ホロライブラバーズX ファンタジック・ピースメイカー 作:とも667
ついに決着の時が来ました。
るしあが連合員達を焼却した頃、俊也達はるしあを探していた。道中には敵や罠があったが、それらを全て破壊して進んでいく。
「竜巻旋風脚ッ!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
「そぉぉりゃあ!!」
──バギャアァァァッ!!!
ノエルのかけ声と共に、床に仕込まれていた罠が破壊される。一度体験した以上、もう当たることはない。
「るしあー、どこだ?」
「あっ、俊也くん!! やっと見つけた!!」
「るしあ!! 大丈夫だったか!?」
るしあはさっきの冷酷な様子が嘘のように笑顔になり、俊也に駆け寄る。
「心配したぞ、ごめんな……俺を庇ったばっかりに」
「そんなのいいよ、初見じゃ避けられないし……それにほら、るしあ無傷だよ!!」
「とにかく無事でよかった、てっきり大ピンチだとばかり……」
マリンがそう言って、安心を顕にする。もっとも、普通なら大ピンチの状況ではあったのだが……そんなことは露知らず、その場の全員が再開を喜んでいた。そこでフレアが、全員に声をかける。
「さて。罠が多くなってきてるし、多分秋月は目と鼻の先だよ。みんな、あとちょっと頑張ろう」
「もちろん!!」
「おう!!」
再び六人に戻った俊也達は、更に歩を進める。無数の罠や連合員を薙ぎ倒して、秋月に迫ってゆく。
「『太陽の光の槍』!!」
──ヂュヂヂィィィッ!!
「ぎゃあぁぁぁぁ!!」
「死ね、『混沌の火の球』!!!」
──ゴバォォォォッ!!
雷の槍に貫かれた連合員が、後ろの者まで串刺しにしながら飛んでいく。るしあが投げた火の球が連合員を焼き尽くして、溶岩溜まりを作っている。それを見ていた俊也は、何故か寒気のような物を覚えていた。俊也自身も、何故そうなっているのかわからない。
「っ……」
「俊也、どうしたの!? どこか痛む!?」
「いや、そうじゃない。大丈夫だ……心配するな」
しかし俊也は、それを無視して集中し直す。ここは決戦の場、少し体調不良になったからといって、休んではいられない。
「それならいいんだけど……」
「隙ありィィィッ!!!」
「ッ、触手……秋月か!!」
──ジュシュシュシュッ!!!
秋月がその隙をついて、触手を全て伸ばしてきた。しかし俊也は、それを間一髪躱す。狙いを外した触手が、地面に突き刺さる。それはすぐに地面から抜けて、俊也達を刺そうとしてくる。
「死ね!! 死ね!! 死ねぇぇぇぇ!!!」
「死ぬのはお前の方だ!! 『チェーンアンカー』!!」
──ジャララララッ!!!
「なっ、貴様……は、離せ!! くそっ!!!」
飛んできた触手達に鎖が飛んでいき、触手を簀巻きにする。秋月は触手を抜こうとしているが、抜けていない。
「今だよ、みんな!!」
「ナイスだ、マリン!! 覚悟しろ、秋月ィ!!!」
「死ね、『苗床の残滓』!!!」
「『雷の矢』!!!」
──ゴバォォォウッ!!!
──バヂュヂヂィィィッ!!!
俊也とノエルが秋月に向かって駆け出すと同時に、フレアとるしあがそれぞれ炎と雷を放つ。感情に任せ、触手を全て攻撃に回してしまった秋月には防御手段がなかった。その二つをモロに食らって、大ダメージを受ける。
「ガァァァァァッ!!! ぐ、がっ……おのれぇぇぇッ!!!」
「あ、しまった……触手が!! 俊也くん!!」
「大丈夫、団長に任せて!! 『岩呼び』!!!」
──ズドォォォォォン!!!
