※この作品はR-18です。

ホロライブラバーズX ファンタジック・ピースメイカー   作:とも667

2 / 25

 バトロワ編、主人公視点です。よろしくお願いします。


いざ、バトルロワイヤル!!

……目の前の光が晴れると、俺は学園の校庭に立っていた。どうやらここが俺のスタート地点らしい……周りを見回したが、兎田さんはいなさそうだ。

 

「とりあえず、兎田さんを探しながら……おっと!!」

 

「っ、避けられたか!!」

 

「悪いが……そう簡単には脱落できないんだよ!!」

 

 後ろからナイフで刺そうとしてきたので、跳んで回避した……そのまま足を捻り、敵の上段を狙って……!!

 

「セントルイススマッシュ!!」

 

「ぐはっ!!」

 

「このぉぉ!!」

 

 着地したところを狙って、大剣を叩きつけようとしてきた人には……腰を落として、相手の鳩尾にスマッシュパンチを繰り出す。

 

「スマッシュパンチ!!」

 

「ぐふっ!!」

 

「全員でかかれぇ!!」

 

 剣を持った人と、セスタスをつけている人、後ろから銃で狙っている人……合計三人。俺はそれを見て、踏み込み……跳躍、片足を真っ直ぐ伸ばして体を回す。

 

「竜巻旋風脚ッ!!」

 

「ぐぁぁっ!!」

 

「ごふっ……このぉ!!」

 

 銃の攻撃をすり抜けて、剣を持った人を倒したが……セスタスを持っている人が耐えきり、こちらに拳を振るおうとしている。回避は間に合わない……ならば。

 

「……ふんっ!!」

 

「なっ、怯まないだと!?」

 

「喰らえ、スマッシュパンチ!!」

 

 相手の拳を『我慢』で耐えて、そこに返しの拳。その人も吹っ飛んでリタイアした……あとはあの人だけ!! 射線に入らないよう、動き回りながら近づく。

 

「このっ……!!」

 

「はぁぁぁぁ……はっ!!」

 

「なにぃ!?」

 

 その場でまた跳躍、今度も片足を伸ばして……その人に踵を向けて、落下速度を乗せる。

 

「マンチェスタースマッシュ!!」

 

「がっ、ぐふ……」

 

「……この辺りは片付いたか」

 

 敵の気配はもうしない。さて、次はどっちに行くかだが……

 

「校舎内に行ってみるか」

 

 そう呟いて、校舎内へ向かうと……誰かが戦っているようだ。派手な爆発音がしている。

 

「ぎゃあぁぁぁっ!!」

 

「Ahoy~!!」

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 あそこにいるのは……宝鐘さんだ、どうやら近くにスポーンしたらしい。丁度いい、手合わせ願うとしよう。

 

「おっ? あなたは確か……」

 

「碇俊也、です!!」

 

「うわっと!?」

 

 挨拶代わりのスマッシュパンチは躱され、距離を取られた。持っているあれは……大砲か?

 

「やるなぁ、今のを躱すとは!!」

 

「るしあと出会うまで負けられませんから!!」

 

「でも、会ったからには……ここで脱落していただきます!!」

 

 俺が構えると、彼女も大砲を捨てて二丁拳銃を構えた。

 

「あなたに大砲は当たらなさそうですから、これでいきます!!」

 

「賢いですね!!」

 

「喰らえ!!」

 

 二丁拳銃がマズルフラッシュを放ち、こちらに銃弾が襲いかかる……射線に入らないようにしたいが、二丁あるので難しい。こういう時は……

 

「はっ!!」

 

「銃弾が効かなくなった!?」

 

「今だ、喰らえ!!」

 

 その場で跳躍して、セントルイススマッシュを放つ。しかし……それは難なく躱されてしまった。

 

「流石に躱すか……!!」

 

「当たったらアウトだって、攻撃に書いてありますから!!」

 

「まぁ、そりゃそうだ!!」

 

 当たれば、間違いなく大ダメージだ。だが、避けにくい技というわけでもない。あちらも負けじと拳銃を撃ち込んできている。跳躍しているまま、体を捻り……

 

「竜巻旋風脚ッ!!」

 

「弾を躱してきた!?」

 

「スマッシュパンチッ!!」

 

