オバロ世界の現地民と 作:反山太郎
日が昇る方向に目を向ければ、太陽の天辺が一筋の線を描く様が瞳に飛び込む時分。
自然と瞼が上がり、エンリは目を覚ました。
いつもの自分の寝床での起床に少しの肌寒さを感じながら身を起こす。
肩までかかっていた布がずり落ちて、形の良い乳房が顔を出す。乳首は淡い色で彩られている。
欠伸をしながら腕を上にあげて伸ばし、朝起きの血行を全身に巡らせる。
自身の横に顔を向けてもそこには誰もいない。
昨日の夜の情事を思い出し、恥ずかしさから顔に熱を感じる。
それはすでに幾度と、済ませていることなのだ。
男と体を重ね、疲労と脱力から自然と眠りに落ち、朝に気持ちよく目を覚ます。
そして、村での悲劇を思い出し気分が急下落する。
だが、それも今は幾分ましになったのだ。
前は思い出せば涙が溢れ、すこしの間布団で蹲り落ち着く時間をかけることが多かった。
男と一緒にいることが多くなってからは、心に余裕と安定が生まれ膝を抱えるようなことはなくなった。
自身の横に手を滑らせてから、エンリは畳んでおいた自身の服を身に着け家の外へと出る。
水をくむために村の井戸へと向かう為だ。悲劇が起ころうと変わらぬエンリの毎日の始まりの合図だ。
家の甕を手に取って井戸へと向かう、景色が変わってしまった村の風景に慣れ始め歩を進める。
顔を合わせた村人と挨拶を交わしながら歩く。見慣れた顔が減ってしまっていることに心の奥底の傷が疼く。
井戸が視界に入るところに横から一人の人物が目に入る。
男の冒険者仲間の女性だ。冒険者として活動しているといっても男女の二人組だけらしい。
名をエドストレーム
褐色肌で髪は一つにアップで纏めており、腰ほどまで伸びている。
顔は釣り目な印象に気を持っていかれるが、目鼻立ちのいい顔で意思の強い女性だとわかる。
背はエンリより高くスタイルもよく引き締まった体形は、戦闘者としてのものだとただの村娘のエンリでもわかる。
しかし、出るとこは出ていることに女としてわずかばかりの敗北感を感じるのだった。
胸はエンリより大きいと布の押し出しからわかり、尻もむっちりとした丸み帯びたものだと衣服越しでもわかるのだ。
村の襲撃者を撃退する闘いでは、危険な戦闘を繰り返す冒険者としては薄い装備でまるで踊るように戦っていた。
剣を帯びていなければ踊り子だと、そういった芸で銭を稼ぐ者と認識できる出で立ちだった。
今は一介の村人のような服装だが、腰につるした一本の剣が彼女をただの村人ではないと物語っている。
「はぁい、おはよう」
「おはようございます」
井戸に近づくエンリに向こうも気づき、声をかけてくる。軽く手を振りながら微笑を浮かべて挨拶をしてくる姿に親しみやすさを感じる。
それにエンリも返し、先に井戸に着いたエドストレームが甕に水を入れていく。
「調子は好さそうね。昨日は気持ちよかったみたいね?」
夜の情事を知っている口ぶりで切り出すエドストレームにエンリは一気に赤くなる。耳まで熱くなったのがわかるくらいだ。
口角を上げながら話を振り、そのエンリの様子にますますにやけた顔になる。
「ふふ、すごいのよね。あいつ」
微笑を浮かべながら、話題の人物を浮かべるエドストレームの顔は朝早いというのに雌の顔だ。
潤いのある唇に朱い舌を滑らせる様は蛇を連想させるが、それよりも淫靡な雰囲気に流される。
エドストレームもまた男と肌を重ねている女の一人だ。
男女の二人旅ならばそういう間柄になることになんら疑問はわかないが、その相方がほかの女を抱いても不快に思っている様子は見て取れない。
そこは割り切っているのか、それとも男への愛情が深いゆえなのかエンリにはわからないが。
いずれにしろ色事で血を見るようなことにはならなそうだ。
