ドミナス帝国軍200万の軍勢、それを1人で退けたラジエルは、エルスタイン王の前に引き出されていた。
そんな彼を見て、エリーゼは驚きながらも彼の顔を見ることが出来なかった。
「ラジエル・フィオーラ……使用人であるキミが、まさか帝国軍を退けてしまうとは。だが素直に答えよ。
何故我々に隠していたのだ?」
「隠していたわけではありません。気づいた時には使えてました。しかし、言うほどのことでもないと思い、自己鍛錬をしていました。」
「それは何故だ?」
「……両親の敵を打つためです。出来るのなら帝国の民の1人残らずに始末する。」
ラジエルの言葉とその眼には確かにドミナス帝国に対する憎しみや怒りが浮かんでおり、それを見たエルスタイン王はその目を見て俯く。
「……それ程までにドミナス帝国を恨んでいようとは。察することが出来ず、済まなかった。
だが、だからといって勝手は許せたことではない。
此度の処遇の沙汰が出るまで、軟禁とする。」
「!?しかし、お父様!彼は「エリーゼ!慎みなさい!」っお母様……。」
「ラジエル・フィオーラ……王命である。
此度の件、ドミナス帝国との和議が結ばれるまでの間、そなたを軟禁する。」
「……承知いたしました、エルスタイン王。」
ラジエルは兵に連れられて、彼の部屋まで連れられて行ったのであったが、此度の件に不服である娘、エリーゼがエルスタイン王に申し出た。
「国王様!?何故、彼を軟禁するのですか!?
彼は国を救ったというのに!」
「エリーゼ、控えなさい!!」
「彼は、ラジエルはこの国のために戦ったのですよ!?それなのに、彼を軟禁するだなんて……!
何故なんですかお父様!?」
愛娘であるエリーゼからの必死の訴えに、国王は辛そうに顔を背けて俯きながら、絞り出すように答える。
「これは、仕方のない事なのだ。
確かに彼の功績ではあるが、それを認めては帝国に付け入る隙を与えてしまう……!」
「それは……。ですが……!」
「エリーゼ、彼を悪いようにはしない。
此度は帝国からのどんな申し出も断るつもりだ。
事が解決するまで、彼には辛い思いを強いるが、必ず自由にする。」
国王の言葉に、エリーゼは目を伏せた。
その後、帝国との会談が執り行われたが、帝国は200万の将兵の命を奪った事の賠償を求めたが、その申し出は認められないと、申し出を突っぱねた国王は、それなら帝国が遊びで殺した民の命はどうなると反論し、帝国の皇帝はぐぅの音も出なくなった。
そして会談は長時間にも及んだが、なかなか落ちどころが見つからずなのであった……。
◆◆◆
その頃、王によって軟禁されたラジエルは、自室の中にある寝台の上で横になっていた。
ラジエル軟禁の報せは城内には知れ渡ってないが、彼がいないことで、何かあったのではという考えが一人歩きしていた。
そんな中、ラジエルの部屋を訪ねてきた人物がいた。
「ラジエル、私だ。起きているか?」
「アンジェリカ様……?起きてますよ。開いてますからどうぞ。」
ラジエルの言葉に、エリーゼの近衛騎士であり、エルスタイン王国の最強の騎士団長、アンジェリカが部屋に入ってきた……。
腰にエリーゼより賜った剣を差して……。