ホロライブラバーズX ファンタジック・ピースメイカー 作:とも667
ついに奴が登場します。
次の朝。先に目を覚ましたのは、俊也だった。外を見てみると、外は雲一つない快晴。隣で寝ている裸のマリンと、脱ぎ捨てられたお互いの服。そして何より、精液や愛液で汚れたベッド。現実を認識して、俊也が苦笑する。
「派手にやっちまったな……ラブホでよかったな」
俊也は結果オーライだと思いつつ、マリンを揺する。時計はもう正午を指していた。
「んぅ……俊也、くん……」
「マリン、もう昼だぞ。起きようぜ」
「あ、おはよう……ございます」
起こされたマリンは眠い目を擦りながら起き上がり、大きく伸びをする。
「おはようマリン、よく眠れたか?」
「はい、お陰様で……ありがとう、すっごく良かった」
「そりゃあ何よりだ。さて、とりあえずチェックアウトするか」
お互いに服を着直して、マリンと一緒に俊也は受付でチェックアウトした。
「ありがとうございました」
「さて、今日は洗濯がいらないからな。どうする?」
「もう少し一緒にいたい……いいかな?」
俊也はそれに頷いて、またしばらくデートした。一日楽しんだ後、家に帰ってベッドに入る。
「マリンとのデート、楽しかった……またしたいな」
俊也はマリンとのデートの心地よい疲れで、その日はよく眠れた。そして次の日、学校にて。学校に行った俊也は、いつもとは違うみんなの様子に困惑していた。
「……ん? なんだろう、みんなザワザワしてるけど」
「あ、俊也くん!! 早く来て、今日は課外学習の日だよ!!」
「えっ、課外学習? 今日だっけか……どこ行くんだ?」
すっかり忘れていた俊也は、自分のところに走ってきたるしあに尋ねる。
「遠くの高影山。そこで山登りして、頂上で一日キャンプするってさ」
「山登りか、楽しそうだな。いいトレーニングになりそうだ」
「るしあも俊也くんと同じグループなら、楽しいかも。他のクラスの人達も来るらしいよ」
他のクラスの人達。そう聞いて、俊也が真っ先に思い浮かべたのは、あの二人だった。
「ということは、ノエルとフレアも来るってことだな」
「うん、他のクラスが来るなら来ると思うよ」
「わかってたら、おやつ持って来たんだがなぁ……300円までで」
俊也がそう言って、それを聞いたるしあが笑う。
「あはは、るしあは持ってきてるから分けてあげるね」
「マジ!? ありがとうるしあ、大好き!!」
「えへへへ……って、ヤバい!! そろそろ行かないと、遅刻しちゃう!!」
俊也と一緒に教室に走り込んで、椅子に座って安堵の息をつく。そこにアキロゼが入ってきて、全員に言う。
「はい、みんなー!! 準備はいいかな? 皆さんお待ちかね、山の課外学習でーす!!」
「「……」」
「……あれ、もしかして期待してない子の方が多いの? そ、それはともかく!! こうなったからには、楽しんでいきましょう!!」
山登りなど、好き好んでやる人はあまりいない。少なくとも、ポピュラーな趣味ではないだろう。まぁ、俊也と三人は期待しているのだが。
「それじゃ皆さん、四人組を作ってください!! 幾つかのチームに分かれて行動してもらいます!!」
「丁度四人か……マリン、るしあ、ぺこら!! 俺と組むか?」
「「「もちろん!!!」」」
三人が同時に、元気な返事を返す。俊也は、集まったみんなを見て言った。
「とりあえず、俺が先頭で行く。山は何があるかわからんからな」
「うん、それがいいと思う」
「船長もそれでいいですよ」
全員の意見が揃う。リーダーが決まったところで各自席に戻る。
「皆さん集まりましたねー? それじゃあ、外のバスに乗り込んでください!!」
「誰が俺の隣に来る? ここで決めとこう」
「最初はグー、ジャンケンポン!!」
そう言った瞬間、ジャンケンをし始める三人の行動の早さに、俊也は苦笑している。勝ったのは……ぺこらであった。
「きtらあああああ!!! ぺこらが隣ぺこー!!」
「あー、負けたー!! ってわけでマリンは、るしあの隣に座ります!!」
「他の人よりはマリンがいいね、よろしくマリン」
そう言ってるしあは、マリンの隣で一緒に座ることになった。バスに乗り込んで、ジャンケンの通りに座る。
「それでは、出発します」
「普通の弁当持ってきちまったけど、山の上で食べるんなら、もっと豪華にして来るべきだったな」
