◆
ハインに侍る事で満たされている御蔭で
そして、食べ物というのは手を加える事で味が良くなる──料理というやつだ。
オーマも
・
・
漆黒の身体から無数の触手のようなものが蠢き出している。
囲には影が渦巻き、足元の大地さえも黒く染め上げていく。
そして触手はまるで意思を持つかのように、うねりながらゆっくりとシャルキへと迫っていた。
「ひっ……!」
常の強気なシャルキはどこにもいない。
震える足を引きずるようにして、地を這いながら逃げようとしているシャルキはまさしく敗残者であった。
しかしその動きは遅く、まるで粘度の高い泥沼を這い進んでいるかの様だ。
事実、シャルキは自身の体を鉛のように重く感じていた。
ハインに地に叩き落とされた際、身を護るために全力で魔力を行使してしまったからだ。
残された体力もほとんどない。
「に、逃げなきゃ……だめ、絶対にだめッ……!
シャルキの声は細く、かすれていて、弱々しい。
手を突っ張り、少しでも逃れようと地面を掻きむしるが体は遅々として動かない。
オーマの触手はまるで生き物のように動き回り、シャルキの周囲を囲んだ。
逃げ場を完全に閉ざしたのだ。
そして
オーマは相手の心に潜む負の感情を増幅させる。
この影響をモロに受けてしまったシャルキは心臓を締め付けられるような思いを覚えていた。
まるで心臓を冷たい手が握りこんでいるかの様に息苦しい。
足が動かない。
逃げたいのに、全身が萎えてしまい、ただの一歩も動かせない。
「いや……いや……いやぁぁっ! だれか、誰か助けて!!」
シャルキは声を振り絞って叫ぶが応えはない。
ただ、彼女の部下であった骸だけがその声を聞いているのみだ。
◆
オーマはその動揺と絶望を楽しんでいるかのように、触手を少しずつ動かしながらシャルキに近づいていった。
彼女の恐怖が彼の力を増大させるたび、オーマの漆黒の体が光を吸い込むように濃くなり、影が濃密さを増していく。
「ひ、な、なに!? なんなの!? なんなのよ!」
影の触手がシャルキの四肢に巻き付いた。
先端がボコボコと膨らみ、小さな口が形成される。
頭でっかちの黒蛇のようなそれが、シャルキの全身に噛みついて──
「あ、あぁ!?」
シャルキは体に何かを注入された様に感じた。
噛まれた瞬間は熱く、しかし体内を通っていく間は酷く冷たい何かが全身に回っていく。
「な、なにを……え……? ん、んんんッ……!」
シャルキは思わず声を押し殺した。
触手が胸の先端を擦る際、まるで己の最も敏感な部分を刺激されたような、そんな快感が背筋を駆け抜けたからだ。
それは未知の感覚だった。
今までの人生の中で一度も味わったことのないものだ。
シャルキは戦士として生きてきて、男を知らない。
ましてや自分で自分を慰める事など考えもよらない。
だが本能的に理解する──これが快楽なのだと。
「ふぅーッ……うぅッ……」
歯を食い縛り必死に耐えるシャルキだったが、体の芯から湧き上がる衝動には抗えない。
腰が砕けそうになりながらもなんとか耐えていると、今度は下腹部の奥底に熱いものが溜まってくる様な感覚を覚えた。
──まさか……
知識としては知っている
そんな最悪の想像をした直後、その予感は的中した。
「ひっ……!?」
股間部に鋭い痛みを感じ、目を向けると、下半身を護っている筈のタセットが剥がされてむき出しになった股間に触手があてがわれている。
「そ、それぇ……おねがいぃ……やめて……お願いだからぁ……!」
シャルキの声を無視し、触手は無慈悲にもそれを挿入し始めた。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!!」
処女膜を引き裂かれる激痛に絶叫を上げるシャルキ。
だが、オーマの力によって増幅された苦痛はすぐに快楽へと変換される。
「あっ……あぁぁっ!!?」
この感覚の転換がシャルキには何よりも恐ろしい。
まるで自分の下半身が別の何かに作り替えられているようなおぞましい感覚。
さらに、下腹部にもぐりこんだ黒い触手が、自身の膣からどんどん
これはオーマが
痛みを中和させ、それでいて自身が異物に浸食されつつあると自覚させ、恐怖を増大させようとしている。
オーマは光、命を好んで食すが、負の感情はそれらを際立たせる為のスパイスだ。
だから "食事"をより美味なものとするため、オーマは何でもやる。相手が感じるであろう負の感情なら何でもいい。
恐怖、苦痛、悪意、敵意、不安感、恥辱。
そんな暗い感情を際立たせる為だったら何でもやるのだ。
◆
「も゙ッ……や、め゙、て……ッ!」
