「これって」
カレンは自宅へと帰ってきた時、そこには何もなかった。
ドットフェイサーが格納されていた地下の格納庫。
あの機体から、何か情報がないのか。
それを確かめる為に訪れたが、そこには何もなかった。
「もしかして」
その心配と共に、すぐに家に戻る。
そこには、カレンの母が、リビングにいた。
「お母さん、ナオトは」
もしかしたら、知っているかもしれない。
その淡い希望と共に問いかける。
すると、母は、その手にある手紙をこちらに差し出す。
「あの子は、旅に出たわ」
「旅に」
その言葉と共に、渡された手紙に目を向ける。
『この手紙を読んでいる頃には、俺はこの家を出て行ってます。これは、姉さんと母さんが嫌いになった訳ではありません。今回の一件で、奴らの狙いが俺である事が分かりました。それを防ぐ為に、そして俺自身の事を決着をつける為に』
「ナオト」
手紙に書かれている文を読みながら、カレンは涙を流す。
何故なら、その結末が予想出来てしまったからだ。
だからこそ、涙を止められない。
「分かっていたかもしれない」
かつての、黒の騎士団として、戦う時に覚悟していたはずだった。
でも、それでも、こうなる事は知っていたとしても、悲しくない訳ではないのだ。
「私は、何も出来なかったのかな」
そう、カレンは言う。
けれど。
「そんな事、ないわ」
「母さん」
すると、母が、カレンの手を重ねる。
「あの子、出ていく時に言っていたわ。一緒に過ごせた日々。それはとてもかけがえのない日々だった事。そして、それを守る為に戦うと」
だから、と母は言う。
「私達は、見守るしかないのよ。それがどんな結果であろうとも、ね」
それに、カレンは涙を拭いて答える。
「うん、そうだよね」
「そうよ」
そして、母もまた、涙を流す。
「だけど、ナオト、今、どこにいるの」
カレンの言葉には、心配が混じっていた。
そして、その言葉に、誰も答えられなかった。
それと共に、カレンが心配した相手であるライ。
彼は、今、ドットフェイサーを操作しながら、とある場所へと向かった。
本来ならば、KMFは目立つが、以前の騒動、そして物陰を利用しながら移動を行った。
「ここって」「へぇ、以前から頼まれていた事とはいえ、本当にここに来る人がいるんだ」
その場所は、シンジュクゲットー。
かつて、エリア11において、黒の騎士団の象徴と言えるゼロ。
そのゼロが最初に現れたとされる場所。
そこに住んでいた住人のほとんどは殺され、既に崩壊しかけている建物しかない為、誰もそこには近づかない。
そんな場所に、ライは訪れている。
向かい合うようにいる人物は、ライを見つめる。
「初めまして、私は更識楯無。とある任務で、あなたが来るのを待っていた人物よ」
「…敵か」
「あなたの行動次第には、そうなるかもね」
そう、彼らは問いかけを行っていく。