TSの退魔狐 作:TSスキー
「ぐっ……」
また意識を失っていたらしい。
ぐわんぐわんと揺れる視界、不快感を堪えて立ち上がる。
「っ、解除はしない方がいいな」
いつもと勝手の違う感覚に、自らが退魔師としての姿のままであることに気がつく。
普段ならば戦闘以外では極力表に出さない半陽の、女の姿。
九乃は半陽の退魔師としての力を振るう時、強制的にこの姿となる。それは女狐としての力を使うがゆえ、仕方のないことだと割り切っている。
しかし退魔師として割り切れてはいようとも、十代の清純な少年としてはそんな男らしさのかけらもない駄肉まみれの情けない女としての姿を曝け出すこと自体、ましてや人に見られたりなど堪え難いことだ。
だが今は異常事態。敵地のど真ん中と言ってもよい場所で戦闘態勢を解くなどありえないことで、身を守るため、誰かを助けるためにも常に戦えるようにしなくてはならない。それくらいはわかっている。
九乃は羞恥心を飲み込んで、どぷんっと揺れる胸の感触を努めて無視した。
「……ここは、旧校舎か?」
辺りを見遣れば、そこは古びた校舎らしき廊下。細部は異なるように見えるが、ここは淤能碁呂学校の旧校舎跡だろうか。
九乃自身、広大な淤能碁呂学校内の景観を完璧に覚えているかと問われれば何とも言えないところではあるが、ここが異変に呑まれたとはいえ淤能碁呂学校の中であるならば他に重なる場所は知らない。
「よりにもよってこんなところに……」
旧校舎は木造の三階建で淤能碁呂学校敷地内の一区画に存在し、本校舎の一部建物にロの字に囲まれる形となっている。旧校舎教室の窓から外を見れば、周りは本校舎の真新しい壁しか見えない状況だ。
前までは歴史的建物として保存されていたが現在は老朽化と風紀の影響で取り壊されることとなっており、今も少しずつ撤去作業が進められている。残るはほんの数教室と職員室のみ。
だが、それは今の問題の本質ではない。
「助けられなくてごめん」
廊下のそこかしこが赤く染まっていた。
辺りに飛び散った血、壁や床にこびりついた肉片。
それらが全て、元は人間であったことを示すように周囲には死霊の群れ。
それだけではない。感知できる範囲内で、この旧校舎内には夥しいほどの定型妖魔が徘徊している。
「コン」
呪文を唱え、霊力によって生み出した短刀、実体のある見せかけの刃を振るう。
それだけで九乃の周りを漂っていた死霊達は跡形もなく消滅した。
退魔師であれど僧や祈祷師でない自分には力づくで祓うことしかできない。彼らが成仏したかどうかなど分かりもしない。
それでも九乃には放置することはできなかった。
「ぅぁぁぁあ!?」
旧校舎内に悲鳴が響く。
生きた人の声だ。弾かれたように九乃は声のした方へと走り出す。
仮に助けられたとしても今の自分に生存者の安全を確保する術は無い。それは九乃自身わかりきっていた。
それでも、自分は人間として同じ人間である彼らを助けなければ、その考えのもとに身体が勝手に動いていた。
『ふごっ、ふごごっ』
「ひぃぃっ!? なん、なんだよこの豚野郎!?」
「くそっ、くそぉっ! 俺たちが不良だからって、これはあんまりだろぉ!!」
道中、死霊や悪霊などを祓いながら生存者の気配を追いかけた先、ついに九乃は廊下の行き止まりで泣き喚く二人の不良風の男子生徒と、豚の顔面を大柄な人の身体にくっつけたような緑色の妖魔の姿を捉える。
「待てっ!」
『ふごっ? ぶふっ、ふごごっ』
