※この作品はR-18です。

ハイスクールハックアンドスラッシュRPG  バトル&バイオレンス&ラブな1year二周目俺TUEEEプレイ   作:笛ふき用

7 / 12
幕間 花嫁の憂鬱

 一回目 レベル1ゴブリン1体 

 

 ーー【三日月長柄斧(バルディッシュ)】の一撃により斬殺。

 

 二回目 レベル1ゴブリン2体 

 

 ーー同上。一振りで二体を斬殺。

 

 三回目 レベル1ゴブリン1体 

 

 ーー最初にバルディッシュをゴブリンめがけて投擲し、目眩しにした後、怯んだゴブリンの顔面に駆け寄った勢いそのままに強烈な前蹴り。吹っ飛び瀕死のゴブリンの喉を踏みつけて蹴殺。本人曰く素手で殴り殺せるか試してみたかったとのこと。

 

 四回目 レベル3ゴブリン1体 

 

 ーーバルディッシュの横薙ぎの一撃が腕に直撃。一瞬だけ耐えるもそのまま胴体ごと真っ二つにされ斬殺。

 

 五回目 レベル3ゴブリン3体

 

 ーー初手の横薙ぎの一撃で1体目の上半身と下半身が泣き別れに。そのまま勢いが止まらず隣の二体目の腕を通り過ぎ脇腹にバルディッシュの刃が深く食い込み瀕死に追い込むが、そのため一時的に武器を喪失。武器に固執せずそのまま襲いかかってくる三体目を素手で迎撃。格闘戦になり最後は下がったゴブリンの頭部をサッカーボールキックで蹴り殺す。その後、痛みにのたうち回っていた二体目からバルディッシュを抜き取り冷静に首を刎ねてとどめを刺した。

 

 六回目 レベル5ゴブリン

 

 ーー今までの全て素手で発生していた個体と違いこの個体は体のサイズがひと回り大きく初めから人間の腕ほどの棍棒も所持していた。あとで界人(かいと)先輩に確認したところ、この時点での修二くんのレベルは上がりたての3で相手は6に近い5であり明らかな格上。そのことに気づいた先輩たちはすぐ側でスタンバイを始めたが、隆一先輩だけは動かず。修二くん本人がレベル差に理解していたかどうかはまだ本人に聞いていないので不明だが、今までのようにこちらから動かず睨み合いをはじめた。右肩にバルディッシュの柄を担ぐような構えで待つ。逆におそらく自分の方が格上なことを理解していたゴブリンは声を上げ挑発するようにちょこまかしていたが、それに対して修二くんは逆に左手の人差し指をクイクイと曲げ挑発をし返す。格下に舐められたことを理解したのか、怒ったように棍棒を振りかざし突進してきたゴブリンが間合いに入った瞬間に袈裟斬りの一撃。SP値の違いだろう、肩口に深く刺さったところで止まり殺しきれずいたが、そのまま奇声を上げてバルディッシュを無理矢理振り抜き、今度は無防備になった頭部に唐竹割りで勝負あり。

 

 ここで本人から休憩の申し出があり中断。曰く「お腹減った」とのことで現在食堂にて食事中。

 

 

◆ーーーーーーーーーー◆

 

 

 ここまで今までの結果をまとめたメモを書き終えて、美南(わたし)はようやく呼吸を思い出したかのように大きく息をした。

 

 本当に規格外。なんて子なんだろう……というのが私の正直な感想だった。何より信じられなかったのが、初めての戦闘で顔色ひとつ変えず敵を殺したことだ。あれは正直あり得ない。

 

 本当に無造作に凶器を振って無造作に敵(ゴブリン)を殺した。今なら事前に隆一先輩から聞かされていた話が理解できる。あんな子が普通の世の中に混ざっていることの方が異常だ。よく今まで何事もなく過ごしてこれたとさえ思う。

 

 ブルリと震え思わず自分の体を自分で抱きしめた。

 

 自分の経験と照らし合わせてもあり得ない。修二くんの今やっていること自体は去年、私自身もやったことと同じだ。この地下工房でのノービスから第一段階までのレベル上げと現実世界では得難い戦闘経験の獲得。違うのは時期と環境。私は初ダンジョンダイブのあと、精神に干渉しストレスを軽減するスキルなどの外付けによる万全のメンタルサポートの元、先輩たちによって身動きひとつ取れなくなったゴブリンを殺す経験を積み重ねただけ。しかも何度も何度も失敗し、その度に嘔吐し「こんなこともうしたくない!」と泣き叫んだ。そして彼のように何も考えずに敵を殺せるようになるまでにおよそ二週間。それでも早い方だと先輩たちにすごく褒められた。嬉しかった。これで学園で生きていけると思えた。あれがたった一年前だなんて信じられないけれど。

