ホロライブラバーズX ファンタジック・ピースメイカー 作:とも667
さあ行こう、夜明けに舵を向けて。
『我こそ神、願いの化身なり!! 真なる願いに立ち塞がる者は、尽く滅ぶべし!!!』
拳を握り、右腕を左腕より前に出す。利き足を肩幅分下げ、肩幅と同じ広さに足を開いて、構える。その場でステップして、戦闘態勢を整えた。それを見た奴は体中から、無数の兵器を出してきた。胸からはビーム砲、腹からは大砲……肩から機関銃も出てきている。それら全てが、こちらに砲口を向けた。
「すごい量の兵器……!! あれ全部撃ってくるつもり!?」
『船などなくても、私の力があればいくらでも撃てる!! 死ねぇ!!』
──ドババオォォォン!!!
「チッ、なんて火力してんだよ!!」
咄嗟にその場から飛び退くと、さっきまで俺達がいた場所が爆風に焼き尽くされ、銃弾で穴だらけにされた。喰らえば命がないのは、火を見るより明らかだ。そこに白い光線が追撃を入れに来る。
──ギュオォォォアァァッ!!!
『消えてなくなれ、背教者共が!!』
「お前の言う通りに、誰がなるか!! 竜巻旋風脚!!」
「消えるのはテメェだ、ゴミが!! 『苗床の残滓』!!」
俺が跳躍した姿勢のまま、右足を伸ばして左足を軸に回転しながら奴に突撃する。るしあがそれに合わせて、呪術を奴に投げつけた。
──轟ッ!!
──ドガァッ!!
『ぬぐっ……!!』
「セントルイススマッシュ、エアフォース!!」
──ズガァァッ!!
『ぎっ……少しはやるようだが、それでは私は倒せんな』
竜巻旋風脚の回転の勢いで、そのまま右足裏を全力でぶつけた。しかし、奴にはあまり効いていないようだ。これでは埒が明かない……やはり、宝物を見つけないとダメか。
「えっ、なんで!? 全然効いてない……!!」
『潤羽るしあ、知らないようだな。この者の願いがあれば、私は不死身かつ無敵の神だ』
「やっぱり、先にマリンを救わないと勝てないな……!!」
必要な物は、この世界にある『宝物』だ。どこにあるかはわからないが、必ずあるはず!! 探しに行きたいところだが……
「救うって、どうやって……!?」
「それは……ッ、危ねぇ!!」
──ドゴォォォン!!!
『残念だが、私も貴様の話を大人しく待ってやる程暇では無い。地獄でゆっくりやるがいい』
仕方ない、走りながら説明しよう。そう思って、奴から距離を取る。るしあが奴の足止めをするために、アンデッドを出したが……やはり、大砲一発で全員が消し飛んでしまった。奴が銃を掃射しながら、こちらを追ってくる。
「そんな、みんな一撃……!?」
「かなりパワーアップしてるな、早く止めないとまずいぞ……るしあ、マリンを救う方法はひとつだ。この世界のどこかにあるマリンの心の中枢……マリンの『宝物』を、あいつが見つけるより先に見つけ出して、思い出を甦らせることだ!!」
「でもあれ、どこにあるかわからないよね……」
「それはそうだが……マリンを助けるにはやるしかない!! 多分お宝がカギだ、探すぞ!!」
三人で分散して、お宝を探し始める。しかし奴はそうはさせないと言わんばかりに、大砲や銃で妨害してくる。
「ぺこらはこっち、俊也はそっちをお願い!!」
「るしあはこっちを……うわっ!?」
『探し出されて、また負けるのは御免だからな。私とて馬鹿では無い……探すのはあとだ、先に貴様らが死ね』
「どけ!! マンチェスタースマッシュッ!!」
──ガギャアァァ!!
跳躍して、空中で前転した後に右足を伸ばして……踵落としを、奴の脳天に叩き込む。そして更にもう一発!!るしあもそれに合わせて、アンデッドと一緒に奴に接近していく。
「邪魔なんだよ、クソ連合の親玉!! 喰らえ、『共撃の死霊』!!」
「サイクロン……ディザスター!!」
──ズガッガァッ!!
──ズドドドォォッ!!