「普通でいいよ、いつもので最高に美味しいし!!」
ぺこらがそう言うので、俊也は少し嬉しくなる。
「そうか? ありがとう、そう言って貰えると作ってる甲斐があるよ」
「山の上で絶景見ながら、四人でお弁当……いつもの倍美味しそう!!」
「だな。頂上に行ったら、ノエルとフレアにも会えるかなぁ」
そう言って、友達のことを想う俊也。しばらくお喋りしていると到着した。バスの扉が開いて、そこから全員降りる。
「はい、皆さん注目ー!! 皆さんはこのAルートから、山を登ってもらいまーす!! 他のクラスの人達は、別のルートから上がってきますので、頂上目指して頑張ってください!! それでは皆さん……行ってらっしゃい!!」
そう言ってアキロゼは、別ルートの方に走っていく。
「……あっちの方が難しいとかあるのか?」
「アキロゼ先生、筋トレ大好きだからなぁ……」
「とりあえず登ろう、幸いそこまで高くなさそうだし」
俊也はみんなにそう言って、山登りを始めた。しかし山の中は、思った以上に過酷である。虫も沢山いるし、無論傾斜もキツい。
「はぁ、はぁ……ここ、傾斜キツくない?」
「あーもう疲れた、休憩しよ!!」
「まだまだ先は長いぞ、マリン?」
俊也はそう言うが、マリンはもう疲れ切っている。
「だって、もう歩けませんよー」
「しょうがないな。おやつ食べるなら、俺にもくれ」
「はい、どうぞ!!」
俊也はるしあからチョコビスケットを受け取り、食べ進める。そんな感じで休憩しながら、四人は山を登ってゆく……
「あぁぁぁー、もう疲れたぁ!! 虫に刺されたぁぁ!! もうやだぁぁぁ!!!」
「マリン、おやつもうないぺこよ!! 頑張って!!」
「山登りってすっごく、過酷だね……俊也くんは?」
獣人であるぺこらは余力がまだありそうだが、あまり体が強くないるしあと、ただの人間であるマリンはもうヘトヘトだった。そんな中、ただの人間の俊也は……
「あともうちょっとだ、みんな頑張ろうぜ!!」
「流石、とんでもないスタミナ……」
「俊也くん、おんぶしてー」
『シュートスタイル』の効果もあり、いくら走っても俊也は微塵も疲れていなかった。るしあをおんぶしても、そのスタミナは変わらない。
「あ、もう頂上……!!」
「ラストスパートだマリン、頑張れ!!」
「るしあも最後は走る!!」
俊也はるしあを降ろして、全員で頂上に走る。そして俊也は飛び上がり、叫んだ。
「やっと、頂上だぁぁぁ!!!」
「やったぁぁぁぁ!!!」
「まだあんまり人いないね、結構早く着いたみたい」
足の早い俊也が先導したからなのか、かなり早く到着した四人は、頂上から景色を見る。
「わぁぁぁ……綺麗!!」
「これが頂上の景色……空気もすごく美味しい!!」
「やっほーっ!!!」
俊也は景色を粗方見終わり、山に向かって叫んでいた。山彦が帰ってきて、俊也は愉快そうにしている。
「みんなもどうだ、楽しいぞ?」
「ぺこらもやる!! やっほー!!」
「るしあも!! やっほー!!」
次々帰ってくる山彦に、全員で笑う。そんな中マリンが、違う言葉を叫んだ。
「俊也くん愛してるーっ!!!」
「えぇっ!?」
「あ、ズルい!! 俊也愛してるーっ!!!」
いきなり自分への愛の言葉を叫ばれて、それの山彦が帰ってくる。俊也は気恥ずかしくなって、三人を止めに入った。
「ちょっと三人とも、張り合わないで……」
「この世で一番愛してるよーっ!!!」
「牛丼食べたーーいっ!!!」
愛の言葉合戦は、一人の女性の大声にかき消された。その女性は他でもない、噂をされていた白銀ノエルだ。
「願望言ってどうするのさ……やっほー!!」
「ノ、ノエル……助かったよ、あのままだと恥ずかしくて死んでたかも」
「それは何より!! まぁ、団長は聖騎士ですからね!! 声の大きさだって負けません!!」
えっへんと胸を張るノエル。額にたくさんの汗をかいており、山を必死に登ってきたことが見てわかる。
「皆さん、到着しましたねー? じゃあ、お待ちかねのお弁当ターイム!!!」
「わーいっ!!」
「ほら俊也くん、お弁当出して!!」
俊也は全員分の弁当を出して、渡していく。マリンが出したビニールシートに座り、みんなで食べ始めた。
「いただきまーす!!」
「んー、いつもの10倍は美味しい!!!」
