※この作品はR-18です。

ホロライブラバーズX ファンタジック・ピースメイカー   作:とも667

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 さあ行こう、夜明けに舵を向けて。


Salvage

『我こそ神、願いの化身なり!! 真なる願いに立ち塞がる者は、尽く滅ぶべし!!!』

 

 拳を握り、右腕を左腕より前に出す。利き足を肩幅分下げ、肩幅と同じ広さに足を開いて、構える。その場でステップして、戦闘態勢を整えた。それを見た奴は体中から、無数の兵器を出してきた。胸からはビーム砲、腹からは大砲……肩から機関銃も出てきている。それら全てが、こちらに砲口を向けた。

 

「すごい量の兵器……!! あれ全部撃ってくるつもり!?」

 

『船などなくても、私の力があればいくらでも撃てる!! 死ねぇ!!』

 

 ──ドババオォォォン!!!

 

「チッ、なんて火力してんだよ!!」

 

 咄嗟にその場から飛び退くと、さっきまで俺達がいた場所が爆風に焼き尽くされ、銃弾で穴だらけにされた。喰らえば命がないのは、火を見るより明らかだ。そこに白い光線が追撃を入れに来る。

 

 ──ギュオォォォアァァッ!!!

 

『消えてなくなれ、背教者共が!!』

 

「お前の言う通りに、誰がなるか!! 竜巻旋風脚!!」

 

「消えるのはテメェだ、ゴミが!! 『苗床の残滓』!!」

 

 俺が跳躍した姿勢のまま、右足を伸ばして左足を軸に回転しながら奴に突撃する。るしあがそれに合わせて、呪術を奴に投げつけた。

 

 ──轟ッ!!

 

 ──ドガァッ!!

 

『ぬぐっ……!!』

 

「セントルイススマッシュ、エアフォース!!」

 

 ──ズガァァッ!!

 

『ぎっ……少しはやるようだが、それでは私は倒せんな』

 

 竜巻旋風脚の回転の勢いで、そのまま右足裏を全力でぶつけた。しかし、奴にはあまり効いていないようだ。これでは埒が明かない……やはり、宝物を見つけないとダメか。

 

「えっ、なんで!? 全然効いてない……!!」

 

『潤羽るしあ、知らないようだな。この者の願いがあれば、私は不死身かつ無敵の神だ』

 

「やっぱり、先にマリンを救わないと勝てないな……!!」

 

 必要な物は、この世界にある『宝物』だ。どこにあるかはわからないが、必ずあるはず!! 探しに行きたいところだが……

 

「救うって、どうやって……!?」

 

「それは……ッ、危ねぇ!!」

 

 ──ドゴォォォン!!!

 

『残念だが、私も貴様の話を大人しく待ってやる程暇では無い。地獄でゆっくりやるがいい』

 

 仕方ない、走りながら説明しよう。そう思って、奴から距離を取る。るしあが奴の足止めをするために、アンデッドを出したが……やはり、大砲一発で全員が消し飛んでしまった。奴が銃を掃射しながら、こちらを追ってくる。

 

「そんな、みんな一撃……!?」

 

「かなりパワーアップしてるな、早く止めないとまずいぞ……るしあ、マリンを救う方法はひとつだ。この世界のどこかにあるマリンの心の中枢……マリンの『宝物』を、あいつが見つけるより先に見つけ出して、思い出を甦らせることだ!!」

 

「でもあれ、どこにあるかわからないよね……」

 

「それはそうだが……マリンを助けるにはやるしかない!! 多分お宝がカギだ、探すぞ!!」

 

 三人で分散して、お宝を探し始める。しかし奴はそうはさせないと言わんばかりに、大砲や銃で妨害してくる。

 

「ぺこらはこっち、俊也はそっちをお願い!!」

 

「るしあはこっちを……うわっ!?」

 

『探し出されて、また負けるのは御免だからな。私とて馬鹿では無い……探すのはあとだ、先に貴様らが死ね』

 

「どけ!! マンチェスタースマッシュッ!!」

 

 ──ガギャアァァ!!

