【イベント 魔法協会】
夏休みも中盤に差し掛かったある日、同じ野球チームで魔法使いでもあるナギサに誘われて麻帆良の裏側……魔法使い達が経営している道具屋等が集まる魔法街という場所に来ていた。
ハリー・ポッターみたいに駅の壁にダイブ……というわけではなく、魔法を知らない人は入れないように認識阻害の魔法が使用されていた。
「ここが魔法街ですか」
「麻帆良には数百人の魔法使いが生活しているからね。というより麻帆良を拠点に魔法使いが日本で活動するからこうやって魔法使いの為のお店もあるんだよね」
杖屋やオコジョを取り扱っているお店、アーティファクトや薬品を取り扱っていたり、錬金術屋や道具の修理をするお店、表の医療では治せない傷を癒す治癒屋なんてのもある。
そんな魔法街の中でも一際存在感を放っている場所がある。
「このお店は?」
「魔法協会……通称ギルド。魔法世界だとファンタジーの冒険者という職業の人が本当にいるんだけど、旧世界でも魔法生物や魔法の材料を集めたりするのにここのギルドが活用されるんだよな。俺たち見習い魔法使いにとって金策する場所でもある」
確かに先程店先に並べられていた魔法の道具はどれも高い。
野球の道具を揃えたり、生活費でヒーヒー言っている僕にはとてもでは無いが手を出すことができないアイテム達だ。
「さあ入った入った」
西部劇の酒場みたいな扉を開けると漫画とかに出てくる冒険者ギルドみたいなのが確かにあった。
ギルドに居る人達は普通の服装に見えるが、全員魔法使いなのだろう。
テーブルでは酒を飲んでいる学生が居たり、料理を楽しんでいる人もいる。
「魔法世界だと酒に年齢制限は無いからな。パワプロも一杯いっとくか?」
「いや、今回はやめておきますよ」
「そうか……とりあえず登録をしておこう」
受付に行くとサングラスを掛けたダンディな男性が水晶を磨いている。
「鈴木さんこんにちは」
「ああ、ナギサの坊主か。横のはエヴァンジェリンの弟子の坊主だろ?」
「知っているのですか?」
「麻帆良の情報通ならエヴァンジェリンの動向は注視しているからな。弟子を増やしているってのも聞いている。まぁ麻帆良祭の前の顔合わせの時に俺も居たからな」
「改めまして赤土球児です。皆からパワプロと呼ばれています」
「俺の名前は鈴木二朗。よろしくな」
「鈴木さんは学園の理事でもあるから麻帆良の顔役の1人だよ」
「学園長の近衛のジジイから無茶振りされる立場だ。そんなに偉くもねぇよ。まぁギルドの管理はしているがな」
ギルドについての説明が入り、ナギサが言うように魔法に使う素材を買い取ったり仕事の斡旋をしたり、情報共有をするのがギルドの主な使い道で、酒場としても活用されているらしい。
「あそこにある大きな掲示板に依頼が貼り出される。気に入った依頼があれば紙を取ってカウンターに持ってきてくれ、それで依頼の受注になる」
「なるほど……注意点とかありますか?」
「こちらが見分不相応と思ったら止めに入る。依頼の奪い合いはご法度、依頼主が悪質ならギルドから警告もしくは罰を与える。受注した方も悪質なら罰が与えられる。罰は内容によりけりで、一番悪質なのは麻帆良内で魔法使いじゃない一般人を殺害した場合だ。問答無用で終身オコジョの刑に処されるから注意な」
「あと中坊に難しい依頼は受け付けねぇ。どんなに実力があってもな。高校生になってから難しい依頼は受けな」
〈ピンポーン ギルドでの金策は高校生から解禁されます。それまでは表で地道に稼ぎましょう〉
「飯は表の学食と値段はあまり変わらないが、魔法世界の食材なんかが使われていて新しい味を味わえるかもしれないぜ」
とも鈴木さんに言われた。
せっかくなので今日のお昼はここで食べようということになり、食事を注文した。
魔法世界の食材ということで最初はどんな物が出てくるのかと思ったが、タコライスに見える料理が運ばれてきた。
「ジャージャー丼って魔法世界だと言うらしいぜ」
「確かにトマトみたいな食材やアボカドみたいな食材が入ってますが、味も食感も全然違いますね。米は普通の米みたいですが、タイ米に近いのでパラパラしていて食べやすいです」
