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──少し働かせすぎたかな
ハインは眼前の光景を見てそう結論付けた。
忠実な従者が主の前で突然衣服を脱ぎ捨てる。それは明らかに常軌を逸した行動だ。
疲労が蓄積し正常な判断力を失っているのだろう──ハインはそう考える。
だがハインは同時に、別の感情も抱いていた。
主として忠実に尽くしてくれる臣下には報いる必要がある。
それはアステール公爵家次期当主として当然の責務であった。
「お前はどうされたいのだ?」
ハインはフェリに尋ねる。
その声の調子は平坦そのものだった。
当たり前だ。
ハインはフェリの全裸を見ようが、なんとも思っていない。
可愛いペット──犬やら猫やらを飼っていたとして、そのペットが生まれたままの姿でいることに劣情を抱く飼い主がいるだろうか。
いない。
ハインのフェリに対する感情とは、その様なものだった。
所有物であり、道具であり、それ以上ではない。
しかし、それはそれとして。
──フェリがこの様な行動に出た以上、何か理由があるはずだ。要するにフェリは、俺に体を見て欲しいというのだな
ハインはそう解釈した。
──褒美としてそんなものが成立するのかは甚だ疑問だが、本人が望むのなら叶えてやるのが主の度量というものだ
だがここで待ったが掛かる。
──いや、待てよ。話の流れを整理する必要がある。先ほどまで俺たちはあの劣等雌……カレルの治療について話していた。俺がどのように魔力の凝りを解きほぐし、器を修復したかを。そして今、フェリは全裸になっている
ハインはここで気付く。
──フェリもまた、あの劣等雌の様に魔力の流れが不全だという事か。なるほど。この女は優秀だが、どうにも奥ゆかしいというか、肝心なところで言葉足らずな部分があるな。自分の不調を素直に口に出せず、このような形で俺に訴えかけてきたのだろう
──それならそうと早く言えばよいものを。奥ゆかしいのも限度があるぞ
そんな風にハインは内心で大きくため息をついた。
ハインはゆっくりと立ち上がり、フェリに近づく。
フェリは微動だにせず、ただハインを見つめている。
その瞳には、覚悟と、そして微かな期待の色が浮かんでいた。
だがハインはそんなものには気づかない。
彼の関心はフェリの体内に流れる魔力の状態のみに向けられていた。
「ふむ」
ハインはフェリの全身をくまなく診始めた。
まずは視診。
森羅万象を見徹す魔眼を以てその肉体の深層までを透かし視る。
艶を帯びた褐色の肌。
鍛錬によって引き締まった筋肉。
そして、その肉体とは不釣り合いなほどに豊かな双丘。
魔力の流れは一見すると淀みなく循環しているように見える。
特に異常は見当たらない。
──だが、視ただけでは分からない、微細な凝りがあるのかもしれんな
そう考えたハインは、“診察”の強度を高める事を決断する。
「目でだめなら、直接触れて確かめるまでだ」
ハインはそう呟き、フェリの体に手を伸ばした。
触診の開始である。
ハインには性的な意図など微塵もない。
これはあくまで診断であり、治療の前段階だ。
だが、その光景は酷く淫靡なものとならざるを得なかった。
なぜならハインという男は完璧主義者だからだ。
診断するからには文字通り全身くまなく、徹底的に調べる必要があった……少なくともハインにとっては。
◆◆◆
フェリは目の前に立つ主の冷たい指先が、自分の肌に触れるのを息を詰めて待っていた。
最初に触れられたのは、その豊かな乳房だった。
「んっ……」
思わず声が漏れる。
ハインの指先が褐色の肌に触れた瞬間、フェリの体が微かに強張った。
ハインは構わず、その指を乳房の付け根に滑り込ませる。
そしてゆっくりと、しかし確かな圧をかけながら、その形状を確かめるように揉み始めた。
まるで粘土をこねるかのように、無造作に、しかし丹念に。
「凝りがあるな」
ハインが独りごちる。
その言葉にフェリの心臓が跳ねた。
指が豊満な肉の奥深くまで沈み込む。
そして、その頂点──硬く尖った乳首を、親指と人差し指で摘まんだ。
「あっ……!」
フェリが息を呑む。
ハインは摘まんだ乳首を軽く引っ張り、そして捻った。
魔力の通り道を確認するための、極めて事務的な動作。