 

 跳躍して、空中で前転した後に右足を伸ばして……踵落としを、奴の脳天に叩き込む。そして更にもう一発!!るしあもそれに合わせて、アンデッドと一緒に奴に接近していく。

 

「邪魔なんだよ、クソ連合の親玉!! 喰らえ、『共撃の死霊』!!」

 

「サイクロン……ディザスター!!」

 

 ──ズガッガァッ!!

 

 ──ズドドドォォッ!!

 

『ぐっ……!!』

 

 るしあがアンデッドと共に銃の掃射を躱して接近し、拳の二連撃を奴の腹部に叩き込んだ。それに合わせて、俺も更に前回転をかけて、前転する。その勢いのまま、足裏を三回奴の頭へと叩き込む。奴が一瞬怯んだ隙に、るしあに『宝物』を探しに向かわせた。

 

「よし、るしあは行ったな……ここは俺が相手になるぜ!!」

 

『おのれ、邪魔をするな!! これでも喰らえっ!!』

 

「ッ!? 火炎放射だと!?」

 

 ──バォォォォォォッ!!!

 

 まずい!! こんなところで、そんなことをしたら……木々に火がついて、こちらに倒れてくる。山火事だ!!

 

 ──ズシャアァァン。

 

『これでは探すに探せまい、それどころか酸欠や焼死で死んでしまうかもな!! フハハハハハ!!』

 

「畜生……くっ!!」

 

 ──ドゴゴォォォン!!

 

『私はまだ動けるんだ、忘れるなよ?』

 

 山火事のことを気にしながら、こいつの派手な攻撃を避けなければならないのか……だが、早くお宝を見つけなければ、こいつは更に手が付けられなくなるだろう。どうするか……

 

「……神気取り、こっちに来い!!」

 

『逃がすと思うか!?』

 

「走るのは得意なんだよ!!」

 

 ──ドバオォォォン!!!

 

 俺のとった選択は……『二人を信じて、狙いを逸らすこと』だ、やはり奴は俺を追ってきている。そりゃそうだよな、俺は神気取りを一度は単独で撃破し、二度目は俺に話の続きを書かれたせいで敗北したのだから。

 

『貴様は何度も私を苦しめてくれたからな……貴様から潰すのが得策だ!!』

 

 ──ズダダダダダッ!!!

 

「ぐっ……そりゃ、賢明だな……!!」

 

『いつまで逃げられるかな!?』

 

 銃弾が肩に突き刺さり、激痛が走る。マリンと二人のためにも、できる限り時間を稼がなくては……周囲を確認して、振り向く。

 

「そろそろ鬼ごっこは終わりにするか……!!」

 

『ついに諦めたか。死ね、背教者め!!』

 

「うぉっと……!!」

 

 ──ボガァァァァン!!!

 

 撃ち込まれた大砲を上空に跳んで躱す……無論、それで反撃を許す相手ではない。肩の銃がこちらを捉える、このままなら俺は蜂の巣だろう。

 

『これで終わりだァ!!』

 

「竜巻旋風脚ッ!!」

 

 ──ズガッ!

 

『それがどうした、いくらでも撃てると言っただろう!?』

 

 それはわかっている。左足軸で右回転をかけた竜巻旋風脚は、奴の胸板に命中したが……奴は意に介していない。そこから更に右回転をかけて、右足でもう一撃!!

 

「セントルイススマッシュ、エアフォース!!」

 

 ──バゴォッ!!

 

『その程度か!? これで消えてなくなれ!!』

 

「ッ……!!」

 

 ──ギュアァァァオォォォ!!!