エンリにしても助けてもらった相手に対して感謝の念のほうが強いし、むしろ自分のせいで二人の間に亀裂を生むようなことになってしまえば申し訳ない。
「もう、からかわないでください。まだ慣れないんですから」
「ふふ、ごめんねぇ」
唇をすぼめて抗議するが、エドストレームにはエンリの初々しい反応を楽しんでいるようにしか見えない。
男とエドストレームは村にいる間は持ち主のいなくなってしまった家を借りる形で寝食を過ごしている。
当然、夜の生活もその家で過ごしている。
(なんだか妙な気分……)
何がどうとは言えないが、エンリは心の内に蟠りを感じる。
男女の関係の詳細はわからないが、普通ではないことはわかる。
二人の間でどんな取り決めがあるのかわからないが、初めてエンリが男と交わった後はエドストレームからの視線がなにかが変わった気がしたためバレていると思い焦燥感に鼓動が速くなったものだ。
ところがエンリの心配をよそにエドストレームからは気軽に話しかけられ、あまつさえ情事の感想を求められさえした。
その時は恥ずかしさから慌てるだけで、なにも言えなかった。
エドストレームは何でもないかのように話のタネにしたいだけだと吐露してきたのだが、エンリの知る常識からはかけ離れていたため茫然としてしまった。
「ふふ、エンリも男を知ると変わるわよ」
「………………」
からかわれているとわかっているが何も言い返せない。実際自分でも変わったと思うから。
男に抱かれることに幸せを感じるし、抵抗もなくなったから。
しかし、ほかの男に抱かれることになったとしたら嫌悪感が湧くだろう。
エンリが知る男はただ一人だ。
エドストレームはエンリより年上であるし、経験も豊富なのだろう。装備にしても男の視線を持っていくような姿だ。
男の視線を釘付けにする魅力がある肉体を、エンリは自分の体を見下ろす。
太ってはいない、がエドストレームと比べると膨らみが足りないと自己分析をする。
自分の肉付きなど気にしたこともなければ、ほかの女と比較するような機会もなかったが、エドストレームを見ていると微かな劣等感が心に湧いた。
「あの……」
「ん?」
このまま男との関係を続けてもいいのだろうか?ふと、思ったことを問いてみようかと口が開く。
二人は冒険者だ。今は村の手助けをしてくれているが、ここに根差すつもりなのだろうか?
それはありがたいことで、文句などあろうはずもない。
だが、もしそうなったら二人で夫婦になるだろう。共にいた時間も長いだろうし、それが自然だ。
その間に自分が入るのはおかしい。
(なんて聞けばいいんだろう?)
思わず声に出てしまったのでその後が続かなかった。
自分と彼が寝ていることをどう思っているのか。
村にこのまま住むことにするのだろうか。
それとも冒険者としてどこかに行ってしまうのだろうか。
そうなったら自分はどうするのか。
考えが纏まらずしどろもどろになってしまうエンリをエドストレームは凝視する。
その視線にいたたまれなくなりはじめ、なにか言わなくてはと思いつつ声にならない。
「ふふ」
そこにエドストレームの微笑を含んだ言葉が耳に届く。
それに思わず目線を合わせれば、エドストレームのニヤニヤとした表情が目に入る。
「な、なんですか?」
「気にしなくていいのよ。気持ちいいならそれでいいじゃない」
腰をかがめて、妖艶な顔を近づけられる。
香水というものだろうか、ふわりと香りがエンリの鼻腔をくすぐり同性のエンリがドキリとしてしまう。
ごくりと喉を鳴らしてしまう。
下腹部に指を這わせられる感触を感じ、視線を落とす。
「ここの中にあったか~い精液注がれるの幸せじゃない?」
そういわれて昨夜の事を思い出してしまう。
入り口から奥まで隙間なく満たされる感覚。
擦り合うたびに背中に走るあの感覚。
絶頂するたびに勝手に動く体。
触れ合う肌とは別に感じる胎の暖かさ。