 今度は当たりやすく、出の早い技を打ち込む。今度は命中して、宝鐘さんを吹っ飛ばした。

 

「ぐぅっ……や、やりますねぇ……」

 

「鍛えてますから!!」

 

「かくなる上は……こいつを当てるしかないな!!」

 

 宝鐘さんが大砲を握り直した。どうやら、あれで俺を撃つ気らしい。

 

「撃たせませんよ!!」

 

「ファイヤー!!」

 

「なにっ!? くっ……ぐあっ!!」

 

 斜め上に向けて放たれた大砲の弾が、五つに拡散して襲いかかる。全てを躱しきれず、その内の二発が俺に迫り……咄嗟に『我慢』をかけた。

 

「どうです、船長の拡散バズーカは!! 効くでしょ!?」

 

「弾を変えたのか……確かに、こいつは効く……」

 

「まだまだ、もう一発行きますよ!!」

 

 あれをもう一発は貰えない、何とかしなくては。しかし、どうやって……?

 

「喰らえっ!!」

 

「……やってみるか!!」

 

「跳んだ……また蹴り!? そうはいくか!!」

 

 三発目が来る。このままいけば、俺はあの大砲の餌食になるだろう。しかし……ある作戦を思いついた。これなら、この状況を打開できる!!

 

「竜巻旋風脚!!」

 

「躱した!? それなら銃で……!!」

 

「からの……!!」

 

 竜巻旋風脚で、飛び道具を躱しながら接近し……回る勢いを生かし、足を伸ばしたまま上段蹴りに入る!!

 

「セントルイススマッシュ……エアフォース!!」

 

「ぐっ、ふっ……!!」

 

「……どうだ!!」

 

 大きく吹っ飛んで、彼女は壁に体を打ち付けている。まだ立ってくるだろうか……

 

「あぁ……ごめん、るしあ……この人、強いや……」

 

「あなたも強かったですよ。ありがとうございました」

 

「はははっ……次は、負けないから」

 

 そう言って、宝鐘さんは脱落した。とりあえず、挨拶した人の一人目に勝ったな。

 

「このまま上に行ってみるか……」

 

 階段を登って、襲いかかってきた人達を倒しながら、三階まで上がった。すると……

 

「ぐぇぇぇぇっ!!」

 

「……よし!! これでこの辺にいる人は……あれ?」

 

「潤羽さん、こんにちは!!」

 

 挨拶しながら、目の前にいたアンデッド達を竜巻旋風脚で一掃する。どうやら、ネクロマンサーのようだ。

 

「碇さん……!? 下でなんか音がすると思ったら、碇さんだったんだ……誰と戦ってたの?」

 

「宝鐘さんです、強敵でした……特に、拡散バズーカは厄介でしたよ」

 

「厄介だったって……それじゃあ、マリンは……!!」

 

 会うって約束をしていたし、合流されていたら流石に危なかったな。一人でも強かったのに……そうなれば、もっと手がつけられなくなる。

 

「僕が倒してきました。三階まで上がってきたら、あなたがいてね……お手合わせお願いします!!」

 

「っ……! マリンの仇はるしあが取る!! 絶対に倒してやる!!」

 

「闘志はお互い十分……!! いざ尋常に勝負ッ!!」

 

 アンデッドが大量に地面から湧いてきた。物量で押し潰すつもりか……!! 一人一人は脆いが、これだけいると一撃では倒しきれない……その上、この狭い校舎の中だ。ここは……

 

「こっちで勝負だ!!」

 

「ッ、待て!!」

 

「よし……ここでいい」

 

 校舎から出て、三階の壁のない廊下に出た。無論、アンデッド達は俺を追い回してくるが……それこそが狙いだ。

 

「竜巻旋風脚ッ!!」

 

「ふぁんでっどさん達が……!!」

 

「一気にたくさん出しすぎましたね?」

 

 竜巻旋風脚で吹っ飛ばし、押し出されたアンデッド達が下へと落ちてゆく。この高さから落下すれば無事では済まない、落ちたアンデッド達は全員動けなくなっている。

 

「行け!! あいつに一撃喰らわせろ!!」

 

「おらっ、せいっ、でぃやぁぁ!!」

 

「負けるな!! どんどん行け!!」

 

 武器を持って襲いかかってくるアンデッド達を、下に落としたり倒したりしながら、潤羽さんへと着実に歩を進めていく。あと少しだ、あと少しで辿り着ける!!