鈴木さんが
「料理の質は魔法世界も旧世界も大差はねぇ。違う食文化を許容できるかどうかだ。まぁ麻帆良に店を出しているから日本風の味付けにはなるんだがな」
「なるほど……」
食事を終えてギルドを出た後ナギサと共に街を散策してその日は1日過ごすのだった……。
外部の大会で麻帆良の代表チームがベスト8入りを決めた。
埼玉大会でも圧勝していたが、やはりチーム人数が100名近くいるチームが4つも戦い、リーグ戦をやれば勝ち抜けるチームは凄まじく強くなるのも納得だ。
BSでテレビ中継されているが、出ているメンバーの殆どが内部進学で麻帆良の系列高校に進学するため高校野球の方も強い。
ただ麻帆良は8つの高校があるので8つの高校にある程度分散するが、強いメンバーが示し合わせて同じ高校に進学して超強力なメンバーになることもある。
5年に1度くらいでそうなるらしいが、その世代に当たると春夏のどちらかは甲子園ベスト4まで行くらしい。
というかここ10年は埼玉県は麻帆良系列高校からしか甲子園出場校が出てないので他県からは内戦って言われていたりする。
そんな麻帆良でもプロ野球選手になれるのは最多の年でも5人……とても狭き門である。
チャンネルを変えて甲子園の様子を見ると麻帆良のチアリーディング部や応援団が甲子園の半分を麻帆良カラーに染め上げて応援している。
吹奏楽部とかもこの時期に全国大会があるらしいが野球応援チームと大会チームに部を分けるくらい力を入れているらしい。
『打った! 麻帆良の怪物小池選手! 高校通算80本塁打達成です』
多分今甲子園で映っている小池選手もプロ野球に進むだろうが、毎年ポコポコとスター選手を輩出する麻帆良は流石である。
聞く所によるとプロ野球だけでなくスポーツ界隈には麻帆良派閥と呼ばれる学閥があるらしく、麻帆良の学生人口の多さと優秀な指導者、設備の数々がプロアスリートを大量に輩出する下地になっているらしい。
スポーツだけでなく政治分野でも派閥が与野党問わずあるため、麻帆良の魔法使い達が政治家と癒着して麻帆良に様々な権利を融通しているそうな。
「政治の話しは分からねぇなぁ」
寮のテレビで甲子園中継中にニュースが挟まれたのでそんな事を思い出したが、魔法使いって利権関係が凄いんだなぁと思うのだった。
【イベント 勉強会】
学校に残ったクラスメイト達と勉強会を開くことになった。
宿題は皆とっくに終わらせ、部活動に邁進していたが、休みですっかりなまってしまっているかもしれないと南條がクラス首位防衛の為に1日5教科の復習の為の勉強会を開いた。
南條に頼まれて僕が参加者の昼食を用意したが、夏休みで真っ黒に日焼けした者や、逆に室内で生活していて真っ白な者、麻帆良内で完結していた者や、せっかくの夏休みだからと自由研究がてら埼玉県に留まらず関東1周を自転車でしてきた猛者までいた。
勉強会で皆が勉強を忘れていないか確認したが、ちゃんと復習や予習をしていたらしく、全教科すっかり忘れているって人は居なかったが、1〜2教科うろ覚えになっている人は居た。
「気合い入れるぞ! 次の中間テストはテストの順位が良かったクラスから秋の宿泊学習の行き先を選択する権利が得られるからな! 東京で動物園に遊園地、東京タワーなんかの遊びまくれる旅行にしようぜ!」
「「「おお!」」」
南條がキューピッズの先輩から聞いたらしいが、テスト順位で宿泊学習の場所を選べる権利を得れるらしい。
A組からZ組までの26クラスあるので同じ場所に行くとなるとホテルの予約ができないらしい。
日程ズラシはあまりしたくないらしいので5グループぐらいに別れて宿泊学習や修学旅行は行き先を選ぶことができる。
修学旅行だと国外も選択肢に入ってくるから流石である。
僕達が秋の宿泊学習で狙っているのは東京エリア。
都会で遊べる場所が多く、ホテルも他のエリアだと旅館で大部屋とかなのに個室でバイキング形式で食べれるらしいので是非行きたい。
「お前ら頑張るぞ!」
「「「おお!」」」
クラスの団結力が上がるのだった。