緑の豚妖魔、ウワーンタが九乃の声に振り返る。
そして、豊満な肢体を一切隠さず曝け出すような装いの若い女の姿に目の色を変えた。
「っ、変な目で見るな、気持ち悪い」
ウワーンタの大きな両の手でやっと収まるような特大の乳房、程よく肉のついた下腹部、突き出たハリのある安産型の臀部。そして半陽の血の気配。まさに孕み袋として相応しい存在が目の前にいる。
ウワーンタの目線で吟味するならばそんなところであろうか。
まるで性犯罪者が女性に向けるような変態的な視線。男であればまず向けられることのないそれを浴びて、九乃は身震いする。
九乃は確かに男としての意識を持つが、今の身体は女そのものだ。男としての要素など一切ない。それは九乃も理解しているし、妖魔に説明をしてわかってもらおうなどという阿呆でもない。
しかし、お前は男ではなく妖魔に欲情される半陽の女なのだと言われているようで、不快以外の何物でもないことは事実だった。
「……それに、この臭い……っ」
『ふごぉっ、ぶふっぶひっ』
豚の雄は臭いが強いというが、目の前の妖魔もその例に漏れず強烈な臭いを放ちながら九乃へと近付いてくる。
伸ばされたぶよぶよとした手が九乃に届く間際、一閃。
「さっさと祓わせてもらう……!」
『ふごっ!?』
その喉を幻影の短刀が掻っ捌いた。
妖魔は自らの喉元を押さえながら蹲り、しばらく悶えると、やがて沈黙した。
残心して周囲を警戒するが、近くに他に反応は無し。
極力刺激しないよう、纏う空気を和らげて男子生徒に話しかける。
「君たち、大丈夫?」
「ひっ!? お、お前もあいつらの仲間なんじゃねえのか!?」
「そ、その耳に尻尾っ! 人間じゃねえ!! 俺らを食う気だ!!」
確かに耳も尻尾も生えているものの、ウワーンタなどの定型妖魔達と比べれば外見ははるかに人なのだが、それでも少し前まで死の危機に瀕していた彼らに冷静さを求めることは酷か。
半狂乱になりながら泣き喚く男子達。まずは彼らを落ち着かせなければ、そう判断して説得しようと口を開いたその時。
『うるるるぅぅぅぅぅう!!!!』
女性の声と獣声が混じった遠吠えじみた鳴き声。
九乃が身構えるより早く、遠吠えの主は三人の前に現れ、その凶爪を振るった。
「ぶぺっ!」
「ひぎゃっ!」
鮮血。
男子生徒は瞬く間に見るも無惨な壁のシミとなる。
「っ、くそっ」
助けられなかった。
無念さが、自分への憤りが、下手人への怒りが九乃を突き動かす。
佇む妖魔に向けて即座に刃を構え、いつでも対応できるように意識を妖魔の一挙手一投足に集中させる。
背の丈は九乃より一回り大きく、全身を灰色の体毛が覆っている。フォルムは二足歩行ではあるが、獣脚や尖った顔、獣らしい長耳など人間より犬や狼などに近い動物的な印象を受ける。加えて大きな乳房があり、体型はどこか女性的に見えた。
だが妖魔に、とりわけ目の前の定型妖魔には性別など関係がない。
「パウチ、カムイ……!」
体毛の色は九乃の知るモノと違うが、それでもその姿形は間違いない。
パウチカムイ。
アイヌに伝わる淫欲を司るカムイ、アイヌの文化における淫魔だ。あのシターテルから分たれた定型妖魔である。
だが総じて直接的な戦闘能力は低いと言われる淫魔であっても、彼女達はカムイ。精霊や荒神と称されるだけあり、淫魔に類する定型妖魔の中では一線を画す実力を誇る。
