「神虎?」
聞いた事のないKMFの名前に対して、ライは疑問に首を傾げた。
それに対して、軍人の女性は、ゆっくりとだが、話し始めた。
「その性能だけで言えば、現在のKMFの中でもかなり高水準の能力を持っている機体よ。現状のKMFでも対抗出来るのは少なく」
そうしている間にも、軍に配備されていたと思われるKMFが次々と出撃していく。
その中には、ガレスなどの機体も含まれており、そのまま神虎に向かって行く。
神虎は、それらの機体を前にしても、平然と構えていた。
迫るKMFの軍勢に両手からスラッシュハーケンを放つ。
KMFの基本的に装備されているスラッシュハーケンだが、神虎のそれは、他のスラッシュハーケンよりも遥かに長く、そして強力だった。
迫り来る無数のKMFを、次々に破壊する。
その光景を見て、ライは思わず呟く。
「あれだけ凄い機体を操れる人はいるのか」
「・・・もう、それを操れる人は、この世にいないはず」
女性の言葉に、ライは驚く。
そして、その言葉の意味を理解すると、慌てて、その女性の方に顔を向けた。
女性は、少し俯きながら、言葉を紡ぐ。
その声音には、どこか悲しみが感じられた。
そんな女性の様子に気付いたライだったが、今は、それどころではないと判断して、再び、戦場へと視線を向ける。
そして、目の前で繰り広げられる戦闘の様子を凝視した。
神虎の動きは、常人では操れない。
そして、このまま、この状況を放っておけるか。
「・・・出来る訳ないよな」
同時に、ライは走り出した。
「あっちょっと!」
そのライの行動に対して、軍人の女性は思わず声を出す。
だが、それよりも早く、ライはトレーラーの中にあるドットフェイサーに乗り込んでいた。
乗り込んでいたドットフェイサーを操作しながら、その手にある武装から、最も遠距離で放てる武器を選択する。
同時にその銃口を、神虎に向ける。
「狙い撃つ」
その一言で放たれた弾丸は、真っ直ぐと神虎に飛んで行った。
その突然の奇襲に対して、神虎は対抗が出来なかった。
そのまま地面に向かって行くが、すぐに態勢を整える。
飛行能力を失われたのか、飛翔滑走翼は既に破壊されて動かない。
それによって、地上での戦いを強いられた神虎と、ドットフェイサーは相対する。
「さて、やろうか」
そう、ライはドットフェイサーの武装を片手剣と盾にして、そのまま向かう。
神虎もまた、スラッシュハーケンを仕舞うと専用の武装である巨大中国刀を取り出した。
互いに高速で移動しながら、その戦いは、始まりを告げた。