 

「スマッシュパンチ!!」

 

「っ……!!」

 

「もらったァ!!」

 

 飛び上がって、セントルイススマッシュの構え。こいつで終わりだ……!! そう思った、その時。潤羽さんがこちらに手をかざして、叫んだ。

 

「……『黒炎』ッ!!」

 

「がぁぁぁっ!? なっ……なに……!?」

 

「るしあは呪術も得意なんだ!! 今だよ、みんな!!」

 

 手から放たれた黒い炎に撃ち落とされて、地面に倒れてしまった。まずい、早く離脱しなければ。急いで体勢を立て直し、襲いかかってくるアンデッド達から距離を取ろうとしたが……そこで潤羽さんが地面に手を置く。

 

「逃がさない!! 『黒蛇』!!」

 

「くっ……!! ぐぅっ……!!」

 

「いいぞ、そのまま押し潰せ!!」

 

 黒い炎に追いかけ回されて、壁際に追い詰められている。まずいな……このままだと、本当に物量に押し潰されてしまう。潤羽さんに近づいても、呪術の炎で迎撃されるし……どうする? このままではジリ貧だ……

 

「……賭けるしかない!! 竜巻旋風脚!!」

 

「無駄だよ!! 喰らえ、『黒火球』ッ!!」

 

「これ以上……当たってたまるか!!」

 

 投げつけられた黒い炎の塊が、さっき俺のいた場所で爆裂する。このまま向かっていけば、同じように撃ち落とされてしまうだろう。それなら……俺は、アンデッドの群れの中へと突っ込んだ。

 

「……えっ!?」

 

「セントルイス……スマッシュ!!」

 

「なっ……ぐぅっ!?」

 

 俺はアンデッド達を、乱雑に潤羽さんへと蹴り飛ばした。下手な鉄砲数打ちゃ当たる、アンデッドの一部が彼女へと飛んでいき、それが目くらましの役割をしてくれる。

 

「スマッシュ……パンチ!!」

 

「がぁぁぁっ!?」

 

「よし……!! 竜巻旋風脚ッ!!」

 

 やはりだ。スマッシュパンチを一撃当てただけで……かなりのダメージを受けている。呪術やネクロマンスに特化しているが、耐久面はないに等しいようだな。あと一発当てれば……勝てる!!

 

「ッ、『黒炎』……!!」

 

「遅いッ!!!」

 

「ぐっ、は……がはッ!!」

 

 呪術を発動される直前に、俺の竜巻旋風脚での追撃が入った。潤羽さんの腹に回転する足が勢いよく命中し、潤羽さんが吹っ飛ぶ……

 

「ぐふっ、う……ここまで、か……」

 

「あなたも強かったですね……はぁ、二人に合流されなくて助かりましたよ」

 

「次は、絶対に勝つ……!! 今度は、マリンと一緒に!!」

 

 そう言って、潤羽さんも脱落し……光の粒子となって消えた。大分疲弊してしまったが、休んではいられない。

 

「兎田さん、どこにいるんだ……? もう脱落しちゃったのかな……」

 

 そう呟きながら、歩き回る。もう大分人も減っているな……そう思っていた、その時。

 

『時間が半分を切りました。アンチ生徒、『百鬼あやめ』を投入します』

 

「……誰か来たみたいだな」

 

 『アンチ』の人は、とにかく強力だと聞く……戦わない方がよさそうだな。くれぐれも見つからないように、兎田さんを探そう。そう思って、周囲を警戒しながら歩き回っていると……誰かの声が聞こえてきた。

 

「どうしたの、その程度!?」

 

「くぅっ……まだぺこ、まだ終わらんぺこだよ!!」

 

「兎田さんが……誰かと戦ってる?」

 

 劣勢のようだ。助けに入りたいが……真正面から行くと、二人仲良くやられる可能性がある。ならば、ここはこれで……!! 後ろから助走をつけて跳躍し、敵の後ろをとった。そのまま踵落としの体勢に入る……!!