ノエルがメイスを振り回して、メイスに岩を纏わせた。重たい岩の塊と化したメイスを、戻ろうとする触手に叩きつける。
「ぐぎゃあぁぁぁぁ!!!」
「ありがとう、ノエル!!」
「やられてたまるかぁぁぁ!!!」
それでもなお諦めない秋月は、天井から銃を出した。銃弾を撃ち込んで、この場を凌ぐつもりなのだ。しかし、俊也には何の意味もない。
「焦りすぎだろ、秋月!! クルーエルディザスター!!!」
──ズドォォォッ!!!
「ぐはぁぁぁっ!!!」
「まだだ、サイクロンディザスター!!!」
──ズガガガァァァッ!!!
俊也はその場で回転してそれを躱し、右回し蹴りを秋月に撃ち込んだ。そこから更に縦回転して、空中から三発蹴りを浴びせる。
「グォッ、ガッ、ぎぃぃっ……!!!」
「ブレイズキック!!!」
──ズゴォォォッ!!!
「ごぶ、うぅっ……くっそぉぉぉぉ!!!」
地面に仰向けになった秋月に、俊也が炎を纏った飛び蹴りを放つ。それは秋月の腹に命中して、血を吐かせた。このままでは死ぬ。そう思った秋月は触手を手すりに絡めて、引きずられるように逃げてゆく。
「あ、また逃げる!!」
「深追いしなくていいよ、どうせもうすぐ追いつける」
「そうだな、早く行こう」
罠も連合員も少なくなってきたのを、俊也達は実感していた。そして、もうすぐ追いかけっこが終点であることも。
「竜巻旋風脚ッ!!!」
「『拡散バズーカ』、発射!!」
──ドゴォォォォン!!!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
最早ただの障害物と化した連合員達が、次々に蹂躙されて倒れてゆく。そして、長い道の行き止まりの部屋……休憩室と書かれた場所のドアを俊也が蹴破る。
──ガゴォォォン!!
「追い詰めたぞ、秋月!!!」
「貴様ら、ここまでよく来たな……それは褒めてやる」
「お前に褒められても嬉しくないよ」
ぺこらがそう言ったが、秋月はさっきまでの焦りと怒りが嘘のように笑っている。頭の上にぼんやりと光の輪を浮かべながら、秋月が言う。
「あぁ、そうだろうな……まぁ、どうでもいいことだ」
「辞世の句は詠み終わった? じゃあ……地獄に落ちろ!!!」
「地獄に落ちるのは貴様らだ!!! ハハハハハハ!!!」
そう言った瞬間、秋月の姿が消える。そして、次の瞬間……ドアが閉まる音がして、部屋の中全体が光り始める。
「なっ……」
──ズガガガァァァァン!!!
部屋の中で大爆発が起きて、ドアごと部屋を吹き飛ばす。その音を聞いて、遠くに転移した秋月が笑う。
「ハッハッハ、ハーッハッハッハッハ!!! 本当に俺に勝てるとでも思っていたか!? バカバカしい、俺に勝てるわけがないだろう!!! 俺は神だ、地獄の底で罪を噛み締めろォォ!!!」
勝利の雄叫びを上げて、笑い続ける秋月。そして秋月が、触手で傷を全て治したあと、さっきの部屋に向かって歩き始めた。
「さて、奴らの無惨な死体でも見てやるか……」
──ドズッ。
「……は?」
「相変わらず詰めが甘いな、秋月……!!!」
そこで、秋月はようやく気づいた。自分の体に魔法の剣が、深々と突き刺さっていることに。
「ギャアァァァァーッ!!!」
「龍尾、烈脚ッ!!!」
──ズゴゴゴォォォォッ!!!
──ゴガンッ!!!