だがフェリにとっては違った。
冷たい指先から伝わる刺激が、背筋を駆け上がり、脳髄を直接揺さぶる。
甘い痺れが全身に広がっていく。
「若さ、ま……そこは……」
「黙っていろ。集中できん」
ハインは一蹴し、今度はもう片方の乳房にも手を伸ばす。
両手で双丘を鷲掴みにし、下から上へと持ち上げるように揉みしだく。
その手つきは容赦なく、フェリの白い歯が下唇を噛んだ。
「はぁ……っ、ん……」
甘い吐息が漏れる。
フェリの体は正直だった。
主に対する忠誠心とは別に、女としての本能が、その指先に反応してしまう。
ハインは乳房の診断を終えると、次に脇の下へと手を滑らせた。
リンパの流れと魔力の循環経路は密接に関係している。
そこを確認するのは当然の事だ。
ハインの指が汗で微かに湿った脇の下を這う。
くすぐったさと、それ以上の何かが、フェリの体を震わせた。
「ひゃっ……!」
思わず声が漏れるが、ハインは意に介さない。
次に、その手は背中へと回った。
肩甲骨の周辺を丹念に指圧し、背骨に沿って指を滑らせる。
そこには幾筋かの古い傷跡があったが、ハインはそれすらも診断の対象とした。
傷跡周辺の魔力の流れに乱れはないか。
そして、その手は腰のくびれを通り尻へと到達する。
鍛え上げられた、しかし女性らしい丸みを帯びた臀部。
ハインはその両方を掌で包み込み、強く揉んだ。
「ふっ……ぅ……」
フェリは腰を浮かせてしまいそうになるのを必死に堪える。
だが、ハインの診断はまだ終わらない。
彼の関心はさらに下へと向かっていた。
下腹部。
女にとって最も魔力が集まりやすく──そして、最も秘められた場所。
ハインの手が滑らかな褐色の腹部を撫でる。
そして、その指先が、茂みの入り口に触れた。
「悪いが、ここも調べるぞ」
ハインは淡々と言った。
「なに、魔力の流れに触れて直接診断するだけだ」
その言葉にフェリの目が大きく見開かれる。
──ああ、ついに
フェリは覚悟を決めていた。
そしてハインは迷いなく──フェリの膣に指を挿し込んだ。
「ああっ!!」
フェリの口から甘い悲鳴が上がる。
異物が侵入してくる感覚。
そしてそれ以上に強烈な快感が下腹部から全身へと広がっていく。
乙女の秘部は既に濡れている。
だがそんな事はお構いなしにハインの指がその濡れた粘膜を掻き分けるように奥へと進んでいく。
濡れていることに対して、ハインは何とも思わなかった。
「ふーむ?」
ハインは首を傾げた。
指先から伝わる感触。
温かく、そして柔らかい。
だが、魔力の流れに異常は感じられない。
むしろ、極めて良好な状態だ。
ハインはさらに深く指を挿し入れ、内部を探る。
その指が、膣壁を擦り、奥の敏感な部分に触れた。
「ああっ……! 若様っ……!」
フェリが嬌声を上げる。
腰が砕けそうになるのを必死に堪え、両手で口元を押さえた。
だがハインは容赦しない。
診断のためである。忠実な臣下の肉体に異常がないかどうかを調べるためである。仕方がないのだ。
ハインは挿入した指をゆっくりと動かし始めた。
前後に、そして左右に。
まるで何かを探すかのように、執拗に内部を掻き回す。
「んんっ……! はぁっ、あ、あっ……!」
フェリの体が大きく跳ねる。
快感の波が次々と押し寄せ、思考が白く染まっていく。
ハインの指が決定的な一点を捉えた。
それは病理的な意味での“決定的”ではない。いうまでもなく、性的な意味での“決定的”である。
そしてそこを強く、的確に、擦り上げた。
「いやああああっ!!」
フェリの絶叫が響き渡る。
その体は弓なりに反り返り、そして、がくりと力が抜けた。
絶頂。
フェリは完全に意識を飛ばし、その場に倒れ込んだ。
ハインは咄嗟にその体を抱きとめる。
「やれやれ、大袈裟な奴だ」
ハインは溜息を吐きながら、ぐったりとしたフェリを見下ろす。
魔力診断の負荷に耐えきれず、気絶してしまったのだろうと解釈する。
だが、その表情には満足の色が浮かんでいた。
「しかし喜べ、フェリ。お前の体に異常はない」
ハインは意識のないフェリに語りかける。
「魔力は全身を正しく流れている。お前の気のせいだ」
そう結論付け、ハインはフェリをベッドに横たえた。
自分の診断が完璧であったことに満足しつつ、再び読書に耽る。