 

 奴の腹部を蹴りつけて、一気に離脱した。白い光線がこちらに迫ってくる……!! 避けきれず、脇腹が焼かれてしまった。多量の出血による虚脱感で、地面に落ちてしまう。

 

「がはっ、ぐっ……は!!」

 

『今楽にしてやる、さらばだ!!』

 

「……墓穴を掘ったな、神気取り!!」

 

 神気取りは、何のことかわからないようだが……最初からこれが狙いだ!! 奴が火をつけた木々が、神気取りに向かって倒れてくる……!!

 

 ──ギッ、ギギィィ……

 

『死に際で幻覚でも見え始めたか? まぁいい、どうせお前が死ぬことは変わら……なにぃ!?』

 

「そんなに兵器を積んでちゃ、逃げられねぇだろ……!!」

 

『ぐわぁぁぁぁぁっ!!!』

 

 ──ズガガッシャアァァン!!!

 

 案の定、奴は逃げきれず……燃える木々に四方八方から倒れ込まれてしまった。その場から急いで離れる……その後すぐ、大爆発が起きた。俺にトドメを刺すための砲弾に誘爆したのだろう。走っていたら、海岸まで降りてきてしまった……

 

 ──ドゴゴォォォン!!!

 

「……あいつも、流石にタダじゃ済まないだろ。はぁ、はぁ……」

 

「俊也!! 宝物、見つけてきたよ!!」

 

「俊也くん、大丈夫!? あっ、酷い怪我……!!」

 

 この程度なら、まだ動ける。それよりも、お宝はどこだろうか。

 

「そんなことより、お宝だ……早く、マリンに呼びかけないと……」

 

「それより傷を塞ぐのが先!! ちょっと待ってね……『ぬくもりの火』!!」

 

「あったかい……あ、火傷が……!!」

 

 痛みが楽になって、出血が止まった。こんな呪術もあるのか……

 

「るしあ、ありがとう。助かったよ……」

 

「これくらい全然。それより今は!!」

 

「わかってる、マリン!! これを見てくれ、お前が探してたお宝だぞ!! お宝はこの島にあったんだよ!!」

 

 マリンに呼びかけるが……返事は返ってこない。

 

「マリン、お宝があったんだよ!? どうして何も言わないの!?」

 

「お前が目をつけた島は、当たりだったんだ!! 船長の才能は十分だろ!?」

 

『無駄だ……ゴフッ、この者はもう……そのお宝に興味が無い』

 

 神気取りの声だ!! 降りてきてしまったか……!! しかし体がボロボロで、自己再生が追いついていない様子だ。

 

「大砲が壊れてる……俊也がやったの!?」

 

『よくもやってくれたな……しかし、私は不死身だ!! これで本当に手立てはなくなったな!!』

 

「くそっ……!! なんでなの、マリン!? 何が足りないの!?」

 

 マリンに足りない物。必死に考える……煌めくお宝に価値を与えるのは、人だ。今のマリンは、自分を信じられていない……このお宝は、『今のマリン』にとってはガラクタ同然。もう一度興味を示してもらうには……!!

 

「……やるしかないか!! 二人とも、協力してくれ!!」

 

「何か考えついたの!?」

 

「あぁ、作戦はこうだ……!!」

 

 無謀一歩手前の作戦。しかし、もうこれしか思いつかない。

 

「そ、そんな……!! 無茶だよ!!」

 

「無茶でもやるしかないんだ、頼む!!」

 

『何をコソコソと……!! 消し飛べ!!』

 

 ──ギュアァァオォォォッ!!!

 

「ッ……!! るしあ、頼む!!」

 

 光線を躱した俺が叫ぶと、るしあが巨大な骸骨とアンデッドを呼び出し……アンデッドを繋げて、俺の両足を掴ませた。そのまま、俺は肺いっぱいに息を吸い込んで……海に向かって身を投げた。

 

 ──ゾボォォォォン!!!

