【負けちゃう】ぜらちな♥ますたー☆ 少魔女シユは負けない 作:夜ノ鳥羽リナ
「あそこの沼ダンジョンは雄ダンジョンだからな」
「ダンジョンに雌雄があるんです?」
「そんなことも……悪い、ダンジョン都市じゃ常識だったんでな」
先日沼ダンジョンを教えてくれたギルド受付の青年リセップは、シユに軽く謝って頷いた。
「ダンジョン主の性別によるらしい。女主だと雄の魔物が多く、男主だと雌の魔物が多くなる。どっちでもない性別無しのダンジョンもあるんだ」
「沼ダンジョンの主は雌型の魔物ということですか」
「魔物の生態はよくわかっちゃいない。まあ何もない場所にダンジョンが出現するんだから、普通に出産するわけじゃないんだろう。捕まえた獲物を苗床にする魔物もいる」
「なえ……」
ええまあ、知ってる。知っていますよ。
ダンジョン以外にもそういう魔物はいるし、シユだって受胎させられたり寄生されてたり。
授精種付けセックスの満足感も、わからされちゃったし。
言えないけれど。
「だからカエル魔物に全部金玉があったわけですか」
「言うねぇ女の子なのに。しばらくの宿代くらいにはなっただろう?」
「……ええ、まあ」
ナマズに全身犯されて、集めた金玉もなくしてしまったとは言えない。
また行く気になれない。
進化したナマズールがまだ浅い階層にいるかもしれないし、あれはシユの匂いを覚えているはず。
戦って勝てないわけではないけれど、なんとなく嫌だ。
『忘れられなくてまた来たんだろう?』
クズな元カレと再会しちゃう感じで、よくない。
「とりあえず、他にも何か稼げそうなダンジョンはありませんか?」
「他に、少魔女単独で、ねぇ」
条件が厳しい。
やはり誰かと仲間を組まないと無理か。
そう思って酒場兼食堂を見回せば、先日も見た貴族の少女がいた。
「……」
「戦姫キアラな。昨日まで一緒だったメンバーと揉めたらしい」
「へえ」
貴族のお嬢様だ。冒険者なんかとうまくやれるはずもない。
「トイレ問題だと。免状持ちの狩人なら消化物完全分解でウンコはしなくても、体に溜まった水は出さなきゃならんからなぁ。あんな綺麗なお姫さんでも」
「女の子の前でよく言いますね」
「金玉とか平気で言ってただろうが」
わからないでもない。その辺で野良おしっこするのが嫌で、毎度
慣れた冒険者からすれば鬱陶しい。
わがままな貴族娘なら、せめて排尿音声のサービスシーンくらい提供しろと。
「それであの女神官……乳舞エフラウでしたっけ? 彼女と……」
「お待たせしました、キアラ様」
女神官とも喧嘩したのかと思ったら違った。
童殺聖女服の女神官。背中からお尻、横乳もよく見える聖女服。ギリ股丈の服から豊穣すぎる太腿が眩しい。
太腿の途中にはめられた金環が、ももの肉をさらに強調している。もちろん素足。魔力系なら当然。
「エフラウ……一人だけ?」
「そうおっしゃらないで下さい、キアラ様」
一人、と言われたのはエフラウのことではない。
エフラウの後ろに、明らかにセックス後の距離感で一緒にいる男のこと。
たぶん、つい今まで童殺聖女服の裾をまくり上げて繋がっていた近さ。
「腕の立つ魔法使いがいればいいんですが、単独でそういるわけではありませんし。盾持ちが二人ほしいと言ったのは安全の為です。一人でもいて下されば助かります」
ね、と。
後ろの男にお尻でうながすエフラウに、重装の壮年男はにやにやと笑って同意した。
「おお、俺が姫さんも姉さんもしっかり守ってやるぜ。ガドーだ」
本当は魔法使いが仲間にほしいが、実力があるのに事情があってフリーの魔法使いなんて簡単に見つからない。
戦姫キアラはスピード勝負型に見える。女神官も前衛向きではない。
だから盾役がほしい。できれば二枚というのも不測の事態を考えればわかる。
「……」
「魔法使いが必要だってよ」
「聞いていませんけど」
「聞こえてただろ」
ギルド職員リセップが顎でうながす。
金が必要なら、わがまま言っていないで妥協しろと。
「はぁ……」
確かに、単独でダンジョン探索が危険なのはわからされたし、相手方が求める能力がシユにはある。
男パーティに入ればおしっこは覗かれるだろうし、力づくで犯されることもありそう。
女だけパーティというのも探せばあるけれど、身内意識が強い。