そして、彼女達は両性具有、ふたなりと呼ばれる雌雄同体の妖魔でもある。その性質、強さに淫魔特有の狡賢さで数多の半陽の退魔師達を退魔師として、酷ければ人としてリタイアさせてきた。
『うるるるるるっ』
その低い唸り声は何やら表しているようだが、妖魔である以上ろくな考えはしていないだろうことは確か。
退けるか、逃げるか。捕まったらどのような目に遭うか、わかったものではない。
しかし、倒すにしろ逃走するにしろ、容易ではないこともまた確かだった。
淫魔であれど目の前の異様なパウチカムイもまたカムイの例に漏れず強大な力を持つことは、九乃にとってもわかりきっている。
そもそも通常のパウチカムイ含め、普通の妖魔であれば男子生徒二人を守りながら勝つこともできる。その程度が造作もないくらいには九乃も戦えるのだ。
しかし、実際には二人を守ることができず、既に赤く染まった旧校舎の壁をさらに血で塗り足すことを許してしまっていた。
奇襲だからではない。攻撃が早過ぎて見えなかった、だから反応できず二人を守れなかったのだ。
格上。紛うことなきその気配に九乃は冷や汗を流す。
「コン」
様子を見つつ呪文を唱え、短刀を短槍へと変化させる。まずは出方を窺う。九乃の中の冷静な部分が、対妖魔戦における定石通りの動きを導き出す。
先は動きが見えなかったが、今回は真正面に捉えている。初動から確と把握できるはずだ。九乃には自信があった。
そして、パウチカムイの姿を見失った。
「っ!?」
『うるるるるっ』
むぎゅっ。
パウチカムイは九乃の背後に回ると抱き締めるように腕を回し、あろうことか九乃の豊満な乳房と程よく肉付いた下腹部を鷲掴みにした。
男である九乃からすれば、自分の中の目を背けたい女の象徴である乳房を触られるのは屈辱でしかなかった。
「く、そっ、触るな! オレは男だぞ!」
『うるっ、るるっ♡』
「っ、な、何してっ……」
鋭い爪が引っかからないよう器用な手つきで、むぎゅむぎゅと柔らかな乳房を揉み、わしゃわしゃと下腹を撫でるパウチカムイ。
その行動に疑問符を浮かべながら、九乃は脱出のために暴れもがく。しかし、霊力と幻惑の術に長けるも身体能力は半陽の退魔師の中でも下位にある九乃の膂力では、雄々しいパウチカムイの双腕による拘束を逃れることは難しかった。
こんなにも退魔師としての自分は非力なのかと、普段の男の自分との差に愕然とする。
だが、逆に言えば相手は力で勝っている分、油断しているはずだ。しかも自分は懐の中にいる。
今は機会を窺う。屈辱も堪えて、この妖魔の首を掻っ切る瞬間を待つ。できなくとも霊力を練り上げて脱出するタイミングを図る。
そんな魂胆で半ばされるがままになること少し。
パウチカムイの不可解な行動、その真意を九乃が自らの女の身をもって知る瞬間は唐突に訪れた。
「お゛っ!?♡」
『ぅる? うるるるっ?』
細くも、ばちりと迸る火花に似たナニカ。鳥肌が立つほどに強いぞくりとした感覚。
ぐっぐっと押し込まれた下腹部から、昂めるように幾度もそれが昇ってくる。
女でも出さないような恥ずかしい声をあげてしまった羞恥心、背徳感、妙な罪悪感がないまぜになって、九乃はみるみる顔を赤く染めた。
初めて九乃の痴態を引き摺り出して気分を良くしたらしいパウチカムイは、より苛烈に九乃の体を弄り始める。
「待っ♡ ぅぁっ♡ それ、変だか、らっ!♡」
『ぅるぅるるるるっ♡』
「ひぃっ♡ ぅぉっ♡ ぉぉんっ!?♡」
だめだ。これ、続けられたら壊れる……!