あの多幸感と満足感は筆舌に尽くしがたい。
気づけば、浅く呼吸をしており興奮してしまっている。
汗ばむ背中。
その問いに答えることに抵抗感を感じずに頷いてしまう。
それにエドストレームは笑みを深くして、肩に手を回しながら横に来る。
「キスされながら、ここをトン…トン…ってされるの気持ちいいのよね。私、好きなのよ」
エンリが感じた陰茎の届く長さを的確に当て、強めに指で押す。
圧迫感に呻くが、それだけで抵抗はしない。
無抵抗のままエドストレームのなすがままに弄ばれる。
「エンリはどんなセックスが好きなの?」
恥ずかしい質問。普段の自分だったら答えないだろう問に、熱に浮かされたエンリは答える。
「う…うしろから、むねをさわられながらつかれるのが…すきです……」
「ふーん、四つん這いで?」
肩に回された手が胸に行く。
服越しに乳首を刺激され、びくりと肩が反応してしまう。
そのまま乳輪に沿うようにくるくると指を回して刺激するエドストレームをエンリは受け入れていた。
息を荒くしながら、一つ頷く。
「犬みたいね?」
顔のすぐ横で嘲笑まじりに言われる。
その返答にただでさえ湯だった熱が火にかけられたように更に熱くなる。
「私も好きよ。腰をこう、ぐっと持たれてね。逃げられないよう強く持たれるの。そのまま腰をバンバン!ってお尻に打ち付けられるの」
女同士だが、セックスの実演をするように腰を強く握られ腰を打ち付けてくる。
「感じすぎて力出ないし、頭バカになっちゃうし、逃げようとすると押しつぶされて余計ひどいことになるのよね」
腰から離れた手がエンリの顔を正面に向けさせる。
目前にはエドストレームの顔がアップで映される。
吊り上った眼に妖艶な雰囲気を持つ顔が、獲物を捕らえた肉食獣のような笑みを浮かべる。
その笑みがエンリを飲み込むように近づいてくる。
「パンパンって犯されて……最後に一番奥で出されるの」
唇が重なる。
強引なキスだが不思議と嫌悪はなかった。
いや、むしろもっと味わいたい欲求に駆られたほどだ。
口を開いて舌を絡め合う。口腔内を舐りあい互いの唾液を交換する。
息継ぎに口を離せば、二人の間に透明な橋がかかり重力に負けて崩れる。
淫靡な笑みを浮かべるエドストレームにエンリは何故か目が離せなかった。
その目に吸い込まれそうな感覚に陥ったからだ。
それに視線をそらすことができずにいると、ぐっと顔を押し付けられ再び唇を塞がれる。
エンリの口を覆うようにかぶりつき、舌を侵入させる。
歯茎をなぞり、舌を絡め取り吸う。舌同士を擦り合わせれば、ぞわぞわとした感覚が背中に走る。
エンリも自然と舌を動かしエドストレームのものに絡みつかせる。
くちゅりという音が口と口から聞こえ、エンリは自分が今していることの背徳感に興奮を覚える。
「んっ……はぁ……」
どれほどの時が過ぎたか、頬を赤く上気させたエンリはぼんやりとした表情だ。
唇を離し、そんな少女の耳元でエドストレームが囁く。
「今度は、3人でしましょう」
そう提案するエドストレームにエンリは視線をさまよわせる。
3人。
おそらく、自分と彼女と彼。
戸惑いがエンリの心をかき乱す。
当初の関係による悩みなど吹き飛んでしまい、今は提案に対しての答えを返そうと思考を回す。
ただの村娘の性倫理から全速力で走り去るどころか、魔法で飛び去るかのような現実にエンリは声がでない。
「楽しみね」
再びエンリの唇に吸い付く。今度は触れるだけのキスだ。
微笑を抱えたまま、エドストレームは甕を手に取ってそこから歩き去る。
エンリは提案による混乱、行為による興奮、荒ぶる鼓動に胸を押さえることしかできず、見送ることしかできなかった。
投稿した後とかに気付くんですが、これこういうタグつけたほうがよくない?みたいなの気づいたらお願いします。