 

「今だ!! これで……!!」

 

「喰らえ、マンチェスタースマッシュ!!」

 

「ぐはぁぁぁ!?」

 

 銀髪で羽の生えた人が、兎田さんにトドメを刺そうとした寸前で、脳天への踵落としが炸裂した。続けて、兎田さんに叫ぶ。

 

「今だ、兎田さん!!」

 

「喰らえぇぇっ!!」

 

「がぁぁぁっ……ボクの出番、これだけ……?」

 

 どうやら、今ので脱落してくれたようだ。助かった、随分強そうな気配がしたからな……

 

「危ないところでしたね、大丈夫ですか?」

 

「ありがとう、おかげで助かったぺこ!! 今の人は天音かなた……天使種族で、とんでもないパワー型だけど……とにかく勝ててよかったぺこ!!」

 

「えぇ、お互い無事で何より……さて、他の参加者は……おっと!!」

 

 兎田さんの腕を引っ張って、近くにあった教室内へと逃げ込む。この殺気は尋常ではない、恐らくは……

 

「さて、人間様はどこかな~……この辺にはいないか。あっち行ってみよう!!」

 

「……行ったか。今のが百鬼あやめか、確かに戦わない方がよさそうだ」

 

「また助けられちゃったぺこだね……ありがとう!!」

 

 兎田さんは少し申し訳なさそうにしている、気にしなくてもいいのにな。

 

「気にしないでください。僕らは今、仲間でしょう?」

 

「……うん!! さぁ、次は誰を探すぺこ?」

 

「白銀さんと不知火さんを見つけたいですね……二人と戦うなら、二体一より二体二の方がフェアです」

 

 俺の提案を、兎田さんは快く受け入れてくれた。襲い来る人達を次々跳ね飛ばしながら、一緒に進んでゆく。

 

「おらあぁぁぁ!! どきやがれぇぇぇっ!!」

 

「うぎゃあぁぁぁ!?」

 

「すごい迫力だ……俺も負けてられないな!!」

 

 そう言いながら、走っていると……最初にいた校庭に戻ってきてしまった。探していた二人が立っている……

 

「ふぅ……これで全部かな?」

 

「お疲れ、フレア!! ナイス援護だったよ!!」

 

「ノエルこそ……ん? そこにいるのは……」

 

 先制攻撃を食らわせるつもりだったが……気づかれてしまったので、姿を見せる。

 

「流石ですね……こんにちは。あなた方を探していました」

 

「ぺこらもお前らを探してたぺこだよ!! 覚悟しろ!!」

 

「なるほど……丁度いい、私もあなたとは戦いたかったしね」

 

 不知火さんが魔法を手に構えた。白銀さんも収めようとしていたメイスを握り直して、構えている。

 

「多分『アンチ』を除けば、あなた達が最後だ!! 悪いけど、優勝は団長とフレアがもらっていくよ!!」

 

「すみませんが、渡せませんね!! 兎田さんは白銀さんをお願いします!! 僕は不知火さんを!!」

 

「了解ぺこ!!」

 

 あちらも、度重なる戦いで疲弊しているはず。状況は平等だ……あとは実力勝負!!

 

「ノエルより、あたしの方が倒しやすそうだと思った? だったら……人を舐めすぎだね!!」

 

「舐めちゃいませんよ……だから、全力で行きます!!」

 

「ふふっ、そうでなくちゃね!!」

 

 そう言って、不知火さんが手の平に魔法陣を展開した。魔法攻撃か……!!

 

「喰らえ、『イフリート』!!」

 

「っ……当たったら丸焦げだな!!」

 

「炎だけじゃないよ!! 喰らえ、『雷の槍』!!」

 

 そう叫んで、不知火さんは雷の槍をこちらに投げつけてきた。それらを躱すだけで精一杯だ……絶え間のない連撃、それがこの人の武器。兎田さんの方は……?