じゅわじゅわと何かが下腹部に送り込まれているような錯覚を覚え、すぐさまそれが良くないものだと理解する。
必死になって力強いパウチカムイの腕の中で抗うが、どうしようもない。
耳を塞ぎたくなるような、情けない声が溢れて止まらない。
ぐりぐりと下腹部を押し込まれるたびに、胎に熱が灯る。疼き出す。
「ぉっ♡ ひぉっ♡ だ、めだっ♡ なんかくるっ♡ ぉぅっ♡」
へこっへこっ♡と無様に腰をかくつかせることが、抵抗と言えば抵抗になるか。嫌な感覚から逃れるため、唯一自由な下半身を必死になってへこらせる。内股になってむちりとした太ももを擦り合わせ、脂汗をかきながらしきりにぶるぶると臀部を震わせる姿はなんとも卑猥で、パウチカムイの獣欲に油を注ぐだけだが。
正しく性差だ。オスとメスの。
それでも、九乃にできることは堪えて隙を窺いながら、気付かれないように霊力を練り上げ続けることだけだった。
「ぉっ♡ ぉっ♡ おぉんっ♡」
『うるるるるるるっ♡』
そうしているうちに声を出すまいと取り繕うことも忘れ、ただただいやいやと金髪を振り乱しながら首を振り、ずりずり♡とパウチカムイの腹にデカい尻を擦り付ける。九乃の股間のシミとパウチカムイの身体との間に、ねちょぉ♡と粘い糸が引いた。
パウチカムイが耳元で唸った。
それは、少しずつ淫魔の手で慣らされている九乃にだけ、意味を持って聞き取れる声。女を堕とす、パウチカムイの言葉責めだ。
「ぁっ♡ やめっ♡ 囁くなぁっ♡」
『うるっ♡ ぅるるるっ♡』
「メ、メス臭くなんてぇ……!?♡ お゛っ!?♡ やめろっ♡ オレは男ぉっ♡」
首元や谷間、脇からの性発汗が雌のフェロモンを過剰に分泌させる。それは女狐という獣の妖魔の血を引くゆえに、強烈なオンナの性臭として辺りに漂う。
その臭いの発生源である九乃にですら、それが酷く淫猥な臭いであることがわかった。普段の、男の姿なら勃起してしまっていることだろう。それくらい刺激的な香りだ。
そんな臭いを指摘されて、あまつさえ恋人がするかのように後ろから首元に顔を埋められて嗅がれる。
男としての矜持を削られる思いだった。
淫詛が九乃の耳から脳を、魂を犯そうとする。
「ぉお〜〜っ♡ それやめっ♡ やめろぉっ♡」
『るるるるるっ♡』
「ち、乳首っ、ごりゅごりゅってぇ♡ だめっ♡ ダメになるぅっ♡」
大きな右手が両の乳房をまとめて握り、スーツの上からでもわかるほどにぶりん♡とシコり勃った二つのデカ乳首を親指と人差し指の輪の中でいっぺんに扱く。
堪らず、徐々に高められていく感覚を少しでも逃がそうと、くねくね腰を振って卑猥なダンスじみた抵抗を続ける。
抵抗は無意味ということをいまだに理解できないバカなメスに身の程を弁えさせるべく、パウチカムイは両の手の攻めを一瞬強めた。
「ぉ゛っ!?!?♡♡」
瞬間、九乃の視界に光が閃く。感じたことがないほどの強い刺激が脳に迸る。
捻り上げられた二つの乳頭から、ぐんっと押し込まれ鈍く強く揺らされた下腹部から、その感覚は抗いようもないほどに強いものとなって九乃を襲ったのだ。
ぶじゅっ♡ ぶじゅっ♡
九乃のスーツの股座でくぐもった水音。激しく噴き出る液体を、防水のスーツが間一髪のところで堰き止めている。
その液体がなんなのか、九乃にはわからなかった。しかし自分の女の身体から吹き出た、粘っこくて恥ずかしい体液であることだけはわかる。
「へ〜っ♡ へぇ〜っ♡」
『うるるるる♡』
舌を突き出し、甘くドロドロとした感覚に浸る。
その顔は、否定しようもなく快感に蕩けたオンナの顔だった。
パウチカムイが脱力した九乃の身体を抱き留めて耳元でまた囁く。