「そりゃよかった、俺も食べよう……」
俊也はいつも通りお弁当箱を開いて、食べ始めた。食べながら辺りを見回していると、ノエルとフレアが孤立していることに気づく。
「どうしたんだろう、あの二人」
「あの二人、なんで二人だけなんだ? あと二人は?」
「やめとけって。あの人達の立場を知らねぇのか?」
そう聞こえてきて、俊也はそれに耳を傾ける。
「聖騎士団の団長とその補佐、だっけか?」
「そうだよ、立場が違いすぎる。白銀家って言ったら、有名な資産家だし……俺達とは格が違うよ」
「そうか、じゃあダメだな……」
偉い人であるということを理由に、二人は二人だけになってしまっているようだ。俊也はそれを放っておけなかった。
「おーい、ノエルにフレア!! 二人も、良かったら一緒に食べないか!? こっち来いよ!!」
「本当!? ありがとう、ノエルも行こう?」
「……うん、行こう行こう!!」
フレアは露骨に喜びながら来たが、ノエルは少し悩むような様子を見せたあと、すぐ笑顔になって俊也達の元に来た。
「やっぱり優しいね、俊也くん!!」
「いやぁ、それ程でも……」
「おいあいつ、あの二人を誘ったぞ? 度胸あるなぁ」
「やめとけって、碇俊也だって化け物事件を三回も解決した、英雄様だぞ? バトロワでも優勝してるし……」
俊也も特別視されるようになってしまい、少し二人はばつが悪い。
「ごめんね、私達のせいで……帰ろっか?」
「いや、いいよ。言わせとけばいいさ、俺にはみんながいればいい」
「俊也くん……ありがとう、やっぱり優しいね」
フレアはそう言ってシートに座って、ノエルもそれに続いて座る。そして、お弁当を食べ始めた。食べながらフレアが、ため息をつく。
「はぁ、それにしても……そんなことないんだけどな。もっと気軽に話しかけて欲しいけど」
「偉い人もラクじゃないんだね……」
「もちろん、良いこともあるけどね。そうじゃなきゃ、フレアには会えてないし。ね、フレア?」
ノエルがそう言って、フレアを見た。それに対して、フレアは一拍置いて答えた。
「……ん、あぁ。そうだね、ノエルに会えたのはいいことかな」
「あ、そういえば。団長さぁ、なんか山登りしてる時に跡をつけられてる感覚があったんだよ」
「つけられてる? 先生じゃないの?」
ノエルとフレアが、首を横に振る。
「気配がそんな感じじゃなかった。詳しくは分からないけど、いい人では少なくともないね」
「……誰かがこの山に侵入してるのか?」
「多分ね。もしかしたら、邪神連合関連かもしれない。仕掛けてこないとは思うけど、君たちも警戒しておいて」
俊也は少し考えて、ノエルとフレアに一つの可能性を提示した。
「もしかして、邪神本人じゃないのか? 神様って名乗るくらいだし……本体にも、何かしら能力があるのかもしれない。事実、マリンの時はヌルヌルした何かで鍵をピッキングしてたらしいしな」
「有り得ない話じゃないけど、ここで戦うのはあっちにとって悪手。私は森の中に家があるし、子供の頃から得意だからね」
「大丈夫、飛んで火に入る夏の虫だよ!! 団長とフレアに任せんしゃい!!」
二人がそう言いながら、ご飯を食べ終わって立ち上がる。二人は改めて、誘ってくれた俊也に感謝を述べた。
「ありがとう俊也くん、おかげで美味しく食べられたよ」
「いやいや、こっちこそ。有意義な情報も聞けたしな、ありがとう」
「お礼なんていいよ、それじゃ……むっ」
二人が、顔を顰めた。それと同時に、俊也達も殺気を察知する。
「どこにいる……!?」
「……消えた? と思ったら、こっちから!?」
「どうやら、誘ってるみたいだね。上等だよ」
フレアとノエルがみんなを混乱させないように、物陰に隠れながら武器を取る。
「待った、先生も居るんだ。一応言ってから行った方がいいんじゃ……」
「大丈夫だよ。すぐに捕まえて戻ってくる、ヤバそうなら撤退するからさ」
「30分経っても戻らなかったら、追いかけてきて」
そう言って、ノエルとフレアは殺気の方へ走っていく。俊也はそれでも、二人が心配だった。
「……無事で帰ってきてくれよ」
二人が森の中を駆け抜けて、殺気へと接近していく。殺気は未だ、二人に対して放たれ続けている……
「この辺だね」
「うん。もう逃げ場はないよ、出てきな」
「……死ねぇぇ!!!」
──ズガァァァン!!
