「こちらの潜入が気づかれたのっ」
そのサイレンの音を聞いて、女性は、舌打ちをする。
それに対して、ライは、まるで慌てる様子はなかった。
自分自身で、そのような潜入は初めてのはずだった。
だが、まるで暗部で動く仕事人のように。
彼は、周囲を確認すると共に、そのままパソコンを操作を行う。
「何をしているの」
「とりあえずは、彼らの安全を確保する」
それと共にライが操作を行うと、連れ去られた人達の部屋は、そのままロックされた。
「安全って、これじゃ、連れて行けないでしょ」
「あぁ、だがそれは向こうも同じだ。だからこそ、その間になんとかする」
「なんとかって、この連中をどうするつもりよ」
そうしている間にも、こちらに迫る足音が聞こえる。
だが、ライは、そのまま女性の手を引く。
「とりあえずは、脱出するぞ」
「脱出って、結局、見捨てる事なの」
「すぐには出来ない。だけど、トレーラーからKMFで連れ出す」
「KMFって、そんなのが」
「どうするのかは、これから考える」
そうして、二人は、その場から離れていった。
ライは、まるで手慣れたように、女性の手を引いていく。
通路を走る最中で、女性は、驚きの声を上げる。
そこは、まさしく軍事施設という場所であったからだ。
幾つもの隔壁に守られた通路や部屋があり、さらには銃を持った兵士達もいた。
しかし、それらは二人には無関心であり、ただ走り去るのを見るだけ。
「あんた、本当に何者なの」
「・・・ただの旅をしているだけの男だ。とりあえず、外のKMFを使って、救出する」
「そんなの、どうやって」
「少しな」
そう言って、ライは、自分のノートパソコンを取り出す。
それを起動させると、画面に何かしらのプログラムを走らせていた。
そして、その画面を見ると、女性も驚くような事が書かれていた。
それは、この施設の地図であった。
そんな地図に従い、そのまま外へと脱出する事にした。
「外へと出られたけど、どうやって」
「さっきも言ったはずだ、KMFを利用する」
「利用と言っても、人が入れる程度で」
「さっきまではね、けど」
そうしながら、ライは、そのままドットフェイサーに乗り込もうとする。
それは、女性もまた、乗り込む。
「一緒に入るのか?」
「あんたが、まだ、信用出来た訳じゃないからね」
「・・・そうか、それでも良い。今は救出が、第一だからな」
そうしている時だった。
既に、ライ達の侵入に気づいた集団。
その集団は、既にKMFがいた。
その中央のKMFを、彼女は、アヤノは知っている。
「アフラマズダっ」