ママ大好き
◆
はっ、はっ、はっ、と荒い息遣いが暗い部屋に響く。
息遣いは二つ、俺と──母上だ。
「は、母上、もう……」
情けないが、俺はもう達してしまいそうだった。
もっと母上を悦ばせたいが、母上の肉壺は俺のものを優しく絡め取り──それでいて強く締め付けてくる。
「良いのですよ、ハイン。この母の中へ全て出してしまいなさい」
母上はそういうと、俺の両頬に触れた。
「母上!」
こうなるともうダメだった。
俺は母上に接吻をし、その甘い舌に自身の舌を絡め、気が狂う程の快楽と無限大の愛による安堵を同時に覚えながら射精した。
・
・
「母上、動かないでください」
俺はくすぐったがる母上の肌を清潔な布で拭う。
「あらまあ、優しいのねハインは」
「私が優しいのは母上にだけです」
俺はそう答える。
これは全くの事実だ。
母上以外のすべての存在に価値がない。
「そういえばハイン、明日から学園ね。ちゃんとお勉強をするのよ」
「無論です。有象無象の屑どもの囀りにも耐えて見えます」
「こら! もう……お口が悪すぎるわよ」
母上に叱られてしまった。
「は……。申し訳ありません。さあ、綺麗になりました。あとは──」
俺は母上の背に掌を当て、魔力で薄い膜を作って包み込む。
これは膜内の温度を一定に保ち、あらゆる……とまではいかないが、その辺の力自慢が力を込めて剣を振り下ろしても傷一つつかない防御膜だ。
本来ならばこんな子供騙しではなく、戦術級の儀式祈祷にも耐えうる防壁を張り巡らせたかったが、母上は派手な魔術はお嫌いらしい。
俺は護らせてくれと泣いて懇願したが、結局受け入れてもらえず──最終的にはこの防御膜だけで折れる事となった。
「あら素敵」
母上が笑顔を浮かべる。
するとどうだ、俺の胸の内に灼熱に燃ゆる何かが生まれるではないか!
俺は断言できる。
これこそが愛だと。
決してこの笑顔を曇らせてはならない。
そのためなら俺は、愚鈍でクソのような劣等共を友とすら呼べるだろう。
◆◆◆
セレンディア大陸中央部に、ガイネス帝国という大国がある。
そしてガイネス帝国には十二公家とよばれる公爵家が存在しており、そのうちの一つにアステール公爵家という大家がある。
アステールの血を引く者は魔術に優れる事甚だしく、特にハイン・セラ・アステールはアステール史上もっとも強大な魔力を誇る麒麟児であった。
しかし
だが、本来の歴史というモノがあらゆる時空に存在するただ一つの歴史なのだろうか?
平行世界というものある。
ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界を指す言葉だが、
そして、この世界のハインもやはり
それは──極度のマザコンだということだ。