「白い触手? 地面が粉々になってる、すごい威力……」
「当たらんか……くそっ、不意を打ったはずが……!!」
「その妙な触手が、ひいふうみい……10本はあるね」
目の前に降り立った秋月はかなり焦っていた。これで突き刺して、器にしてやろうと思っていたのに……そのプランは、一瞬で瓦解してしまったから。しかし、もう退路がない秋月は戦うしかない。舐められないために、必死に虚勢を張る。
「避けたからって調子に乗るなよ!! 貴様らはここで、俺に殺されるんだ!! 新世界の神となる俺になぁ!!!」
「でも、強いだけじゃ団長達には勝てないよ」
「アンタを捕まえれば、この辺りは平和になる。ここでお縄についてもらうよ」
ノエルがメイスを両手で握りしめて、先端を秋月に向けた。フレアも蒼い魔法の双剣を出現させて、しっかり握って秋月に向かって一歩踏み出す。秋月は歯軋りしながら、全ての触手を攻撃態勢にする。
「黙れ!! この場で全員、死に晒せぇぇぇぇ!!!」
──ズダダダダダダッ!!!
「おっと、流石に当たったらまずいね……だけど、それだけじゃダメだよ!!」
「喰らえ、『太陽の光の槍』!!」
──ビュヂヂヂヂィィ!!!
まずは挨拶代わりと言わんばかりに、フレアが光の槍を作り出して、秋月に投げつけた。秋月はそれを、触手一本で叩き落とす。地面に炸裂した槍が、光となって弾け飛んだ。
──ヂュバァァァ!!!
「そんなものが効くかぁ!!」
「ただ振り回してるだけじゃ、当たらないよっ!!」
「ぐっ、俺の触手が……!!」
──ズギャギャギャギャンッ!!!
打ち込もうとした触手が、尽くノエルに弾かれる。そこにフレアが、容赦なく追撃を加えていく。
「そこだ、『雷の矢』!!」
──バヂヂヂィィッ!!!
「ぐがっ!! こん、畜生ッ!!!」
「フレアは狙わせない、よっ!!!」
──ズゴォォォン!!!
フレアに襲いかかろうとする触手に、ノエルがメイスを叩きつけた。そのまま、メイスに光の力を込める。
「ぐうぅぅぅ、離せぇぇ!!!」
「ぶっ飛べ、『神の怒り』!!」
「ギャアァァァァッ!!!」
──ブチブチブチィィッ!!!
メイスから暴力的な光が溢れて、触手が千切れて白い血が溢れ出す。秋月にとっては、腕を三本千切られたのと同等だ。無論、痛みも相当のものである。
「三本も千切ったんだし、もう諦めたらどう? アンタに勝ち目ないよ」
「ふざ、けるな……俺は諦めないぞ、俺はまだ終わっていない!! 死ぬわけにはいかないんだぁぁぁ!!!」
「聞く耳持たず、か。それなら、しょうがないから……覚悟しなよ?」
ノエルとフレアが冷徹な目を秋月に向ける。しかし、秋月はそれでも吠えた。
「俺は神だ、貴様らのような下等生物に負けるわけが……ぐぁぁぁぁぁ!?」
──ズジャアァァ!!!