 

「『ランドストライク』!! でりゃあ!!」

 

「一発一発の範囲も威力もデタラメ……その上、攻撃を当てても怯まないどころか、お釣りが返ってくる……!! アンタどんなチートキャラぺこだよ!?」

 

「それが団長の得意技だからね!! まだまだぁ!!」

 

 白銀さんにスタミナ切れの様子は全く見えない。兎田さんは獣人特有の素早さで、何とか躱してはいるが……防戦一方ではジリ貧だ。助けに入りたいが……不知火さんはそれを許してくれない。

 

「よそ見してちゃいけないよ!! 喰らえ、『雷の矢』!!」

 

「くっ……!!」

 

「フレイムゾーン!!」

 

 咄嗟に飛び退くと、俺のいた場所が焦熱地獄に早変わりした。魔法の腕はピカイチか……しかし、負けるわけにはいかない!! 攻勢に転じるため、こちらから走り出した。

 

「うぉぉぉぉっ!!」

 

「無謀だね、『イフリート』!!」

 

「っ……!!」

 

 何とか躱したが、そこに追撃が飛んでくる。

 

「そこだ、行け!! 『雷の槍』!!」

 

「……竜巻旋風脚ッ!!」

 

「槍を躱した!?」

 

 俺の間合いまで接近できた、あとは一撃入れられれば……!!

 

「喰らえ、スマッシュ……!!」

 

「やるね……だけど、私が近接戦闘が苦手なんて、いつ言った?」

 

「なっ……!?」

 

 不知火さんが魔法で青い双剣を作り出し、近づいてきた俺に振り抜いた。出した攻撃は引っ込められない……斬撃をまともに食らってしまった。スマッシュパンチは無論、避けられている。咄嗟に『我慢』をかけたが……今の俺には痛いダメージだ。

 

「ぐはっ、うぐっ……」

 

「咄嗟に距離を取ったか……それなら、魔法で攻撃するだけだけどね」

 

「くそ……これじゃ、分が悪い……!!」

 

 こちらは近接戦闘ばかりで、遠距離攻撃手段はゼロ。対してあちらは、近接も遠距離もこなせるオールラウンダーだ。相性が悪いなんてもんじゃない……!!

 

「碇くん!! くそっ……!!」

 

「よそ見しちゃいかんよー!!」

 

「うぐっ……!!」

 

 いけない、あっちも追い詰められてきている。どうする、どうすればいい!?

 

「『イフリート』!! からの……これを喰らえっ!!」

 

「なっ……双剣を投げて……!?」

 

「今だ、『雷の槍』ッ!!」

 

 逃れられない状況。仕方なく、構えを取って技を出した。

 

「竜巻旋風脚……!!」

 

「そう来ると思ってたよ、もらった!!」

 

「ッ……くっ!!」

 

 まずい、これは避けられない……また『我慢』するしかないか!! なら、肉を切らせて骨を断つ!! 右足に、そのまま力を込めて……!!

 

「せいやっ!!」

 

「ぐぅ……セントルイススマッシュ、エアフォース!!」

 

「うぎっ……やるじゃん……!!」

 

 命中したが……こちらも限界が近い。不知火さんは、まだ動けるようだ……

 

「はぁっ、はぁ……光栄ですね!!」

 

「だけど……そろそろ、さよならだ」

 

「よし、団長も決めるかぁ!!」

 

 二人の力が強まっていく……気配だけでわかる。まともに当たったら、脱落は免れないだろう。不知火さんの大地魔法で、逃げ道を無くされた。彼女は自身の身体に強化をかけて、双剣を投げつけてきている。あれを弾くのは、恐らくは彼女の思うつぼ。どうする!?

 

「……やるしかないか!!」

 

「おりゃあ!!」

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 『我慢』をした後、大地魔法で作り出された壁を蹴りつけて、彼女の懐に飛び込んでゆく。投擲された双剣とすれ違いながら、彼女の上をとった……手には強い炎と雷を纏っている。あれで俺を仕留める気なのだろう。

 

「そう来るか……でも、終わりだよ!!」

 

「……それは、どうかな!!」

 

「なっ……蹴らないの!?」

 

 俺はその勢いのまま、蹴りつける動作をフェイントにして、彼女の後ろに立つ。炎魔法は外れてしまったようだ。そこに雷を纏った手が、俺を掴もうとしてきたが……俺はそれを、『我慢』を利用して強引に拳で叩き落とした。これで飛び上がっても、足を掴まれる心配はない!!

 

「くっ……!!」

 

「うぉぉぉぉっ!!」

 

「しまった、避けられな……」

 

 魔法を構えても、遅い。俺の落下速度と、右足を伸ばす方が……コンマ一秒早い!!