「ぐぶっ、ごっ、ごぁぁぁっ!!!」
秋月はそのまま、炎を纏った俊也の前蹴りを食らって、回し蹴りを二発食らう。最後に俊也が前方に蹴り進み、秋月は大きく吹っ飛ばされて壁にぶつかる。
「油断してたな。俺たちの死体を確認もしないで……!!」
「何故だ、何故だ、何故だ!! 絶対に逃げられないようにしておいたはず!!!」
「フレアのおかげさ」
俊也がそう言った瞬間、秋月が凄まじい形相でフレアを睨みつける。しかし、フレアは全く怯まない。
「『家路』って魔法があってね。爆発すると思った瞬間、みんなを巻き込んで使わせてもらった。爆発した瞬間には、もう基地の外だよ。あとは『隠密』の魔法を使って、後ろから剣を刺すだけ」
「お前がどこか遠くに転移することはわかってた。だから、外に出てからはすぐに見つかったよ」
「くそっ、くそぉぉぉッ!!!」
秋月は悔しさを顕にしながら、また転移装置を使って基地のどこかに転移した。しかし俊也達は、一度見たので怯まない。冷静に転移装置を壊して、使用不能にする。
「手分けして装置を壊そう。部屋の中とか、袋小路とか……色んな場所にあると思うから、見逃さないように!!」
「よし、あと一息だ!! 頑張ろうぜ、みんな!!」
「うん!!」
全員が散開して、辺りにある物を隈なく見る。そして装置を見つけると、その全てを破壊していく。秋月も黙って見ているわけにはいかず、少ない部下や触手を総動員して止めにいく。
「撃て、撃てぇぇ!!」
「喰らえ、『
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
──ドバォォォォォン!!!
EARSHOTの爆発力を活かして、マリンが道を塞ぐ連合員ごと転移装置を消し飛ばす。これでまた、秋月の手駒が減った。冷や汗を流す秋月の後ろから、転移装置を壊した俊也が『奮迅脚』を使用して迫ってくる。
「逃がさねぇぞ、秋月!!!」
「ま、待て!! 落ち着け!! 交渉しよう、お前に有利な条件でいい!! どうだ、悪い話では……」
「セントルイススマッシュ!!!」
命乞いの返答は、俊也の右回し蹴りで返された。それは秋月の顔面を捉えて、吹っ飛ばす。逃れられぬ死が目の前にあることを察して、
秋月が青ざめる。
「がはっ、あ……く、来るなああああ!!!」
「甘いんだよ!! 『ソニックブーム・アヴォイド』!!!」
「ひっ……!!」
俊也は、秋月が必死に振るう触手の間をすり抜けて、秋月の後ろに回り込む。振り向く暇も与えずに、俊也はその場で回転して跳躍する。
「竜巻旋風脚!!」
「ごはっ、がぁぁぁ!!!」
「セントルイススマッシュ、エアフォース!!!」
「ごげぁぁぁぁぁーッ!!!」
──ズガガァァッ!!!
──バギャアァァァ!!!
竜巻旋風脚で連撃を与えて、その勢いのまま更に一回転。俊也の左回し蹴りが、秋月の首を捉えた。刈り取るように放たれたそれは、秋月の首の骨にヒビを入れる。
「逃がすかぁぁ!!!」
「うっ、うわぁぁぁぁぁ!!!」
「またワープか、どこに行きやがった!?」
俊也は秋月を追いながら、転移装置を次々に踏み潰していく。一方秋月は、端末で次々に減っていく装置を確認していた。恐怖がどんどん募り、正常な思考が奪われてゆく。そこにぺこらが現れて、秋月を確認する。
「見つけた!! ここで会ったが100年目!! くたばれぇぇぇぇぇ!!!」
「くっ、くそっ……!!!」
「それで身を守ったつもり? ファファファ、甘いぺこよ!!!」
秋月はあまりの恐怖から、攻撃用に二本を残して他を全て防御に回していた。繭のようになって、攻撃をやり過ごそうとしている。ぺこらは乱雑な触手を片手間で弾きながら、秋月に接近していく。
「く、来るな……そうだ、何が欲しい!? 予算はたっぷりある、好きな物をやろう!!」
「残念だったぺこなぁ!! ぺこらは、プレゼントは俊也くんに買ってもらえるんだ!!!」
「くっ、くそぉぉぉ!! 死ねぇぇぇぇ!!!」
──ドシュシュシュシュッ!!!