「いい加減うるさい。黙ってな」
「貴様こそ、黙っていろ!!!」
ノエルに吹き飛ばされて、フレアに切り裂かれて……触手の数は五本まで減っていた。それでも秋月は必死に抵抗を続けている。フレアは触手を双剣や体捌きでいなしながら、秋月に裂傷を刻んでいく。隙を見てフレアが、独楽のように高速回転しながら秋月を切り裂いた。
「『
──ズジャジャジャジャアァッ!!!
「ぐぅあぁぁぁぁ!!! こ、この……クソッタレがぁぁぁっ!!!」
「これで終わりだよ、じゃあね」
そう言って、フレアが跳躍して秋月から距離を取る。激昂している秋月は、フレアから視線を離さない。しかしそれが命取りだ。ノエルはもう、必殺の準備をしていたのだから。頭の上で輝くメイスを回して、秋月に投げつける。
「砕け、『白亜の鉄槌』!!!」
「なっ……ごふっ、ガァァァァァァッ!!!」
──ズガァァァッ!!!
──ドゴゴゴゴォォォォン!!!
「流石に終わったかな……? まともに喰らってたし」
白亜の鉄槌は秋月に命中し、木々や岩を粉々にしながら進んでいき……岩壁を凹ませて、漸く止まった。フレアがそう言って、秋月の様子を確認する。触手が伸びてくる様子はない。しかし、まだ警戒を弛めるわけにはいかないので、二人が秋月に近づいていく。フレアは拘束の魔法の準備をしていた。
「終わりだよ、自称神様。ここで捕まってもらう」
「……」
「諦めたみたいだね。それじゃ、拘束魔法を……」
フレアが魔法を、秋月に向けたその時。秋月の口角が、勝利の愉悦に歪んだ。それを見たノエルが、フレアを庇う。
「フレア、危なっ……」
「喰らえぇっ!!!」
──ズジュッ。
「が、ふっ……!?」
秋月の伸ばした触手は、先端が槍のように尖っていた。それを突き刺されて、ノエルが倒れ込む。フレアはそれに対して、怒りを露わにした。
「お前ぇぇぇぇ……!!!」
「残念だったな、私の勝ちだ。言ったはずだぞ、私は神だと!!!」
「まだ私が残って……っ!? どうして触手が生えて……いや、それだけじゃない!! 傷が全部癒えている!?」
フレアの驚愕する姿を見て、秋月が愉快そうに笑う。
「冥土の土産に教えておいてやる。私の触手からは、回復薬が無限に分泌されるんだ。これを塗り付ければ、どんな傷もたちまち治る……攻撃しなかったんじゃなく、私は回復をしていたのさ」
「くそっ、そんなのアリかよ……だぁぁぁっ!!」
「フン、やはり一人では弱いな。貴様も所詮は……下等生物だ!!!」
──ズガガガガァァッ!!!
フレアの上から、触手の雨が降り注ぐ。それを避けたフレアだが、土煙で秋月が見えなくなる。しかし、目の前にいることは知っているので、光の槍を構えた。触手が飛んできた場所を見て、槍を投げつける。
──ヂヂヂヂィィッ!!!
「喰らえ、『太陽の光の槍』!!!」
──ヂュバァァァァッ!!!
命中した音がして、フレアが安堵の笑みを浮かべる。コレで少しは怯むはず、次の攻撃を……そう思っていた時。
──ズジュッ。
「……えっ?」
「私の頭の出来を見誤ったな、やはり下等生物か」
「がっ、はっ……」
触手が体に突き刺さり、フレアの目の前が歪む。目の前に出てきたのは、
「触手など幾らでも生やせる……何をしようと、勝てばいいんだ!! 勝ったものこそ神に相応しい!!」
狂気を込めた口調で、そう叫ぶ秋月。何かしようとしたが、フレアはもう腕が動かなかった。
「安心しろ。貴様らの心はたっぷり利用してやる……私の『勝利』のためにな!! ハッハッハッハッハッハ!!!」
フレアとノエルは、秋月の高笑いを聴きながら……せめて彼らだけは助かるように祈りながら、意識を飛ばした。
「碇俊也、覚悟しろ……この山を貴様らの墓場にしてやる!!!」
ノエフレ、やられてしまいました。