 

 この学園に馴染めるか馴染めないかの最初の大きな壁は生き残ることと殺せるようになることだ。これは表裏一体であり、つまり躊躇なくモンスターを殺せるようになることこそがその後の学園生活を大きく変える。殺せれば生き残れるし、殺せなければいつまでも死に戻ることになる。そうしてここで大多数の生徒がここで1ヶ月以上足踏みをしたりそして脱落したりする。第一段階の転職がGW前ならそれは学年トップ層。伊達にそう言われるわけではないのだ。そんな経験を経てここからの1ヶ月から3ヶ月で新入生は外の世界の常識と訣別し、この学園の常識に染まっていく。殺して、生き残れるものだけが、好き放題にこの学園で生きていける。

 

 その壁を初手から踏み越えた。いや、踏み越えてさえいない。修二くんにとって壁はなかった。それは別に特別でもなんでもないことだっただけ。だけどそれこそが異常の証明。明らかに常識外の異常者。普通のふりをしている怪物。それは異常なこの学園の常識に照らし合わせても間違いない。

 

 正直、怖い。敬愛する隆一先輩そっくりに見える少年が今は別の何かに見える。さっき初めて挨拶した時にはあんなに可愛らしい年相応の普通の男の子に見えたのに。

 

 それでも私の中に拒絶の選択肢はなかった。

 

 私にだってプライドはあるのだ。

 

 最初から武器も防具も深層や高レベルレイドクエストの素材を惜しみなく使った学園最高の【職人(クラフター)】集団であるゆかり先輩たちの私専用(オートクチュール)のハンドメイド品。モンスターカードも最初から選び放題でその扱い方と育て方、そしてモンスターとの連携と戦術。その全てを教えてくれたのは現役最強どころか間違いなく学園歴代最高の【使役者(テイマー)】その人だった。

 

 最初から学園最高のパーティメンバーによって育ててもらった。いろんなパターンの編成のそれぞれ最高に限りなく近い連携を直に体験させてもらった。だけでなく、あえて普通のパーティでも、それどころか最低のパーティでも戦わせてもらった。ダンジョン攻略パーティにも領域外探索パーティにも素材回収パーティにも参加させてもらった。そうやって単純にレベルだけを上げてもらうだけでなく、その裏付けとして本来得られないはずの苦労する経験とそれをなんとかする機転と根性すら丁寧に丁寧に鍛え上げてもらった。どんな環境でも私が生き抜けるように。

 

 ダンジョン内の全ての階層に連れて行ってもらい、経験可能な全ての環境を体験した。既知内領域に限ればダンジョンの中で私が行けない場所はない。だから【新世界(ニューワールド)】さえ超えた人間なら誰でも私は“ゲームクリア”させてあげられる。そんなことになんの意味もないけれど。

 

 色んなモンスターと戦った。あらゆる対処を実地で学んだ。多分戦ったことのない種類のモンスターなど【黄泉平坂(よもつひらさか)】ダンジョン内に限れば【放浪する魔物(ワンダリングモンスター)】や【界門守護者(ゲートキーパー)】の特殊個体くらいのものだろう。

 

 レイドクエストにもたくさん連れて行ってもらった。【王権(ダイアデム)】・【付喪(レガリア)】・【根源(プリミティブ)】・【伝承(レジェンド)】・【侵略(バルバロイ)】。全て一度はクリア済みだ。質の面でも普通級から極級(アルティメット)まで満遍なく体験した。変わったところでは【不思議鞄(マジックバック)】なんてものまで経験済みだ。あの時はそれまでで一番爛れるように愛してもらった。その結果、今私が愛用しているこのリュックサック型の不思議鞄の容量はおそらく学校の体育館丸ごと一棟分の容量すら超えている。

 

 他にはここ1ヶ月などダンジョンの最初から改めて自分自身がリーダーになって落ちこぼれていたほぼダンジョン初心者レベルの同級生の一団をダンジョン拾階【密林竜園(ドラゴンガーデン)】というダンジョン中層まで導くなんてことすら隆一先輩の指示でやったりもした。そのメンバーの子たちに熱に浮かされたような目で救いの女神様なんて言われたりもした。私はただ先輩たちに教えられたことをただ丁寧に教えてあげただけなのに。

 

 くちびるを指でなぜる。まだあの人のキスの感触が残っている。

 