奥へ、奥へ。
触手がシャルキの膣へねじこまれ、そして引き抜かれる。
それが何度も何度も何度も繰り返されている。
痛みはない。
触手から分泌されている粘液と、シャルキ自身が分泌する愛液が抽挿を助けていた。
しかしそれでも子供の腕程にも太いそれがねじこまれて、痛みがない筈はないのだ。
「ひィッ……ぎ、あ゛、あ、奥、おぐッ、ぅ……♡」
だがシャルキは痙攣しながらそれを快感として受け止め、くぐもった嬌声混じりの悲鳴をあげている。
先ほどシャルキへ注入された液体が強力な媚薬となり彼女の苦痛を和らげている。
オーマはシャルキの反応を見ながら、完全に快楽に溺れる事の無いように
この悪霊は性欲からシャルキを犯しているわけではないのだ。
嫌悪感や不安感、恥辱を増幅させる為に、いわば
時には敢えて痛みを与える様な事もしていた。
オーマの触手が内壁を擦る度に、ゾクゾクと体の芯から湧き上がる恍惚感と、異物が侵入してくる痛みに歯を食い縛る事でその衝動を堰き止めている。
だがそんな我慢は長く持つものではない。
シャルキは目を見開き、舌を突き出して痙攣したかと思うと、次の瞬間には意識を失ってしまった。
しかしオーマの責めは止まらない。
常人なら発狂しそうになるほどの強い快感によって叩き起こす。
そして一度目の抽挿は強い快楽、二度目は激烈な苦痛、三度目は快楽と、交互に刺激を与えてシャルキを休ませない。
そればかりか──
オーマはシャルキの尻に目を止めて何かを思案しているようだった。
ややあって触手の本数が増え、尻へと向かう。
臀部の肉を擦る様に這いまわる触手はやがて、先端をシャルキの肛門へつぷりと突き刺した。
「そ、そこ、は……ッ!」
そこは不浄の穴だ。断じて性交に使う場所ではない。
竜種は特にプライドが高い種族であり、こんな真似をされれば本来ならば相手か自分の死を以て恥を濯ぐ──それほどに強い羞恥心を引き起こす場所だ。
シャルキは顔を真っ赤にして目を怒らせて首を横に振った。
この時ばかりは快楽地獄の精神負荷に、プライドが勝った形となる。
そんな彼女を嘲うかのように、触手は先端からゆっくりとシャルキの肛門内へ挿入されていった。
最初は細いそれは段々と太くなり、さらには熱を持ちはじめる。
「ぉ、ぉああ、ァ……」
呼気と声が同時に出て、シャルキは膣を犯されながら失禁をした。
だがその間にも肛門を犯す触手は深々とねじこまれ、腸壁を圧迫し、そして──
一息に引き抜かれる。
限界まで我慢していた排便を済ませたかのような快感と、気が狂いそうになるほどの嫌悪感、恥辱の念──さらには継続的に与えられる膣への快感、そして苦痛がシャルキを襲った。
・
・
「もぉお゛! うぅ゛殺……゛し゛てっ! おぉ゛! 願……いぃ゛っだっか……あら゛♡もおっう……う私……の……っ事っをお殺……しぃいて……ぇ! ♡お願いいいしぃ! ます……゛か……ぁらあ……っ♡ぁ……!! ……もおぉう……こ……っ! ん! なあぁ゛! ♡の゛耐……♡え……! らあ゛♡れなぁいい゛! ……殺……せぇっ!! ……」
シャルキは限界だった。
目から、鼻から、口から液体を垂れ流し、死を懇願した。
強く、凛としていた竜種の戦士の姿はもうどこにもない。
そんなシャルキを眺めながら、オーマは再び思案し──
と思った。
◆
数時間後、シャルキはまだ生きていた。
しかし死んでいるのと大して変わりはない。
両手両足はもぎ取られ、膣と肛門は大人の拳が平気で入ってしまう程に広げられ、極めつけには穴が二つ増えていた。
両の眼窩だ。
ぽっかりと暗い穴が二つ。
本来眼窩にあるべきものは見当たらない。
オーマの手により眼球が抉り出され、穴は性器と同等に使える程度に
ぽかんと開けられた口から一体どれ程の悲鳴が絞り出されたのだろうか。
そんなシャルキを眺めていたオーマは
そして早速それを実行に移す。
オーマがびくんびくんと震え、やがてその肉体を細く細く……こよりのように細くして、シャルキの口から体内へもぐりこみ──
・
・
数十分後。
そこにはシャルキが居た。
もぎ取られた筈の手足もちゃんとある。
先ほどまでの、生きながらにして死んでいる風な様子でもない。
むしろ今のシャルキは精気に満ち満ちていた。
だが素振りが妙だ。
怒っているような表情を浮かべたかと思えば、いきなり笑顔を浮かべ、次には悲しそうな表情を浮かべたかと思ったら無表情になったりと不気味だ。
そんな風にころころと表情が変えていたシャルキだが、数分後、不意にその場を立ち去った──アステール公爵邸のある方角へ向けて。