 

「……死んだら許さないからね!!」

 

 その声を最後に、俺は海の中へと潜っていった。時間稼ぎは二人に任せたが……今は、信じる他ない。必死に泳いで、底へと近づいていく。泳ぎは得意な方ではないので、我ながら遅い。

 

「……!?」

 

 何か、丸いものが二つ落ちてきた……本能的に危険を察知して、その場から必死で離れる。次の瞬間、その物体は大爆発を起こした。

 

 ──ダバァァァァンッ!!

 

「っぶ……!!」

 

 背中に衝撃が走って、貴重な空気が押し出される。これは爆雷だ……!! 近づけないからって、こんな物を投げてくるとは!!

 

 ──ゴボボッボォォン!!!

 

「っ……!!」

 

 早く回収して戻らないとまずい……船が見えた、俺の予測が正しければ、あそこにあるはずだ。船に接近して、内部を見渡す……船長室はどこだろうか。爆雷は、未だ落ちてきている。

 

 ──ダバッシャアァァッ!!!

 

「ごぶっ……!!」

 

 船が一部吹っ飛ばされて、巻き込まれた。くそ、もう息が持たない!! 早くしないと……ここだ!! 船長室のドアを開けて、中に入る……何かないか!?

 

「……!!」

 

 きっとこれだ。瓶に入れられて、丸められた紙。大事そうに置かれている……!! それを掴んで、命綱代わりのアンデッドを引っ張った。急速に引き戻される……が、奴はそれを許すつもりはないらしい。爆雷が次々襲ってくる!!

 

 ──ダバァァァァン!!

 

「……ぼぁっ!!」

 

 爆雷を食らって、ついに息が途切れる。次々爆発するそれは、俺の体を容赦なく削っていく……瓶が割れて、紙が外に出てしまった、その時。

 

『うぐぅぅっ!!』

 

「……!?」

 

 やはりか。これが、心の中枢なんだ……だが、バレてしまったからには……!! 水面近くで、ついに命綱が切れてしまい、大量の爆雷に取り囲まれた。避けられない……マリンの心を、体を丸めて護る。

 

 ──ダダダダバァァァァン!!!

 

「ごぁっ、あ……」

 

「あ……あぁぁぁ!! 俊也くんッ!!!」

 

『ハッ、終わったな。あっけない死に様だ』

 

 マリンの心を抱え込んだまま、地面に叩きつけられる。完全にやられた、体が動かない……奴は大砲を捨てている、あそこから投げていたのか。二人ともボロボロだ……体中から血を流している。

 

「くそっ……くっそぉぉぉ!!」

 

『うるさいぞ、害獣め』

 

「ごぉっ!? がっ……」

 

 蹴り飛ばされて、ぺこらが転がってきた。このまま、みんな終わるのか? そんなわけにはいかない、みんな巻き込んで死ねるかよ。持ってきた紙を見る……そうか、そういうことか。血がとめどなく溢れる体を、無理やり起こした。

 

『まだ立つか、やはりしつこいな。しかし、その体ではもう蹴ることも殴ることもできまい?』

 

「ッ……マリンッ!! 見ろぉぉ!!!」

 

『……なんだそれは? 子供の落書きか?』

 

 違う。落書きなんかじゃ、断じてない!! これは……

 

「宝の、地図だよ……!! 見て、わかんねぇのか!?」

 

「宝の……?」

 

『地図だとォ? それがか?』

 

 奴はそれを聞いて、大笑いし始めた。

 

『フハハハハハハ!!! 何を言うかと思えば、死に際でトチ狂ったかァ!? ハッハッハッハ、片腹痛いわ……!! そんなガキの落書きに、何の価値がある!?』

 

「あるに、決まってんだろ……マリン!! これを書いた日の、ことを……思い出して、くれ……!!」

 

『これを書いた日の……こと?』

 

 確かに拙い字だし、本当にこの場所にお宝があるとは思わない。しかし、間違いなくこれは宝の地図だ……『そうだった』はずだ!!!