『ぐっ……!!』
るしあがアンデッドと共に銃の掃射を躱して接近し、拳の二連撃を奴の腹部に叩き込んだ。それに合わせて、俺も更に前回転をかけて、前転する。その勢いのまま、足裏を三回奴の頭へと叩き込む。奴が一瞬怯んだ隙に、るしあに『宝物』を探しに向かわせた。
「よし、るしあは行ったな……ここは俺が相手になるぜ!!」
『おのれ、邪魔をするな!! これでも喰らえっ!!』
「ッ!? 火炎放射だと!?」
──バォォォォォォッ!!!
まずい!! こんなところで、そんなことをしたら……木々に火がついて、こちらに倒れてくる。山火事だ!!
──ズシャアァァン。
『これでは探すに探せまい、それどころか酸欠や焼死で死んでしまうかもな!! フハハハハハ!!』
「畜生……くっ!!」
──ドゴゴォォォン!!
『私はまだ動けるんだ、忘れるなよ?』
山火事のことを気にしながら、こいつの派手な攻撃を避けなければならないのか……だが、早くお宝を見つけなければ、こいつは更に手が付けられなくなるだろう。どうするか……
「……神気取り、こっちに来い!!」
『逃がすと思うか!?』
「走るのは得意なんだよ!!」
──ドバオォォォン!!!
俺のとった選択は……『二人を信じて、狙いを逸らすこと』だ、やはり奴は俺を追ってきている。そりゃそうだよな、俺は神気取りを一度は単独で撃破し、二度目は俺に話の続きを書かれたせいで敗北したのだから。
『貴様は何度も私を苦しめてくれたからな……貴様から潰すのが得策だ!!』
──ズダダダダダッ!!!
「ぐっ……そりゃ、賢明だな……!!」
『いつまで逃げられるかな!?』
銃弾が肩に突き刺さり、激痛が走る。マリンと二人のためにも、できる限り時間を稼がなくては……周囲を確認して、振り向く。
「そろそろ鬼ごっこは終わりにするか……!!」
『ついに諦めたか。死ね、背教者め!!』
「うぉっと……!!」
──ボガァァァァン!!!
撃ち込まれた大砲を上空に跳んで躱す……無論、それで反撃を許す相手ではない。肩の銃がこちらを捉える、このままなら俺は蜂の巣だろう。
『これで終わりだァ!!』
「竜巻旋風脚ッ!!」
──ズガッ!
『それがどうした、いくらでも撃てると言っただろう!?』
それはわかっている。左足軸で右回転をかけた竜巻旋風脚は、奴の胸板に命中したが……奴は意に介していない。そこから更に右回転をかけて、右足でもう一撃!!
「セントルイススマッシュ、エアフォース!!」
──バゴォッ!!
『その程度か!? これで消えてなくなれ!!』
「ッ……!!」
──ギュアァァァオォォォ!!!
奴の腹部を蹴りつけて、一気に離脱した。白い光線がこちらに迫ってくる……!! 避けきれず、脇腹が焼かれてしまった。多量の出血による虚脱感で、地面に落ちてしまう。
「がはっ、ぐっ……は!!」
『今楽にしてやる、さらばだ!!』
「……墓穴を掘ったな、神気取り!!」
神気取りは、何のことかわからないようだが……最初からこれが狙いだ!! 奴が火をつけた木々が、神気取りに向かって倒れてくる……!!
──ギッ、ギギィィ……
『死に際で幻覚でも見え始めたか? まぁいい、どうせお前が死ぬことは変わら……なにぃ!?』
「そんなに兵器を積んでちゃ、逃げられねぇだろ……!!」
『ぐわぁぁぁぁぁっ!!!』
──ズガガッシャアァァン!!!
案の定、奴は逃げきれず……燃える木々に四方八方から倒れ込まれてしまった。その場から急いで離れる……その後すぐ、大爆発が起きた。俺にトドメを刺すための砲弾に誘爆したのだろう。走っていたら、海岸まで降りてきてしまった……
──ドゴゴォォォン!!!