お前は絶頂したのだと。女のアクメをキめて、スーツの中で愛液と潮をぶちまけた恥ずかしいおまんこ女なのだと、九乃の精神をヤスリで削るように淫らな呪詛を紡ぐ。
「くっ、ぁっ♡」
『るるるっ』
まず、い。まずいまずいまずい。
もう反撃の機会を窺うなんて考えていられない。これ以上は後戻りできなくなる。
冷静さなどもはやどこかへ。
絶頂によって霧散してしまった霊力を、アクメの余韻で鈍い身体の感覚を無視して急速に練り上げる。
パウチカムイの鋭い爪が九乃のスーツに引っかかる。
そして、一思いに狩衣の下の肢体を暴こうとしたその時であった。
「こ、狐廊分身……!」
九乃が術を唱える。
それは爆発的な霊力の反応を見せ、パウチカムイは術の力を前に身構えるが、
『うるっ?』
「っ、はな、せぇっ!」
腕の中には、その莫大な霊力を三分の一程にまで減衰させた一匹のメス。
どうやら術の発動は失敗に終わったらしい。
三分の一とはいえ、並の退魔師の総霊力量を凌ぐほどのそれを蓄えた稀有な孕み袋。一生逃さず手元に置いて、何年、何百年と子供を産ませてやろう。
パウチカムイは今度こそ女の狩衣を剥ぎ、その爆乳に手を伸ばした。
♥︎
「っ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
旧校舎の一室。
そこで穴の空いた木の壁を背に座り込んだ九乃は、息を荒げながら周囲を見遣った。
「……っ、くそっ」
ずくんずくんと疼く下腹部が、嫌でもパウチカムイの愛撫を思い出させる。スーツの中で粘ついた股座の感覚が煩わしい。
「あれには、勝てない……な」
強かった。あまりにも。最大詠唱で術が使えればどうにかなるかもしれないが、そんな隙を与えてくれるほど生やさしい相手ではないだろう。
今の九乃では対応しきれないことは明白だった。
「次は、倒す」
それでも、負けたままではいられない。リベンジはする。必ず。
だが今は、優先するべきことがある。
「……術は使えるな」
特におかしなこともなく自身の術が発動したことを認め、九乃は安堵のため息を吐く。
これが無ければ、この異変を切り抜ける難易度はとてつもないものになっていただろう。
『狐廊分身』
自分の霊力を分け与えた意志と実体のある分身を作り出す、女狐の半妖たる九乃が最も得意とする妖術。
致命的なダメージを受けたり、手段は問わず分身体を構成する霊力が足りなくなるほどに放出してしまった場合、強制的に解除されてしまう術だが、その際、見聞きしたモノは全て本体へと還元されるため、諜報活動などにも大いに役立つ。名だたる女狐の妖魔達はこれを駆使して人間社会における上の位に成り上がって行ったという。
「三分の一も使ったんだ。一ヶ月くらいは持つだろ」
狐廊分身は権力者の籠絡などにも使われていたもので、体の内部までそっくりそのまま術者を模す。おそらく今頃分身体はパウチカムイに手篭めにされている頃だろうが、仮に解けても忌々しい記憶や感覚は還元させなければ良い。
一ヶ月あれば全員と合流して、学校を抜け出すくらいはわけないはずだ。
最優先目標は辟邪退魔師隊のメンバーと合流、その後この学校を脱出すること。それは変わらない。
「よし、行こう」
そうと決まれば、こんなところで立ち止まっている暇は無い。動き出さなければ。
立ち上がって、耳を澄まし周囲の気配を探る。今いるのは三階、同階の少し先、妖魔の気配が集まっている場所には人の気配もいくらか。あの強いパウチカムイと分身の気配は一階にある。となれば先ずは生存者の方に行こう。何か情報が得られるかもしれない。
ぐちゅっ♡と卑猥な音を立てた恥部、未だ火照りが抜けない身体に気がつかないふりをして、九乃は歩き出す。
その姿をダレカに見られていることにも気が付かずに。