 

「これは、マリンにとって……なんだ!? ただの紙切れなのか!? 本当に、何の価値もないもの、なのか!? うぐっ、ごぉっは……!!」

 

 ──ビチチィィ……

 

 血反吐を吐いて、綺麗な砂浜に鮮血が散る。しかし……まだ、言いたいことを言い切っていない。何より面と向かって、謝れていない!!

 

『何の価値もないに決まっているだろう!!』

 

『違う。それは……マリンにとって大切な、宝の地図だよ。あの日、宝探しゲームをやった時の……』

 

「そういえば、聞いたことあるよ。その時入れた宝箱が赤と金色の、おもちゃの宝箱で……そこに、おもちゃのお宝が入ってたって」

 

 そうか。だからマリンは海賊になって、こんなお宝をもっと見つけたいって……素敵な夢じゃないか。

 

『ッ……もう喋るな!! さっさと死ね!!』

 

 ──バキィィン!!

 

「させないっ!!」

 

「ここから先は……死んでも、通さねぇ!!」

 

 二人が、俺の前に立ち塞がってくれた。心の中で感謝しながら、取り込まれたマリンに向かって叫び続ける。

 

「マリン!! 何のためにここまで来た……あそこまで、強くなった!? 平凡に暮らすのも、いいと思うよ……!! けど、それだったら!! あんなに強くなる必要は、ないだろ!!」

 

『マリンが強くなったのは……船長として、一味のみんなを守るため、だけど……こんなマリンなんかに、着いてきてくれる人なんかいないよ……』

 

「絶対にいる!! 自信を持て、マリン!! お前は最高の船長だ、自信さえ持てば……お前を慕ってくれる人は、絶対出てくるよ!! 俺だって……マリンの船に、乗ってみたい!!」

 

 意識が朦朧とするが、足を踏ん張って耐える。二人が戦っているのに、俺だけ倒れていられるか。

 

『だけど、もし失敗しちゃったら……全部失っちゃうんだよ!?』

 

「全部無くなるわけないさ、大丈夫だ!! マリンは一人じゃない!! みんないる、俺もいる!! 下や後ろばかりじゃなくて、前を見てくれ船長!! 船が沈んじゃうぞ!!」

 

『船が……そうだ、船長がしっかりしないと……船は成り立たない!! マリンは……宝鐘海賊団の、船長なんだから!!』

 

 お宝が煌めきを取り戻した。マリンが力を取り戻したようだ。よかった、本当に……!!

 

『ぬぅぅぅ、邪魔だぁぁぁっ!!!』

 

「うぁぁぁぁっ!!」

 

「がぶっ、うごッ……!!」

 

 二人が俺のところまで吹っ飛ばされてきた。まずい、奴の光線が溜まっている。奴の胸の砲口が、白く輝いた。

 

「っ、避けないと……!!」

 

『消えろ!! 害獣共!!!』

 

『君たち~!! あいつを撃て!!』

 

 大砲の音がして……光線を撃とうとした神気取りに、砲弾が命中する。奴の光線は見当違いの方向へ飛んでいき、奴は大爆発に飲まれた。

 

 ──ボゴゴォォォォン!!!

 

『グギャアァァァァッ!!! な、なんだ……何が起きている!?』

 

「あれ……マリンの船だよ!!」

 

『みんなお待たせ!! ここからはマリン達のターンだよ!!』

 

 奴の体が縮んでゆく。そこに砲弾が容赦なく降り注いで、奴の体を焼き尽くした。そのダメージで、マリンが体から飛び出し……船の方に飛んで行った。

 

 ──ドバォォォォン!!!