「……あいつも、流石にタダじゃ済まないだろ。はぁ、はぁ……」
「俊也!! 宝物、見つけてきたよ!!」
「俊也くん、大丈夫!? あっ、酷い怪我……!!」
この程度なら、まだ動ける。それよりも、お宝はどこだろうか。
「そんなことより、お宝だ……早く、マリンに呼びかけないと……」
「それより傷を塞ぐのが先!! ちょっと待ってね……『ぬくもりの火』!!」
「あったかい……あ、火傷が……!!」
痛みが楽になって、出血が止まった。こんな呪術もあるのか……
「るしあ、ありがとう。助かったよ……」
「これくらい全然。それより今は!!」
「わかってる、マリン!! これを見てくれ、お前が探してたお宝だぞ!! お宝はこの島にあったんだよ!!」
マリンに呼びかけるが……返事は返ってこない。
「マリン、お宝があったんだよ!? どうして何も言わないの!?」
「お前が目をつけた島は、当たりだったんだ!! 船長の才能は十分だろ!?」
『無駄だ……ゴフッ、この者はもう……そのお宝に興味が無い』
神気取りの声だ!! 降りてきてしまったか……!! しかし体がボロボロで、自己再生が追いついていない様子だ。
「大砲が壊れてる……俊也がやったの!?」
『よくもやってくれたな……しかし、私は不死身だ!! これで本当に手立てはなくなったな!!』
「くそっ……!! なんでなの、マリン!? 何が足りないの!?」
マリンに足りない物。必死に考える……煌めくお宝に価値を与えるのは、人だ。今のマリンは、自分を信じられていない……このお宝は、『今のマリン』にとってはガラクタ同然。もう一度興味を示してもらうには……!!
「……やるしかないか!! 二人とも、協力してくれ!!」
「何か考えついたの!?」
「あぁ、作戦はこうだ……!!」
無謀一歩手前の作戦。しかし、もうこれしか思いつかない。
「そ、そんな……!! 無茶だよ!!」
「無茶でもやるしかないんだ、頼む!!」
『何をコソコソと……!! 消し飛べ!!』
──ギュアァァオォォォッ!!!
「ッ……!! るしあ、頼む!!」
光線を躱した俺が叫ぶと、るしあが巨大な骸骨とアンデッドを呼び出し……アンデッドを繋げて、俺の両足を掴ませた。そのまま、俺は肺いっぱいに息を吸い込んで……海に向かって身を投げた。
──ゾボォォォォン!!!
「……死んだら許さないからね!!」
その声を最後に、俺は海の中へと潜っていった。時間稼ぎは二人に任せたが……今は、信じる他ない。必死に泳いで、底へと近づいていく。泳ぎは得意な方ではないので、我ながら遅い。
「……!?」
何か、丸いものが二つ落ちてきた……本能的に危険を察知して、その場から必死で離れる。次の瞬間、その物体は大爆発を起こした。
──ダバァァァァンッ!!
「っぶ……!!」
背中に衝撃が走って、貴重な空気が押し出される。これは爆雷だ……!! 近づけないからって、こんな物を投げてくるとは!!
──ゴボボッボォォン!!!
「っ……!!」
早く回収して戻らないとまずい……船が見えた、俺の予測が正しければ、あそこにあるはずだ。船に接近して、内部を見渡す……船長室はどこだろうか。爆雷は、未だ落ちてきている。
──ダバッシャアァァッ!!!
「ごぶっ……!!」
船が一部吹っ飛ばされて、巻き込まれた。くそ、もう息が持たない!! 早くしないと……ここだ!! 船長室のドアを開けて、中に入る……何かないか!?
「……!!」
きっとこれだ。瓶に入れられて、丸められた紙。大事そうに置かれている……!! それを掴んで、命綱代わりのアンデッドを引っ張った。急速に引き戻される……が、奴はそれを許すつもりはないらしい。爆雷が次々襲ってくる!!
──ダバァァァァン!!
「……ぼぁっ!!」
爆雷を食らって、ついに息が途切れる。次々爆発するそれは、俺の体を容赦なく削っていく……瓶が割れて、紙が外に出てしまった、その時。
『うぐぅぅっ!!』
「……!?」
やはりか。これが、心の中枢なんだ……だが、バレてしまったからには……!! 水面近くで、ついに命綱が切れてしまい、大量の爆雷に取り囲まれた。避けられない……マリンの心を、体を丸めて護る。
──ダダダダバァァァァン!!!