 本当に色々と良くしてもらった。多分他の学園の女子が私がどうやってこの一年過ごしてきたか聞いたら半狂乱になって理解を拒絶し嫉妬すらできなくなると思う。私はただ本当に偶然に運(・)よ(・)く(・)初回ダンジョンダイブで生き残っただけの普通の女の子だったのに。そのことを誰にも言えなかったのに気づいてくれた先輩たちに翌日には匿ってもらって、私は学園の真実を知らされた。その後はずっと先輩たちに守られて私はこの一年間を過ごしてきた。だから私は死んだことがない。レイドクエストの中でさえ一度も死を経験したことがない。唯一、死を経験したのはダンジョン第弐拾階層【新世界(ニューワールド)】を超える試練の時だけ。

 

 単純な事実として私が今の弐年で唯一の第四段階到達者で、つまり最強だと思う。私と同級生たち彼ら彼女らの差は戦闘職とかそうじゃないとかで超えられるようなチャチな差ではない。

 

 そんな自分が【動物公園(サファリパーク)】の秘蔵花嫁(シークレットプリンセス)とか呼ばれているのは知っている。来年には卒業する先輩たちの知識、ノウハウ、その他全ての遺産を受け継ぐであろう女。勝ち取った者が次の学園最強を確実にする花嫁。だから先輩たちが卒業した後に私の倶楽部加入を巡って血みどろの争奪戦が起きるだろうから、その前に自分を選べと多くの男たちに言われた。あまつさえ先輩たちに散々世話になっているはずの同盟(アライアンス)傘下の倶楽部部長たちにさえそう言われた。

 

 誰がお前たちになんて媚を売るものか。そんなことを言うのならせめて何か一つでもあの人に勝ってから言え。私がもしも花嫁だというのならば、その身を飾るドレスもアクセサリーも全てお前たちのために用意されたものじゃない。

 

 初めから、そう、私はあの人との最初の夜から教えられていた。私は来るべき今日のために、自分によく似た顔をした、可愛くて可愛くて仕方のない、自分の言うことなどまるで聞いてくれない弟のためにと育てられた花嫁なのだ。

 

 それでも私は愛してもらった。ちゃんと愛してもらった。それが本質的に女を女として愛することができなくなってしまったあの人に女として愛してもらったわけではなくとも。あの人以外の男を知らないことがどれほど幸せなことか。そのことがこの狂った学園でどれほど幸せなことなのか分からないほど私は愚かではないつもりだった。

 

 その後、しばらくして食事を終えて帰ってきた修二くんはまた何事もないように戦闘を再開した。さまざまな数、さまざまなレベルの敵(ゴブリン)を殺し続けた。そうして夜が更けて終わりの声がかかった時にはレベルは第一段階クラスチェンジ可能な10に到達していた。

 

 本当に非常識。彼はたった半日で普通の二年生に追いついたのだ。

 

 そんな風に今日の驚くべき終わった後、彼が初めて顔を赤くして恥ずかしそうに隆一先輩(私の愛するご主人様)に耳打ちして内緒話をしていた。まるで普通の男の子みたいに。

 

 もう今日は夜も遅いからここに先輩に泊まるようにと言われた修二くんが愛美(まなみ)先輩に連れられて最上階にあるゲストルームへと案内され、いや、その前に食事に行くようだ。それならばゆっくりと身支度する時間が取れるだろう。少し安心した私に先輩が近づいてきていつもの妙に悪ぶってイタズラっぽい顔で言った。

 

「『にいちゃん、なんかちんちんがムラムラするんだけどこれ何?』だってよ。いきなりレベル10まで上げといてそれだけとかどんだけ規格外なんだよ、アイツ」

 

 そう言ってゲラゲラ笑う先輩とクスクス笑う私。

 

 ちんちんがなんかムラムラするってなんて可愛らしいんだろうか? ギャップ萌えにも程がある。この時そんなことを私は考えていた。

 

 やがて先輩の笑い声が止まり、あとは頼むわとだけ言い残し、私の顔を見ないようにして先輩はどこかに行ってしまった。別にそんなに辛そうにしなくてもいいのに。

 

 別れは昨日すませたでしょう? あなたとの最後のキスを私は生涯忘れません。

 

 見えなくなった背中に深々と礼をしてそれから顔を上げた。

 

 

 ーー愛しい愛しい私のご主人様。今日までありがとうございました。美南は今からお嫁にいってまいります。

 

 




感想、評価気がむいたらよろしくお願いします。

次はちょっと空くと思います。

アンケート 第6話最後の質問について

  • A 侮られ男子の悪女ザマァメス豚ハーレム
  • B ゲーム世界転生者のMOBハーレム作り
  • C そんなんいいから本編はよ
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