遅くなりまして、申し訳ない。
「はぁ、はぁ……!!?ひ、ひいぃぃぃぃっ!!?」
満月が照らす“元”ドミナス帝国領地の森の中、その森の中を汗をかきながら必死な形相で逃げ進む青年がいた。
その青年の背後を武器を持った怒りに満ちた表情で、追い立てている者たちがおり、その者たちは青年を探しながら叫んでいた。
「おらあぁぁぁぁっ!!!逃げんなクソ野郎!!!」
「今までの所業を忘れさせるな!!!あいつを殺せぇ!!!」
「「「「ドミナス帝国の生き残りを生かしておくなぁ!!!!」」」」
「(何故……何故だ!!?何故私は逃げている!?何故私は追われている!?私は、ドミナス帝国の最高位魔導士だというのに!?)」
彼の人生は順風満帆であった。
王の勅命を受けて他国へ潜入し、その国の女や重要人物を使い、帝国臣民の欲望を叶えていき、自身も研究や褒美を受け取って幸せに暮らしていた。
今回もエルスタイン王国の姫と騎士を辱めて、たっぷりと楽しめる筈だった……しかし、その国の男の1人が邪魔したせいでケチがついたのだ。
忘れもしない、あの使用人の小僧が邪魔した事でエルスタイン侵攻に軍を動かすことになった。しかし、それでもドミナス帝国の方がエルスタインよりも将兵の数も士気も高かった……ソレで終わりだと思っていた。
しかし蓋を開けてみれば、ドミナス帝国200万の軍勢は、“
「はぁ、はぁ……!!あ、くぁ……!?」
「見つけたぞ!!!」
「あそこだ!!」
「ひぃぃっ!?……あ。うわああああああああああああっ……!!!?」
村人に見つかった彼は崖から転落していき、奈落の奥深くへと落ちていき、彼は崖から落ちた時に負った怪我による痛みに悶える。
「は、はが、あぁ……何故、だ。何故私がこんな辱めを受けなければならないんだ……。何故だ!何故〜〜!!!」
痛みに悶えながら彼は自分がこんな無様な思いをした
「アイツだ……あの男のせいだ……!あの男……ラジエル・フィオーラ……!!」
自分を泥まみれにし、転落人生に突き落とした男……エルスタイン王国の使用人、“ラジエル・フィオーラ”に怨みと怒りの怨嗟をぶつけていく。
「やつのせいだ……。奴が邪魔さえしなければ私はこんな惨めを味合わなくて良かったんだ……!!奴が悪い、奴が悪い!悪い!!悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い悪い!!!ラジエルが全部悪いんだ〜〜!!!」
彼は立ち上がると、砕けた骨が肉に刺さる痛みも構わずに歩き出していく。
「殺してやる……殺してやる……殺してやる……きひ、きひひひひひっ!エルスタイン王国、その民も、王女も、騎士も全てを穢して……その上で、奴に最高の絶望を与えてやる!!!!!!!けはははははははははははははははっ!!け〜はははははははははははははははっ!」
彼の叫びに呼応するかのように空がどんよりと曇り、雷鳴と雨が降り始めるのであった……。
♢◆♢
彼は崖の岩壁を魔法で削ると、巨大なトンネルを作り奥へ奥へと進んでいく。
そして、開けた場所に出ると地面に魔法陣を描き、更にナイフで髪を切り、掌を切って血を魔法陣に垂らしていくと呪詛を込める。
すると、魔法陣は怪しく光り、おどろおどろしい泥の怪物が生み出された。
「きひひひひひっ!まずは一体……あと49体。」
彼は自分の眷属を生み出そうとしていた。
彼自身の命令を忠実に従う下僕を……。
「魔物も人間もいらない。私だけの下僕で充分……待っていろエルスタイン王国、待っていろラジエル・フィオーラ。この私に与えた屈辱、必ず晴らさせてもらうぞ。
きひっ!きひひひひひっ!!」
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