ぺこらは秋月の繭を構成する触手を、ハンドハンマーで次々に弾き飛ばしていく。秋月はそこで腕を触手に変化させて、弾かれた触手も総動員し、ぺこらを囲いこんで貫こうとした。ぺこらは腕の触手を避けて、不敵に笑う。
「だから甘いって言ってんだろ!!!」
「なっ、貴様らは……邪魔をするなぁぁぁ!!!」
「そこだぁぁぁっ!!!」
──ズガァァァァン!!!
しかし秋月の触手は、全て大量に召喚された野うさぎ達によって止められていた。秋月はそれらを振り払おうとしているが、強く噛み付いて離れない。その好機に、ぺこらは秋月の脳天にハンマーを叩きつけた。それによって、秋月の頭蓋骨にヒビが入る。
「ギャアァァァァッ!!!」
「これも持ってけ!! ボルテックフィニッシュ!!!」
──ドギャアァァァッ!!!
「ぐぁっ、げぇぇっ……来るな、来るんじゃない!!! 化け物め!!!」
最早秋月は傷を治しながら、なんとか逃げ回ることしかできない。
体力もだんだん無くなってきており、秋月は死が目の前にあることを実感していた。泣きっ面に蜂とはこのことか、逃げ切ったと思ったところにるしあが現れる。
「見つけたぞ、神気取りのゴミクズ!! 『
──ドギャギャアァッ!!!
「う、潤羽るし……げぁぁぁぁっ!!!」
「喋んな、耳が腐る!!! 『黒炎』!!!」
──轟ッ!!!
るしあは完全に理性を失っており、ただ目の前の敵に呪術を振るい続けるようになっていた。目を血走らせながら、秋月に黒い炎を叩きつける。
「うぐぁぁぁぁっ!! ……っごぉ!!!」
──ボゴォォォォン!!!
「立て、まだ終わってねぇぞ!! 『浄火』ァァ!!!」
「ぎぃぃっ、あがぁぁぁぁぁぁ!!!」
秋月の腹に直接『炸裂火球』を叩きつけて、倒れ込みそうになった秋月を打ち上げた。そこで顔面を掴んで、直接火炎を体内に叩き込む。体内全てが燃え盛る激痛に、秋月は絶叫している。最後に炎が爆発を起こして、秋月は投げ飛ばされた。るしあはトドメと言わんばかりに、巨大な骸骨を召喚する。
「ぶん殴れ、ふぁんでっど!!!」
「うっ……ギィヤァァァァァッ!!!」
──バギャアァァァッ!!!
「待ちやがれ、絶対に殺してやる!!!」
るしあが怒り狂いながら、秋月を追いかける。秋月は傷を治しているが、傷口を何度も焼かれたからなのか中々治らない。
「くそっ、あの女め……!!」
「秋月見っけ!! 喰らえ、『EARSHOT』!!!」
──ズギャオォォォン!!!
「き、貴様は……ぐぁぁぁぁぁっ!!!」
秋月は突然横から飛んできた榴弾を防御する暇もなく、爆発をモロに喰らう。そのまま吹っ飛んでいくと思われたところで、アンカーが秋月を突き刺した。
──ジャララララッ!!!