 

「マンチェスター!! スマッシュッ!!!」

 

「がっ、あ……!!」

 

「まだだ……!! こいつも持っていけぇ!!! スマッシュパンチ!!!」

 

 マンチェスタースマッシュを喰らっても、彼女がまだ立っていたので……追撃に、スマッシュパンチを打ち込んだ。彼女は大きく吹っ飛んで、地面を転がっていく。

 

「ぐはっ、あ……ノエル、ごめん……」

 

「フレア……!! くっそぉぉ!! 喰らえ、白亜の……!!」

 

「うっ、ぐ……!!」

 

 まずい。今の兎田さんは、目に見えて疲弊している。あれに当たったら終わりだ。最後の力を振り絞って……飛んでいくメイスめがけて、跳ぶ。

 

「鉄槌ッ!!!」

 

「……えっ、碇くん!?」

 

「セントルイス……スマッシュ!!」

 

 兎田さんめがけて飛んでいくメイスに、最後の力を振り絞った右足で技を放つ。鈍い金属音がして、その場に倒れ込む俺……メイスはどうなった!?

 

「ぬぁぁぁぁぁっ!!」

 

「白亜の鉄槌を逸らした!? まさかそんな……!!」

 

「行くぜみんな!! 一発かますぺこだよ!!」

 

 そう言って、兎田さんが手に持った人参型のハンマーを投げると……丸い兎のような生物が、どこからかたくさん走ってきた。投げられたハンマーを、先頭の二体が咥えている。

 

「なっ……ぐぁぁぁぁ!!」

 

「野うさぎ達!! そのままボコして捕まえとけ!!」

 

「っ……避けられない……!?」

 

 野うさぎと呼ばれた白い動物達は、白銀さんに全員で群がって噛み付いている。兎田さんが跳躍して、同じく跳躍してきた二匹から、咥えさせていたハンマーを受け取った。そのままハンマーを構えて、脳天目掛けて落下してゆく……!!

 

「これで……決まりだぁぁぁぁ!!!」

 

「ぐぅっ、がっは……!!」

 

「……決まった……」

 

 脳天に落下の勢いと、兎田さんの跳躍力を載せたハンマーの一撃。いくら白銀さんが頑丈とはいえ、これには耐えられないだろう。白銀さんも脱落していく……

 

「……はぁっ、はぁ……!!」

 

「俺達、勝ったんですね……最高の戦いでした、兎田さん」

 

「碇くんも、ナイスファイト……!!」

 

 そう言って、二人で笑いながらグータッチする。その瞬間、バトルロワイヤル終了を告げるアナウンスが鳴り響き……目の前が、光に包まれた。

 

 

 

 時間は少し遡り、この日の一日前のこと。闇市にて、碇俊也が去ったすぐ後に……フードを被った何者かが、闇市を訪れた。

 

「……いらっしゃい。何か買いに来たのかい? 今はこんなのしかねぇが……」

 

「邪神の破片をくれ」

 

「これのことかい? 不気味だから処分に困ってたんだ、そうだな……5000円でいいぜ」

 

 その者は言われた金額を無言で支払うと、そそくさとそれを持っていってしまった。そして、どこかに電話を始める……

 

「……こちら、番号67。邪神の破片を回収しました」

 

『ご苦労。支部に持ち帰れ、神の破片は貴重だからな……くれぐれも警察にはバレるなよ』

 

「存じております。それでは」

 

 電話を切り、また歩き出す男……そこに、酔っ払いと思わしき男が声をかけた。どうやら、酔いすぎて闇市に迷い込んだようだ。

 

「お~い、そこの兄ちゃん……なーにガン飛ばしてんだ?」

 

「すみませんが、急いでいますので」

 

「あんだってぇ~? 舐めんじゃねぇぞ、こちとら課長様だぞぉ~……」

 

 男はその様子を見て、ため息をついて冷酷に言った。手にはさっきの『破片』を持っている……男が、それを体に一瞬つけて……すぐに離した。

 

「邪魔だ。消えろ、選ばれぬ者が」

 

「はぁ? お前、何言って……え? あ、あがが……!!」

 

「……ハッ、我らの神に選ばれぬ下等生物めが。身の程くらい弁えておけ」

 

 そう言って、人間だったもの……今となってはただの肌色の液体に唾を吐き捨て……男はまた歩いていった。




バトルロワイヤル一回目、優勝。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。