「ごぁっ、あ……」
「あ……あぁぁぁ!! 俊也くんッ!!!」
『ハッ、終わったな。あっけない死に様だ』
マリンの心を抱え込んだまま、地面に叩きつけられる。完全にやられた、体が動かない……奴は大砲を捨てている、あそこから投げていたのか。二人ともボロボロだ……体中から血を流している。
「くそっ……くっそぉぉぉ!!」
『うるさいぞ、害獣め』
「ごぉっ!? がっ……」
蹴り飛ばされて、ぺこらが転がってきた。このまま、みんな終わるのか? そんなわけにはいかない、みんな巻き込んで死ねるかよ。持ってきた紙を見る……そうか、そういうことか。血がとめどなく溢れる体を、無理やり起こした。
『まだ立つか、やはりしつこいな。しかし、その体ではもう蹴ることも殴ることもできまい?』
「ッ……マリンッ!! 見ろぉぉ!!!」
『……なんだそれは? 子供の落書きか?』
違う。落書きなんかじゃ、断じてない!! これは……
「宝の、地図だよ……!! 見て、わかんねぇのか!?」
「宝の……?」
『地図だとォ? それがか?』
奴はそれを聞いて、大笑いし始めた。
『フハハハハハハ!!! 何を言うかと思えば、死に際でトチ狂ったかァ!? ハッハッハッハ、片腹痛いわ……!! そんなガキの落書きに、何の価値がある!?』
「あるに、決まってんだろ……マリン!! これを書いた日の、ことを……思い出して、くれ……!!」
『これを書いた日の……こと?』
確かに拙い字だし、本当にこの場所にお宝があるとは思わない。しかし、間違いなくこれは宝の地図だ……『そうだった』はずだ!!!
「これは、マリンにとって……なんだ!? ただの紙切れなのか!? 本当に、何の価値もないもの、なのか!? うぐっ、ごぉっは……!!」
──ビチチィィ……
血反吐を吐いて、綺麗な砂浜に鮮血が散る。しかし……まだ、言いたいことを言い切っていない。何より面と向かって、謝れていない!!
『何の価値もないに決まっているだろう!!』
『違う。それは……マリンにとって大切な、宝の地図だよ。あの日、宝探しゲームをやった時の……』
「そういえば、聞いたことあるよ。その時入れた宝箱が赤と金色の、おもちゃの宝箱で……そこに、おもちゃのお宝が入ってたって」
そうか。だからマリンは海賊になって、こんなお宝をもっと見つけたいって……素敵な夢じゃないか。
『ッ……もう喋るな!! さっさと死ね!!』
──バキィィン!!
「させないっ!!」
「ここから先は……死んでも、通さねぇ!!」
二人が、俺の前に立ち塞がってくれた。心の中で感謝しながら、取り込まれたマリンに向かって叫び続ける。
「マリン!! 何のためにここまで来た……あそこまで、強くなった!? 平凡に暮らすのも、いいと思うよ……!! けど、それだったら!! あんなに強くなる必要は、ないだろ!!」
『マリンが強くなったのは……船長として、一味のみんなを守るため、だけど……こんなマリンなんかに、着いてきてくれる人なんかいないよ……』
「絶対にいる!! 自信を持て、マリン!! お前は最高の船長だ、自信さえ持てば……お前を慕ってくれる人は、絶対出てくるよ!! 俺だって……マリンの船に、乗ってみたい!!」
意識が朦朧とするが、足を踏ん張って耐える。二人が戦っているのに、俺だけ倒れていられるか。
『だけど、もし失敗しちゃったら……全部失っちゃうんだよ!?』
「全部無くなるわけないさ、大丈夫だ!! マリンは一人じゃない!! みんないる、俺もいる!! 下や後ろばかりじゃなくて、前を見てくれ船長!! 船が沈んじゃうぞ!!」
『船が……そうだ、船長がしっかりしないと……船は成り立たない!! マリンは……宝鐘海賊団の、船長なんだから!!』
お宝が煌めきを取り戻した。マリンが力を取り戻したようだ。よかった、本当に……!!
『ぬぅぅぅ、邪魔だぁぁぁっ!!!』
「うぁぁぁぁっ!!」
「がぶっ、うごッ……!!」
二人が俺のところまで吹っ飛ばされてきた。まずい、奴の光線が溜まっている。奴の胸の砲口が、白く輝いた。
「っ、避けないと……!!」
『消えろ!! 害獣共!!!』
『君たち~!! あいつを撃て!!』
大砲の音がして……光線を撃とうとした神気取りに、砲弾が命中する。奴の光線は見当違いの方向へ飛んでいき、奴は大爆発に飲まれた。
──ボゴゴォォォォン!!!