「逃がさないよ!!」
「ま、待て!! 見逃してくれ、お前の好きな物をやるから!! そうだ、宝石はどうだ!? お宝の代表だぞ!!」
「お宝は自分で掴む物!! お前にもらっても意味ない!! もう一発、『拡散バズーカ』!!!」
「グギャアァァァァッ!!!」
命乞いも虚しく、秋月は拡散バズーカをゼロ距離で撃たれて、また吹っ飛ばされた。触手まで焼けてしまったのか、回復薬が出ないことに気づく。秋月は心の底からゾッとした。そのまま地面に叩きつけられて、足を引きずりながら逃げていく。
「も、もう嫌だ……俺は、神になるはず、なのに……」
「この期に及んでまだ言ってるの? 笑えるね」
「貴様らは……白銀ノエルに不知火フレア!?」
ボロボロの秋月の前に、二人が現れた。後ろの転移装置は壊されており、逃げるのは無理。秋月はまた命乞いを始める。
「そろそろ年貢の納め時だよ。ここで死んでもらう」
「まっ、待て!! わかった、言う通りにしよう!! 罪を償えばいいんだろう!? 書類も全部やるよ、だから命だけは……」
「最終警告を無視したのはアンタだ。悪いけど、ここで終わってもらうよ」
フレアがそう言い放ち、秋月は絶望した。冷や汗がどっと流れ出て、身体中が震えている。そこに二人は、容赦なく攻撃を加えた。
「喰らえ、『神の怒り』!!!」
──ドバォォォォン!!!
「っあ……がぁぁぁぁぁぁ!!!」
「そこだ、『雷の矢』!!!」
──ヂュヂヂィィィッ!!!
『神の怒り』を受けて、大きく跳ね飛ばされた秋月を狙って、矢が放たれる。秋月の体を矢が正確に貫き、壁に磔にする。
「うごぁっ、ごぶっ、げぇぇ……」
「合わせて、フレア!!」
「OK、ノエル!!」
動けない秋月に、二人が同時に攻撃を加える。フレアは双剣を呼び出し、ノエルは必殺技の白亜の鉄槌を。そして秋月は、触手でそれから身を守ろうとする。しかし……
「そう来るのはわかっていた」
──ズシャシャシャシャッ!!!
「ぐぅっ、うわぁぁぁぁぁ!?」
「『雷の杭』」
──バヂュオォォォン!!!
秋月に接近して、フレアが秋月の触手を根元から切り落とす。更に追い討ちで、秋月に雷の杭を叩きつけた。秋月が耐えきれずに血反吐をぶちまける。
「ベッ、ゲェッ、ガ……」
──ビチャチャチャッ。
「トドメだ、ノエル!!!」
「砕け、『白亜の鉄槌』ッ!!!」
──ズゴォォォォォン!!!
ノエルが白いメイスを秋月に投げつける。それは秋月の内蔵をすり潰し、後ろの壁ごと体中の骨を砕いた。もはや、このまま放っておいても死ぬだろう。そこで、転移装置を破壊し終わった全員が揃う。
「ご、おぉぉっ……」
「今終わったところだよ、みんな」
「神気取り、お前には随分苦しめてもらったな……これで終わりだ!!!」
俊也がそう叫んで、死刑宣告を行う。秋月はもうなにも出来ない。ただ、無様に泣き喚くこと以外は。
「いや、だ……やめて、ください……」
「誰がそんなこと聞くかよ、このゴミ野郎が!!!」
「今更遅い!! 俊也、やっちゃえ!!!」
その場の全員が、秋月を殺すことを望んでいた。俊也自身も望んでいる。望んでいる、はずだ。
「俊也くん、ぶっ潰してやれ!!!」
「私は書類を回収してくる。自爆でもされちゃたまらないからね」
「あとは頼むよ、俊也くん!!」
ノエルとフレアは、書類を回収しに持ってきていた手提げ袋を手にして、書類を探しに行った。俊也は少し後ろに下がって、助走をつけている。
「おねがい、します……なんでも、します……」
「……っ、うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶち殺せッ、俊也くん!!!」
るしあが怒りを込めて、そう叫ぶ。俊也は走った勢いのまま跳躍して、空中で一回転。秋月の脳天を狙って、踵落としを放つ。
「終わらせて、俊也!!!」
「ぶっ潰せぇぇぇ!!!」
「いや、だぁぁ……!!!」
「マンチェスター、スマッシュ!!!」
──ドギャアァァァッ!!!
