温かい舌を絡ませ、唾液を混ぜ合わせ、吐息が漏れ出る。
気付けば互いに抱きしめあっていて、白衣越しでも癒蘭の身体には熱を帯びているのがわかった。
それに特徴的な耳も尻尾も、感情に比例して激しく動いていた。
「……久しぶりだから、すぐに身体が熱くなっちゃったわ」
頬を赤らめながら言葉を漏らす。
「じゃあ、脱がすぞ」
「はい」
他の服とは違った感じの白衣を脱がしていく。
この恰好の女性とするのは初めてだ。脱がすのだって手間取るかと思った。だが簡単に脱がすことができた。
やっぱり体が覚えているのだろうか、変な感覚だ。
「下着とかしないんだな」
「色が透けちゃうもの。って、あなたと初めてしたときも同じこと聞かれたわね」
クスクスと笑い出す癒蘭。
白衣と同じく純白な乳房は、男を狂わせるほどの大きさがあった。
自然と手が伸び、その乳房を下から揉み上げる。
「あ、ん……っ♡」
微かに汗ばんだ乳は、指を押し込むと埋もれていくほど柔らかい。
「十年前の俺もこの感触を楽しんでたのか」
「ええ、それはそれは嬉しそうにね。大きくて動くのに邪魔だって言うわたくしの気も知らずに、子供みたいに褒めてくれたわ」
「当然だろ。男なんてみんな──」
「「大きい胸が好き」」
「でしょ?」
両手で乳房を揉みしだいていると、俺が言おうとした言葉を被せられた。
「変わらないわね。やっぱり子供ね」
「ふん、変わるわけないだろ、同じ俺なんだからな」
癒蘭を押し倒す。
白衣をはだけさせ、純白な乳房の中心にあるピンク色の突起した乳首を舌先で刺激する。
「んっ、あっ……♡」
癒蘭は顔を左右にぶんぶん振って悶える。
わざと大きな音を鳴らして乳首を吸ってみせると、彼女の全身がどんどん熱を生む。
「あんっ、それ、気持ちいい……っ♡」
「そうか。乳首をこうされるの弱いのか?」
「あ、んっ、そ、そうよ……そうやって強く吸われると、気持ちよくて変になっちゃいそう♡」
足裏でベッドのシーツを擦る。
癒蘭は喘ぎ声を漏らしながら俺の背中に腕を回した。
「……やっぱりまだ、思い出せない?」
少し切なそうに声を漏らす癒蘭。
俺が「ああ」と答えると、彼女は「そうよね」と悲しい声を発する。
「すまないな」
「ううん、大丈夫。ごめんなさい、こんなすぐに思いだせるわけないのに聞いて」
それほどまでに十数年前のこと──いや、もっと前、俺と彼女が出会った頃からのことを思いだしてほしいのだろう。
少しだけ暗い空気になってしまった。
「……もしかしたら、もっと気持ちよくなったら思いだすかもな?」
そう伝えると、癒蘭は「そうね」と笑った。
「じゃあ、その……前みたいに、してみる?」
「前みたいに?」
「え、ええ。ちょっと恥ずかしいのだけど、あなたが思いだすかもしれないなら、その……」
そう言って彼女は持っていた手荷物から何かを取り出した。
ベッドで正座した彼女は両手を前に出す。その手の上には、
「……首輪?」
赤い布製の首輪。そして手で持てるような紐のリード。
確かこれは動物相手に付けたり、男が女を屈服させる、いわばSMプレイの時に使う物だ。
「もしかして」
「……あなたとわたくしは、えっと、そういうプレイが好きだったから」
恥ずかしそうにそっぽを向きながら言葉を漏らす癒蘭。
自分で自分を判断するなら、俺はサディストかマゾヒストかで問われればサディストの分類だろう。
受け身よりも責める方が得意だし好きだ。
けれど首輪を付けさせてプレイするということはあまりしたことがない。
「なるほど」
だが、癒蘭から首輪を受け取ると昂る感覚がある。
これも記憶が無くなっても感覚で覚えているということだろうか。
俺は受け取った首輪を彼女の首へと持って行く。
「はあ、はあ、はあ……っ♡」
ピンク色の唇が震え、開いた口から唾液で満たされた口内と舌を覗かせる。
荒くさせた呼吸と火照った顔を見ただけで、さっきよりも興奮しているのがすぐにわかった。
──もしかして、俺と彼女がこういうプレイをするのが好きだったんじゃなくて、彼女が単に虐げられるのが好きなんじゃないのか?
そう思って、付けようとしていた手を止める。
「えっ、ど、どうかした……?」
「そんなにこの首輪、付けてほしいのか?」
少しだけ雰囲気を変えて問いかけると、彼女の全身がブルッと震えた。
「あ、あの、その……」
「付けてほしいなら、自分からお願いしてもらわないとな?」
耳を撫で、そのまま頬を撫でる。
熱を感じながら、トロンとした瞳で癒蘭は俺を見つめる。
「首輪を、その、付けてください……っ♡ また昔みたいに、わたくしのこと可愛がってください♡」
一瞬にして大人っぽいお姉さん感が消えた癒蘭を見て、全身が昂っているのを感じた。
彼女の首にぴったり合う首輪を付けると、俺は紐であるリールを持つ。
「癒蘭は昔から、こうして俺に隷属されて興奮してたのか?」
「そ、それは……あんっ♡」
リールを引っ張ると、癒蘭は呆気なく俺に倒れ込む。
「興奮してたんだろ?」
「は、はい……して、ましたっ♡」
「なるほどな。当時の俺がちゃんと躾けてたってことか。それじゃあ、久しぶりに躾けてやるか。なあ?」
「あんっ、は、はぃ……お願いします♡」
頭を撫でると、うっとりとした表情の癒蘭は俺の上着に手をかけ、ゆっくりと脱がしていく。