風に約束したように、近くの街で昼食をとり、あとは宿を探すことになった。宿といっても、自分たちは基本的に文無しなのである。うっかり眠りこけてしまっても野盗に襲われそうにない場所を選んで、野営をするだけだった。
次なる目的地は、公孫賛のいる幽州だった。徐々に劉備の気配が近づいてくるが、避けては通れない道でもある。
はじめたばかりの頃は慣れなかったが、いまは野営を修練の一環だと思うようにしている。それに野外での連携は、これ以上ないくらいに互いの絆を深くしてくれる。飯の用意。寝床の確保。加えて、夜の見張りだった。たまに風が寝落ちしてしまうのだが、それを見計らって各人早めに起きるようにはしている。
原野での生活は、口だけの信頼では成り立たない。
三人とは知り合ってまだ三ヶ月にも満たないでいたが、機嫌の良し悪しなんかは結構な精度で判断できるようになっている。そもそも愛紗は従者でいようとしてくれるし、あとは慇懃無礼な風と、なにかと自分のことを肯定してくれる凪なのだから、気を遣う場面が少ないだけなのかもしれないが。
この世界で過ごしていて、なにがもっとも恋しくなるのか。家族や友人と答えるのが当然なのだろうが、同じくらいに欲してしまうのが毎日の風呂だった。
代わりとなっているのが、川での沐浴だった。それをするにも相互に見張りが必要となってくるから、二人一組でするのが基本である。女の子が三人いるのに対し、男は自分ただひとり。普通に考えれば浮いた存在になってしまうのだが、今日も今日とて愛紗の提案で強引に組まされる流れになっている。
「なあ、愛紗」
「どうかなさいましたか、ご主人様。問題があったのなら、すぐにこの私が」
「いや……、うん。なんでもないさ、なんでも」
「もしや、ご主人様は沐浴がお嫌いなのでしょうか? なんだか、いつも乗り気ではないような感じがいたしますし」
たぶん、自分は愛紗に異性として意識されていない。愛紗の反応は、ほかの二人も知るところだった。
そのことを悲しむべきなのか、それすらよくわからなくなっている。ついでにいうと、風と凪には至近距離で身体を洗っていることを、ひとまず内緒にしていた。
一刀からの提案で、脱衣だけは別々にするようになっていた。それも、この前は日が暮れそうだという理由から、急かされるように愛紗の見ている前で裸になった。ただでさえ、性欲を発散するタイミングの少ない旅なのである。規格外に優れた肉体を見せつけられて、思春期真っ盛りの下半身が苛立たないはずがなかった。
いくら剣技を磨こうと、巨大すぎる欲望を制御する術を、自分はまだ知らなかった。
愛紗という女の子は、危ういくらい真っ直ぐな性格をしているのだ。だからこそ、自分を預言の示す天の御遣いだと信じて疑わない。ご主人様さまのためならと、徹底して献身的になることができる。
「いっそ、どこかで温泉でも掘り当ててみるか。凪の友達が、聞いた限りじゃそういうの得意らしくてね。そうしたら、いまのように金に困ることはなくなる」
「くっ……。それが、天の御遣いたる北郷一刀さまの、なされるべき行いなのですか。この国は、病魔に冒されているのと同じです。みな、いつ壊れるともしれない生活を、見て見ぬふりをして送っている。少なくとも、私はそんなのは嫌だ」
「ン……。悪かったよ、愛紗。散々わがままやらせてもらってるのに、冗談なんて言うべきじゃなかった。俺は、俺の進むべき道をいつか見つける。見つけないと、きっと死んでも死にきれない」
「わ、私こそ、出過ぎた物言いをしてしまい、その……」
愛紗の表情がどうしても気になったせいで、反射的に振り向いてしまう。見ないようにしていた豊かな胸。年相応に繁る艷やかな黒色の陰毛。すべてが、一瞬で網膜に焼きつく。
肝心の顔だけは、愛紗が完全に俯いているせいで見えなかった。
「あがろうか、そろそろ。冷えて風邪でもひいたら、それこそ本末転倒だ」
「あ……。はい、ご主人様」
一刀が先に水から出て、装いを整える。
痛いくらいに勃起しているモノが、心の底から憎らしかった。
†
悶々とする中、夜を迎えた。
四人でたき火を囲んで、静かな時間を過ごす。気になるのは、向かいでぼんやり星空を眺めている風が、やけに足を組み替えていることだった。
「むっ、一刀さん?」
膝上までしか丈のないスカート。それがしきりに翻るものだから、白い下着がちらちらと眼に入る。一刀の異変を察知しているのか、凪の表情が若干訝しんでいる感じに変わっている。
そもそも、この世界はどこまでも異質だった。みんなの着ているものひとつとっても、妙に現代的だったりする。食べ物に関しても、それは同じだ。
