階層一階〜三階のどこかにランダム転移するから。そのため場所によってはモンスターのレベルが高くなり、レベル1なら物理的に普通の棒で殴れば倒せる程度であるゴブリンも、瘴気が濃い場所で概念的に強化されレベルが上がる。そうなったゴブリンに対してそもそもレベル1の人間ではもはや太刀打ちができない。更に最悪の場合はモンスターの集まるモンスターハウスと呼ばれる空間に放り込まれることもある。どちらにしても転移先次第で即終わりであることに変わりはない。

 

 ふたつ。瘴気圧に対する耐性の無さである。先ほど修二が身構えたものよりもはるかに高い瘴気圧はそれに慣れない人間に周囲全てからの強い圧迫感と与える。それは容易に極度の緊張とストレスとなり彼らの身を縛る枷となる。そんな中で慣れないというより初めての経験となるモンスター退治などやれという方が無理がある。逃げるのすら困難だ。足はすくみ、喉は干上がり、思考が焦りを生み、そして人間はミスをおこす。そしてダンジョンでミスは死に直結するのだ。

 

 みっつ。ここに送り込まれる普通科生徒の多くは現代社会で育ってきた文明人であり、昔の農家の子供のように鶏を絞めたりする経験もない人間ばかりである。つまり、命のやり取りの経験が極めて乏しい。不良だなんだと威張っているものでも、実際人を殺すつもりで凶器で人を殴った経験のあるものなどはぐれ者や社会不適合者が多く集まる学園においてもほとんどいない。人どころか獣ですらなく、物を殴る、壊すことすら悪徳と教えられる世界で育った人間が躊躇なく突然目の前に現れた人型の生き物を殴れるか? 殺せるか? 大多数の場合において答えは否である。

 

 さて、逆説的にいえばこうは言えないだろうか? 最初からレベルが高く、瘴気圧に慣れており、モンスターを躊躇なく殺せるような人間であれば、もし運さえ良ければもしかすれば初回ダンジョンダイブを生きて乗り切ることができるのではないか、と。

 

 物語の途中に失礼をした。

 

 では続きをご覧いただこう。

 

 隆一は言う。

 

「シュウ、あっちの壁際を見てみろ。武器がいっぱいあるだろ?」

 

「うん」

 

 そう言われて見た視線の先の壁際のウェポンラックには古今東西の武器が並んでいた。剣、槍、斧、他にもさまざまな武器が存在した。うんうんと嬉しそうに頷いているのはこれらを今日のために用意したゆかりである。わざわざダンジョン内部の素材を一切用いずごく普通の製法で作られた鉄製の武器たち。それはこの先に待つダンジョンダイブで使うことが許される装備だからだ。学園はそうでないダンジョンの内部から持ち帰った武器防具を新入生に渡すことはないし、支給品以外の使用も許さない。その点に関しては厳しいチェックを設けていることを隆一たちはこの三年間の経験で知っていた。

 

「一個選んでいいぞ」

 

「うん」

 

 そう言われた修二は壁際まで行って楽しそうにいくつか武器を物色した後、最終的に長柄の斧の一種である【三日月長柄斧(バルディッシュ)】を選んだ。軽く振り回すとブオンブオンと空気を割く音が聞こえる。

 

 ここで修二がバルディッシュを選んだことに何人かが苦笑した。バルディッシュのような長重武器は扱いが難しい。初心者なら別のにしたほうがいいけれど、どうせ自分達が手を貸すのだ、まぁいいかと思いそれを流した。

 

 修二が兄の方を見た。隆一はうなづいて当たり前かのようにこういった。

 

「よし、なら今からしめ縄の向こうに入って中にいるアイツを倒してこい」

 

 そしてその後にこう魔法の言葉を付け加えた。

 

「いいか? これをやっても法律はお前を裁かないし、母ちゃんは泣かないし、俺も止めねえから」

 

「うん、わかったよにいちゃん」

 

 そう答えた修二の顔色はやはり変わらなかったが、変わった人たちもいた。変わったのは周りにいた隆一の仲間たちだ。

 

「隆ちゃん!?」「隆!?」「旦さん!?」「ご主人様!?」

 

「おい! 隆! お前正気か?」

 

「弟を殺す気か? もっと段階を踏んでやれよ!」

 

「隆、どう言うことだ? 最初は俺たちで無力化するんじゃないのか?」

 

 ほぼ全員血相を変えて隆一に詰め寄る中、修二はしめ縄の前で一礼した後よっこらしょっといってなんでもないように中に入っていく。

 

「修二くん!」

 

 それを一人だけ見ていた美南の悲鳴。あまりのことにこれでも歴戦の戦士である彼女も咄嗟に動けない。それに気づいた洋司が瞬時に駆け寄ろうとすると誰かが自分の服の袖を掴んでいた。隆一(相棒)だった。

 

 振り返りこいつ正気か? あそこでもしお前の弟が死ねば羅生門システムの影響下でないこの場所なら本当に死んじまうんだぞ! とそう思いながら睨みつけた相棒の顔は薄笑いを浮かべており、

 

 そのことに悪寒を覚えながら洋司がさらに振り返ったその瞬間、その視線の先で無造作にバルディッシュが振るわれ。

 

 ーーゴブリンの首が宙を舞った。

 

 一人ほくそ笑む隆一以外が身動きひとつできない衝撃に包まれている中で、

 

「にいちゃん、次」

 

 という【工房】最奥部のその部屋の中に修二の平坦な声が響いた。




感想、評価よければよろしくお願いします。

先行者であるハクスラ作者さんが拙作を記念して投稿してくださったのでがんばりました。

ありがとうございます。

アンケート 第6話最後の質問について

  • A 侮られ男子の悪女ザマァメス豚ハーレム
  • B ゲーム世界転生者のMOBハーレム作り
  • C そんなんいいから本編はよ
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