◆
その夜。
「──と、言うような事があったんです」
俺は母上の乳房に頬を当てながら嘆いた。
母上の肌ときたら朝露が輝く花びらのように瑞々しい。
その滑らかさは絹のような、などという言葉ではとても言い表せない。
頬を当て、そして鼻の頭でそっと触れるように段々と頭の位置を変えていく。
そして夜天に煌々と、そして優しく輝く月の如き乳首を口に含むのだ。
「母上……ママ、ママ、私は、僕はもう限界です。あのナントカとかいうオスには我慢がなりません。なんとアレでも伯爵家の者だそうです……。この世界から一片も残さず消し去ってしまって良いでしょうか……? そうすれば足はつきません」
「あっ……ハイン、舌をそんなに激しく動かさないで……優しく、優しくね。それとその伯爵家の者の事を消し去ってはだめですからね、きっと何か誤解があったのよ。話し合えば分かり合えるという事もある筈……。ん……ハイン、もう、甘えん坊さんなんだから」
俺はちゅぱちゅぱと音をたてながら母上の乳首に吸い付く。
行為そのものよりも、乳首ちゅっちゅのほうが好きまである。
「……わかりました、ママ……。ママがそう仰るのならば」
俺の荒れ果てた精神は、母上の乳首によって完全に癒された。
草木一本生えない暗黒の荒地が──命溢るる大森林に変貌したのだ。
「いい子ね、ハイン。あなたはいつだって良い子──でも、
母上はそういって俺のモノに優しく触れる。
それは慈愛に満ちた手付きだった。
だが同時に淫靡な指使いでもあった。
「ママ……、そ、それ以上はッ!」
俺は思わず声を上げてしまう。
しかし、母上は容赦してくれない。
むしろ嬉々として俺のモノを責め立てる。
優しくも厳しい母上は創造と破壊、光と闇──万理を象徴する陰陽の具現化であった。
「ふぅーん、ここをもっと触ってほしいのね。先がぬるぬるしてきたわよ? ハイン、あなたがこんなにエッチな子だったなんて……」
母上が更に強く握った瞬間、俺は絶頂を迎えた。
「ああぁ!! ママッ!!」
俺は精を放出してしまった。
母上に抱きついたまま、そのままぐったりとする。
「あらあら、ハインったら……」
母上はそういって、俺の額に優しくキスをしてくれた。
嗚呼!
ただそれだけで俺は再び不死鳥のごとく蘇った。
「あらまあ……」
母上は雄々しくそそり立つ俺を見て、ゆっくりと体の位置を直す。
そして仰向けになった母上はゆっくりと両腕をひろげて、俺に言うのだ。
「おいで、ハイン。私の愛しい子」
「ママ、僕はママを愛しています……ママ好き……」
俺はゆっくりと俺のモノを母上のそこへと近づけていき……
『カンカンカンカン!!!』
けたたましい鐘の音で邪魔をされた。
◆
「警鐘……!?」
母上が立ち上がり、窓から外を見る。
「あ、あれは……」
「竜種ですね。またぞろ魔王軍の残党でしょう。ここ最近帝都襲撃の回数が増えているようです」
サイズ的にロー・ドラゴンだろう。
つまり地を這うトカゲよりは多少マシな程度の劣等ということだ。
「母上。ご心配なく。今宵は星が良く見える。あの劣等は私が速やかに始末してご覧に入れましょう」
俺は言うなりガウンを羽織り、窓から外へと飛び出した。
──
・
・
俺は垂直に急上昇し、雲の上に出て魔眼を以て劣等を捕捉した。
「劣等が~~~ッ!!! 母上との時間を邪魔しやがって……。バラバラに引き裂いてくれるッ!」
俺は星天に向けて人差し指をかざし──
◆◆◆
──ヴァー・レイ・ロブレス・オムニ・ス・ファレス。星蓋よ、砕けて墜ちよ
ハインが星喚びの祈祷を捧げると遙か星界とのチャンネルが繋がり、宇宙空間に漂う直近の小惑星を強く誘引した。
精々が直径5メトルほどの大きさだが、これはハインが魔力を抑えているからである。
といってもこのサイズの隕石が地表に衝突した場合、巨大な城であっても一撃で粉砕されてしまう程度には剣呑だ。
そして──
『死ねィ!
魔術が完成すると、暗闇を削り取る様な強烈が光が一瞬弾け散り──
帝都上空を旋回していた魔王軍残党の斥候ドラゴンが、凄まじい轟音と共にばらばらに爆散した。