「ごめん。ちょっとトイレ……用を足してくる」
「お気をつけてー。徘徊してる狼さんに食べられないように、ご注意くださいねぇ」
正直に言って、嘘だった。
愛紗の魅力あふれる裸体。それに、男の薄汚い部分を確実に刺激する風の下着。ここで一旦きちんと抜いておかないと、大変なことになる。そう考えて、一刀は森の中に消えていった。
「ああ、もう……。んっ……、くそっ」
着いてすぐに、ズボンと一緒に下着をずり下げた。男根が醜く腫れ上がっている。こんなところ、誰に見せていいものではなかった。
とにかく、急いで処理をしなければ。血管すら浮き出た竿を、自らの手で激しく擦った。
「はあっ、はっ……。治まってくれよ、いい加減に」
気持ちが昂りきっているせいか、限界はすぐに訪れていた。ちょうど腰の高さにある枝葉が、白濁で汚れている。それも二回分であり、この感じでは三度目でも同量をぶちまけてしまいそうだ。
思い浮かべるのは、三人の姿だった。最低だと思うほどに、男根が太く熱くなっていく。そんな極限状態であったから、背後から近づく足音に気がつかなかった。
「はーい、狼さんの登場なのですよー。簡単に捕まってしまいましたが、これってもしやお兄さんの誘い受けだったりして? それにしても、ものすごいやんちゃ棒ですねぇ。太さもかたさも、想像の倍どころではないかもしれません。というかお兄さん、緑すら孕ませにかかるだなんて、かなりの特殊性癖の持ち主なのでは?」
「なっ……。風、なにをやって」
「おおっ? なにって、ナニをナニしてあげてるに決まっているじゃないですか。それとも、ひとり遊びに女の手は借りねえ、とか硬派な派閥に属されているのでしょうか、お兄さんは」
二度の射精でぬるぬるになっている男根の先を、風の小さな手が包み込む。ひんやりとした肌の感触。下から見上げてくる風の瞳がやけに妖艶な色をしていて、快感半ばだった男根が全力で反応を示してしまう。
「くふふっ。どうか遠慮なんてなさらずに、風のお手々で気持ちよくなってくださいね。野獣になったお兄さんに、夜な夜なひとりずつ食べられていくのも悪くはありませんけど、それじゃ風以外の二人がかわいそうじゃありませんか。ですので、肉奴隷になされたいのなら、どうかこの私を」
「どういう気遣いなんだよ、それ。しかも、肉奴隷になってもいいだなんて、正気か」
「正気も正気。いつも言っているじゃありませんか、お兄さんはみんなの太陽となるべき御方なのだと。その御方のどす黒い部分を、風がなにもかも請け負えるのですよ? それって、最大級の名誉ではありませんか」
多量のカウパーを巻き込んで、風の手がいやらしい音を奏でる。射精することを覚えてから他人にそこを触られたのは、はじめての経験だった。
手つきから鑑みるに、慣れてはいない。それだけに風の心を感じられて、下腹部が熱く脈打ってしまう。
「びくびく、すごいのですよぉ。これが限界までいってしまうと、ふふっ。葉っぱと枝にぶっかかっているせーえき、出るのですよね」
「くっ……。風、このっ……」
「出っ張りのくぼみ、気持ちいいんですか? でしたら、お汁と一緒にここをくちゅくちゅっと」
「もう、やばいかも。正直、風の手が気持ちよすぎて、いくらでも出せそうだ」
腰がふるえる。ちょっと情けないくらいだったが、風が進んで搾精してくれているのだから、身体はひどく素直だった。
「いいですよぉ? 風は、お兄さん専用の肉奴隷なのですから。手のひら、孕んでしまうくらいたくさん射精なさってください。ほらっ、いって? 一生懸命シコシコして差し上げますから、お兄さんは精液とぷってあふれさせるだけでいいのです」
ぶら下がった玉が重い。風の囁いてくる誘惑のすべてに、脳を蕩かされている気分だった。
ふるえが一段と大きくなる。限界だった。きゅっと牛の乳搾りでもするような手つきで、風が根本をきつく刺激する。それで、三度目の種が弾けた。
「あっ、うぐっ……。くっ、はあっ、あっ」
「おっ、おおっ、おーっ♡ これはまた、ものすごい量ですねえ」
なにかに取り憑かれたかのように、風が夢中になって男根をしごく。
びしゃびしゃと噴水となった精液が、地面を打つ。どうしてか、他人事であるかのように笑いが洩れた。
「すごい。すごいすごいっ♡ お兄さんのおちんちん、どうなっているのですか。こんなに出してるのにまだ、とっても気持ちよさそうにふるえています。金玉、空っぽになるまで搾られたいのですか? ふふっ、構いませんよ。風が心ゆくまで搾って差し上げますので、ほらっ♡」
「あっ、ああっ、ふっ……う」
途切れることのない快楽の輪廻。激しい情動に揺さぶられる一刀は、時間を忘れて風の奉仕を受け続けた。