 

『グワァァァァァ!!! み、認めん……認めんぞ、こんなところで諦められるか……!! あと少しだというのに!!』

 

「先に諦めろって言ったのは、お前の方だろうが……!!」

 

『黙れェェェェェッ!!!』

 

 こちらに全ての砲口が向く。俺達を道連れにするつもりか!? 避けようとしたが、体が動かない……!! みんなもう限界なのに……

 

「くそっ……!!」

 

『君たち!! みんなを助けてあげて!!』

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 頭に赤いバンダナを巻きつけ、赤と白のストライプの服を着た男の人達が、俺達の後ろから武器を持って現れて、奴に向かっていった。あれがマリンの一味か……!!

 

『な、なんだ貴様らは!? 近寄るな!! 死ねぇぇ!!』

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

「怯むな、行けぇ!!」

 

 俺達に何人か人が近づいてきて……薬箱を出してきた。薬を塗ってもらうと……傷がみるみる内に塞がっていく!!

 

「ありがとう、これで動けるよ!!」

 

「お気をつけて!!」

 

『おのれ、纏わりつくな!! 汚らわしいッ!!!』

 

 最後の力を振り絞って、全員が最大の技をぶつける態勢に入る。俺は重心を低くし、腕を広げて……足に力を込めた。ぺこらはその場で小さく跳ねて、大きく跳ねるための準備をしている。るしあは右腕を掲げて、大きな炎の塊を出した。

 

「死にさらせ!! 『苗床の残滓』ィ!!!」

 

「行くよ、俊也!!」

 

「わかった!!」

 

 二人で助走をつけて、一味の人達に群がられて身動きできない神気取りに、狙いを定めた。空中で前転して、右足を前に突き出し……踵落としの態勢。一方ぺこらは空中で右足を伸ばして、一次関数のグラフを出現させた。それが神気取りを挟み込んで、動きを止める。一足先に、るしあの苗床が命中した。

 

 ──轟ッ!!!

 

『ぐがぁぁぁっ!! おのれぇぇっ、あともう少しというところで……!!! 畜生ッ、碇俊也ァァァ!!!』

 

「ボルテック!!!」

 

「スマッシュゥゥゥッ!!!」

 

『ギャアァァァァァーッ!!!』

 

 ──ドギャアァァァァッ!!!

 

 俺の踵落としとぺこらの飛び蹴りが、それぞれ奴の頭と腹に、同時に命中した。奴の頭は大きく凹んで、体がくの字に曲がって飛んでいき……山に大きなクレーターを作った。奴の体が消滅していく……

 

『ぐぉっ、がっ……こんな、バカな……あと少し、だったのに……畜生ォォォ……!!』

 

「終わった、か……うっ、ぐ……」

 

「あ、マリン!!」

 

 マリンが、船から降りてきた。そして、こちらに頭を下げてきた。

 

「すみませんでした。三人にすごい迷惑かけちゃって、どうお詫びすればいいか……」

 

「いいんだよ、これくらい……友達だろ? それよりも、こっちこそごめん。言い過ぎたよ……」

 

「私もごめんね、一緒になって言っちゃって……」

 

「るしあも……ごめんなさい、マリン」

 

 マリンはそれを聞いて、涙ぐんでいる。

 

「まさか、それを言うためにここまで……?」

 

「あぁ、謝るべきだと思ったから!!」

 

「……ありがとう、みんな!!」

 

 そう言って笑うマリンにつられて、俺も笑いながら……目の前が光に包まれた。逃げ遅れた人の、困惑の声が聞こえてくる。

 

「な、なんだ……何の光だったんだ?」

 

「邪神が消えていく……マリン!!」

 

「あ……あはは、何から何まで……ありがとう」

 

 マリンが立ち上がったのを確認して……俺はそのまま膝をつき、ゆっくりと倒れ込んだ。

 

「俊也くん!! あぁ、るしあとぺこらも……!! 待ってて三人とも、今救急車来るからね!!」

 

 マリンの心配そうな声を聞きながら、俺は安心感と共に意識を失った。




マリンの邪神戦、決着。
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