今のシユに、他に選択肢はなさそうだ。
「……あの、」
少なくとも戦姫や乳舞女神官に性的に襲われることはない。
お金の為の関係なら、貴族様相手でも我慢できる。
* *** *** *** *
「遅いわね、エフラウたち」
「……」
二年ほど前に発生した森林ダンジョンの中層まできて、戦姫キアラはレイピアを磨いて周囲を見回す。
既に彼女らは浅い層の探索を終えていて、ここまでは早かった。
町を出て一日少し。
「……意外と強いですね」
武器戦闘を得意とする女狩人もいる。
筋力では男に劣る。その代わりに魔法力で自分を強化して戦うタイプ。
「そう? あなたも大したものだわ、シユ? 魔物探知の速さと正確さ」
「それくらいしかしていません」
「それが必要だったの。私には」
戦姫キアラの剣技は洗練されていて正確だった。
木陰から襲ってくる野犬の群れを、シユが出したマーカーを見て即座に優先順位付け、貫通。
対処しきれない数は前衛戦士ガドーが防ぎ、必要ならエフラウとシユが撃退する。
ここまでにシユは魔物感知くらいしかやっていない。
「エフラウさんにはできないんですか? 魔物探知」
「彼女は神官だから。敵意感知はできるんだけど、あれってふわっとしているのよ」
「なるほど」
魔物以外の敵意も感知できるけれど、居場所や数を特定するのには向いていない。
だから魔法使いがほしかった、と。
「私の知っている少魔女では二番目に優秀ね。あなた」
「……そうですか」
誇りに思いなさい、という感じの笑顔のキアラだけれど、シユは素っ気なく返す。
二番目、と言われて素直に喜べるほどシユは安くない。
『シユちゃんが一番だよ』
フェラご奉仕中にヤドインに言われたことを思い出して、少し恥ずかしくなってうつむいた。
シユ、一番がいい。
「ふふん」
キアラはシユが褒められて照れているのだと勘違いしたらしく、得意げな様子。
このバカ貴族娘、ほんとバカ。
「近くの様子を見に行っただけのはずなのに、遅いわね」
「それは……シてるからでしょう?」
「偵察だけなら遅すぎるわ。もしかして何かあったのかも」
「ちょ、っと待って下さいキアラ……様」
キアラが何を言い出すのかと、目をぱちくりさせて戸惑い、少し慌てる。
「何を待つの? エフラウたちを助けに」
「そうじゃなくて……その、本当にわからないんです?」
「何のこと?」
「ええと、その……エフラウさんとガドーさんは、あの……セックスされているんだと思います、けど」
「???」
今度はキアラが、青い瞳をぱちくりと。
二人で偵察に行くと言った時の様子が、酒場から男女が連れ立つ時の雰囲気だった。
これから
「せ……生殖行為ってこと、かしら?」
「ええ、まあ、そうですね」
「あの二人ってそんな親密な関係に? やだ、私ったら……」
理解したのかと思ったが、やはり誤解している。
別に親密な関係ではないと思う。どちらかと言えば上辺だけの、肉体だけの関係というか。
たぶんエフラウは、同行してもらう交換条件として体を提供している。彼女の愉しみなのかもしれないけど。
「そうね、エフラウもいい年齢のはずだもの。旅先で殿方と恋に落ちることだって……」
「いえその、ええと……」
面倒くさい。
とりあえず、情事の現場に向かうことを止められればいいか。
あの短い裾の童殺聖女服で聖職者らしくノーパンなら、野おしっこ感覚で背面挿入できるはず。
声が聞こえない程度まで行って、木陰でヤっているのだと思う。
「戻ったら聞いてみるわ。聖職を辞して彼と添い遂げるのか、ガドーの方が洗礼を受けるのか」
「それはいけませんキアラ様。こういうのは、エフラウさんからキアラ様にお話しされるまで待つ方がいいです」
「そう……そうかしら?」
「そうなんです」
ああもう、面倒くさい。
とりあえずこのダンジョン探索中にややこしい話になるのはごめんだ。
「ほらその……気恥ずかしいこともありますから。今はキアラ様に隠れて愛し合っているお二人の気持ちを察してあげる方がいいですよ。それが大人の付き合いです」
「うん……そう、ね。シユの言う通りだわ」
「ええ」
それで納得して解決したかと思ったのだけれど。
事態は夜、また変な方向に転がった。
* *** *** *** *