泣き喚く秋月の脳天に、踵落としが炸裂した。それは秋月の頭蓋を砕き、首の骨まで砕く。支えを失った秋月の頭が、凹んでいく。
「ごっ、あぁ……」
「うぉぉぉぉあぁッ!!!」
「ぎ、ぃ……」
秋月の頭が強い圧力で潰れて、原型を保てなくなっていく。秋月の脳が潰れる。血や神経に眼球、他の液体。全てが秋月の中から溢れ出して……
グチュアッ。
完全に潰れて、秋月の頭が肉片として散らばる。眼球や肉片、血液に見たこともない液体。それらが飛び散って、蹴り潰した俊也にもかかった。秋月は首から上のない死体となって、崩れ落ちる。
「はぁ、はぁ……」
「や、やった……!!」
「やった、やったんだね!! やったぁぁぁ!!」
これで街は平和になる。それを感じて、三人は手を取りあって喜んでいた。しかし、俊也だけはそうではなかった。気持ち悪さに吐き気、人を殺したという事実。そして、何故か強い
「げっ、ぼぁぁっ、ごぼっ……」
──ベチャッ、ビチャビチャビチャ。
「やったやった……って、俊也くん!? 大丈夫!?」
「傷が響いてるのかも、早く病院に!!」
そんな理由だとは露知らず、みんなは俊也を心配して病院に連れていこうとする。俊也は『ありがとう』の一言も言えず、体の中から湧き上がる吐き気と罪悪感に耐えていた。
「……あれっ、どうしたの? そんなに慌てて」
「秋月は……片付いたみたいだね。これでやっと休める」
「俊也くん、ダメージで吐いてるみたいで……病院に連れてく!!」
ダメージはダメージでも、精神ダメージだとは勝利の余韻の影響か、誰も思っていない。それを聞いて、ノエルとフレアが頷く。
「そっか。ありがとう、頑張ってくれて。ゆっくり休んでね」
「またお見舞い行くから、待っててね!!」
「俊也くん、それじゃ行こう?」
そう言われて、俊也はぺこらに肩を貸してもらいながら……秋月の基地を、ふらつく足取りであとにした。
邪神人間、秋月の死亡。その情報はすぐに本部まで知れ渡った。ここは本部配属の者だけが入れる、特別な部屋。そこで部下が、長髪で白い髪をしたボスに謁見している。
「申し上げます、『神託者』様。邪神人間の秋月の生体反応が消失、死亡しました」
「もう『お告げ』で知っている。下がれ、忙しいんだ」
「……はっ」
そう言われて、部下が部屋をあとにする。神託者と呼ばれた男は、目の前にある白い肉の塊に話しかけた。男の肉を見つめる目に、光はない。
「秋月まで殺してしまうとは、益々期待が高まりますなぁ。奴はよく働いてくれた……情報もたっぷり送ってくれたしな。あれはシミズに回しておかねば」
心臓のように脈動する肉の塊に、神託者は心酔したように話しかけ続けている。
「我が神よ、今回の『周回』は『当たり』かもしれませんぞ。奴らはきっと、よいスパイスになる」
そう言って神託者は、この世の物とは思えない程に悍ましい笑みを浮かべて、言った。
「そうは思いませんか? 『アポトプス』様」
「……」
「楽しみにしておいてください。まだまだ、『演目』は残っていますから。クククッ、クハハハハハッ……!!!」
そう言って、大笑いする神託者。肉の塊が大きく蠢いて、割れ目ができた。そして、その割れ目……否、瞼が開いた。
──ぎょろっ。
第一章、終幕。
俊也は、人を殺してしまいました。