『グギャアァァァァッ!!! な、なんだ……何が起きている!?』
「あれ……マリンの船だよ!!」
『みんなお待たせ!! ここからはマリン達のターンだよ!!』
奴の体が縮んでゆく。そこに砲弾が容赦なく降り注いで、奴の体を焼き尽くした。そのダメージで、マリンが体から飛び出し……船の方に飛んで行った。
──ドバォォォォン!!!
『グワァァァァァ!!! み、認めん……認めんぞ、こんなところで諦められるか……!! あと少しだというのに!!』
「先に諦めろって言ったのは、お前の方だろうが……!!」
『黙れェェェェェッ!!!』
こちらに全ての砲口が向く。俺達を道連れにするつもりか!? 避けようとしたが、体が動かない……!! みんなもう限界なのに……
「くそっ……!!」
『君たち!! みんなを助けてあげて!!』
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
頭に赤いバンダナを巻きつけ、赤と白のストライプの服を着た男の人達が、俺達の後ろから武器を持って現れて、奴に向かっていった。あれがマリンの一味か……!!
『な、なんだ貴様らは!? 近寄るな!! 死ねぇぇ!!』
「ぐぁぁぁっ!!」
「怯むな、行けぇ!!」
俺達に何人か人が近づいてきて……薬箱を出してきた。薬を塗ってもらうと……傷がみるみる内に塞がっていく!!
「ありがとう、これで動けるよ!!」
「お気をつけて!!」
『おのれ、纏わりつくな!! 汚らわしいッ!!!』
最後の力を振り絞って、全員が最大の技をぶつける態勢に入る。俺は重心を低くし、腕を広げて……足に力を込めた。ぺこらはその場で小さく跳ねて、大きく跳ねるための準備をしている。るしあは右腕を掲げて、大きな炎の塊を出した。
「死にさらせ!! 『苗床の残滓』ィ!!!」
「行くよ、俊也!!」
「わかった!!」
二人で助走をつけて、一味の人達に群がられて身動きできない神気取りに、狙いを定めた。空中で前転して、右足を前に突き出し……踵落としの態勢。一方ぺこらは空中で右足を伸ばして、一次関数のグラフを出現させた。それが神気取りを挟み込んで、動きを止める。一足先に、るしあの苗床が命中した。
──轟ッ!!!
『ぐがぁぁぁっ!! おのれぇぇっ、あともう少しというところで……!!! 畜生ッ、碇俊也ァァァ!!!』
「ボルテック!!!」
「スマッシュゥゥゥッ!!!」
『ギャアァァァァァーッ!!!』
──ドギャアァァァァッ!!!
俺の踵落としとぺこらの飛び蹴りが、それぞれ奴の頭と腹に、同時に命中した。奴の頭は大きく凹んで、体がくの字に曲がって飛んでいき……山に大きなクレーターを作った。奴の体が消滅していく……
『ぐぉっ、がっ……こんな、バカな……あと少し、だったのに……畜生ォォォ……!!』
「終わった、か……うっ、ぐ……」
「あ、マリン!!」
マリンが、船から降りてきた。そして、こちらに頭を下げてきた。
「すみませんでした。三人にすごい迷惑かけちゃって、どうお詫びすればいいか……」
「いいんだよ、これくらい……友達だろ? それよりも、こっちこそごめん。言い過ぎたよ……」
「私もごめんね、一緒になって言っちゃって……」
「るしあも……ごめんなさい、マリン」
マリンはそれを聞いて、涙ぐんでいる。
「まさか、それを言うためにここまで……?」
「あぁ、謝るべきだと思ったから!!」
「……ありがとう、みんな!!」
そう言って笑うマリンにつられて、俺も笑いながら……目の前が光に包まれた。逃げ遅れた人の、困惑の声が聞こえてくる。
「な、なんだ……何の光だったんだ?」
「邪神が消えていく……マリン!!」
「あ……あはは、何から何まで……ありがとう」
マリンが立ち上がったのを確認して……俺はそのまま膝をつき、ゆっくりと倒れ込んだ。
「俊也くん!! あぁ、るしあとぺこらも……!! 待ってて三人とも、今救急車来るからね!!」
マリンの心配そうな声を聞きながら、俺は安心感と共に意識を失った。
マリンの邪神戦、決着。